ページID:125290更新日:2026年4月2日
ここから本文です。
|
防災新館401,402会議室 15時00分から 発表事項 |
![]() |
知事
それでは本年度もどうぞよろしくお願いいたします。
まず、新年度の始めに当たりまして、私どもが県政に臨む基本的な考え方と、今年度特に力を入れていきたい政策課題についてお話をさせていただきたいと思います。
知事就任以来これまでの7年間、常に「停滞を許さず、山梨の未来へ挑戦し続けること」を信念として県政運営に向き合って参りました。
昨今の人口減少、物価高、あるいは国際情勢、エネルギー危機、どれをとりましても、前提が丸ごと組み変わるような、構造変動の局面と言っても過言ではなかろうと思います。
このような時代だからこそ、私たちは山梨の歴史に立ち返らなければならないと考えています。
失敗を恐れず、公益を見据えて常に新たな道を切り開いてきた「甲州財閥」の精神。困難を避けるのではなく、正面から引き受け、そして表面的な摩擦を恐れず、地域全体の未来に資する選択を重ねていく。
私たちはこれを日々の判断を支える行動の軸として胸に刻み、挑戦を続けて参りたいと考えております。
ではその挑戦をどのような形で実らせるのか。変革の時代におきまして、行政に求められるのは、抽象的な理想論、あるいは場当たり的な対症療法では、ないと思います。
現場で実装され、検証され、そして次に繋がる、具体的な「解」であるべきと考えています。
国や、他の地域の様子をうかがうのではなく、必要な決断を積極的に引き受けていくこと。山梨県は、これまでも、地方の現場から具体的なモデルを示して参りました。
今年度も、この自信と誇りを胸に、「答えは自ら創り出す」という精神で、一層の挑戦を続けて参りたいと考えています。
こうした精神のもと、施策の推進に当たりましては、引き続き、県民一人ひとりに豊かさの実感をお届けするという、究極の目標を堅持して参りたいと考えています。
その上で、外からの風にも揺らぐことのない、暮らしや産業の基盤を築いていく「ふるさと強靱化」、そして、あらゆる可能性を取り込み、新たな価値が創出される、外に開かれた「開の国づくり」、この2つを大きな柱といたします。
これらの大方針のもと、必要とあらば、施策を機動的に入れ替えることで、社会や環境の変化に即応して参りたいと思います。
さらには一つひとつの施策が、さらに先の判断に繋がっていくという、積み上げ型の県政、これを徹底し、県民の皆様に前に進んでいるという実感をお届けして参りたいと考えております。
以上申し上げました基本的な考え方を基礎といたしまして、特に今年度力を入れるべき政策課題について、的を絞ってお話をしたいと思います。
私たちは、今年度も日本、そして世界をリードする存在として山梨の個別課題にとどまらない構造そのものに目を向け、より大きな難題に果敢に挑んで参りたいと考えています。
個別の政策課題に先立ち、まず喫緊の課題について触れたいと思います。
昨今のイラン情勢の緊迫化に伴い、プロパンガスをはじめとするエネルギー供給に対するリスクが高まっていると認識しております。
県民生活や中小事業者の皆様の事業運営への影響を、引き続き注視して参ります。
短期的には、特に低所得層を中心に、県民生活に重大な影響が見込まれる場合には、市町村とも協力をし、様々な施策を速やかに講じていくつもりであります。
すでに、具体的な対策の検討に着手するよう、関係部局に指示を出しているところであります。
中期的には、こうした地政学的リスクに強いエネルギー構造への転換が必要であると考えます。
例えば、屋根置き太陽光発電設備の普及や水素の民生活用など、エネルギーの地産地消を見据えた取り組みを、現実的な取り組みとして踏み出して参りたいと考えます。
この点は後程述べる、グリーン水素の取り組みとも密接に関わってまいります。
こうした喫緊の課題への対応と並行いたしまして、中長期の構造的課題にも引き続き取り組んで参ります。
まず、世界共通の課題に対する挑戦についてです。
エネルギー構造、国際秩序の変動、そして人類共通の財産であります、世界遺産の持続可能性。
