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ページID:677更新日:2021年11月15日
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大門ダム建設当時、大門ダム右岸が、八ヶ岳の火山性岩盤を火山性堆積物が厚く覆っているため、漏水性が高くダム建設は困難とされていました。そこで、大門ダム検討委員会を作り9年間かけて検討した結果、厚さ30cmのアスファルトで山肌を覆う「アスファルトフェイシング」を採用しました。
写真左端がダム本体
アスファルトフェイシング完成
このアスファルトフェイシング遮水壁工事の技術が高く評価され、山梨県土木部では初めて、(社)土木学会から技術賞を受賞しました。
土木学会賞楯
当時の新聞記事クリックすると読むことができます。
(PDF:218KB)(PDF:289KB)(PDF:350KB)
昭和61年度土木学会賞「受賞理由書」の該当箇所をそのまま記載しました。
技術賞
I グループ(土木事業の計画,設計,または施工等に関する業績)
大門ダム・貯水池内の大規模火山性堆積物に対する遮水壁の設計と施工
山梨県土木部
大門ダムは、須玉川沿岸地域の水害の防除、八ヶ岳山麓の3町1村への上水道用水の供給等を目的として、富士川水系大門川に建設された多目的ダムであります。大門川右岸の地質は、岩盤を火山性堆積物が厚く覆っていることから、ダム設計は技術的に困難視されていたため、昭和47年から同53年までの7年間、調査・設計・施工全般にわたる技術的問題が検討されました。その結果、ダムサイト右岸山腹にアスファルトコンクリートによる大規模な遮水壁を形成すれば、ダム建設は可能との見解が得られ、今日の完成に至ったものであります。
本業績は、この遮水壁に関する設計・施工等についての以下のとおりであります。
1.遮水壁の設計:大門ダム右岸アバットに連なる山体および上流側の緩傾斜地の岩盤は30~40度の傾斜で右岸側に落ち込み、その上に火山性堆積物が厚く堆積している。したがって右岸の山体は、貯水池からの漏水とそれに伴うパイピングが懸念されたので、アスファルトコンクリートによる表面遮水壁を設けることとした。大門ダムにおける遮水壁は、貯水池内に設けられ、大規模な背圧対策を行ったもので、面積42,000m2、最大水深50mという規模は本邦では最大級のものである。
2.遮水壁の施工:本遮水壁は、地山形状に合わせた設計としたため、上下流方向には勾配変化部の円弧によるつなぎ、ダム本体および舟窪沢水路との結合等複雑な箇所があり、それらの施工方法確立した。
3.アスファルトコンクリートの配合設計:各種基礎試験を行って配合設計方法について詳細に検討し、その体系化を図るとともに、アスファルトと骨材との付着について検討した結果、従来考えられていた剥離防止剤としての消石灰添加率30~50%を10%まで減少させ、経済性を高めるとともに、施工性を容易ならしめた。
好適なダム地点がますます枯渇し、これに類似する貯水地内堆積物の遮水対策を必要とするダム地点が今後増加することを考慮すれば、本ダムにおいて実証された設計・施工等の土木技術の発展への寄与は多大であると考えられ、土木学会技術賞として認められたものであります。
土木学会は、1914年に社団法人として設立され、「土木工学の進歩および土木事業の発達ならびに土木技術者の資質向上を図り、もって学術文化の進展と社会の発展に寄与する」(土木学会定款)ことを目指し、以下の三つの柱のもと、さまざまな活動を展開しています。
会員は、教育・研究機関のほか、建設業、コンサルタント、官庁など多岐にわたる職場に属し、2002年4月末現在の会員数は4万人余りです。活動の拠点は東京の本部のほか、地域ごとに設置された8つの支部があります。さらに、海外にも3つの分会があり、海外の21学協会と協力協定を締結し、交流を図っています。
(社)土木学会の活動のひとつとして、研究発表の場としての学術講演会の開催、会誌、論文集の発行、海外向機関誌の発行、情報交流としての関連書籍の刊行、講演会開催、土木学会賞(功績賞、技術賞、論文賞、技術開発賞等7部門)の表彰等を行っています。
規程によりますと、大門ダムが受賞した「土木学会賞(技術賞)」は、「土木事業の計画、設計、施工等に関し、土木技術の進展に顕著な貢献をなしたと認められた画期的な業績に授与する。」賞です。