更新日:2018年6月8日

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甲府城下町の遺跡

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甲府城下町遺跡~排水のための遺構~

遺跡の概要

甲府城下町遺跡は中世末期~江戸時代にかけて、甲府城が築かれると共に整備されていった城下町です。一の堀に囲まれた範囲が甲府城であり、その外側の二の堀に囲まれた「武家地」、さらに外側の三の堀に囲まれた「町人地」が甲府城下町にあたります。

甲府城下町遺跡は何度も調査を行っていますが、今回は2017年に、県庁の公用車等駐車場整備事業に伴って調査をおこなった、武家地での調査成果を取り上げます。

 

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今回の調査地点

 

甲府城下町遺跡
◆所在地:甲府市丸の内二丁目17-6
◆時代:近世
◆調査機関:山梨県埋蔵文化財センター

 

調査区は甲府城下町の西側にあたります。
周辺は西側を流れる相川の扇状地に立地しており、北東から南西へ向かって傾斜した地形になっています。
西隣には「たこ公園」の愛称で知られるたちばな児童公園があり、その下には川が流れています。実はこの川がかつての「二の堀」にあたり、調査区はそのすぐ脇になります。

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たちばな児童公園の地下を流れる「二の堀」

 

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たちばな児童公園から南へ流れる「二の堀」

 

今回のトピックスでは、水場遺構についてみてみたいと思います。

発掘された集水桝

今回の調査では石垣や溝などの遺構が確認されました。その中でも調査区の南西側は、もっとも地形が低くなる箇所であり、水が集まりやすくなっているため、排水に関わる遺構が多く見つかりました。
その中の一つが、今回取り上げる集水枡になります。

見つかった集水枡は石を積んで造られており、東西1.6m、南北1.2m、深さは1.1mありました。集水枡(しゅうすいます)は、その名のとおり水を溜めておく枡のことです。また、水を入れるための水路、水を出すための水路が、付けられていました。水を出すための水路は枡の底よりも高い位置に付けられており、一定量の水が溜まると水が流れ出す仕組みです。
水が流れていく先は、今回の調査では確認できませんでしたが、おそらくは西側の二の堀へ流していたと考えられます。

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集水桝と二の堀(上空から)

 

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発掘された集水桝(矢印は水の流れ)

実はこの水を出すための水路は、当初は西方向ではなく、南方向に付けられていました。集水枡の南面を見ると、一箇所だけ石がなく、礫混じりの土で埋められていました。当初の水路を埋めて、水が流れる先を変更したと考えられます。

 

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礫混じりの土で埋められた南面の水路

 

集水桝の目的

では、この集水枡は何のために造られたのでしょうか。現状では良く分かっていませんが、可能性は大きく二つ考えられます。

 

 

1.沈砂のため
1回水を溜めることで泥などを沈殿させ、上澄みのきれいな水を排水していた可能性があります。
2.水を溜めるため
何かを洗うなど、利用するために水を溜めていた可能性があります。

甲府城下町遺跡で、このような集水枡が見つかったのは初めてのため、今後は他の城下町など類例を調べて検討していく必要があります。

 

その後の排水

集水枡は江戸時代の途中から利用されなくなり、代わりに暗渠を使って排水を行っていたことも分かりました。二の堀の脇には新たに盛土遺構が築かれ、暗渠はその下を通っています。またしても、排水の方法が変わったことになります。

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集水桝の後に作られた暗渠(集水桝に繋がる水路を壊して造られている)

 

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斜めに土を積み上げて築かれた盛土遺構

 

今回の調査では、長い時間をかけた町づくりの中で、排水の方法を何度も変えていったことが明らかになりました。
甲府城下町は扇状地に立地しているため、町づくりに水が大きく関わってきます。
江戸時代の人々が、様々に工夫を凝らしながら、水と向き合っていた姿が見て取れます。

解説看板について

この集水枡と暗渠が見つかった箇所は、当初の工事計画を変更して、そのまま現地に埋設保存されています。
現地には解説看板が設置されていますので、近くを通った際にはお立ち寄り下さい。


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たちばな児童公園の脇に設置された解説看板

 

 

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