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ページID:125562更新日:2026年4月28日

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防災コラム温故知災

◆天災は忘れた頃に来る 山梨の今は「忘れた頃?」

 明治時代の物理学者であり随筆家の寺田寅彦は「天災は忘れた頃に来る」と、防災分野ではかなり有名な警句を残している(寺田の著作物にはこの語句そのものはないそうだ)。平穏な時が続き、災禍の記憶が薄れるほど時間が経っても、災害は繰り返しやってくる。だから油断してはいけない、と戒めている。

 

 さて、山梨県民の天災への意識はどうか。「今回の台風も、たいしたことは無かった」「室内がめちゃくちゃになるような大きな揺れは記憶にない」と言った声が聞かれる。たしかに、2014(平成26)年2月に記録的豪雪はあったが、台風、大雨、地震などで多くの命が失われたという大災害は、最近経験していない。

 

 山梨での災禍の記憶は「忘れた頃」に入っているのだろうか。具体的な手がかりとして、山梨日日新聞に毎年年末に掲載される山梨10大ニュースを振り返ってみる。天災関係の記事がどれくらい掲載されているかは、山梨で大きな災害があったかどうかの目安になる。50年ほど振り返った。

 

 最近は記録的高温の記事が目立つが、2014年に記録的豪雪がトップ級で扱われている。台風、大雨、地震では、全国的には甚大な災害となった2019(令和元)年の東日本台風、2011(平成23)年の東日本大震災などが10大ニュースの中に入っているが、そう大きな扱いではなく、人的被害もゼロではないが限定的だ。

 

 

大雪記事

↑山梨県内で観測史上最多となる積雪を記録したことを報じる2014年2月16日付の山梨日日新聞紙面

 

 県レベルの災害対策本部の設置に注目すると、最近では2014年の記録的豪雪、2019年の東日本台風での設置がある。東日本台風の時は、県内に初めて大雨特別警報が出されるなど甚大な被害が心配され、災害に備えることをにらんでの初めての予防的な設置だった。幸いにも、河川の大規模な氾濫も際どいところで防がれるなど、県内は大きな災害にならずに済んだ。台風、大雨、地震での甚大な被害は1982(昭和57)年の台風災害まで遡る。

 

災対本部

↑県内に初めて大雨特別警報が出されるなど甚大な被害が心配された台風19号が接近した際に設置された山梨県災害対策本部(2019年10月12日)

 

 地震はどうか。県内で震度6(烈震)を観測した地震は、1924(大正13)年1月の丹沢地震を最後に102年間ない。今生きている人で、震度6を経験した人は、ほぼいないと言って差し支えない。台風、大雨、地震による災禍の記憶は、どうも「忘れた頃」状態に入っていてもおかしくないと言えそうだ

 

 山梨は、大災害が起きる確率が小さいかもしれない。だがゼロではない。自分の身を主語に考えるならば、災害は、遭うか遭わないかの2つに1つ。たまたま空白の期間にあるからといって、その空白がこの先も続く保証はない。忘れた頃にある山梨でも、「その日」は明日かもしれない。

 

 県外に目を向けると、強い台風や経験のない大雨、大きな地震で、毎年のようにどこかで大きな災害が起きている。地域によっては「天災は忘れる前に来る」ほどの時代になっている。山梨では、空白期間が多少長くなっているに過ぎない。「油断は大敵」。昔から伝わる警句をかみしめたい。

(気象予報士・保坂悟=甲府市在住)

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山梨県防災局防災危機管理課 
住所:〒400-8501 甲府市丸の内1-6-1
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