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ページID:62825更新日:2017年5月9日

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遺跡トピックスNo.0404安道寺遺跡(甲州市)―不思議な形の土器―

甲州市の遺跡

  • 0001古婦毛遺跡-埋甕-
  • 0008大木戸遺跡-水晶製石鏃-
  • 0024大木戸遺跡-前期土偶-
  • 0053大木戸遺跡-緑釉陶器-
  • 0143大木戸遺跡-約6,000年前のイエの跡-
  • 0252大木戸遺跡-中期土偶-
  • 0011一ノ坪遺跡-埋甕-
  • 0032勝沼堰堤-砂防堰堤-
  • 0058勝沼堰堤2-水抜き穴-
  • 0078勝沼堰堤3-銘板-
  • 0074勝沼堰堤-砂防学習公園勝沼堰堤見学会報告-
  • 0033日川水制と上流堰堤群-直轄砂防工事-
  • 0064西畑B遺跡-内耳土器-
  • 0071北田中遺跡-古墳時代甕-
  • 0178影井遺跡-羽釜-
  • 0224安道寺遺跡-動物モチーフ付き土器-
  • 0260安道寺遺跡-土偶
  • 0404安道寺遺跡-不思議な形の土器-
  • 0322県指定史跡-武田勝頼の墓-経石-
 

遺跡は、旧塩山市の中萩原にあります。縄文時代中期(今から4,500年前)の住居跡19軒、土器集積遺構(土器片を集めた跡)1基、土器埋設遺構(土器を埋めた跡)2基が見つかっています。また、近年の調査でも、わずかな面積から大量の土器が出土しており、この一帯には濃厚な密度で遺跡が広がっていると考えられます。

この遺跡からは、大形の水煙文土器(すいえんもんどき)や、イノシシのモチーフが付いた土器、今回紹介する、ほぼ完全な形の有孔鍔付土器(ゆうこうつばつきどき)など、山梨県の縄文土器の名品がそろって見つかっています。

遺跡名:安道寺遺跡(あんどうじいせき)

時代:縄文時代中期

所在地:山梨県甲州市塩山中萩原安道寺

報告書:『安道寺遺跡調査報告書』1978

調査機関:山梨県教育委員会

【関連トピックス】

NO.0224安道寺遺跡―動物モチーフ付き土器―

NO.0260安堂寺遺跡―土偶―

有孔鍔付(ゆうこうつばつき)という名の土器

No.0404_安道寺_有孔鍔付土器

上の写真は、安道寺遺跡から見つかった「有孔鍔付土器(ゆうこうつばつきどき)」と呼ばれる土器です。名前のとおり、この種の土器をよく見ると、口には小さい穴がたくさん並んでおり、そのすぐ下にはぐるりと鍔(つば)が付いています。普通の土器に比べるとかなり変わった形ですね。

ちなみに、胴体中央に‘くるん’と付いているのは何に見えますか?

とぐろを巻いたヘビなんです。三角の部分が頭に見えるでしょうか。

この土器は、どんな状態で見つかったのでしょうか?

No.0404_安道寺遺跡_出土状況

黄色い矢印が有孔鍔付土器

この有孔鍔付土器(ゆうこうつばつきどき)が見つかった8号住居跡は、3.7m×3.4mの小さな竪穴住居(たてあなじゅうきょ)です。中心部には石組炉があり、このすぐ側の床面から、ほぼ完全な形で発見されました。これが置かれていた床面は少し掘りくぼめられていたことから、ここがこの土器の定位置だった可能性もあります。有孔鍔付土器が酒造りに使われた土器だとすると、中身の保温という目的があったのかも知れません。

何に使われた土器なのか?

この形の土器は、一体何に使われていたのか――

いろいろな説があります。

ここでは、代表的な2つの説を紹介しましょう。

  • 「酒づくりの道具」説

長野県井戸尻遺跡では、この種の土器の底からヤマブドウの種が見つかっています。また、炉のそばを掘りくぼめて設置した状態で発見された、安道寺遺跡のような事例もあることから、木の実などを発酵させて果実酒を作るのに使われたのでは?という説もあります。口の小さい穴は、発酵のガス抜き穴だったのでしょうか……

  • 「太鼓(たいこ)」説

口に皮を張って、太鼓(たいこ)として使ったという説もあります。確かに、皮を固定するのにちょうどいい穴や鍔(つば)がありますね。ただ多くの土器には、口の穴には、ヒモなどを通して使ったような痕が残されていないようです。

不思議な土器を身近に…

このように、今のところはっきりとした使い方がわからない土器ですが、この形の初期のものは、中部高地で限定的に見つかっていることから、そのルーツは私たちが住む山梨県を含む地域にあると考えられています。

安道寺遺跡のこの土器は、現在、遠く九州国立博物館の交流展示(期間限定)にて、山梨の縄文文化の素晴らしさをアピールをしています。

お近くの方は、是非ご覧になって下さい。

この土器の仲間の有孔鍔付土器(ゆうこうつばつきどき)は、山梨県立考古博物館で開催されている第32回特別展「掘り起こされた音の形」にて、太鼓(たいこ)という解釈のもとで展示されています。

10月26日(日曜日)には、これらをモデルに作った土器を実際に演奏してみるイベントを山梨県立考古博物館ピロティーにて行います。また同時に「縄文フルコースはいかがですか??」という食体験イベントを開催します。

食体験イベントについて、詳しくはコチラをクリック!↓

No.0404_縄文フルコースはいかがですか

「音」と「食」から、昔むかしの縄文時代に思いを馳せてみませんか――

 

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