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(6月1日 山梨大学医学部附属病院 鈴木医師)
5月第4週(2023年第21週:5月22日~28日)の状況です。
〇リスクアセスメント
【新型コロナウイルス感染症】
県内の定点医療機関から報告された患者数は237人(1定点医療機関あたり5.78人)でした。第2週は173人、第3週は233人の報告がありました。先週と比べて急激な感染拡大は見られず、感染は一定程度に抑えられているようです。一方、医療機関や高齢者施設におけるクラスター事例の報告が相次いでおり、県内の医療機関に入院している患者数も増加傾向にあります。
【インフルエンザ】
県内の定点医療機関あたりの報告者数は0.44人でした(定点医療機関あたりの報告者数1人以上が流行の目安とされています)。しかし甲府市では定点医療機関あたりの報告者数が1.33人であり、これは先週の0.44人と比べて増加しています。甲府市内ではインフルエンザにより学級閉鎖、学年閉鎖となった小中学校も報告されています。
【感染性胃腸炎】
引き続き、感染者が増加傾向にあります。特に甲府市、中北地域で感染者が多いようです。これから梅雨の時期に差しかかるため、感染者の増加に注意が必要です。
【その他】
東京都では第20週(5月15日~5月21日)に、国内での感染が推定される麻疹(はしか)の患者がさらに2名報告されています。麻疹の感染力は極めて高く、引き続き県内での発生に注意が必要な状況です。
〇対応
新型コロナウイルス感染症の入院患者が増加傾向にあり、一部地域ではインフルエンザの流行も見られます。引き続き、咳エチケットや手洗いなどを心がけるとともに、咳やのどの痛み、発熱やだるさなどの症状がある場合は、できるかぎり出勤や登校を見合わせるようにしてください。また、高齢者や免疫力が低下している人は、これらの感染症が重症化するおそれがあります。このような人たちに感染が広がらないように、医療機関や高齢者施設などに行く場合にはマスクの着用をお願いします。
感染性胃腸炎の予防には、セッケンによる手洗いを心がけるとともに、食べ物や飲み物の保存状態に十分注意するようにしてください。
麻疹はワクチン接種で予防できる病気です。感染を予防するためには、1歳以降で2回以上のワクチン接種が必要ですが、定期接種として2回のワクチンを接種している人は、2000年(平成12年)年4月2日以降に生まれた人だけです。それ以前に生まれた方は、「自治体から通知があったワクチンはすべて打った」という状況でも、接種回数が2回未満のことがあります。ご自身のワクチン接種回数を母子健康手帳などで確認するようにしてください。
◆今週の発生状況一覧(インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症含む)
新型コロナウイルス感染症は5月8日から感染症法上の位置づけが5類に変更されました。
●新規患者数
5月8日以降は定点把握による週一回の公表となります(原則毎週木曜日)
県内41箇所の定点医療機関から報告された患者数を集計しました。1医療機関あたりの患者報告数は次のとおりです。
2023年5月22日(月)~2023年5月28日(日)までの1週間
山梨県 |
中北 |
峡東 |
峡南 |
富士 東部 |
甲府 |
|
1医療機関あたりの患者報告数(人) |
5.78 |
7.54 |
5.43 |
2.67 |
4.33 |
6.00 |
新規患者数(人) (前週) |
237 |
98 |
38 |
8 |
39 |
54 |
●入院者数
医療機関がG-MISに入力した人数(水曜日0時時点)
5月31日(水)0時時点 |
48人 [うち重症者0人] |
新型コロナウイルス感染症に関する詳細情報は以下のページをご覧ください。
【令和5年6月1日(木)更新】
警報 |
なし |
注意報 |
なし |
感染性胃腸炎の報告数は、やや増加傾向で推移しており、中北保健所、甲府市保健所管内では、やや多い報告数となっています。感染予防のため、こまめな手洗いや食品の十分な加熱調理を心がけましょう。
COVID-19の報告数については、先週(第20週)と比べほぼ横ばいで推移しています。
感染症を予防するため、マスクの着用、手洗い、咳エチケット(咳やくしゃみをする際に、マスクやティッシュ、ハンカチ、袖・肘の内側などを使って、口や鼻をおさえる)の徹底をお願いします。また、タオルの共用や人混み、患者との濃厚接触を避けましょう。
(毎週木曜日夕方更新予定)