更新日:2024年2月9日

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野菜や米にとって一番気持ちいい環境を作る農業【後編】

藤田久雄氏

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2010年に山梨県北杜市に移住し、新規就農した藤田さん。現在は須玉町津金地区で自然栽培による米作りをしています。八ヶ岳南麓の美しい自然の中で、地域の人々との交流も深めながら「みずがきベジタブル」の一員として農業に向き合う藤田さんに、米作りや地域の農業に対する想いなどを伺いました。

八ヶ岳南麓の豊かな自然の中で農業ができる喜び

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藤田さんの水田がある北杜市須玉町津金地区は、緑豊かな山々や清らかな川が美しい風景を描く自然豊かな地域です。
「津金地区は、古くからりんごの産地ですが、お米や野菜の栽培にとっても好適地だと思います。火山灰土系の土質なので、粘土質の土と比べて植物の根が張りやすく水はけが良い特徴があります。また北杜市は晴天率が高くて日照時間が長く、昼夜の寒暖差が大きいので、農産物の栽培に適しています。美しく豊かな自然の中で農業ができることに私は日々喜びを感じています」。

農薬や肥料に頼らず、植物が持っている力と、土壌の力を使う「自然栽培」が藤田さんの農業のベース

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「私が行っている自然栽培は農薬や肥料を使わない栽培方式ですので、正直なところ、農薬や肥料を使用する慣行栽培に比べると収穫量はかなり落ちてしまいます。そういう中で農業をして糧を得ていくのは課題でもあります。しかし、それでも続けているのは、環境への負担が少ない『自然栽培』という方式が私の求める農業の在り方だと感じているからです。私は2010年に山梨に来て、2年ほど研修した後に就農しました。みずがきベジタブルの仲間との出会いにも恵まれ、一歩ずつ経験を積み重ねながら技術を身につけ、今日に至っています」。

この地域の田んぼを守っていきたい

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就農後しばらくは野菜を作っていましたが、現在はお米がメインになっているという藤田さん。その理由を尋ねると「お米が好きなんですよ」と笑う藤田さんですが、実はもうひとつの理由がありました。
「津金地区に長く住み続けることで、地元の方々との交流も増え、高齢の農家から『体がしんどくなってきたから、うちの田んぼで作ってくれませんか』というお話をいただくようになりました。農家も高齢化が進む中、私が田んぼを維持することで地域貢献や地域の活性化に繋がるかもしれないと思い、田んぼを引き継ぎました。現在は、お借りしている分も含め、全部で8反歩(80a)の田んぼでお米を作っています」。

自然栽培で行う米作りの工夫と課題

「苗は、前年に収穫した籾(もみ)を催芽(さいが)した上で、育苗箱に撒いて作っています。その土地で採れた籾を翌年もその土地で生育させていくことで、徐々にその土地の気候に適した生育をしていくようになります。土地の力を借りて行う自然栽培にとってこれはとても大切な事です。水の管理は慣行栽培と変わりませんが、田植えの際は、株間を多少広めに取るように工夫しています。肥料に頼らない自然栽培では、密集して植えると養分の取り合いになってしまうためです。しかし、自然栽培では、収穫量が慣行栽培の6割程度になってしまうので、この点についてはまだ研究の余地があると考えています。農薬を使わない自然栽培ですが、これまでいもち病などの病気が広がったことはありません。しかし、農薬を使わない分こまめな除草作業が必要で、やはり大変ですね」。

ハイブリッド米「プリンセスサリー」に挑戦!

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「この地域はコシヒカリの適地ですので、私も最初はコシヒカリから始めました。しかしここ数年、ジャポニカ米とインディカ米のハイブリッド米『プリンセスサリー』をメインで作っています。このお米は国が開発した品種で、粘り気が少なくサラリとしていながらも、噛むともっちりとした食感があり、とても良い香りが特徴のお米です。私は若い頃、海外で生活していた時期があり、その時食べたインディカ米への懐かしい思いや、妻が営んでいる食堂でエスニック系の料理を中心に提供していることがプリンセスサリーに挑戦した理由です。今ではカレー屋さんなど地域の飲食店さんにも使っていただくようになりました。自分で考え、自分のペースで取り組んで、それに対して成果が出てきている事に、大きなやりがいを感じています」。

「土地の恵み」を実感しながら続けてきた「自然栽培」という農業の形。「みずがきベジタブル」の小黒さんと藤田さん、そして仲間たちのおいしい未来への挑戦は地域の可能性を広げています。

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