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上島徹也

顔写真

ブランディングを通し、山梨の宝飾産業の価値を普及させること。

山梨県甲府市にある㈱IVXJAPAN(アイブイエックスジャパン)。

代表を務める上島徹也氏は、会社の総括プロデューサーでありながら、最新トレンドをデザインに落とし込む才覚を持つ優れたジュエリーデザイナーでもある。

自ら企画・デザインしたオリジナルブランドのジュエリーは、山梨の加工技術と掛け合わさり、海外においても高い評価を受けている。

上島氏が考える“ブランディング”とは何なのか。

オリジナルブランドを立ち上げ、継続させていくためには何をすればいいのか。

その秘訣に迫った。

IVXJAPANとはどんな会社?

うちの会社は2軸で展開しており、ひとつは、セレクトショップ・百貨店・国内外のブランド等アパレルを中心に、アクセサリージュエリーのOEM・ODMの企画から生産まで行っています。最近では、ファッション関係の他、音楽、アニメ、アート、スポーツと異業種からの依頼が多めですかね。もう1軸は、実験的な試みや山梨の研磨・宝飾職人さん等の技術をより多くの人達に知ってもらうため、自社でジュエリーブランドを展開しています。2007年の起業時からスタートしたブランド「IVXLCDM(アイブイエックスエルシーディーエム)」は、国内外の展示会を経て、2017年に東京の一等地、六本木ヒルズに直営店を出すまでに成長しています(笑)。全ての生産は、山梨の工場や職人さんに依頼していますよ。山梨の職人さんは高度な技術を持っている方々が多く頼もしいですからね。

様々な業種との取り組みとは?

あぁ、よく聞かれます!ファッションはジュエリー業界でしたら類似するジャンルかと思いますが、その他のジャンルにもアクセサリーは互換している事が多いと思うんですよ。例えば、ゲームやアニメ・アート業界も作品や試作を作るのに3Dソフトを活用しているので、データを使ってジュエリーにできないかなと思い、試しにやってみたら思いのほか、スムーズに形になっちゃいました。逆にジュエリーの3D造形データは、ゲーム内にも互換したので、後々はゲーム内やオンラインでアバターが買えるデータとして販売も出来そうです。勿論、オンラインと同じジュエリーが実際にお店や通販で買えれば、より楽しいですよね。

オリジナルブランドの「IVXLCDM」はいろんなコラボをしていますよね?

正確にはコラボレーションと言う平等な立ち位置は少なく、クリエイションとしてバックアップしているというのが正しいと思います。幸運な事に、世界で活躍するアーティストから有名キャラクターまで様々な取り組みをさせてもらっています。

どの様な流れで取り組みがスタートしたのですか?

取り組みの開始は様々ですが、急にオファーが来た訳ではなく、OEMやブランディングを地道に活動してきた積み重ねの結果だと思います。幸い人には恵まれているので、ほとんどの仕事のスタートは紹介みたいな感じですかね。自分から営業的な動きをする事が少ない分、頼まれたり、依頼された仕事は、全力で取り組んで結果に繋げています。

結果の繋げ方を教えていただけますか?

・・・あまり言いたくないのですが、うちの会社は自社ブランドをはじめ年間通して様々な業種のクライアントからお仕事を頂いており、企画だけではなく量産も行っております。 その為、どのクライアントの、どの企画の、どの商品が何本生産されたかが全てデータ化されています。言い換えると、売れている情報をもとに企画~デザインを立案する事が出来るため、ホームランは難しいかも知れませんが、ヒットには繋がる結果が残せているのだと思います。

デザインをされる上での信念を教えて下さい。

 そうですね、情報も大事なのですが、デザインする上で一番気にしているのは調和です。OEMもブランディングも、それぞれの特徴やコンセプトがありますので、私の色を加えるのではなくどれだけ溶け込ませつつ、本来の色を引き出すかを大事にしています。

オリジナルブランドを始めるうえで何が大事?

