12 富士風景模様額裏絵甲斐絹 (明治末期製作) 「甲斐絹の逸品」最後の作品は、非常に珍しい絵甲斐絹を紹介します。従来、甲斐絹は小幅で、一つの模様が繰り返されて織られるのが一般的ですが、この甲斐絹は広幅で織られています。従って、小幅の織物のように羽織裏として仕立てたときに背中心で縫い目がでません。また、模様も絵羽付けと言って羽織裏全体が一つの画面として構成されており、このような形式のものは額裏と呼ばれ高級品とされています。絵柄も、富士山を遠景とした山水画で品格が感じられます。掲載した大きな写真は額裏の絵部分、下の小さな写真は羽織から外された状態のものです。