トップ > AMラジオが“地殻変動” 生き残った「気象通報」
ページID:125204更新日:2026年3月31日
ここから本文です。

災害時に最も頼りにされる物のひとつにラジオがある。停電になることが多いなか、乾電池で長時間使用できるラジオは、災害情報を得る手段として、ネットが発達した現在においても代えがたい存在感を発揮している。
そのラジオにこの春、大きな動きがあった。AMラジオの周波数再編である。3月1日にAM765でお馴染みだったYBS(山梨放送)ラジオが、AM波を休止してFM90.9に一本化された。続いて30日にはラジオ第1放送とラジオ第2放送の2波で放送されていたNHKのAMラジオが新NHKAMラジオとして1波に集約された(周波数は従来のラジオ第1放送と同じ)。災害時に頼られるラジオだが、再編されても災害発生時には、これまでと同様に災害の規模や状況に応じ、必要な情報はしっかり放送していく方針に変わりはないというので、一安心だ。

↑災害時に頼りになるのがラジオ。今春、AMラジオの周波数再編が行われ、YBSラジオはAM波が休止となり、FM90.9に一本化。2波で放送されていたNHKは、新NHKAMとして1波に集約された
もっとも、NHKのラジオ再編では、気象予報士など気象に関心のある人たちは、大きな不安を持ってこの動きを見ていた。NHKラジオ第2放送で毎日16時から放送されてきた「気象通報」が、今回の再編に伴い終了するかもしれないという心配が浮上したからだ。NHKラジオの「気象通報」は、1928(昭和3)年11月5日に放送が始まり、31(昭和6)年4月6日に開局したラジオ第2放送に移行、その後長らく1日3回(9時台、16時台、22時台)放送されていた。2014(平成26)年3月30日に9時台と22時台が廃止されたが、その後も16時台での放送が続いていた。気象庁の気象観測データや情報を、ラジオ放送を通じて提供するもので、船舶の安全な航行や登山者の天気分析、天気図の勉強などの貴重な情報源として利用されてきた。今回の再編に伴い、株式市況など終了となった番組もあったが、「気象通報」は結局、新NHKAMラジオに引き継がれ、月曜から金曜は15時45分から、土曜、日曜は17時5分から放送されることになった(NHKによると、大相撲中継などで放送時間が変わることや、緊急ニュースなどで休止になる場合がある)。
「気象通報」は、各地の気象データ(風向、風速、天気、気圧、気温)や船舶からの気象情報、高気圧や低気圧の位置、前線の場所などが20分の時間内で淡々と読まれる。それを聞きながら、自分の手でラジオ用地上天気図用紙に書き入れて天気図を作成する。最新の天気状況や今後の天気を自分なりに把握することができる。災害時に直接役立つものではないが、例えば、天気の仕組みや理屈を日頃から手軽に触れられる「教材」としては役に立つ。かつては、教育現場で天気図を書く授業もあったが、今はその機会も少なくなっているようだ。しかし、天気図に親しむことは、最近の気候変動や多発する激しい気象現象などを理解し、備えることにも通じる。いわば「普段着の防災」の一助になると言える。
ラジオの気象通報で「My天気図」を作成しなくても、今は新聞の気象欄に天気図が掲載され、ネットにアップされる最新の天気図をいつでも見られる時代なので、天気図に触れる機会はいっぱいある。天気図に親しみ、天気変化の背景を知り、天気への関心を高めて、台風や大雨、大雪、突風、雷、雹(ひょう)など気象災害の「いざ!」に備える知識を深めてほしい。

↑山梨日日新聞に掲載されている気象コーナー。県内外の天気予報のほか、天気図も掲載されている(2026年3月1日付)
この春のAMラジオの再編の話から、最後は天気図に親しみ、災害に備える「普段着の防災」の一助に、と話は飛んでしまったが、緊急時と平時に関する話ということでお許し願いたい。ちなみに、「気象通報」のデータを書き込むラジオ用地上天気図用紙は、ネットなどから入手することができる。
(気象予報士・保坂悟=甲府市在住)