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ページID:3710更新日:2025年10月14日
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当館が所蔵する重要文化財の一部は、常設展にて展示しています。
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安道寺遺跡は甲州市塩山中萩原安道寺に所在し、源次郎岳から恩若峯の北西麓に発達した標高約500メートルの台地上に立地します。周辺の台地上には、重郎原遺跡、殿林遺跡など、山梨県を代表する縄文時代の著名な遺跡が濃密に分布しています。
安道寺遺跡出土品のうち、深鉢形土器3点、有孔鍔付土器1点、把手残欠4点は、2015年(平成27年)に山梨県指定文化財に指定されました。2025年(令和7年)には、深鉢形土器2点と深鉢形土器把手4点が重要文化財(美術工芸品)として新たに指定されました。
対象となった安道寺遺跡出土・深鉢形土器は、中部高地に特有の「曽利式土器」に分類され、四つの把手と複雑な文様を特徴とすることから、「水煙文土器」とも呼ばれています。さらに、土坑からは別の深鉢形土器1点と、別個体の深鉢形土器の把手4点が折り重なるように出土しており、意図的に埋納された状態を示しています。
これらの土器は、優れた形状と複雑な模様により、縄文時代の造形技術の極致を示すものとされており、出土状況も含めて、縄文土器の儀礼的利用の好例として、学術的にも高く評価されています。
山梨県甲州市塩山上萩原地区。旧塩山市内の東北部、文珠川右岸の南側に開けた台地上縁辺部に位置します。付近には重郎原遺跡や北原遺跡が知られています。
1988年指定。縄文時代中期、高さ72cm、口径56cm


均整のとれた美しい文様。口縁部は連弧文を重ね、胴部の縦に走る条線と大きく弧を描く曲線の構成が絶妙です。過去、イタリアやフランス、アメリカ、マレーシアなどで海外展示されました。1962(昭和37)年、逆位に埋葬された状態で発見されました。
山梨県笛吹市境川町。御坂山地と曽根丘陵の接点付近の尾根上、標高約420m前後の地点に位置します。縄文時代中期の大規模集落の他、古墳や中世の住居跡などが確認されています。
1999年指定。「一の沢遺跡出土品一括」として、土器・土製品類69点、石器・石製品類107点。
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大小様々な土器が出土している中、遺物の中心は通称「トロフィー形」「屈折底」と呼ばれる深鉢形土器(写真上)です。その均整のとれた造形や文様の高度な技巧は、中部山岳地帯の中期中葉の代表的資料であり、特にその造形は他の追随を許しません。
人体装飾付深鉢形土器(写真下・中)には、4人の人物が土器の四方に描かれています。頭の形が異なることから、男女が並んで踊っているかのようです。
土偶(写真下・右)は、アーモンドのような目で愛くるしい表情をしています。考古博物館のキャラクター「いっちゃん」は、この土偶をモデルとしています。

山梨県北杜市長坂町長坂上条。酒呑場遺跡(さけのみばいせき)は、縄文時代の集落跡です。
平成6年度(1994年度)~平成13年度(2001年度)までに4次にわたって発掘調査され、縄文時代前期(約6000年前)の竪穴住居跡40軒、中期の竪穴住居跡190軒などが見つかりました。
縄文時代中期を中心とする遺物一括です。2013年に「酒呑場遺跡出土品一括」として、土器・土製品463点、石器・石製品220点、計683点が重要文化財に指定されました。
指定されたものは、縄文時代前期に始まり、中期に最盛期を迎える集落跡から出土した、多量の土器・土製品、石器・石製品です。特に土器は、中部~関東地方に広く分布する勝坂式土器の優品が数多く含まています。これらは縄文時代の土器造形における、ひとつの到達点を示す資料で、土偶や石器・石製品も多彩で、中部地方周辺における縄文時代の集落遺跡の実態を良く示す貴重な資料です。