ホーム > 山梨県CDCからのお知らせ > 下水サーベイランス

ここから本文です。

下水サーベイランス

 下水サーベイランスとは

  • 新型コロナウイルス感染者は症状の有無にかかわらず、糞便や唾液中にウイルスRNAを排出することが知られております
  • 下水中のウイルスを検査・監視する下水サーベイランス(下水疫学調査)は、受診行動や検査数等の影響を受けることなく、無症状感染者を含めた感染状況を反映する客観的指標としての活用が期待されています
  • 新型コロナウイルスは、令和5年5月8日に感染症法上の位置づけが5類感染症に変更されました。それに伴い発生動向の把握は全数把握から定点把握に変更されたことから、一層の発生動向の把握に努めるため、定点把握に加えた重層的サーベイランス体制の構築が必要とされています。
  • そこで、本県では感染状況のトレンドを把握し、感染対策に活用するため、調査・検証を進め下水サーベイランスの構築を図って参ります(令和5年7月から下水サーベイランス体制構築事業開始)。

 

 調査結果

 令和5年5月8日以降の変化(5類感染症移行後の状況)

 230921-1

[第27週以前のデータは山梨大学大学院総合研究部附属国際流域環境研究センター 原本英司教授提供]

 新型コロナウイルス

 9月19日採水

 前週比

 下水中のウイルスRNA濃度*1  526,000コピー/L 0.45倍
 下水からの検出率*2  100%(5検体/5検体)  ±0

 

今週のコメント

ウイルス濃度は先週よりも低下しています。市中での感染者数は減少していると推定されます

  

【参考】

流域毎の推移は こちら(JPG:811KB)

 

 [参考]5類移行以前からの状況変化

 5類移行前からの変化 

 230921-2

 グラフは こちら(JPG:1,211KB) 

[2023第27週以前のデータは山梨大学大学院総合研究部附属国際流域環境研究センター 原本英司教授提供]

 

 [調査概要]

【調査内容】週1回、流入下水中の新型コロナウイルスのRNA濃度を測定

【対象採水箇所】県内5ヶ所の下水処理場の流入下水

*1 下水中のウイルスRNA濃度
定量PCR法によって検出された下水1リットルに含まれるウイルスの遺伝子数(コピー)であり、この値が大きいほど下水の処理区域内に感染者が多く存在していると推定されます。この調査では、1週間に測定した計5検体の幾何平均値(相乗平均値)を示しています。

*2 下水からの検出率
1週間に分析した下水検体数のうち、ウイルス遺伝子が検出された(検出限界約1000コピー/L)検体数の割合であり、この値が大きいほど感染の面的な広がりが進行していると推定されます。
なお、「不検出」とは、ウイルスが全く存在しないということではなく、検出限界(ウイルスの有無を判定できる最小値)未満であったことを示しています。

*定点医療機関の患者報告数
県内41医療機関から報告された1週間の患者数のことです。

 

[留意事項]

《感染者数について》
令和4年9月26日からの全数届出の見直し及び令和5年5月8日からの感染症法上の位置づけ変更などにより、感染者数の把握の在り方は変化しています。

《下水からの感染リスクについて》
・下水サーベイランスは下水からの感染の危険性を調べるものではなく、下水中のウイルスについて、地域の感染状況を反映する「情報源」として測定するものです。
・測定対象としているのはウイルスの遺伝物質(RNA)の一部であり、下水からの「検出」が必ずしも感染性ウイルスの存在を意味するものではありません。
・ なお、WHO(世界保健機関)は「感染者の糞便から新型コロナウイルスに感染するリスクは低い」と公表しており、下水から新型コロナウイルスに感染するリスクは低いと考えられます。

 《その他》
下水中の新型コロナウイルス遺伝子の検出には、山梨大学大学院総合研究部附属国際流域環境研究センターの原本英司教授とタカラバイオ株式会社との共同研究により開発した高感度リアルタイムPCRキット「SARS-CoV-2 Detection RT-qPCR Kit for Wastewater」を使用しています。