ページID:62665更新日:2015年9月30日
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「私たちの彩(えが)くふるさと」を基本として、やまなしの山々を背景にした農村風景を始め、田植え、果樹の手入れ等の農作業、そこにいる人たちの生活、農地の保全、お祭りや伝統行事などの農村文化の魅力を伝える農村風景の写真を募集したところ、総計610点の作品をご応募いただくことができました。厚くお礼を申し上げます。
厳正な審査の結果、入賞作品17点を決定したので発表します。
なお、敬称は省略させていただきます。
賞 |
受賞者名 |
住所 |
作品名 |
山梨県知事賞 | 星野 郁男 | 上野原市 | 梅の里 |
審査委員長賞 | 木谷 昌経 | 中央市 | 雨のち鶸色(ひわいろ) |
農政部長賞 | 内藤 均 | 南アルプス市 | 深雪の田畑 |
富士山賞 | 渡邊 希美子 | 富士吉田市 | 夕映え |
季節賞(春) | 河西 茂彦 | 南アルプス市 | 春爛漫 |
季節賞(夏) | 井沢 雄治 | 埼玉県寄居町 | おはよう |
季節賞(秋) | 小澤 己江子 | 甲斐市 | 刈り入れどき |
季節賞(冬) | 清水 弘海 | 甲府市 | 祭りの道祖神 |
入選 | 小尾 明 | 甲府市 | 高原野菜畑の朝 |
入選 | 滝井 千恵子 | 静岡県静岡市 | 二人の田んぼ |
入選 | 秦 伸一郎 | 上野原市 | 棚田を守る |
入選 | 福岡 眞司 | 東京都西東京市 | はさ掛けを見守る人形 |
入選 | 志村 茂雄 | 笛吹市 | 中野の棚田 |
入選 | 土肥 健徳 | 甲府市 | 競争 |
入選 | 萩原 元 | 甲州市 | 輝く果実 |
入選 | 三浦 正明 | 富士吉田市 | 豊作の予感 |
入選 | 佐野 ふたみ | 甲府市 | 放牧 |
第8回の応募作品総数は610点。ここ2~3年急激に増加してきて、それにつれて作品の質も大幅に向上した。今回は更に作品数の増加と同等に質の向上も著しいものがあり、入選総数17点では到底足りなくなるのではないか、と危惧するほどにその質は高い。これは喜ぶべきことだが、コンテスト当局としては予算の増加がともない頭の痛いところである。いずれにしても、このコンテストが山梨県内の人たちだけでなく、県外の多くのカメラマンたちの興味を惹き、応募も増加していることは喜ぶべきことと言える。
現在は「農村風景」と銘打ったコンテストであるが、もともと山梨県は風光にすぐれ、観光名所も多く、殊に世界遺産「富士山」を第一に無数のモチーフがある。選者としては山梨県こそ「観光立県」として大きく羽ばたく必要がある、と強く思うのである。
[評]山間の傾斜面にひろがる広大な梅林の描写である。こうした場合、そのスケール感はなかなか表現しにくいものであるが、それをみごとに克服して、広大な梅林の描写に成功している。画面に少し茶がかかっているのは朝または夕景のためと思うが、それに空の青さがマッチして朝夕どちらともかかわりない色調に仕上がっている。カッキリとした構図、色彩が情景描写を的確に表現している。
[評]朝か夕か、時間帯は不明であるが、雨天から雲が上がり、太陽の光が手前の森や建物を照らし出した瞬間のカット。シャッターチャンスも良かった上に、的確な露光値が、そのときの情景をみごとに再現した。欲をいえばもっと空を大きく入れ、手前の光の光った部分と空の暗さのマッチが実にすばらしい。
[評]常にコンスタンスに上位入選を果たす実力作家。今回も新雪直後の田園と富士山の組み合わせでの入選である。新雪のデリケートな田園を手前に、遠く前山越しに逆光の富士山が折も湧き昇る朝雲に映えている。美しい富士山の、更に美しい瞬間を押さえたチャンスは流石といえる。殊に露光値の的確さが光る。
[評]内藤均氏同様、デジタルでなくフィルムによる本格的な作品であり、その良さを余すところなく表現している。露出値に差のある富士山と手前のワラ束のみでなく、暗部からハイライトの富士山まで過不足なく露出が与えられている。地味ではあるが、なかなか表現しにくいモチーフをみごとに表現したテクニックはみごとといえ、良い技術力の持ち主といえる。
[評]谷あいにちりばめられたモモとウメの花々の組み合わせが絢爛とした美を競っている。光の当った部分と影の部分が適当に混じり合って、それぞれの美を競っている状態はみごとに評するほかはない。こうした作品はサイズを大きくすればするほど、その真像を発揮するものだ。ことにフィルムでの撮影はその効果に於いて、デジタルの到底及ばない深さがある。
[評]畑地に立つ人形をモチーフにして、理実感とユーモアを交差させた愉快な作品。前後の大きい富士山に対抗して一歩もひかない人形のユーモラスな格好が思わず笑いを誘いかけ、理実感も感じさせる非凡さがある。いかにも夏にふさわしい作品といえる。
[評]手前の青草がちょっとそぐわないが、刈り入れする人物の格好と、ちょっと傾いた篭とのバランスがよく、さらに上空の雲がうまくマッチしている。実をいうとこの作品は選者がそのままでは入選させにくく、惜しい作品であるので、ちょっと手を入れ、左右を切ってまとめた。はるかにスマートでリズム感が生まれたと思う。
[評]道祖神の石の色と対照的に色鮮やかな飾りもの、その対照が、あまりにあざやかで、ちょっと非現実な点がよい。人物も写り込んでいるが、目立たないところがいかにも無機物だけといった感じで、その対照の非現実的な点を取り上げた。写真のモチーフはこうしてみると、どこにでも転がっているといえ、カメラマンとしては油断禁物ということになる。