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定点情報(2025年第27週:6月30日~7月6日)/ その他情報(公表までに把握した情報)
(7月10日 山梨大学医学部附属病院 井上修 医師)
【要約】
・新型コロナウイルス感染症は報告数が増加しています。
・百日咳の感染が全国的に続いており、山梨県内でも感染報告数は過去最多になっています。
・伝染性紅斑の感染報告が続いており、中北エリアでも警報レベルに入りました。
〇リスクアセスメント
【新型コロナウイルス感染症】
新型コロナウイルス感染症は第27週には定点あたり3.26(114人)と第26週の約3倍に増加しています。報告の約40%は10代の青少年世代です。学校内での集団発生も複数の学校から報告されています。下水中のウイルス量の増加は僅かであり県内で広範囲に感染が拡大している状況ではないと考えますが、昨年同様に夏季にかけての増加が懸念されます。
【伝染性紅斑】
伝染性紅斑はヒトパルボウイルスB19による感染症です。
引き続き県内も感染者の報告数が多い状態にあります。定点あたりの新規患者数は2.48(52人)で第26週(定点あたり2.19,46人)と比べ増加しています。警報レベルが続いている甲府市は定点あたり3.00、富士・東部は5.00と依然として多く、さらに第27週は中北も2.00に増加し警報レベルに達しています。
【百日咳】
報告が続いており、第27週も24人の感染報告があり本年1月以降174人となっています。これまで最も多かった2018年の年間152人を既に超え過去最多となっています。全国的にも既に過去最多を超えた流行となっており、今後も当分の間は警戒が必要です。県内では報告の約45%が15歳未満で、重症化が懸念される1歳未満の乳児も3人が感染しています。
〇対応
新型コロナウイルス感染症が県内で増加している恐れがあります。現在は重症化リスクの低い世代での感染報告が目立ちますが、病気治療中の方やシニア世代では重い症状が出る恐れもあります。家庭内や部活動など集団生活の場で感染が拡大しやすいウイルスですので、発熱や咳など体調が思わしくない場合は自らすすんでマスクを着用したりお休みしたりと適切な判断を下してください。
また、体調が思わしくなくて医療機関を受診される場合は、まずは電話で相談し指示をもらったうえで、マスクを着用して受診するようにしましょう。
伝染性紅斑は妊婦さんが感染すると胎児への感染は40%、重い合併症である胎児水腫の合併は2-10%とされています。基本的な感染対策(手洗い)の励行が最も有効な予防法です。ワクチンはありません。妊婦さんは、かぜ症状のある方との接触をできるだけ避けることが大切です。
百日咳は引き続き多い報告数で推移しています。妊娠27-36週の妊婦さんは、百日咳を含む三種混合ワクチンを接種することで新生児や乳児の感染を防ぐ方法がありますので、接種について主治医にご相談下さい。※
夏休みをひかえ、キャンプやトレッキングなどアウトドアレジャーの機会が増す季節です。マダニや蚊なども既に自然の中で活発に活動しています。特にマダニに刺されて感染する病気が近隣の静岡県でも報告されていますので、山や草地などではダニや蚊などに刺されないよう、素肌の露出をできるだけ避け、虫除け剤を使用して、安全に安心してレジャーを楽しみましょう。
※妊婦の三種混合ワクチン接種は任意接種となります。
*関連ページ
百日咳 ⇒ 山梨県感染症ポータルサイト / 厚生労働省 / 国立健康危機管理研究機構
伝染性紅斑 ⇒ 山梨県感染症ポータルサイト / 厚生労働省 / 国立健康危機管理研究機構
マダニや蚊による感染症・対策 ⇒ 山梨県感染症ポータルサイト / 厚生労働省(ダニ・蚊) / 国立健康危機管理研究機構
海外渡航者向け情報 ⇒ 厚生労働省検疫所
◆今週の感染症発生状況はこちら をご覧ください !
