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麻しん(はしか)に関するYCDC医師レポート!(PDF:156KB) new 2024.3.28
定点情報(2024年第12週:3月18日~3月24日)/ その他情報(公表までに把握した情報)
(3月28日 山梨県立中央病院 三河貴裕 医師)
〇リスクアセスメント
【新型コロナウイルス感染症】
この期間の新規感染者数は前週と比べて減少しています。
新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は定点医療機関あたり6.83名(報告総数280名)でした。なお、前週(第11週:3月11日~3月17日)の新規感染者数は定点医療機関あたり7.85名(報告総数322名)でした。病院に本感染者が救急来院し、入院したり肺炎を起こしていて治療が必要な方はいらっしゃいますが、減っています。山梨県内では現在と同程度の感染状況がしばらく続く可能性がありますが、現時点で医療提供体制に大きな影響はありません。
【インフルエンザ】
この期間の新規感染者数は先週と比べて増加しました。
インフルエンザの新規感染者数は定点医療機関あたり13.80名(報告総数566名)でした。前週は定点医療機関あたり12.63名(報告総数518名)でした。地域別に見ると、峡南地域以外で新規感染者が多く報告されています。報告された新規感染者の多くを20歳未満の若年層が占めており、これから春休みや進学・就職などを契機にした感染拡大に注意が必要です。
【麻しん(はしか)】
麻しんは、麻しんウイルスによって引き起こされる感染症です。発熱、咳、鼻水、目の充血(結膜炎)などの症状に続いて、皮膚の発しんが出現します。2月下旬以降、海外で感染した人(輸入例)と、その輸入例から感染したと想定される人の報告が全国で相次いでいます。ですが麻しん発症者と接触者は保健所などがしっかりと追跡調査を行っており予想外の発症はないこと、日本ではワクチン接種者が多いため大規模な流行に陥る可能性はほぼありません。
〇対応
【新型コロナウイルスおよびインフルエンザ】
新型コロナウイルス感染症は下火です。現在が底(感染者が一番少ない)かもしれません。医療機関や高齢者施設ではアウトブレイク(集団発生)の可能性はありますが、その数も減っています。一般的な感染対策を継続しましょう。インフルエンザ患者数は増加しています。B型インフルエンザが多く報告されている様です。インフルエンザはA型、B型で重症度や症状の違いはありません。例年通りの二峰性(2回の流行の山)を見ていると思いますが、しばらくすると減少していくと考えます。インフルエンザの流行、新型コロナウイルス感染症の流行が下火になれば、医療機関や高齢者施設を除き、みなが室内などでマスクをする(ユニバーサルマスキング)の有効性と必要性は自ずと低下すると思います。
【麻しん(はしか)】
報道やインターネットニュースで麻しんの情報が流れていますが、日本で大流行する恐れはまずありません。麻しんワクチンを打ちたいと連絡をいただくことがありますが、私は以下の様に説明しています。
「日本で麻しんが大流行しているわけではありませんし、その可能性はとても低いです」
「昭和53年よりまえに生まれた方は麻しんに過去罹った人が多いので、原則ワクチン接種は必要ありません」
「昭和53年以降に生まれた方はまずご自身の母子手帳で接種記録か罹患記録をご確認ください。1回接種記録がある場合には過度の心配は不要です」
「抗体価(免疫力)を測定することは自費で可能ですが、ワクチンを接種できるかはワクチンの流通状況と合わせて検討します。優先すべきは定期接種の子ども用ワクチンを確保することだと考えています」
日本でも海外でも、コロナ禍を経て子ども達の定期ワクチン接種率が低下しています。重症化しやすい5歳未満の子どもがしっかり定期接種をしているか、ご確認ください。それ以外のワクチンも忘れずに接種できる様にしましょう。
◆今週の感染症発生状況はこちら をご覧ください !
