ページID:51595更新日:2023年2月16日
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「心のふるさと山梨」を基本テーマとして、心の片隅にある在りし日の農村風景や、良き思いを次世代につなげ農業農村が育む魅力あふれる県土の写真を募集したところ、総計643点の作品をご応募いただくことができました。厚くお礼申し上げます。
厳正な審査の結果、入賞作品18点を決定したので発表します。
なお敬称は略させていただきます。
賞 | 受賞者名 | 住所 | 作品名 |
---|---|---|---|
山梨県知事賞 | 井沢雄治 | 埼玉県寄居町 | 野焼き |
審査委員長賞 | 内藤均 | 南アルプス市 | 春を待つ棚田 |
農政部長賞 | 小尾明 | 甲府市 | 待ちわびた春 |
季節賞(春) | 沢登今朝雄 | 南アルプス市 | 農家のひととき |
季節賞(夏) | 大柴力 | 韮崎市 | 幸せ |
季節賞(秋) | 村松貞夫 | 市川三郷町 | 柿農家 |
季節賞(冬) | 岩谷秀雄 | 甲府市 | 村を見つめる六地蔵さん |
入選 | 輿石英明 | 韮崎市 | 田園に架かる橋 |
入選 | 菊池和夫 | 上野原市 | 課外授業 |
入選 | 星野郁男 | 上野原市 | 帰り道 |
入選 | 小澤己江子 | 甲斐市 | 冬日の祭り |
入選 | 雨宮ますみ | 甲州市 | 晩秋の枯露柿づくり |
入選 | 坂井信一 | 東京都渋谷区 | りっぱな実になってね |
入選 | 渡邊希美子 | 富士吉田市 | 夕映えのそばの花 |
入選 | 川村春美 | 神奈川県小田原市 | キャベツ.畑の朝 |
入選 | 河西茂彦 | 南アルプス市 | 山間の里 |
入選 | 渡辺勝 | 忍野村 | 秋の光 |
入選 | 小髙武夫 | 甲府市 | 夏のあぜ道 |
第6回に迎えたやまなし農村風景写真コンクールの応募作品数は何と総数643点の数の増加を見た。それだけ山梨の人が自分の郷土に関心を持つようになったことを喜びたい。
応募された作品個々のテーマは、実に多彩でバラエティに富んだものだった。だが、まだそれぞれのテーマにばらつきがあり、そのことが、必要なテーマ作品が抜けたり、不必要なテーマ写真も混ざっている。
しかし、写真技術は、著しい上昇上達を見せ、以前、若干は見られたアウトフォーカスいわゆるピンボケは皆無といってよいほど無くなり、色彩再現もみごとだ。
ただ、もうひとこと云いたいのは、それぞれのテーマにバラエティが減少しコンクールが要募するテーマ
1.農作業に携わる人々の温かさや憩いの場、イベント
2.農作業や生活の様子(四季の様子も可)
3.地域農業の様子
4.農業・農村・土地改良施設が県土保全に全体に果たしている役割
この4つのうち、今回は2.が最も良く、1.は少し落ち、3.と4.があまり応募がなかったように見える。イベントは最も少なく、4.もそれと同様であった。もう少し良くコンクールの要項を考えて応募していただきたい。
また、人間を撮る場合は、自然な表情・動作・雰囲気が最も重要であり、やらせはどうしても不自然となるので控えて欲しい。子供をテーマとする場合は殊に注意して欲しい。
選者の考えるに、山梨の郷土は実にバラエティに富んでいて、もっともっと良い写真、美しい自然や畑地、それに平地だけでなく、山間にもテーマを求めることが必要と考える。
来季もさらに充実した作品に出会えることを期待して総評とする。
[評]朝の農村は、忍野の畑に早朝から働く人の姿、野焼きの煙、遠く望む富士山、この三つが渾然とひとつになった詩情豊かな作品。まだ太陽の光の届かない畑地、その柔らかい光の中にきらめくのは野焼きの炎のみ、そこからたち昇る煙が上空で混ざり合い、その下の空間にやや朝焼けの色づきは薄れたが、富士山がしっかりと収まっている。
これは正しく、山梨の郷土であり、ふるさとの情景といえる。人物の位置、動きの形も自然であり、三筋の煙の位置、形状もリズムがあって、作者の非凡な手腕を語っている。
[評]春と山の端にのぞく太陽の光を春と見立てての構成。手前の棚田の広い雪面も踏み荒らされていず、そこから住民の住む住宅を経て遠く富士を望む構図は、やはり山国・山梨以外の何ものでもない。全体の調子はこの条件ではつぶれるのが普通であるが、それも適正露光によって画面のバランスを保っている。その露光値設定はみごとである。冬に耐え、遠い春を待ちわびる住民の気持ちが伝わるみごとな画面である。
[評]遙かに見える甲斐駒や鳳凰山塊には昨夜新雪で化粧されたが、里は春、菜の花は咲き、ついこの間まで凍み固まっていた畑の土も柔らかくほどけ、今日は農作業の一日。長い冬に縮こまっていた作まだ固いが、クワのひと振りひと振りにそれもほぐれていく。そんな、雰囲気がこの画面から見る人に伝わってくる。雲一片もなく晴れ上がった空に光を放って輝く峰々、働く喜びの気持ちが、この画面から見る人に伝わってくる好作。
[評]農家のひとときには、汗水流して働く時間、それが大部分である。こうして桃畑の下にゴザや敷物を敷いて昼食したり、お茶を飲む時間はおのずと限られる。だからこそ何より貴重な時間ともいえるのだ。そんな気持ちや雰囲気が見る人におのずと伝わる愉しい写真である。画面内の人物が子供まで、カメラを意識していないところが何よりもいい。春うらら、作は健康、働く喜び、生き、働き、愉しむ、その人間の営みを如実に表している写真だ。
[評]辺り一面、満開のヒマワリ畑の中での結婚式、人生中最も幸せを感じている中央のふたりに向かってカメラの砲列が敷かれている。若いふたりにとっては、まさに人生最高の晴れの舞台であり、新しい門出へのスタートを花畑の中で大勢の人に見守られて行う幸せを噛みしめているだろう。その喜びと周囲の祝福の気持ちが巧まずして画面から感じられる。カメラアングルを考えるに脚立か何かの上から狙っていると思われるが、それがもう少し高く、そしてヒマワリの畑がもっと大きくいれこまれていれば、さらにすばらしい作品となっただろう。
[評]山梨県は、柿の産地であり、それも日本一の生産量を誇る。その郷土の誇りを象徴するかのように皮をむいた柿~枯露柿用~を家の周囲、一階の庇下から二階の庇までびっしりと吊している。まさに柿の色から見てもこの上ない彩りで、それこそ百千の形容を超えた千万のみごとさである。惜しむらくはてっぺんの三角屋根までは手が届かなかった。いずれにしても実にみごとで、山梨の誇りを如実に示したといえるだろう。
[評]題からうかがうと、村落は六地蔵背後にあるのでなく、画面外の地蔵の前面にあると思われる。撮影者としては正直に地蔵たちの見つめる方からの題名付けである。惜しむらくはこの場合、六地蔵の背後から村に向かって撮影をして欲しかった。地蔵たちの顔は見えなくとも雰囲気はよく表現できたと思う。ただ、周囲の情景描写はみごとで、後方のガス中にうっすら霞んで見える段々畑や後ろの小山、それに地蔵の頭や供花に積もった雲がそのときの雰囲気を余すところなく伝えている。