更新日:2021年5月26日
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マイクロプラスチックは海洋中の有害物質を吸着するとともに、魚などの海洋生物から食物連鎖を通じて人間の体内に取り込まれることで健康被害を引き起こすことが指摘されており、国際的な課題となっています。このマイクロプラスチックとはそもそも何なのか、どうして海のない山梨県でも問題になるのかを解説します。
マイクロプラスチックの定義について紹介します。
マイクロプラスチック…微細なプラスチック類のこと。一般的に5mm以下のものをいいます。
実際のマイクロプラスチックの写真がこちらです。
ポリプロピレン(PP) ポリスチレン(PS):発泡スチロール ポリエチレンテレフタラート(PET)
これらはビニール袋や発泡スチロール、ペットボトルなど私たちの生活に身近なプラスチック製品が元となっております。プラスチックは軽量で腐ったり錆びたりしないため、使い勝手のいい優れた素材として様々な製品を作ることができます。その反面、プラスチックは自然で分解されないため、河川に流れ出たプラスチックごみは、河川内や河川敷の散乱ごみとなります。野外に捨てられたプラスチックごみは紫外線や波や川の流れによりさらに小さなプラスチック片となります。これがマイクロプラスチックです。
海に面していない山梨県で、なぜマイクロプラスチックが問題となるのでしょうか。それはマイクロプラスチックが山、川、海と水の流れを通じて海岸へ流出するためです。山梨県の河川は、南下して駿河湾に注ぐ富士川水系と、南都留郡の各河川が集まり東流して神奈川県に入る桂川水系および、大菩薩嶺から発生し東流して東京都に入る多摩川水系の3つの水系から成っております。山梨県で発生したマイクロプラスチックは、これら3つの水系を通して、海へ流れて出てしまう可能性があります。こうしたことから、海の豊かさを守るために、私たち山梨県民も当事者意識をもってこの問題に取り組む必要があります。
レジ袋に食品トレーの入った河川ごみ(桂川水系・大橋付近)
県では、令和元年度から県内河川のマイクロプラスチック調査を行っております。調査結果についてはこちらのページを参照してください。→令和元年度マイクロプラスチック河川調査
マイクロプラスチックは、私たちの生活ごみから生じています。マイクロプラスチックを減らすには、私たちが日常生活で使用しているプラスチック製品を減らすことが重要です。そのために、プラスチックの3Rを実践しましょう。以下ではそれぞれの分野でできることを紹介します。
必要のないプラスチックは「もらう」から「断る」へ。
余分なプラスチックを使わないことが、プラスチックごみ削減に向けての一番の近道です。
身近なことから、ぜひ取り組んでみてください。
〈具体例〉
○レジ袋ではなくマイバッグを利用する。
○マイボトルを持ち歩き、ペットボトル飲料を購入しない。
○コンビニで必要のないスプーン、ストロー、ふた、マドラーはもらわない。
○買い物のときに過剰包装を断るようにする。
○食品はラップを使わず、ふた付きの容器に保存する。
一度使ったプラスチック製品をすぐに捨てるのではなく、くり返し使うことでプラスチックごみを削減することができます。
買い物の際には、使い捨てのものではなく、なるべく使い回せるものを選びましょう。
〈具体例〉
○ハンドソープ等は詰め替えに対応したものを購入する。
○ボールペン等はカートリッジ式のものを購入する。
きちんと分別・回収されたプラスチックごみは新しい製品や化学原料にリサイクルされます。
一般社団法人プラスチック循環利用協会によると、日本の回収された廃プラスチックのリサイクル率は84%と高い数値となっています。
しかし、高いリサイクル率であっても、回収されない廃プラスチックには意味がありません。
ポイ捨てだけでなく、ごみ収集所に出したごみも風に飛ばされてしまうと散乱ごみになってしまいます。
お住いの市町村の分別収集方法を確認し、正しい分別をこころがけましょう。
〈具体例〉
○お住いの市町村の分別収集方法を確認し、きちんと分別する。
○野外レジャーで発生したプラスチックごみはポイ捨てせず、自宅に持ち帰りきちんと分別する。
○ごみ収集所にごみを出すときは、風に飛ばされないようにネットをかける。
実はプラスチックには3Rに加えてもう一つのRがあります。それがリニューアブル(Renewable)です。リニューアブルは「再生可能な」という意味があります。これは令和元年に環境省が策定した「プラスチック資源循環戦略」で新たに提唱された概念です。使い捨てプラスチックを紙やバイオマスプラスチック等の再生可能資源への適切な代替を促進する目的があります。山梨県内でも県産木材を使った紙ストローが製作されています。
もしプラスチックの代替の素材を使った製品を見かけましたら、一度手に取って試してみてください。
プラスチックの問題についてこれまで紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。これまでの内容をふり返ると、プラスチックをそもそも使わなければいいと考える人もいるかもしれません。
しかしそれは偏った見方で、プラスチックはその特性からエネルギー資源の節約や環境負荷の低減に貢献しています。
プラスチックの特性として、軽くて丈夫、密閉性・耐熱性に優れる、大量生産が可能、成型しやすいなどが挙げられます。
例えば、お菓子の袋がプラスチックから別の素材になったとします。その素材がプラスチックより重ければ、輸送時のエネルギー消費量が増え、環境負荷が大きくなります。また、密閉性がプラスチックより劣る場合、そのお菓子は長期間品質を保つことができず、売れ残りはすぐに廃棄されてしまうため、食品ロスにつながってしまいます。
このようにエネルギーや環境を考えるときには、その製品の一部分だけを見るのではなく、資源採取から生産、流通、消費、廃棄処理またはリサイクルまでのライフサイクル全体を見ることが必要です。このようにライフサイクル全体を見て環境負荷を定量的に評価する手法を「ライフサイクルアセスメント(LCA)」と言います。
プラスチックは非常に優れており、私たちの生活になくてはならない素材です。プラスチックが今後の環境にどのような影響を及ぼすかは、私たちの関わり方次第です。これまでのプラスチックとの関わりを見直し、プラスチックと賢く付き合っていくことが大切です。
○山梨県:漂着物のトランク・ミュージアム®山梨県版【小学生以上向け】
山梨県の河川や湖で実際に拾った漂着物を用いて製作した環境教育の教材です。希望者には無償で貸し出しをしておりますので、山梨県環境整備課までお問い合わせください。
○山梨県:令和元年度マイクロプラスチック河川調査【小学校高学年以上向け】
山梨県では令和元年度より県内河川のマイクロプラスチック調査を行っております。調査結果を公表しておりますので、環境教育にご活用ください。
○(一社)プラスチック循環利用協会:学習支援サイト【小学生以上向け】
(一社)リサイクル循環利用協会が公開している学習支援サイトです。プラスチックのリサイクルについてわかりやすくまとめられています。
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