ここから本文です。
定点情報(2025年第48週:11月24日~11月30日)/ その他情報(公表までに把握した情報)
(12月4日 山梨大学医学部附属病院 井上修 医師)
【要約】
・新型コロナウイルス感染症の流行は、小康状態です。
・インフルエンザは地域により増減がみられますが、11月24日が祝日となった影響を受けています。
・百日咳への注意が必要です。
〇リスクアセスメント
【新型コロナウイルス感染症】
第48週は定点医療機関から合計82人(定点あたり2.34)の報告がありました。現在が8月以降で最も感染者が少ない時期だろうと考えますが、下水中のウイルス量は前週の2倍程度に増加しており今後の感染拡大が懸念されます。現在感染は小児から成人まで幅広い年齢層でまんべんなく報告されており、高齢者施設や病院での集団感染が発生しています。集団感染を引き起こしやすいウイルスであることに注意が必要です。
【インフルエンザ】
定点あたりの新規患者数が32.71(1145人)と前週34.26(1199人)と同じく流行が続いています。報告数が増加していたエリアは中北(44.08)、富士・東部(40.57)、峡南(8.67)です。峡東(25.33)と甲府(22.00)では前週より数字上は減少していますが、集計期間中の11月24日が振替休日となり医療機関がお休みとなったことが影響している可能性がありますのでこれらのエリアでも引き続き注意が必要です。学級閉鎖などの学校措置は30校を超え、感染者の約60%を幼児〜十代の若年層が占めています。
【感染性胃腸炎】
定点医療機関から合計81人(定点あたり3.86)の感染報告がありました。集団発生の報告はありませんが、各エリアで増減をくり返しており、注意が必要です。
【百日咳】
5人の感染報告がありました。本年1月以降、合計421人となります。ひとときよりも報告数は減っていますが、全国的に流行が続いており、注意が必要です。
○対応
新型コロナウイルス感染症の報告数は定点あたり2〜3で推移しており、下げ止まりの状況です。昨年は12月に入ってから感染が拡大し1月に流行の山がみられました。本年も今後感染が拡大する可能性が考えられますので、健康に不安のある方はかかりつけ医など医療機関でワクチン接種についてご相談ください。
インフルエンザウイルスは多少変異しながら毎年流行をくり返しますが、本年は変異の度合いが目立つ株(サブクレードK)が世界的に流行しています。サブクレードKはいわゆる新型インフルエンザウイルスではなく、例年と同じ季節性のA型インフルエンザウイルスです。既にサブクレードKが流行した香港や台湾などでは、感染者の入院率は例年と同程度だったと報告されています。「変異株」ではありますが正しく恐れることが肝要です。インフルエンザワクチンはB型インフルエンザなど他の型のインフルエンザウイルスに対する抵抗力を増す効果も期待できますので、接種についてご検討ください。また、日々の生活の中でできる基本的な感染対策を思い出し、家族みんなで対策をしていきましょう。
これから年末にかけて、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症等の発熱性疾患の感染者が増加する可能性があります。年末年始は9連休となる医療機関もありますので、急な発熱などに備え、これまでに使用したことのある感冒薬や解熱薬、検査キットなどをご自宅に備えておくと安心です。
百日咳への注意は引き続き必要です。ワクチン接種対象の月齢(生後2か月)に達した乳児には、百日咳を含むワクチン(定期接種)接種を速やかに受けさせてあげるようにしましょう。また、新生児、乳児が罹患しないよう周囲の大人が感染対策を講じる必要があります。咳エチケットに加え、乳児への百日咳対策として妊娠27-36週の妊婦さんは三種混合ワクチン接種※を引き続きご検討いただき、希望される場合や不明な点については産科主治医へご相談ください。
※妊婦の三種混合ワクチンなど、定期接種以外のワクチン接種は任意接種となります。
*関連ページ
インフルエンザ ⇒ 山梨県感染症ポータルサイト / 厚生労働省 / 国立健康危機管理研究機構
百日咳 ⇒ 山梨県感染症ポータルサイト / 厚生労働省 / 国立健康危機管理研究機構
◆今週の感染症発生状況はこちら をご覧ください !
