ページID:32773更新日:2023年3月27日
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廃棄物の不法投棄は、生活環境の保全や景観に支障を与えるばかりでなく、その原状回復には多大な費用と時間を費やすことから、県内の市町村、近隣の都県、警察など関係機関と連携し、情報共有を図りながら、不法投棄の未然防止、早期発見・拡大防止、撤去・適正処理を実施しています。
具体的な施策は以下のとおり未然防止、早期発見・拡大防止が中心ですが、廃棄物の不法投棄が発見された場合は、県や市町村の職員が速やかに現地調査を実施し、廃棄物から行為者や関与者を特定できる場合は、行為者や関与者を特定し、行政指導により撤去させています。また、廃棄物処理法による許可を受けている業者が関与している場合は、許可の取消しなどの行政処分を行うほか、悪質な事案については警察に通報・告発して厳正に対応しています(「不法投棄について」のページの「不法投棄の原状回復」を参照)。
県及び市町村が一体となって廃棄物の不法投棄等の広域的な監視指導に当たるため、4つの林務環境事務所ごとに、県、市町村及び関係団体等で構成する廃棄物対策連絡協議会を設置し、次の事業を実施しています。これに要する経費は、県と市町村で負担しています。
産業廃棄物の不法投棄は、近年、悪質化、広域化の傾向にあるため、平成19年度から産業廃棄物の不法投棄対策に対する専門的知識を有する産業廃棄物不適正処理機動調査員(以下「産廃Gメン」という。)を設置し、重大不法投棄事案等に対応させるとともに、所属職員の指導育成に当たらせ、不法投棄事案等の処理解決能力を強化しています。
環境整備課と各林務環境事務所の職員計20名程度を産廃Gメンと位置づけています。
産廃Gメンの役割は、1.重大不法投棄事案への対応に関すること、2.所属職員の指導・育成に関すること等です。
環境整備課や各林務環境事務所の職員による監視指導、各地域の廃棄物対策連絡協議会の廃棄物監視員による監視パトロールのほか、次により不法投棄等への監視体制を強化しています。
主に監視体制が手薄となる休日・夜間における監視パトロール業務を民間警備会社に委託して実施しています。また、廃棄物対策連絡協議会や県警と連携して、県下一斉合同パトロール、ヘリコプターによるスカイパトロールを実施しています。
(2)不法投棄監視協力員の登録
行政による不法投棄の監視等には自ずと限界があるため、平成17年度から、「地域の環境は地域で守る」という観点から、日常生活の中でボランティアとして不法投棄の通報等の活動を行う不法投棄監視協力員を設置し、不法投棄対策の充実・強化を図ってきました(参照「山梨県不法投棄監視協力員設置要綱」(PDF:73KB)、通報票(PDF:63KB))。
(人数)
759名(令和5年3月27日現在)
(登録等)
不法投棄監視協力員は、不法投棄監視協力員名簿に登録(登録の有効期間:5年)するとともに、毎年「不法投棄監視協力員たより」を発行し、県内の不法投棄の状況等をお知らせしています。
(活動内容)
通勤、散歩、ドライブ、農作業など日常生活の中で、不審車両や不法投棄の現場を発見した場合等の通報や、可能な範囲で不法投棄等の防止に関する普及啓発に協力をいただいております。
県内各地域で広範に事業活動を行っている11の事業者団体等と、平成18年度と平成31年度に不法投棄の情報提供に関する協定を締結し、不法投棄等の通報に協力をいただいております。
平成18年度 協定締結団体(6団体)
一般社団法人山梨県トラック協会
一般社団法人山梨県建設業協会
一般社団法人山梨県産業資源循環協会
山梨県森林組合連合会
東京電力パワーグリッド株式会社 山梨総支社
中日本高速道路株式会社 八王子支社
平成31年度 協定締結団体(5団体)
一般社団法人山梨県タクシー協会
東日本電信電話株式会社 山梨支店
佐川急便株式会社
ヤマト運輸株式会社 山梨主管支店
日本郵便株式会社
(4)その他不法投棄監視活動への協力依頼
河川監視員、富士山レンジャーにも、それぞれの活動エリアでの不法投棄等の監視について、協力を依頼しています。
不法投棄の広域化等に対応するため、近隣の都県等と連携して対応しています。
