トップ > 組織案内 > 新価値・地域創造推進局 > DX課 > 進めよう!DX! > 県民DXリテラシー向上事業事例集R702
ページID:124650更新日:2026年2月18日
ここから本文です。

【プロフィール】
屋号(活動名):かがみもち(夫婦太神楽)
名前:丸一仙三(まるいち せんざ)さん
職業:太神楽師(だいかぐらし)/400年続く伝統芸能の後継者の一人
住所:甲州市塩山上於曽141-6
https://r.goope.jp/kagamimochi/
https://maps.app.goo.gl/SYnroQhHbyk1vvHb8
やまなしデジタル×コネクト事業のセミナーを受講し、ホームページの改善と生成AIを活用した動画制作に取り組んだ太神楽師・丸一仙三さん。伝統芸能という“リアル”を大切にしながらも、デジタルを「若い世代に出会ってもらうための武器」として柔軟に取り入れる姿勢が印象的でした。今回は、受講のきっかけから具体的な成果、今後の展望までを伺いました。
「腕一本で食べていく」世界から、デジタルの必要性を実感するまで
丸一仙三さんは、傘の曲芸や獅子舞などを披露する太神楽を生業にしています。高校時代から演劇に打ち込み、「人前で表現して生きていきたい」という思いから芸の道へ。大学卒業後は国立劇場の研修所で修行を積み、現在は奥様との夫婦コンビ「かがみもち」として活動しています。予算や演目に応じて、単独・コンビなど柔軟な形で公演を行っています。
デジタル活用については当初「インターネットに頼らなくても仕事は来る」という感覚もあったそうです。しかしコロナ禍で公演機会が激減。情報発信も止まり、「どうせ発信しても呼ばれない」と気持ちが落ち込んだ時期があったことを率直に語ってくれました。
受講のきっかけは、商工会からの案内と“今こそ立て直す”想い
甲州市へ移住後、丸一仙三さんは商工会の支援を通じて、ホームページ作成やSNS講習(写真の撮り方など)にも触れてきました。今回、やまなしデジタル×コネクト事業を知ったのは、商工会連合会からの案内メールがきっかけ。個別相談の場で「まずはホームページを見直しましょう」という提案を受け、改善に着手しました。
公演の特性上、仕事の多くは来訪型ではなく“出張型”。Googleマップだけでは魅力が十分に伝わりません。そこで「最終的に信頼を持ってもらう場所」として、ホームページを整える方向に舵を切りました。
“離脱されないトップページ”へ ホームページをその日のうちに改善
個別相談でのアドバイスを受け、丸一仙三さんは「その日の夜に」サイトの修正を実施。主な改善点は次のとおりです。
・メニュー(タブ)の整理・集約:情報が多すぎて迷いやすかった構成を改善
・トップページの見せ方の見直し:「何をしている人か」が一瞬で伝わる画像・文言へ変更
・「お客様の声」ページを新設:生成AI・Canvaの素材も活用し、実際に届いた感想を掲載
この改善が、予想以上のスピードで成果につながりました。
「ホームページを変えた“3日後”に、県内の公共ホールの指定管理者さんから、問い合わせフォーム経由で依頼が来て決まりました」
SNSや口コミなど入口は複数あっても、最後に依頼につながる“決め手”としてホームページが機能した手応えを感じたそうです。

動画は「見せすぎない」から「出会ってもらう」へ ― 若年層への届け方の転換
AI動画生成セミナーにも参加しました。その理由は明快です。これまで写真中心の発信で、「動画はあげすぎると満足されて呼ばれなくなるかも」という懸念もあった一方、若い世代へ届けるには動画が不可欠だと感じたためです。
SNSの軸足をFacebook中心からInstagram・TikTokへ移す“移行期間”として、従来の動画撮影・編集に加え、セミナーで得た生成AIでの動画生成にもチャレンジ。こうした工夫を重ねたことで、投稿の視聴数にも変化が現れました。
「視聴回数はいつも200〜300くらいだったのが、生成AIを使った投稿は“倍くらい”見られました」
「伝統芸能=堅い・古い」という先入観があるからこそ、入口で“面白そう”と思ってもらう演出が必要。その武器として生成AIに可能性を感じたと語ります。
難しさはあっても、「取り残さないサポート」が背中を押した
丸一仙三さん自身は「パソコンに慣れているタイプではない」と話します。セミナー中は何度も手を挙げて質問しながら進めたそうですが、そこで強く印象に残ったのがサポート体制でした。
「分からない人にも丁寧で、“一人も取り残さず”教えてくれたのがありがたかった」
生成AIは、指示の出し方(プロンプト)によって結果が大きく変わるため、最初は思い通りにならないことも。たとえば、
・「火星で傘の曲芸を宇宙人に見せる動画」を作ろうとしたが不自然な動きになった
・プロンプトによって生成結果が大きく変わり、思いどおりの映像にならないことも多かった
・そのため、「納得できる仕上がりになるまで投稿しない」という判断をした
といった試行錯誤も経験したそうです。そのうえで「使い方次第で可能性が広がる」ことを実感したと語ってくれました。
AIに“飲み込まれない”。リアルの芸へつなぐための演出として使う
特に印象的だったのが、丸一仙三さんのAIに対するスタンスです。
・伝統芸能の価値は、あくまで「リアルで観てもらうこと」
・生成AIは興味を持ってもらう「最初のつかみ(入口)」
・「主役は自分」。AIはあくまでパートナー
「AIに取り込まれるんじゃなくて、タッグを組んで共創(クリエイト)する。最終的には“呼ばれてリアルで演じる”流れを作りたい」
「エッフェル塔の上で獅子舞をする」など、現実ではできない映像で驚きを生み、SNSで出会ってもらう。その先で「イベントに呼んでみよう」と実際の依頼につなげる構想を語ってくれました。

これからデジタルに取り組む方へ:「安心して一歩踏み出してほしい」
「セミナーは楽しくて分かりやすい。今回のセミナーのほかにも個別相談など、身近に使える支援があるので、安心して一歩踏み出してほしいです。若い層に広げていくには、新しいことに挑戦するのが大事。AIもホームページもSNSも、やってみると効果が出てきます」
“伝統を守ること”と、“新しい技術を使うこと”は矛盾しません。丸一仙三さんの取り組みは、文化を次世代へつなぐための現実的な方法として、多くの事業者にヒントを与えてくれます。
山梨県は令和7年度に、「やまなしデジタル×コネクト」という事業名でセミナーの開催だけではなく、困ったときにいつでも相談できる存在として、事業主からのデジタル、DXに関するお悩みを受ける相談窓口をご用意しています。
雑談レベルのご相談から、具体的なツール導入のご相談まで、ぜひお問い合わせください。
| >相談窓口のご紹介 | >伴走支援のご紹介 |