*保健所毎や疾患毎(インフルエンザ・コロナ・RSウイルス・感染性胃腸炎など)に今週の状況がご覧になれます。
2025年12月4日作成
インフルエンザ及び新型コロナウイルス感染症について県内35箇所(2025年14週までは41箇所)の定点医療機関から
報告された患者数及び1医療機関あたりの患者数を集計しました【赤色警報 黄色注意報】。
対象期間:2025年第48週〔2025年11月24日(月曜日)~2025年11月30日(日曜日)〕
◆下記数値は、「初回公表時点での数値」を掲載しています。また、医療機関から報告がなかった場合は定点当たり数値の算出対象から除いています。
| インフルエンザ | |||||||
| 週 | 山梨県 | 中北 | 峡東 | 峡南 | 富士・東部 | 甲府市 | |
| 48週 | 報告数 | 1,145 | 529 | 152 | 26 | 284 | 154 |
| 定当 | 32.71 | 44.08 | 25.33 | 8.67 | 40.57 | 22.00 | |
| 47週 | 報告数 | 1,199 | 516 | 261 | 19 | 213 | 190 |
| 定当 | 34.26 | 43.00 | 43.50 | 6.33 | 30.43 | 27.14 | |
| 46週 | 報告数 | 767 | 343 | 133 | 13 | 175 | 103 |
| 定当 | 21.91 | 28.58 | 22.17 | 4.33 | 25.00 | 14.71 | |
| 45週 | 報告数 | 318 | 118 | 83 | 2 | 61 | 54 |
| 定当 | 9.09 | 9.83 | 13.83 | 0.67 | 8.71 | 7.71 | |
| 44週 | 報告数 | 195 | 40 | 94 | 5 | 24 | 32 |
| 定当 | 5.57 | 3.33 | 15.67 | 1.67 | 3.43 | 4.57 | |
| 新型コロナウイルス感染症* | |||||||
| 週 | 山梨県 | 中北 | 峡東 | 峡南 | 富士・東部 | 甲府市 | |
| 48週 | 報告数 | 82 | 42 | 14 | 2 | 12 | 12 |
| 定当 | 2.34 | 3.50 | 2.33 | 0.67 | 1.71 | 1.71 | |
| 47週 | 報告数 | 89 | 37 | 21 | 6 | 15 | 10 |
| 定当 | 2.54 | 3.08 | 3.50 | 2.00 | 2.14 | 1.43 | |
| 46週 | 報告数 | 106 | 51 | 22 | 12 | 16 | 5 |
| 定当 | 3.03 | 4.25 | 3.67 | 4.00 | 2.29 | 0.71 | |
| 45週 | 報告数 | 102 | 55 | 22 | 5 | 17 | 3 |
| 定当 | 2.91 | 4.58 | 3.67 | 1.67 | 2.43 | 0.43 | |
| 44週 | 報告数 | 97 | 40 | 19 | 15 | 12 | 11 |
| 定当 | 2.77 | 3.33 | 3.17 | 5.00 | 1.71 | 1.57 | |
*本県独自基準 以下の数値を目安にYCDC医師と協議の上決定(注意報目安:定点あたり10以上、警報目安:定点あたり15以上)
◆発生動向に関する各種資料 (定点把握対象疾患・全数把握対象疾患の発生状況や病原体検出状況などがご覧になれます)
◆集団感染事例及び学級閉鎖等措置状況(PDF:38KB) ※過去の分はこちら
(施設から報告のあった事例を保健所及び施設種類ごとにご覧になれます。県保健所管内のみの情報です)
*2025年第36週以降の状況
新型コロナ措置状況(PDF:54KB)
インフルエンザ措置状況(PDF:53KB)
感染性胃腸炎措置状況(PDF:53KB)
*甲府市の状況は こちら
新型コロナウイルス感染症とは、新型コロナウイルスによって起きる感染症です。主に鼻やのど、気管、肺などの臓器(呼吸器)に感染し、インフルエンザや風邪に似た症状を引き起こします。
*新型コロナウイルス感染症の法律上の位置づけは、令和5年5月8日から「5類感染症」に移行しました。
新型コロナウイルス感染症に関する詳細情報は以下のページをご覧ください。
下水中のウイルスを検査・監視する下水サーベイランス(下水疫学調査)は、受診行動や検査数等の影響を受けることなく、無症状感染者を含めた感染状況を反映する客観的指標としての活用が期待されています。
本県では感染状況のトレンドを把握し、感染対策に活用するため、令和5年7月から下水サーベイランス事業を実施しています。
詳しい情報は こちら
〇厚生労働省や国立感染症研究所などが公表する最新・話題のレポート
〇YCDCレポート
警報 |
インフルエンザ(中北保健所、峡東保健所、富士・東部保健所管内) |
注意報 |
インフルエンザ(甲府市保健所管内) |
12月4日 |
|
12月4日 |
|
11月14日 |
|
11月10日 |
|
11月10日 |