*保健所毎や疾患毎(インフルエンザ・コロナ・RSウイルス・感染性胃腸炎など)に今週の状況がご覧になれます。
●新規患者数(原則毎週木曜日公表)
県内41箇所の定点医療機関から報告された患者数を集計。1医療機関あたりの患者報告数は次のとおり。
2024年3月18日(月曜日)~2024年3月24日(日曜日)までの1週間
患者報告数(人)および新規患者数(人) |
山梨県 |
中北 |
峡東 |
峡南 |
富士 |
甲府 |
---|---|---|---|---|---|---|
1医療機関あたりの患者報告数(人) |
6.83↓ |
8.38↓ |
6.86↑ |
5.00↓ |
7.44↓ |
4.56↓ |
新規患者数(人) (前週) |
280↓ |
109↓ |
48↑ |
15↓ |
67↓ |
41↓ |
●入院者数
1)県内10箇所の基幹定点医療機関から報告された人数を集計。
2024年3月18日(月曜日)~2024年3月24日(日曜日)までの1週間
1医療機関あたりの入院者報告数 | 1.6人(前週2.2人) |
入院者数 |
16人(前週22人) |
2)医療機関がG-MISに入力した人数(3月27日水曜日0時時点)
45人↓(前週47人) [うち重症者1人(前週0人)] |
新型コロナウイルス感染症に関する詳細情報は以下のページをご覧ください。
本県では感染状況のトレンドを把握し、感染対策に活用するため、調査・検証を進め下水サーベイランスの構築を図っています。(令和5年7月から下水サーベイランス体制構築事業開始)。
令和5年5月8日以降の状況は以下のとおりです。
[第27週以前のデータは山梨大学大学院総合研究部附属国際流域環境研究センター 原本英司教授提供]
新型コロナウイルス |
採水(3月25日) |
前週比 |
---|---|---|
下水中のウイルスRNA濃度 |
507,000コピー/L |
1.54倍 |
下水からの検出率 |
100%(5検体/5検体) |
±0 |
コメント
ウイルス濃度は先週より上昇しています。市中での感染者数は下げ止まっていると推定されます。
*詳細は「下水サーベイランス」ページをご確認ください。
冬季限定で追加分析を試行的に実施しました。併せてご覧ください(インフルエンザウイルス(A型)、ノロウイルス)。
感染性胃腸炎とは、細菌やウイルスなどの病原体による感染症です。ウイルス感染(ノロウイルス、ロタウイルスなど)による胃腸炎が多く、毎年秋から冬にかけて流行します。
詳細はこちら
予防対策や注意点をまとめました。資料はこちら(PDF:1,902KB)
【令和6年3月28日(木曜日)更新】 令和6年3月24日までの措置状況
詳細は「インフルエンザ様疾患の発生に関する情報」ページをご確認ください。
2024年3月28作成
対象期間:2024年第12週〔2024年3月18日(月曜日)~2024年3月24日(日曜日)までの1週間〕
県内41箇所のインフルエンザ定点医療機関から報告された患者数を集計しました。
1医療機関あたりのインフルエンザ患者報告数は次のとおりです。
インフルエンザ流行レベルマップ第12週(PDF:130KB)
山梨県 | 中北 | 峡東 | 峡南 | 富士・東部 | 甲府市 | |
---|---|---|---|---|---|---|
12週 | 13.80 | 19.46 | 16.29 | 4.00 | 10.11 | 10.67 |
11週 | 12.63 | 16.38 | 11.86 | 1.33 | 13.56 | 10.67 |
10週 | 9.34 | 11.85 | 6.86 | 1.67 | 12.22 | 7.33 |
9週 | 7.68 | 10.54 | 4.86 | 0.67 | 10.78 | 5.00 |
8週 | 9.73 | 14.00 | 4.14 | 1.00 | 12.00 | 8.56 |
警報 |
なし |
注意報 |
インフルエンザ(中北保健所、峡東保健所、富士・東部保健所、甲府市保健所管内) |