本県は地方の現場から、実装を通じてその解決に貢献して参りたいと考えています。
その第1が、エネルギー構造の転換であります。
昨今の世界的エネルギー危機ともいうべき状況は、資源を特定の地域に依存することの危うさを改めて私たちに突きつけております。
この点、水と再生可能エネルギーから生まれるグリーン水素は、脱炭素化の切り札としてだけではなく、地政学的リスクに備える戦略資源としても一層重要度を増していると考えるべきであります。
本県は、グリーン水素の研究や実証にとどめることなく、P2Gシステムの導入などを通じ、実社会で使い続けられるエネルギーとして、実装をする段階に踏み込んで参りました。
制度設計、運用体制、コスト、リスク対応、これらを含めた実装知を積み上げてきたことこそが山梨県の最大の強みであります。
今年度は、まさにこの強みを開花させるタイミングだと考えます。
国際水素サミットを初開催し、世界各国の自治体、研究機関、企業、政策関係者が実装の現場に根差した知見を共有し、次の行動へとつなげる場を設けて参ります。
さらに、このサミットを一過性のイベントで終わらせず、集積される知見と本県の水素実装フィールドを結びつけることにより、水素関連産業の集積と世界から人材が集う高度人材育成拠点の形成を目指して参ります。
特定の利害に依存しない本県だからこそ可能な、中立性と継続性を備えた国際的公共空間を提供し、世界の水素社会実現を現場から牽引して参りたいと考えています。
また、昨今のように国際秩序が不安定化する中では、地方間の国際交流にも転換が求められていると考えています。
山梨県は複数の自治体が連携し、面として国外と向き合う「面的国際連携」という新しいタイプの地方外交を進めて参りました。
インド各州との知事ネットワークの設立や、富士五湖自然首都圏構想におけるカリフォルニア州との連携は、まさにその具体化であります。
地方はもはや、国家外交の補完ではなく、主体的に世界と向き合うグローバルプレイヤーだと自覚をするべきであります。
今年度はこれらの取り組みをさらに進化させ、MOU締結など具体的な成果を積み上げていきたいと考えています。
そして、世界遺産富士山の保全活用についてです。
オーバーツーリズムは世界中で課題となっていますが、とりわけ富士山は世界でも類を見ない大きな利用圧力に晒されています。
富士山の保全と利活用の両立、これは、あらゆる世界遺産に共通する宿題であり、本県はいわばその最前線の一つとして、その対応ぶりが世界からも注目されています。
登山規制や安全対策、そして動線管理としての富士トラム、電気・通信インフラの整備、五合目の再整備と信仰文化の継承などです。
これらを個別ではなく一体として進めることで、世界遺産管理の具体的なモデルを示して参りたいと考えています。
これは単に富士山のためだけではなく、世界に共有されるべき知見であろうと思います。
次に、日本全体が直面する構造的難問についてです。
慢性的なインフレ、産業構造の転換、人口減少による地域の持続可能性の低下。
とりわけ地方は、その影響が真っ先に及ぶ現場であります。
本県は、これらの課題に対しまして、国や他の地域からの指示などを待つことなく、正面から向き合い、地方から「解」を示して参ります。
まず、所得構造の転換についてであります。
物価上昇が賃金の伸びを上回り、働いても豊かさを実感できないという状況のもと、本県が最重要課題として掲げますのは「県民所得の持続的な引き上げ」であります。
そのため、「賃金水準の引き上げ」「生産性の向上」「労働参加率の向上」、この3つのレバーを一体的に動かして参ります。
最低賃金の引き上げを基点に、スキルアップが収益アップに繋がり、その成果が賃金に還元されるというスリーアップを社会運動として定着させて参ります。
加えまして、設備投資やDX人材育成への集中投資により、賃上げが一過性で終わらない構造を築いて参ります。
さらに、所得構造の土台となります産業構造そのものの転換も、引き続き推進して参ります。
本県は基幹産業それぞれにつきまして、成長力を内包した構造への転換を重視しております。
