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ページID:77909更新日:2017年3月1日

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No.0458甲府城下町遺跡出土の焼塩壺(甲府市)

 

甲府城下町の遺跡

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遺跡の概要

甲府城下町遺跡は、近世甲斐の政治的中心地であった甲府城(甲斐府中城)の周辺にひろがる遺跡です。甲府城を中心に武家屋敷地がひろがり、さらにその外側には商人などが住む町屋がひろがっていました。調査場所は、武家屋敷地の北西部にあたり、現在の山梨労働局があるところです。

調査によって、中世の武田城下町から近世の甲府城下町までの土地利用や武家屋敷地のうつりかわりがわかる遺跡です。今回は、この武家屋敷の食事情をポイントに挙げ、その中でも、塩を入れた容器「焼塩壺」について取り上げたいと思います。

 

甲府城下町全景

甲府城下町遺跡43街区全景

所在地:甲府市

時代:中世、近世、近代

報告書:山梨県埋蔵文化財センター調査報告書第215集『甲府城下町遺跡-甲府駅周辺土地区画整理事業地内43街区埋蔵文化財発掘調査報告書-』2004

調査機関:山梨県埋蔵文化財センター

甲府城下町遺跡出土の焼塩壺

江戸時代の塩とは、粗塩のことをさします。この粗塩をウスで粉にして壺にいれて焼き、ニガリなどを除いたものを焼塩といいます。この焼塩が現在私たちが日常で使っている食卓塩に近いものとなります。江戸時代当時で高価なものでした。焼塩を入れた壺は、焼塩壺とよばれています。焼塩壺の大きさは、10cm前後で、コップの形をしています。焼塩は、京都・大阪をはじめとする関西地方で生産され、壺に入ったまま、各地にもたらされました。甲府城下町遺跡からも、焼塩壺の破片が溝や土坑などから出土しています。では、甲府城下町遺跡で出土した焼塩壺も同じように関西地方から運ばれてきたものなのでしょうか。

甲府城下町遺跡43街区から出土した焼塩壺の破片をよく観察してみると、ロクロで成形されたものと、板状に形をつくりそれを筒状にした板作りのものとがありました。この作り方の違いは、何を意味しているのでしょう。作り方の違う焼塩壺をもっと詳しく調べてみようと、出土した焼塩壺の破片3点を顕微鏡を使った科学分析を行いました。すると、ロクロで成形された土器の破片(No.7、No.11)2点は、斜方輝石と単斜方輝石の両輝石を主体とする鉱物組成をしていました。これは江戸でつくられた土器と同様の組成です。このことから、ロクロ成形の土器片は、江戸で作られたと考えられます。もう1点(No.12)の板作りの壺の破片は、角閃石あるいは酸化角閃石を主体とする鉱物組成となっていました。この組成は、焼塩の産地とされる大阪市や堺市がある大阪平野周辺の地質と同じことがわかりました。この焼塩壺の破片はいずれも18世紀から19世紀に作られたものと考えられていて、焼塩壺の作り方の違いによって作られた場所が異なることがわかりました。同じ甲府城下町遺跡から出土したものですが、焼塩壺の破片から江戸や大阪などで生産された焼塩壺が甲府の地へ運ばれてきたといえます。破片を通して焼塩壺は関西地方からだけでなく江戸でもつくられ、運ばれていた流通の多様性をうかがうことができます。

焼塩壺

焼塩壺と焼塩壺のふた

 

 

 

 

分析資料12

分析資料7分析資料11

 

 

分析した焼塩壺の破片

 

 

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