島田節子

優しい肌触りとシンプルなフォルムが身に着ける人を輝かせる。
ユーザーに幸せを届けたいんです。

山梨県甲府市にあるギャラリー「BIZ（ビッツ）」。

数寄屋造りの落ち着いた空間に、石の持つ自然な魅力を生かしたジュエリーが並ぶ。

「身に着ける人をより美しく、幸せにするのが私のジュエリー。お客様との温かい信頼関係を大切にしています。」

そう語るのは個展を中心に海外でも活躍しているBIZデザイナーの島田節子氏。

BIZのジュエリーにはユーザーを第一に気遣った島田氏の“思い”が込められている。

これは変わったデザインですね！ネックレス？

そう、ネックレスです。テーマは「雲を着る」。雲のように軽く、留め金もないから取り外しも楽。着けている感じがしないくらい軽いのです。肩こりするからネックレスが着けられない人、金具を留めるのが難しい人のためにデザインしました。使いにくいもの、着けていて疲れてしまうのは使わなくなります。デザインするうえで大切なのは使い易いこと。

やっぱり着け心地の良いジュエリーに惹かれますよね。デザインの発想は？

街を歩いていてそこで刺激をもらうことも多いですね。建物、お店のディスプレイ、街の人のファッションの感覚、それに雲や波。色々です。ミュンヘンのインホルゲンタという展示会はクリエイティブな作品が多く、ジャケットの肩に羽子板の羽根のようなブローチを着けた男性がいたり（笑）。出展者も来場者も皆さんオシャレ！率直に意見を言いますし、ビジネスだけでなく仕事を楽しんでいるのが伝わってきます。この感覚が自由な発想に繋がるのではないでしょうか。

なるほど！海外活動が豊富な島田さんならではの発想ですね。BIZジュエリーは海外でどんな評価を？

アメリカの展示会では「ビューティフル！ゴージャス！ユニーク！」の連発。欧米人の感覚では“変わっている”というのは褒め言葉らしく自己がしっかりあると捉えているようです。また、年齢、性別を気にせず、ある男性は「自分たちにも着けられるのがいっぱいある」と言ってました。

海外でも評価が高いんですね！BIZのジュエリーを買った人は？

BIZのジュエリーは持っているだけで安心する、元気が出る、とお守りのように感じる人が多いようです。「今日は着けないけど一日お守りしてね！」ってバッグに入れたり。そう思って頂けるのは嬉しいですし感謝しています。

へえ。デザインするときはそうなるように願って？

いえ、お守りというより「身に付ける人をより美しく、幸せにしたい！」という思いは基本にあります。大切なのは身に付ける人が輝いていることです。人には100人いたら100通りの個性があり、それぞれの良さがあるので、その人らしさを表現するのが最も無理がなく自然であり、BIZのジュエリーはありのままの良さを生かすもの。それには本人の人間性の持ち方ももちろん大切ですが。なのでデザインはシンプルなフォルムで、そんなにデコラティブではないほうが良い。きれいなカットや磨いた石より宇宙や地球の歴史やパワーを感じられるものにひきつけられます。ジュエリーは虚飾ではなく力と自信を与えてくれるもの。ただ、原石のままでは身に着けられないのでかっこみ(※1)など自然な形で手を加えたいのですが、その職人さんを探すのが大変。かつては山梨には大勢いたらしいのですが。

(※1)かっこみ（掻っ込み）：原石にタガネを当て、小鎚でたたいて欠きながら、形を整えていくこと。彫刻研磨加工における工程の一つ。

たしかに原石を生かした大人向けのシックなデザインですね。

ええ。やっぱり作り手の思いは作品に表れると思うと自分を律するというか・・・。

BIZユーザーは島田さんの思いを感じ取って大事にしているのでしょうね。

そう願っています。作ったものをお金に変えることは基本ですが、もっと大切なのはお客様の信頼に応えて、良い物をお届けするという気持ちだと思います。素材、技法、または作る時の想い、そして使い方など率直な対応を心がけています。そうしたことがBIZの作品を理解し信頼することに繋がっていると思います。モノだけが動くのでなく幸せ感のようなものがお届けできたら私も幸せですね。