広域重大な産業廃棄物の不適正処理に対応するため、平成12年11月に関東甲信越静の21の都県、政令市(現在は37の自治体)で構成する連絡協議会を設置し、合同で路上調査を行うなど、連携して広域監視等を行っています。
平成18年10月26日、山梨県、静岡県、神奈川県の三県知事が一堂に会した「三県サミット」において、三県にまたがる富士箱根伊豆地域における不法投棄対策に関する連携について合意し、これ以降、連絡会議の開催、合同パトロールや啓発活動等を実施しています。また、平成21年10月に「富士箱根伊豆交流圏構想」が策定され、環境対策の広域連携施策として廃棄物不法投棄対策も盛り込まれました。今後も、富士箱根伊豆地域における不法投棄対策を三県で連携して取り組んでいきます。
現に不法投棄がなされており、そのまま放置すると更なる不法投棄のおそれのある場所や不法投棄が繰り返し行われる場所に、不法投棄防止柵等の施設を設置することにより不法投棄の未然防止等を図る市町村に対して補助しています。
不法投棄された廃棄物は、行為者及びこれに関与した者が片づけるのが大原則ですが、行為者等による撤去が困難な場合においては、土地の占有者又は管理者が撤去したり、地域の自治会やNPO・ボランティア等による清掃活動によって撤去されることがあります。
富士山麓では、不法投棄物を一掃するため、市町村、NPO等と連携して、不法投棄により長期間放置されている産業廃棄物の撤去活動を実施しています。
平成24年度に、上記の事業成果を踏まえて「富士山クリーンアップ事業」を新設し、鳴沢村の山林内に放置されていた総計3,597本の廃タイヤを全て撤去することができました。
現在は、鳴沢村内に残存する建設廃材不法投棄事案の撤去活動に着手し、NPO法人富士山クラブ、(一社)山梨県産業資源循環協会、山梨県カーリサイクル協同組合、鳴沢村との協働により、長期間放置されている産業廃棄物の撤去を実施しています。
建設廃材不法投棄事案の撤去活動については、令和4年度現在で、延べ8,366名の方々にご協力をいただき、延べ95.6tの廃棄物を撤去しています。
知事は、産業廃棄物処理基準等に適合しない産業廃棄物の保管、収集、運搬又は処分が行われた場合において、生活環境の保全上支障が生じ、又は生ずるおそれがあると認められるときは、必要な限度において、行為者やその関与者等に対し、期限を定めて、その支障の除去等の措置を講ずべきことを命ずることができます(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)第19条の5第1項及び第19条の6第1項)。これを措置命令といいますが、この措置命令に違反すると、5年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金に処せられ、又はこれを併科されます(廃棄物処理法第25条第1項第5号)。措置命令を発出した事案では、相手方の任意の協力を前提とする行政指導とは異なり、刑事罰をもって産業廃棄物の不法投棄など不適正処理の行為者やその関与者等に対して撤去を求めていくことになります。
また、不法投棄など不適正処理の行為者やその関与者等が措置命令に従わない場合は、知事は自らその支障の除去等の措置の全部又は一部を講ずることができます(廃棄物処理法第19条の8)。これを行政代執行といいますが、不適正処理の行為者等に対して命じられる支障の除去等の措置の内容と、公費を投入して行われる行政代執行における支障の除去等の措置の内容では、差異があります。措置命令を発出した事案において行政代執行をどこまで実施するかは、不適正処分された産業廃棄物の種類、数量、これに起因する生活環境の保全上の支障の程度、その発生の危険性等の客観的事情を総合勘案し、知事の判断により決定されます。人の健康の保護等に関わる場合には、速やかに必要な行政代執行を実施していきますが、「生活環境の保全上支障が生じるおそれ」の度合いが比較的に小さい(周辺環境への悪影響が小さい)事案の場合は、モニタリングや定期的な巡回など継続監視で対応し、あくまでも不適処理の行為者や関与者等の責任において支障の除去等の措置を行わせることを基本することもあります。
本県では、これまで不法投棄や不適正処分の4つの事案について6回の措置命令の発出し、4つの事案とも行政代執行を行っています。
(主たる個別事案の概要へのリンク)
(参考資料)
不法投棄・不適正処分に係る措置命令・行政代執行一覧 |