ブランドを始めるなら売ることのシミュレーションが重要です。それは理想的な考えではなく現実的なシミュレーションが必要不可欠です。もしそれがピンとこないのなら始めるべきではないと思います。趣味としてブランドを持つのでは問題ないと思いますが、仕事としてブランドを維持していくのなら常に生活を維持できる結果が必要になってきます。会社としてブランドを掲げるなら、なおさらその重要性は高いと思います。自分の好きな物だけ作って結果が出るならいいのですが、大体は思い描いていた理想と現実の温度差の壁にぶつかると思います。そのときどうするかが方向性を左右する大事なポイントになると思います。

なるほど。現実的なプランニングが大事なわけですね。

ええ。あとはブランディングを理解し、応援してくれるチーム作りが必要かと思います。工場や資材等の手配、スケジュールを管理する生産チーム、流行や状況を分析・把握する企画デザインチーム、SNSや雑誌媒体等情報を拡散するPRチーム、展示会やイベント販売先との取り組みを強化する販売チーム等が最低必要かと思います。良い仲間に恵まれる事が必要不可欠だと思います。

ブランディングって幅広い概念なんですね。オリジナルブランドはどこで展示会を?

ニューヨークでも展示会をしましたが、結局パリに落ち着いています。パリコレのメンズシーズンに合わせて3年続けています。最初はどこまでできるか全然想像つかなかったんですが、無知で怖いもの知らずだったことや、周りのアパレルブランドが海外進出をしているのを見ていたせいか、東京も海外もあんまり変わらないって思えてきて。どうにかなるかくらいの感覚で行ってしまいましたね(笑)。もちろん事前のシミュレーションは万全でしたよ。ただ、まさか海外一回目でパリのcolette(コレット)での販売が決まるなんて夢にも思っていませんでした!やはり何の情報もない海外のバイヤーに認めていただけるのは嬉しいです。自分が行ったこともない国で、知らない人が私の手がけたジュエリーを愛用してくれているわけですから。

それはすごいですね。そもそもなぜこの業界に?

山梨なのに、生活環境にジュエリーがないまま育ったんですよね。高校を卒業してファッション関係に近い学校を探していたら、たまたま見つけたのが宝飾の専門学校だったんです。モノ作りは好きだったので卒業した後、貴金属会社に就職し、原型の職人を経て企画職から営業職に転向しました。毎週いろいろな所に行け、色々な人や物、お店等を見たり触れられたことが刺激的でしたね。幸い北海道から九州まで飛び回っていたので、その頃作ったネットワークが今の業務にも生かされています。

そうだったんですか!では最後にこれからの展望を聞かせてください。

山梨のジュエリーとその高度な加工技術をもっと外に向けて発信していきたいと思っています。これからも私がデザインしたジュエリーを山梨の職人の皆さんに製造してもらい、オリジナルブランドや提案型OEMの業務を通して、いろいろな場で山梨のジュエリー産業を普及していきたいと思っています。

なるほど。ジュエリー業界全体を視野に入れた活動、これからも応援しています!また、これからオリジナルブランドを立ち上げたいという若手の後進にとって、とても参考になるお話でした。今日はありがとうございました。

 2021年6月8日 インタビュー掲載

企業情報

名  称:株式会社IVX JAPAN

住  所:山梨県甲府市相生1-19-2 FLDビル2階

T E L:055-244-2557

F A X:055-244-2558

H   P:http://www.ivxjapan.com

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

プロフィール等

上島徹也

●1980年生まれ。山梨県甲府市出身。●宝飾専門学校卒業後、山梨県内の貴金属会社に入社。●2007年に独立し、OEM/ODM会社㈱IVXJAPANを設立。同年、自社ブランド”IVXLCDM”をスタート。●Koo-fuYprojectに参加。●2017年に六本木ヒルズに直営店舗をオープン。

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