*保健所毎や疾患毎(インフルエンザ・コロナ・RSウイルス・感染性胃腸炎など)に今週の状況がご覧になれます。
2025年7月10日作成
インフルエンザ及び新型コロナウイルス感染症について県内35箇所(2025年14週までは41箇所)の定点医療機関から
報告された患者数及び1医療機関あたりの患者数を集計しました【赤色警報 黄色注意報】。
対象期間:2025年第27週〔2025年6月30日(月曜日)~2025年7月6日(日曜日)〕
◆下記数値は、「初回公表時点での数値」を掲載しています。また、医療機関から報告がなかった場合は定点当たり数値の算出対象から除いています。
インフルエンザ | |||||||
週 | 山梨県 | 中北 | 峡東 | 峡南 | 富士・東部 | 甲府市 | |
27週 | 報告数 | 3 | - | 3 | - | - | - |
定当 | 0.09 | - | 0.50 | - | - | - | |
26週 | 報告数 | 2 | 2 | - | - | - | - |
定当 | 0.06 | 0.17 | - | - | - | - | |
25週 | 報告数 | 8 | 4 | - | - | - | 4 |
定当 | 0.23 | 0.33 | - | - | - | 0.57 | |
24週 | 報告数 | 13 | 9 | 2 | - | 1 | 1 |
定当 | 0.37 | 0.75 | 0.33 | - | 0.14 | 0.14 | |
23週 | 報告数 | 31 | 22 | 1 | 2 | - | 6 |
定当 | 0.89 | 1.83 | 0.17 | 0.67 | - | 0.86 |
新型コロナウイルス感染症* | |||||||
週 | 山梨県 | 中北 | 峡東 | 峡南 | 富士・東部 | 甲府市 | |
27週 | 報告数 | 114 | 36 | 27 | 8 | 28 | 15 |
定当 | 3.26 | 3.00 | 4.50 | 2.67 | 4.00 | 2.14 | |
26週 | 報告数 | 42 | 20 | 12 | 2 | 4 | 4 |
定当 | 1.20 | 1.67 | 2.00 | 0.67 | 0.57 | 0.57 | |
25週 | 報告数 | 44 | 14 | 10 | 6 | 4 | 10 |
定当 | 1.26 | 1.17 | 1.67 | 2.00 | 0.57 | 1.43 | |
24週 | 報告数 | 21 | 5 | 2 | 2 | 4 | 8 |
定当 | 0.60 | 0.42 | 0.33 | 0.67 | 0.57 | 1.14 | |
23週 | 報告数 | 27 | 10 | 6 | 1 | 3 | 7 |
定当 | 0.77 | 0.83 | 1.00 | 0.33 | 0.43 | 1.00 |
※15週報告から、定点医療機関数が変更(減少)しています。推移を確認する場合は「定当」(定点あたり患者数)をご参考ください。
*本県独自基準 以下の数値を目安にYCDC医師と協議の上決定(注意報目安:定点あたり10以上、警報目安:定点あたり15以上)
◆発生動向に関する各種資料 (定点把握対象疾患・全数把握対象疾患の発生状況や病原体検出状況などがご覧になれます)
◆集団感染事例及び学級閉鎖等措置状況(PDF:30KB) ※過去の分はこちら
(施設から報告のあった事例を保健所及び施設種類ごとにご覧になれます。県保健所管内のみの情報です)
*2024年第36週以降の状況
新型コロナ措置状況(PDF:62KB)
インフルエンザ措置状況(PDF:60KB)
感染性胃腸炎措置状況(PDF:62KB)
*甲府市の状況は こちら
新型コロナウイルス感染症とは、新型コロナウイルスによって起きる感染症です。主に鼻やのど、気管、肺などの臓器(呼吸器)に感染し、インフルエンザや風邪に似た症状を引き起こします。
*新型コロナウイルス感染症の法律上の位置づけは、令和5年5月8日から「5類感染症」に移行しました。
新型コロナウイルス感染症に関する詳細情報は以下のページをご覧ください。
下水中のウイルスを検査・監視する下水サーベイランス(下水疫学調査)は、受診行動や検査数等の影響を受けることなく、無症状感染者を含めた感染状況を反映する客観的指標としての活用が期待されています。
本県では感染状況のトレンドを把握し、感染対策に活用するため、令和5年7月から下水サーベイランス事業を実施しています。
詳しい情報は こちら
★海外における感染症予防について
海外には日本で発生していない感染症がたくさんあります。
海外に渡航される方は、渡航先の状況や滞在中の計画に応じた適切な感染予防を心がけてください。
〇厚生労働省や国立感染症研究所などが公表する最新・話題のレポート
〇YCDCレポート
警報 |
伝染性紅斑(中北保健所、富士・東部保健所、甲府市保健所管内) |
注意報 |
なし |