ページID:70660更新日:2017年5月17日

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遺跡トピックスNo.0432身洗沢遺跡~弥生時代後期の木製品(クワ)~

 

笛吹市の遺跡

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  • 0371太鼓畑遺跡-調査概要-
  • 0382六ッ長遺跡-調査概要-

身洗沢遺跡は笛吹市八代町に所在しており、浅川扇状地の末端に位置しています。この周辺は地下水位が高く、現在でも湧水が複数確認されています。当センターでは平成元年、26・27年に、この遺跡の発掘調査を行っていますが、その際にも水が多く湧いてきて、調査が非常にたいへんでした。しかし、水は調査を困難にしますが、文化財にとって悪いことばかりではありません。今回は平成27年の調査で出土した弥生時代後期(今から約1,800年前)の木製品に焦点をあてたいと思います。

 

所在地:笛吹市八代町南2750他

時代:縄文・弥生・古墳・奈良・平安

 

 

0081身洗沢遺跡-田んぼと木製品-2007年1月31日~2007年2月7日

 

0230身洗沢遺跡-プラント・オパール-2010年3月24日~2010年3月31日

0339身洗沢遺跡-農具の今と昔-2012年5月23日~2012年5月29日

0417身洗沢遺跡2015年5月27日~2015年6月9日

0427身洗沢遺跡-弥生時代後期の集落跡-2015年10月14日~2015年10月27日

木製品が出土する環境

調査地点は、微高地状の地形にあたり、南北方向に広がる谷で東西をはさまれています。谷は現在では埋まっていますが、地下水の通り道になっており、雨が降ると付近から大量の水が集まってきます。このため、土は常に湿り気を帯びています。この湿り気が木製品にとって大切な存在です。

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写真1(左):晴れの日の調査区(奥が中央道(右が東京方面))

写真2(右):雨の日の調査区(奥が中央道(右が東京方面))

 

 

木製品はすなわち「木」ですので、そのまま放置すると、やがて腐ってしまい、微生物によって分解され、土にもどります。ところが地下水の豊富な土に埋まっていることによって、水によってパックされ、保存されることになるのです。ちょうど、冷蔵庫にいれてあるような状態を考えて下さい。もちろん完全な形で、とはいきませんが、このように残された弥生時代の木製品が多数出土しました。

出土した木製品

出土した木製品の中にクワがあります。調査では2点のクワが見つかりました。1点目は平鍬(ひらぐわ)と呼ばれる刃部がまっすぐになっているタイプです。周縁部は失われていますが、中央部は比較的よくのこっており、左上には柄を入れる穴があります。また、下が黒いのは、焼けて炭になっているからです。もしかしたら、壊れて使えなくなったため、燃やして捨てたのかもしれません。

 

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写真3:出土した平鍬

 

 

2点目の鍬は四又鍬(よつまたぐわ)と呼ばれる刃部がフォークのようにわかれているタイプです。刃部は失われていますが、柄を入れる穴がしっかりと確認出来ます。実はこのクワは、平成元年の身洗沢遺跡の調査で出土したクワと良く似ています。今回出土したものの方が若干大きいですが、ほぼ同じ大きさ、形をしています。

出土した場所は、平成元年に調査した身洗沢遺跡から約400m離れていますが、同じ人間が作ったのでしょうか。あるいは柄を含めて、ある程度の規格が決まっていたのでしょうか。

 

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写真4:左(平成元年調査で出土した鍬)、右(平成27年調査で出土した鍬)

 

 

木製品からみえる弥生時代

弥生時代後期には、すでに鉄が存在していましたが、貴重なものであるため、農具をはじめとした生活用具には木製品が多く使われていたと考えられています。しかし、前述のとおり、木製品は地下水位が高い遺跡でないと残らないため、木製農具が出土した遺跡は、県内では貴重です。今回出土した木製品は非常に貴重な事例と言えます。

クワは水田を耕すのに使われていました。今回の調査では、水田は確認出来ませんでしたが、平成元年の調査では水田跡が見つかっており、今回出土したクワも近くの水田で使われていたと考えられます。

タイプの異なったクワが同じ遺跡から見つかったことから、状況に応じて様々な道具を使い分けていたと考えられ、当時の人々の生活がうかがえます。

 

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