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山本健一

全ては山梨の地場産業を元気にするため。次世代の若い子たちへの橋渡しをしてるんです。

今や全国的知名度を誇るシルバーアクセブランド「Kenblood(ケンブラッド)」。

代表を務める山本健一氏はデザイナーとしてKenbloodの商品デザインを手掛けるだけでなく、

「山梨の地場産業をもっと盛り上げたい」という思いから、分野を飛び越えて様々な活動を行っている。

今回は宝飾デザイナー以外にマルチな活躍を見せる氏の魅力に迫った。

ドラマやアニメのコラボ商品がいっぱい!デザインする時はどんな気持ちで?

コラボの場合はね、あからさまにそれって分かるものは作りたくないんですよ。露骨に分からないようにしながら、ポイントになる部分を組み合わせて形にしていく。それがデザインの面白いところだし醍醐味なんです。

なるほど!Kenbloodの商品のデザインは?

僕が好きなのはゴージャスで煌びやかな感じに、ゴシック的な雰囲気が入ったもの。でも好きな雰囲気そのままでなくて、もっとシンプルに落とし込みつつ、Kenbloodらしさを出すって感じですね。ちゃんと消費者目線でデザインするようにしています。

へえ。Kenbloodのアクセって雑誌とかテレビとか、色んなところで見ますね。

ええ。僕にとってのデザインって、単に商品の形を考えるだけじゃないんです。いい物を作ってもそれが消費者の手に届かなければ意味がない。エンドユーザーの手に渡るまでを考えてあげるってのがデザインなんです。だから、メディアを使って積極的にPRします。テレビや紙面は瞬間的なリーチ力がある半面持続力がありません。それと消費者同士で情報を共有し合うことと、商品についての詳しい詳細を伝えることができません。ですからインターネットもフルに使います。インターネットを中長期的に有効に活用できないと効果が単発で終わってしまうんです。あと、アパレルメーカーさんのOEMでアクセを作ることもあるんですが、ウチの持っている通販会社や出版社をどんどん紹介して、少しでも多く売れるようにしてるんです。そこまで考えるのが僕にとってのデザインなんですよね。

そういう意識があったからこそ、今のKenbloodがあるんでしょうね。

今や全国のセレクトショップでウチの商品を扱ってもらっていますが、ここまで来るには色々ありましたよ。元々、僕は貴金属加工の職人で下請けを10年やっていました。でも、自分がオリジナルでデザインしたものを作りたいと思うようになって、下請けと両立し始めたんです。けど最初の内は本当に大変だった。展示会に何回出展しても全くお客さんは付かないし、出版社に飛び込み営業しても門前払いでした。自販機で120円のジュースも買えず、新婚当初はお金が無くて、よく夫婦ゲンカしてました(苦笑)。けど今は絶対に周りに迷惑かけません!償いですから(笑)。

そんな下積み時代があったんですね。転機は?

この業界を去ろうと考えた時期もありました。知り合いの社長に相談したら、一緒にロンドンに行こうと言われ、下請けか、メーカーとなる希望の道を取るか、決断を迫られたんです。かなり迷いましたが決断は真の独立でした。そこで、一人でロンドンにバイヤーのアシスタントで同行しました。3日目の朝、社長に今日はお前が喋れと言われ、英語が分からないので断ったら怒られました。「頼るものではなく、人の話を聞いて理解し行動に移しなさい」。このアドバイスが僕を変えたんだと思います。日本に戻りダメだったら辞める覚悟で展示会に出展したら、最終日に周りの出展者から仕事の依頼があり、復活の道を切り開く事ができたんです。

へえ!山本さんの決断力と社長さんのアドバイスのおかげですね。

ええ。で、ある雑誌でKenbloodだけでなく、山梨のジュエリー業界の特集を組んでもらったんですよ。というのは、僕は山梨生まれの山梨育ちで、今の仕事ができるのもジュエリー業界の先輩方のおかげだと思っています。だから山梨に対する愛はとても深くて、地場産業を盛り上げたいという気持ちが強いんです。だからKenbloodだけでなく、山梨の地場産業も一緒にPRしていこうと色々活動してるんです。

それは頼もしいお言葉です!例えばどんなことを?

雑誌で宝石美術専門学校を紹介したり、「Koo-fu Yプロジェクト」を開拓したり、若手職人に声を掛けて「チーム・ギルド」を立ち上げて展示会に出たりとか。他にも、障がい者の就労支援施設とのコラボ商品を販売して売上を寄付したり、「やまなし日和(※1)」で地域の情報を発信したりしてます。あと、地域の小さなお店や中小企業のインターネットPRをする「ブロガー協会(※2)」の運営サポートもしています。 

(※1)やまなし日和:山梨のグルメ・ジュエリー・特産品・観光などの地域密着型の情報を発信するブログ。フリーペーパー版も発行されている。

(※2)ブロガー協会:山梨県発祥の山梨県ブロガー協会は現在では全国ブロガー協会として全国展開を進めている。一消費者であるブロガーを集めて商品やサービスを体験してもらい、そのクチコミ情報をインターネット上のトップページへ表示させるサービスを展開している

山梨を元気にしたいという思いが原動力なんでしょうね。では、これからのビジョンは?

僕の目標は山梨に観光客がいっぱい来て、ジュエリーやワインを買ってもらって、地域が元気になること。そのために色んな業種の方とのネットワークを生かしながら幅広く活動しています。こういうことを続けていけば若い子たちの賛同者が増えると思うので、今度は彼らを巻き込んで一緒に地場産業を盛り上げていきたい。そして、いずれは自分が橋渡し役となって、培ってきたノウハウを次世代に引き継ごうと思っています。そうすれば地場産業の担い手が途絶えることなく続いていきますから。

それは私たちにとっても大変心強いお言葉です。これからもKenbloodと山梨の地場産業発展のために頑張ってください。今日はありがとうございました。

2011年2月1日 インタビュー掲載

企業情報

名  称:Kenblood

住  所:山梨県甲府市丸の内二丁目10番8号 

H   P: http://kenblood.com/(Kenblood)

事業内容:自社ブランド製品の製造・販売

自社の強み:オーダーを頂いてから熟練の職人が一つひとつ丁寧に製作しています。 自社ブランドもとよりアパレルブランド、タレント、メディア関連のコラボやOEMをこなします。

  

 

パリ展示会場視察

 

KENBLOOD in Paris 

 

山本氏が描いたデザイン画 

 

職人が使う道具類

 

 

山本健一

●1970年生まれ。●Kenblood代表取締役。●大手ジュエリーメーカーで修行を積んだ後、下請け工場として独立。数年後、ケンブラッドオフィス有限会社を設立。●やまなしグッドデザイン賞受賞。●Koo-fu Yprojectに参加。●社会貢献プロジェクトに携わったり、若手職人を束ねて組織化し展示会に出展するなど、山梨の地場産業発展のために分野を越えて様々な活動を行っている.

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