まず、主力産業であります機械電子産業についてですが、これはこれまでも取り組んでいますが、医療機器、あるいは水素、そして航空・宇宙・防衛といった成長産業への転換を加速し、安定的な成長力を持つ市場を取り込んで、企業収益の安定的な向上を実現して参りたいと考えています。
また、果樹農業につきましては、国内の主要産地として生産・流通・販売の一体的な高度化を力強く牽引して参ります。
併せて、さらなる輸出拡大、あるいは「桃ソムリエ」による魅力発信など、生産者の努力が正当に評価される環境づくりに取り組んで参ります。
また、ジャパンワイン発祥の地の責務として、文化全体の発信と継承を担う中核拠点の整備を目指して参ります。
こうした産業構造の転換と合わせて取り組むべきが、人口減少時代の地域の再設計であります。
山梨県は人口減少対策を体系的に進めつつ、一方で、この現実を前提として受け入れ、人口が減っても生活の質を高め続けることができる、地域構造の再設計に取り組んで参ります。
その基本となる考え方が、限られた資源を賢く集約していく「スマートシュリンク」という考え方であります。
これは私どもが責任の一端を負っております全国知事会の部会におきましても、先般、その旨のレポートを出したところであります。
具体的には、県内の公共交通ネットワークの再構築により、拠点と拠点、拠点と生活圏を確実につなぎ、暮らしの利便性を維持・向上させて参ります。
併せて、県と市町村が限られた行政資源を最大限活用できる体制を目指していくとともに、介護、物流など生活サービスの安定に必要な取り組みにつきましても、本日発足した新しい組織体制において本格的に始動して参ります。
そして、こうした地域再設計の大きな起爆剤となりますのが、リニア中央新幹線を契機とする地域価値の創造であります。
ご案内のとおり先月、山梨県駅を着工するなど、リニア開業がいよいよ実感を伴って迫ってきたと認識をしております。
このリニア開業は、本県のあり方そのものを転換する大きなチャンスではありますが、その開業効果自体は、自動的に発生するものではありません。
リニアとトラム、そして空飛ぶ車などの次世代モビリティとの連動により新たな人流を創出し、開業効果を県内各地へ面的に波及させることを目指して参ります。
さらに、地域の経済価値と生活価値を同時に高めていく「山梨緑化100年構想」の策定や、働く世代・子育て世代が安心して暮らせる住宅ストックの形成により、次の世代が誇れる「山梨ならではの価値」を磨き上げて参ります。
以上、今年度、特に力を入れるべき政策課題につきまして、その概要を申し上げた次第であります。
今年度、私にとりまして2期目の任期の仕上げの1年となって参ります。
なって参りますが、先ほどの訓示でも申し上げました通り、安全運転をするつもりは一切ありません。
県民の皆様の利益の最大化、この究極目標を実現するために、積極果敢に攻めて攻めていく、攻め抜いていこうと考えています。
最後の1日まで、具体的な「解」を一つでも多く積み上げて、県民生活の豊かさに直結する成果をお届けしたい。この思いであります。
困難な決断から目を背けることなく、県民全体の利益と未来を見据え、必要な責任をしっかりと引き受けていく。
この覚悟を新たに、前進を続けて参りたいと思います。
今年1年どうぞよろしくお願いいたします。
記者
先ほど喫緊の課題というところで、中東の情勢に対する対策というようなお話がありました。現状、県として、影響というところは流動的な部分も多分にあることだと思いますが、どういう影響が出ているのか把握をしているか。また先ほど低所得者層への影響が見込まれるという話がありました。結構、影響の範囲は企業も含めてかなり広いのかなというふうに思っています。
そのあたりへの対策は、財源も含めてなかなかできることできないことあるかと思うのですが、考えをお伺いできればと思います。
知事
まず具体的にどういう影響がどの程度、どういう部分に生じているかということは、現在調査を行っているところです。
これを踏まえまして、特に心配をしているところは、本県はプロパンガスの比率が極めて高いものですから、この供給がどういう状況になっていくのか、ここは特に気を使って注視をしていかなければならないと思っています。
