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後藤晃一

この道を目指している若手が、夢を抱けるように。

繊細な地金とカラフルな樹脂、そしてワイヤー技術を駆使したレタードジュエリー。

手がけているのは(有)Glory Design(グローリーデザイン)の代表取締役でありながら、

地金加工職人、そしてジュエリーデザイナーとしての顔も持つ後藤晃一氏だ。

2010年、2011年にはKoo-fu Y プロジェクトに参加し、

その持ち前のセンスと繊細な加工技術を生かした斬新なジュエリーを披露、

ジュエリー産地山梨の底力を見せつけた。

(有)Glory Designについて教えてください。

ウチの会社はジュエリーの企画から製造までをしていて、2つのオリジナルブランドとOEMを手がけています。ウチには5人も職人さんがいて、僕は会社の代表として全体のマネジメントをしつつ、デザイナーとして新製品のデザインを描いたり、職人のリーダーとして実際に地金加工もしたりしています。宝石美術専門学校を卒業しているのでジュエリーに関する基本的な知識はあるんですよ。

へえ!一人三役というわけですね。このピアスの模様、すごく細かいですね!

それめちゃくちゃ苦労しました(笑)。小さいワイヤーを、一本ずつ曲げてはロウ付け、曲げてはロウ付け…を繰り返して少しずつ模様を作っていったんです。ホント気が遠くなるような作業でした。だけどワックスでは絶対にできないものを作ろうと思って、原型作りにはトコトンこだわったんです。ただこれほどの細かい原型になると、その後のキャスト(鋳造)も大変。甲府のキャスト専門の職人さんの所に通って、何度も打合せして、温度とか圧力とか研究を重ねて、なんとか鋳造に成功したんです。だからとても思い入れがあるシリーズなんですよ。

へえ!まさに甲府の技術の結集ですね。オリジナルブランドは?

「R burj(アルバージ)」と「Lucie&g(ルシアンジー)」っていう女性向けのジュエリーブランドを展開しています。「R burj」は塗装職人とのコラボから始まったブランドで、バラの花をモチーフにカラフルに仕上げたジュエリーですね。「Lucie&g」はルシーという想像上の女性がいて、僕がその子をイメージしてデザインしたジュエリーなんです。ブランドのコンセプトはもちろん、モデルのセレクトやポージング、スタイリングなども含めて僕がトータルプロデュースしてるんですよ。やはりブランディングというものは、技術は一つの要素に過ぎなくて、ブランドの世界観、メディアでの見せ方、販売方法といった技術以外の要素が大事になってきますからね。

なるほど。2010年のKoo-fu Yプロジェクトの作品は一体どうやって?

一本の地金を道具を使って順々に曲げて作っているんです。僕は手作業でワイヤーを曲げてアルファベットの筆記体とかを作ることが得意なので、その技術を生かした作品にしました。ちなみにワイヤー技法は全て独学で修得したんですよ。どんなアルファベットの組み合わせでも作れるけど、キレイにかわいく見せるには流れを殺さずに自然体で曲げていくことが大事なんです。いま試しに「Love&Peace」のレタードネックレスを作ってみましょうか!

すごい。道具一つでキレイに曲げていくんですね!そもそもKoo-fu Yプロジェクトに参加したのはどうして?

山梨のジュエリー産業の活性化につながると思って参加しました。特にこの道を目指している若手が夢を抱けるようになればいいと思って。というのは今不景気だから若手が夢を持てない時代。本当にジュエリー業界でやっていけるのかってみんな不安に思っています。だけどKoo-fuやKoo-fu Yプロジェクトによって、今まで表に出ることのなかった職人たちに光が当たって、様々な場面で活躍するわけです。山梨の職人はもともと高度な技術とセンスを持っているのでスーパースターが出てきたって不思議はありません。そうすれば「自分も将来あんな風になりたい」って思う若手も増えますよね。若手に夢を与えることができるのがKoo-fu Yプロジェクトなのかなと思っています。これからも山梨のジュエリー産業の活性化につながるようなことに積極的にチャレンジしていきたいですね。

それは頼もしいお言葉です。では若手に向けてメッセージをいただけますか?

すごく小さなことでいいから「これだけは絶対に誰にも負けない」ことを見つけてほしいと思います。以前、ウチの会社はピアスをよく作っていたんですが、ピアスのフック金具って一般的には機械で生産されているんです。だけど僕は一つひとつ手作業で、長さのバランスを考えながら丁寧に作ったんです。それ以外にも、小さな丸カンがきちんと閉じているようにするとか、どんなに安い商品でも細かいところまで徹底して作り込みました。そのおかげで売上が伸びたんですよ。今でもディテールの作り込みについてはウチの製品はどんなハイブランドのジュエリーにも負けないと思っています。だから誰でもできるような簡単なことでも、それを突き詰めてやり続ければ「誰にも負けない世界一」になるんです。若手のみなさん、自分を信じて努力し続けてください。

ステキなメッセージですね。これからもジュエリー産地山梨のために頑張る後藤さんを応援します。今日はありがとうございました。

 2012年1月31日 インタビュー掲載

企業情報

名  称:有限会社Glory Design

住  所:山梨県甲府市中央3-10-32

T E L:055-227-5253

F A X:055-227-5310

E-mail:info@glory-design.com

H   P:http://glory-design.com

業務内容:ジュエリー・アクセサリーの企画、製造、販売

取扱ブランド:Lucie&G A.T.C.S 1DK Jewelry works

 

<直営SHOP 1DK Jewelry works>

住  所:山梨県甲府市丸の内1-14-14 オリオン共同ビル102

T E L:055-225-6217

H   P:http://1dk-jewelry.com

 

  

 

「原型を徹底的に作り込んだ」というピアス

よく見るとバラの花の模様が表現されている。 

上と同シリーズのイヤリング

甲府の職人の技術が結集しキャスト(鋳造)に成功した。 

塗装職人とコラボしたというR burjのリング

 アンティークな雰囲気も感じさせる。

2010年Koo-fu Yプロジェクトの作品

後藤晃一

●1974年生まれ。●23歳のとき、父親が経営する(有)グローリーに入社。働きながら山梨県立宝石美術専門学校でジュエリーを学ぶ。現在は代表取締役として会社のマネジメントを行う。●2010年、2011年Koo-fu Yプロジェクトに参加。

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