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ページID:4359更新日:2016年2月1日

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遺跡トッピックスNo.0108大師東丹保遺跡から発見された大地震の跡

南アルプス市の遺跡

0006十五所遺跡-方形周溝墓-
0010大師東丹保遺跡-網代-
0108大師東丹保遺跡-遺跡から発見された地震のツメ跡-
0149大師東丹保遺跡-木製品-
0200大師東丹保遺跡-出土した種子は何?-
0259大師東丹保遺跡-下駄-
0287大師東丹保遺跡-扇子の骨組-
0357大師東丹保遺跡-洪水に埋もれた中期古墳-
0392大師東丹保遺跡-地震痕のある遺跡-
0017二本柳遺跡-木棺墓-
0122二本柳遺跡-福寿院跡-
0164二本柳遺跡出土の擂鉢-
0276二本柳遺跡-火きり臼-
0023宮沢中村遺跡-昆虫・網代-
0051仲田遺跡-田んぼ-
0052百々遺跡-八稜鏡-
0065百々遺跡-錘-
0066百々遺跡-馬の骨-
0101百々遺跡-洪水の跡-
0136百々遺跡-浄瓶-
0172百々遺跡-平安時代の住居跡-
0269百々遺跡-黒色土器-
0274百々遺跡-古代のウシ・ウマ-
0077善応寺遺跡-祭祀の水場-
0081油田遺跡-田んぼと木製品-
0144油田遺跡-木製竪杵-
0231油田遺跡-体験学習用の復元品-
0084堤防遺跡No.23-堤防の内部-
0409釜無川堤防跡遺跡-
0105石橋北屋敷遺跡-道路跡・区画溝-
0106村前東A遺跡-パレススタイルの壺-
0241村前東A遺跡-手焙形土器-
0250村前東A遺跡-住居跡-
0286村前東A遺跡-S字甕-
0139宮沢中村遺跡-茶碗の焼継ぎ-
0163大塚遺跡-約1,700年前の家の跡-
0168新居道下遺跡の住居跡-
0216長田口遺跡の鏡片-
0340向河原遺跡-水田跡と杭列-

詳細

大師東丹保遺跡は、南アルプス市(旧甲西町)大師字東丹保にあり、市之瀬川と滝沢川にはさまれた場所の標高250mに位置します。

発掘調査は、一般国道52号(甲西道路)改築工事、中部横断自動車道建設工事にともない平成5~6年度にかけて行われました。

調査の結果、鎌倉時代のムラ跡(今から約700年前)や古墳時代のお墓(今から約1500年前)、弥生時代では水田跡(今から約1750年前)をはじめ地震の跡が見つかりました。

 

所在地南アルプス市(旧甲西町)大師字東丹保

時代鎌倉時代、古墳時代、弥生時代

報告書山梨県埋蔵文化財センター調査報告書第131・132・133集1997年3月刊行

調査機関山梨県教育委員会・山梨県埋蔵文化財センター

地震の跡について

大師東丹保遺跡で見つかった地震の跡(地割れや液状化跡など)は、現在の地面の下約3mで発見され、水田の畦や水路を切っている様子が見られます。地震が起こった時期は、発見された遺物や遺跡に積もった土の様子などから、今から約1750年前の弥生時代の終わり頃より後と考えられます。

大師東丹保遺跡の土の積もった様子

大師東丹保遺跡の土の積もった様子

地割れについて

地割れの幅は、最も大きくて約20cmで、ほとんどは数cmとなり、長さは3~4mのものが多く、地割れをはさんで地面が数cm上下に段差をもっているところもあります。

水田の畦を切る様子

水田の畦を切る様子

水田の畦を切る様子

水田の水路を切る様子

液状化跡について

液状化跡は、砂や石の堆積した場所で見つかり、10cmを超える石が上に昇ってきているところもあります。深さは、10cm~80cmにおよぶものが見られます。

液状化跡

液状化跡

左の写真のもしき図

左の写真を図にしたもの

山梨県内における地震の跡

山梨県は、地震災害の比較的少ない場所で、大きな地震については、ほとんど経験がりませんが、昔の書物をひもとくと明応東海地震(1498年)、慶長地震(1605年)、元禄地震(1703年)、宝永地震(1707年)、安政東海大地震(1854年)、関東大震災(1923年)など、マグニチュード8級以上の地震により大きな被害を受けています。また、甲府盆地南側には「曽根丘陵活断層群」と呼ばれる活断層などもあります。遺跡の発掘現場からは、これらの地震をはじめとする多くの地震の跡が見つかり、現在、大師東丹保遺跡のほか、10箇所ほどの遺跡で発見されています。

地震考古学(じしんこうこがく)

大師東丹保遺跡のような遺跡で発見された地震の跡を研究する分野は「地震考古学」と言われ、地質学者の寒川旭氏(独立行政法人産業技術総合研究所)が1988年(中央新書『地震考古学』)に発表しています。この研究により、遺跡で発見された遺構や遺物との関係から地震の起こった年代をつきとめ、昔の書物との対比から地震が起こった年・月・日や時刻までわかり、さらに、記録に残っていない地震や文字がない時代の地震が存在することが明らかになりました。また、大きな地震は、決まった場所で繰り返し起こることから、南海地震・東南海地震・東海地震が100~200年の間隔を保ちながら、ほぼ同時に発生し続けてきたことなども明らかとなりました。

 

地震の時期の予知、そして、被害の予測、遺跡には私たちの現在、そして、将来の生活を守るための情報がたくさんつまっています。

近い将来に東海地震が起こると言われている今日、遺跡で発見された地震の跡を理解し、当時の災害とくらしの関係を明らかにすることは、現在の防災にもとても役立ちます。

 

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住所:〒400-1508 甲府市下曽根町923
電話番号:055(266)3016   ファクス番号:055(266)3882

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