いずれまだイランの迷惑な争いの状況がどういう展開、早期に終結することをもちろん願っておりますが、長引いた場合に備えて準備をしなければならないと。
ただ、そのとき影響が全県民、全事業者に及ぶものではありますけれども、特に弱いところにその痛みが強く出ないようにしていかなければならないと思っています。
低所得層の方、あるいは高齢者、さらには中小零細の事業者。
こういうところの影響に対して、県財政の中でできる限りのこと、必要であれば最大限のことをやっていきたいと思います。
知事
医療機器関連産業の振興を図ります「メディカル・デバイス・コリドー構想」がさらに前進をいたしました。
ご案内の通り、静岡県と共同で取り組んでおります「ふじのくに先端医療総合特区」につきまして、県内8市町村の追加が、本日、内閣府より認定され、対象区域が拡大することとなりました。
山梨県が特区に参加いたしました令和3年度以降、山梨、静岡、両県の企業による共同製品開発など、広域連携の取り組みは着々と進展しています。
また本県では、半導体分野におけるTSMC社のように、メーカーから製造を受注するいわゆる「全県ファウンドリー化構想」を進めており、放射線治療装置など、高付加価値の製造を受託する企業もすでに現れているところです。
今般の特区の区域拡大は、こうした特区内における広域連携の取り組みや、医療機器産業を支える中核的な企業が県内各地に広がっている点が評価され、国から本県のさらなる発展に向けた後押しをいただいた。こう受けとめています。
今回の区域拡大を契機として、特区のメリットである利子補給や、規制緩和の積極的な活用を促し、全県ファウンドリー化構想を一層進め、県内企業の安定的な成長力の確保、収益の拡大、そしてそれを通じた働き手の賃金上昇につなげていきたいと考えてます。
記者
特区の関係で、特区になって5年が経過して、これまでの効果というところ、改めてどう受けとめているか。
また今回特区が拡大をして、今後の展望を含めて期待するところを改めてお伺いできればと思います。
知事
ご案内のとおり、静岡県は医療機器製造のトップランナーでありますけれども、その連携が、もうすでに具体的な効果として発現してるのかなと思っています。
当初、部品と材料の提供というところからスタートしながら、今はそのアセンブリ、いわゆる組み立てのところも出てきています。
この医療機器製造というのは本県内において、大きく育っていると思います。
特に山梨県の機械電子工業、かなり多くは半導体製造装置に対する関連産業になっていますけれども、ご案内のとおり大変アップダウンが激しい、シリコンサイクルとか言われていますけれども、アップダウンが激しいものでありますが、ここに要は産業構造のポートフォリオとして、まず医療、ヘルスケア。
これらは、人口の高齢化あるいはその医療の高度化に伴って常に右肩上がりで上昇し続ける、このシリコンサイクルとは違う原理で市場規模が伸びていくわけです。エネルギーに関しては水素。
これについてはカナデビア株式会社が進出することになっていまして、これによって、スタックと言いますけれど、P2Gシステムの核心部分についての本県内企業からの部品材料の提供、こういうことも期待ができると思っています。
P2Gシステムだけではなくて、その周辺の様々な機械、設備の製造についても、いろいろなところからかなり積極的なご提案をいただいているので、こういうことをどん欲に県内産業として取り込んでいき、水素という新たなエネルギー関連産業自体の地場産業化を進めていきたいと思っています。
同様に航空・宇宙・防衛も、これまた景気変動とは別のロジックで市場が拡大するものですので、こういうものをすべて取り入れて、アップサイドと言いますか、上の部分はしっかり確保しながら、なおかつ、最低限の安定したボトムラインの水準を上げていきたいと思っています。
この特区自体は、国からも特区の中で最も優秀な成果を上げているというふうに位置付けられていまして、これからも静岡県の皆さんとしっかり手をつなぎながら、県内全体に医療機器産業の展開を推し進めていきたいと考えています。