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ページID:28120更新日:2015年12月14日

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遺跡トピックスNo.216長田口(おさだぐち)遺跡-鏡片(きょうへん)

南アルプス市の遺跡

0006十五所遺跡-方形周溝墓-
0010大師東丹保遺跡-網代-
0108大師東丹保遺跡-遺跡から発見された地震のツメ跡-
0149大師東丹保遺跡-木製品-
0200大師東丹保遺跡-出土した種子は何?-
0259大師東丹保遺跡-下駄-
0287大師東丹保遺跡-扇子の骨組-
0357大師東丹保遺跡-洪水に埋もれた中期古墳-
0392大師東丹保遺跡-地震痕のある遺跡-
0017二本柳遺跡-木棺墓-
0122二本柳遺跡-福寿院跡-
0164二本柳遺跡出土の擂鉢-
0276二本柳遺跡-火きり臼-
0023宮沢中村遺跡-昆虫・網代-
0051仲田遺跡-田んぼ-
0052百々遺跡-八稜鏡-
0065百々遺跡-錘-
0066百々遺跡-馬の骨-
0101百々遺跡-洪水の跡-
0136百々遺跡-浄瓶-
0172百々遺跡-平安時代の住居跡-
0269百々遺跡-黒色土器-
0274百々遺跡-古代のウシ・ウマ-
0077善応寺遺跡-祭祀の水場-
0081油田遺跡-田んぼと木製品-
0144油田遺跡-木製竪杵-
0231油田遺跡-体験学習用の復元品-
0084堤防遺跡No.23-堤防の内部-
0409釜無川堤防跡遺跡-
0105石橋北屋敷遺跡-道路跡・区画溝-
0106村前東A遺跡-パレススタイルの壺-
0241村前東A遺跡-手焙形土器-
0250村前東A遺跡-住居跡-
0286村前東A遺跡-S字甕-
0139宮沢中村遺跡-茶碗の焼継ぎ-
0163大塚遺跡-約1,700年前の家の跡-
0168新居道下遺跡の住居跡-
0216長田口遺跡の鏡片-
0340向河原遺跡-水田跡と杭列-

遺跡の概要

1988(昭和63)年から1991(平成3)年にかけて、富士川西部広域農道建設に伴う発掘調査として、山梨県埋蔵文化財センターによって調査を行いました。その結果、弥生時代後期から古墳時代前期を中心とした遺跡であることが確認されました。
所在地:南アルプス市平岡字長田口(旧櫛形町)
報告書:「長田口遺跡」山梨県埋蔵文化財センター調査報告書第82集

地図

0216_長田口遺跡地図

割られた鏡の謎ー長田口(おさだぐち)遺跡の鏡片(きょうへん)

0216_長田口遺跡鏡片1

この鏡片は、鏡の外側の縁を半月形に割り、磨いたり、孔(あな)をあけた痕跡が見られます。破鏡の両側のはしにある2つの孔(黄色で囲った部分)は、紐(ひも)のようなものを通し、首飾りとして利用したと考えられており、鏡の内側にあたる残りの4つの孔(赤で囲った部分)は、鏡を割る際に開けられたと考えられます。

0216_長田口遺跡鏡片2

この鏡を復元すると、直径11.4cmの鏡であることがわかりました。また、中国の後漢という王朝の末期の時代に、中国の華南(中国大陸の南の地域)産の鉛を含んだ青銅(せいどう)で作られた「双頭龍文鏡(そうとうりゅうもんきょう)」と推定されました。両側の龍と、中央の「位至三公(いしさんこう)」という文字が刻まれていることが特徴です。

0216_長田口遺跡位志三公鏡

写真:「位至三公鏡」

(『日本考古学事典』より)

鏡の作られた後漢(ごかん)という時代は、日本の歴史では弥生時代の後期にあたります。後漢の歴史を記した歴史書『後漢書』東夷伝(ごかんじょとういでん)には、倭の奴国(なこく)の王が朝貢(ちょうこう)し、皇帝から印綬(いんじゅ。はんこのこと)を下賜(かし)されたことが記されているように、九州を中心とした勢力が中国大陸と交流を持っていた時代です。
現在の私たちは、鏡を、姿を映すために使いますが、古代の人々にとって、鏡には霊力がやどるとされ、支配者の力の大きさを表す宝物でした。弥生時代の日本は、中国の皇帝に朝貢することによって鏡を手に入れ、それを持つことが支配者としての証となり、お祭りの道具としても大切にしました。古代のお墓の中から鏡が見つかるのもその理由からです。支配者が鏡を持つという習俗は、中国大陸に近い九州北部から近畿地方、そして東日本の地域社会にまでじょじょに広まりました。
しかし、肝心の鏡の入手源である中国では、後漢王朝の末期にもなると、国力が衰退していき、日本に入ってくる鏡の量は減少します。そこで、今までに入手した鏡を割って使用したり(破鏡)、日本国内で小型の複製品が作られるようになったのです。
長田口遺跡の鏡片も、九州の首長が中国の王朝との交流を通じて手に入れた鏡が、ある段階で割られて加工され、もたらされたと考えられます。

 

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