トップ > しごと・産業 > 就職・労働 > 労働 > 労働問題 > 不当労働行為の審査 > 労働委員会による救済の特徴

ページID:4869更新日:2018年3月19日

ここから本文です。

労働委員会による救済の特徴

1 制度的な特徴(手続きの迅速性・簡易性等)

 裁判所のほかに労働委員会という特別な行政機関を設けて不当労働行為に対する救済を図ることとしたのは、簡易・迅速な手続きによって団結権の侵害に対する回復を図り、もしくは行政機関を通じて団結権の保障を前提とした正常な労使関係を形成しようとしたためです。つまり、裁判所による救済では、その手続きの形式性・厳密性・複雑性・非迅速性からみて、団結権侵害に対する実質的な侵害除去が早期に期待できないと考えられたからです。


 したがって、労働委員会による救済には、手続きの迅速性と簡易性、実質的な効果を伴った救済が制度的に要請されています。そして、これらが労働委員会による救済の大きな特徴です。このほかの制度的な特徴としては、労働委員会に対する不当労働行為の救済申立てには、費用がかからず、裁判に比べて安価であることがあります。


 なお、全国的に不当労働行為事件の審査期間の長期化が課題となっており、中央労働委員会と各都道府県労働委員会等において、審査手続の迅速化に向けた取り組みが行われています。

2 判断の特徴

 集団的な労使関係は、組合内部の状況、使用者側の労務管理、労使の力関係等が刻々と変化します。


 労働委員会による救済は、このような流動的な集団的労使関係の状況を把握し、過去の不当労働行為事件の内容、現在の労使の実情、将来のあるべき公正な労使関係の確立等を総合的に判断して一定の結論を出すという形で行われます。


 これに対して、裁判所による救済は、個々の権利義務関係を中心にして過去の事実に法規を適用させて判断する形で行われます。このため、流動的な労使間の不当労働行為をめぐる紛争の解決には、不適切な場合があります。実際、不当労働行為に係るものも含めて、いわゆる労働裁判においては、権利義務関係の確定を図ることを目的とする本案訴訟よりも、暫定的な法律状態を定めることを目的とする仮処分制度が数多く利用され、その運用において労使の実情等を踏まえて使用者の任意の履行や和解等が行われることがあります。このようにして流動的な労使関係をめぐる紛争に対処しています。


 一方、労働委員会による救済においても、権利義務の体系がまったく無視されてよいわけではありませんので、権利義務関係を踏まえたうえで、労使関係的な判断がなされています。また、労働委員会においても、労使の実情、将来に向けた公正な労使関係の確立等を踏まえて、数多くの事件が和解により解決されています。

3 救済命令の特徴

 労働委員会は、解雇の有効無効、賃金請求権の有無等の権利義務関係を判断するものではなく、使用者が行った具体的な事実が不当労働行為であるかどうかを判断します。そして、不当労働行為に該当する場合は、できるだけそれを排除するため、事実上の措置として救済命令を発します。つまり、労働委員会の救済命令は、労働組合法という公法に基づく行政処分であり、私人間の民事上の権利義務の確認・形成・給付を行う裁判による判決とは異なります。


 具体的にいえば、解雇に伴う不当労働行為事件の場合、原職復帰(事実上の解雇の撤回)及び解雇から原職復帰までの賃金相当額の支払いを命ずることがありますが、この救済命令が発せられたことをもって、その解雇が民事上も無効であるとはいえません(不当労働行為である解雇が民事上無効であるかどうかは裁判で判断されます)。労働委員会による救済命令は、使用者がこれに従って被解雇者を原職に復帰させ、賃金相当額を支払うという行為を行うことによって、救済が図られることになります。

このページに関するお問い合わせ先

山梨県労働委員会事務局 
住所:〒400-8501 甲府市丸の内1-6-1
電話番号:055(223)1826   ファクス番号:055(223)1828

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?

このページを見た人はこんなページも見ています

県の取り組み

pagetop