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詫間康二

デザイナーではなく、僕はあくまで彫刻家でありたい。

現代的センスと伝統的技術を融合させ、次々と新しい作品を生み出す詫間康二氏。
貴石彫刻家であることに誇りを持ち、父に師事しながら伝統技術の承継に日々励んでいる。
今回はそんな詫間氏に熱い思いを語ってもらった。

康二さんは二代目ですが、家を継ごうと思ったきっかけは?

小さい頃から石を加工する親の姿を見てきましたので自然に家業を継ぐと決めていました。高校卒業後、4年間ほど外の企業で地金の職人として経験を積んでから家に入りました。石の加工だけでなく地金も自分でできるようになれればと思って。そのスカルリングの金属部分も自分で作っているんですよ!

このスカル、超カッコイイ!どうやって作っているんですか?

これは渋谷のパルコで開催された「ヤマナシ良品」でも即日売れたんですよ。詳細な図面があるわけではなくて、水晶に十字の線だけ描いて、あとはバランスを見ながら感覚で彫っていきます。ビジネスベースにのせるにはスピードも大事。

あの丸玉のリングは石に模様を描いている?

いえいえ(笑)。「花玉」と言いまして、最初に丸玉を作って、それに桜の柄を彫ります。そして別の色石をピッタリ合うように削って埋め込んでいます。ルーペで見ながら細かい部分を調整してはめていくんです。象嵌(※1)の技法を使った物はよく見かけるけど、ほとんどは柔らかくて加工しやすい石が使われているんですよ。だけど僕は敢えて硬度の高い瑪瑙を使っています。だからすごい手間がかかるんですよ!

象嵌(ぞうがん)(※1):ある素材に異質の素材を嵌め込み、色の対比を見せる技法。

へえ!!あまりにピッタリはまってるので描いているのかと。

初めて見た方は皆さんそう言いますよ。中国でも似たような物はあります。だけど大量生産なので繊細さに欠ける。象嵌の技術を使った物は中国からは出てきません。それだけ高い技術が要求されるんです。

このワニはオニキスですか。

そうです。貴石彫刻がどういうものか、どういうことができるのか、一般の方に一目見て分かってもらうためにオニキスを使ってワニやクロスペンダントを作ったんですよ。

こういったオリジナル作品以外には?

業者さんから依頼を受けて置物を製作したり、ジュエリーのパーツとして石を加工したり。個人の方からの依頼もありますよ。翡翠を使ってこういう物を作ってほしいとか、オリジナルの絵を描いてきて勾玉を作ってほしいとか。柿コレクターの方からの依頼で柿の置物を作ったことも(笑)。ウチの工房には色々な種類の石のストックが大量にあるのでお客さんの様々なニーズに応えられます。

発想の原点は?

誰にも真似できない物を作り出そうと思っています。そして、技術を駆使するだけでなく、時間をかけないでスピーディに作る、それが職人なのだろうと思っています。そういう発想が最初にあって作っているのでコンセプトがあるというより、感性から作る感じですね。

確かに詫間さんの作品はスカルもあれば、花もあって、ワニもある。バリエーションが豊富!

ファッション性の高い作品も作り続けたいと思っていますが、茶碗とか仏像などの伝統的、クラシックなものも作っていきたい。父親もそうですが、僕より上の世代の方々が作られた作品は素晴らしいものがいっぱいある。山梨が貴石彫刻の産地と言われたのはこういった伝統的な作品があるからこそ。けど、それを作る技術を受け継いでいる人がほとんどいないのが現状です。だから自分がやらなくては。

それは頼もしいお言葉!

僕自身、伝統的な彫刻に関してはまだまだ修行が足りないと思っていますので、ここは父親に頭を下げて教わろうと。やはり、僕はデザイナーではなく、あくまで彫刻家でありたい、そう思っていますから。

業界を支えていこうとするその姿勢、これからも応援します。今日はありがとうございました。

2010年9月17日 インタビュー掲載

企業情報

名  称:株式会社詫間宝石彫刻

住  所:山梨県甲府市丸の内3-26-1

H   P:http://www.takumahouseki.com/index.html

事業内容:宝石、貴石の彫刻研磨 オリジナルジュエリーの製造販売

自社の強み:石の彫刻研磨に関するオーダーは何でも相談にのります。地金も自社工房で制作可能です。デザインの段階から完成まで自社工房で生産可能です。多種多様な原石を用意しております。ジュエリー以外に大きな置物も制作可能です。

 

 

 

 

 

スカルリング

 

象嵌の技法を使った「花玉」

 

クロコダイルシリーズ

 

 

詫間康二

●1973年生まれ。●高校卒業後、㈱シマダに入社し地金の製作を学ぶ。その後、家業の貴石彫刻業に従事。●山梨県知事認定宝石加工ジュエリーマスター、伝統工芸士。●Koo-fu Yprojectに参加。

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