更新日:2025年9月19日

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まるでフルーツのような甘み!土づくりにこだわり、おいしいスイートコーンを作る!

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山梨県野菜共進会最優秀賞・特別賞(一重スイートコーン)を受賞。山梨県甲府市二川地区に広がる菊島農場では、驚くほど甘く、大きなスイートコーンが育てられています。かじればみずみずしく、まるでフルーツのような甘みの秘密は、緻密な栽培管理と土づくり、そして地域に根ざした知恵と工夫にありました。

前職の経験を活用、データ農業の取り組みを開始

異業種から農業の世界に飛び込んだ和秀さんは、もともとIT業界でシステムエンジニアとしてシステム開発や構築のプロジェクトに携わっていた経験を持ちます。そのスキルを農業に応用し、過去の売上データや気温・降雨の記録、播種から収穫までの経過日数をデータ化。数字をもとに傾向を読み解き、栽培計画や収穫時期の最適化に活用しています。

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「例えば、この時期に播種(種まき)すると何月頃に収穫できるか」「気温が何度を超えると生育スピードがどう変わるか」など、感覚だけでは掴みにくい要素もデータに落とし込むことで、より安定した品質と収量を実現しているといいます。

「就農してまもない頃、自分に何ができるかと考え、過去の売上や収穫量などをデータ化することから取り組み始めました。データを見比べていくと『この時期には値段が上がっているけど、この時期には下がっている』などの変化に気づくことができました。それから毎年、一年の成果を数値化・データ化し、建さんが築いて下さった土台をさらに向上させていけるよう、改善を心がけています」

播種から収穫まで “全体設計” の工夫

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菊島農園では、スイートコーンだけでも160 アールを超える規模での栽培を行ってきました。収穫は鮮度を重視した朝どりを徹底。そのため、播種のタイミングを綿密に計算し、気温の推移から生育スピードを逆算して、収穫が集中しすぎないよう播種日を少しずつずらしたり、まとめたり。また、均一に生育させるよう栽培して畑ごとに収穫を一斉に行い、収穫し終わった畑はすぐに片付けて次の品目の準備を行うなど、スイートコーンの後に作る品目の作業もスムーズ。これによって、収穫や出荷などにかかる負荷を管理しています。

また、栽培資材にも独自の改善を重ねているそう。

「この地域では、建さんの時代に『そさい研究会』で植え付けの間隔をどれくらいが適切かを色々試したそうです。結果、他の地域では27センチ間隔のところ、この辺りでは26センチが最適であることがわかりました。そのため最近では、保温のため畑の畝に張るビニールシート(マルチシート)についても資材メーカーに特注して26センチ間隔のものを作ってもらっています。同じ面積で、スイートコーンの品質を落とさず収穫本数を増やすことにつながり、10アールあたりの収穫量が大きく増加したシーズンもありました」(和秀さん)

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これらの成果は、地域の他の生産者とも共有。「情報交換を積極的にやるようにしています。新しい資材や品種が出たら、まず試してみて、良ければ仲間内で共有する。高齢化が進む中で、農業経験が少なくても成果が出しやすい環境づくりは大事だと思うんです」と和秀さんは語ります。

「特選」を届ける、個人販売の魅力

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現在、菊島農園では、農協を通じた出荷に加えて、直販にも力を入れています。特に個人販売では、より質の高いスイートコーンを選りすぐり、リピーターや紹介でつながったお客様へ丁寧に届けています。

「うちでは、山梨県青果物標準出荷規格A品と判定されたものの中でも、さらに“これは絶対に美味しい”と思えるようなものだけを選んでいます。毎年買ってくださる方も多く、その方たちがさらに周囲に勧めてくださって、自然と輪が広がっていく。ありがたいことに、あまり宣伝はしていません」と和秀さん。

菊島さんが生産するスイートコーンの主力品種であるミルフィーユは糖度が20〜21度を超えることもあるそう。直販のお客様から「まるでフルーツのよう」「生で食べられるとは思わなかった」と驚かれることも多いと言います。畑からもぎたてのミルフィーユを生でかじると、シャキッとした歯ごたえとともに優しい甘みが広がる―。そんな驚きと感動を、直販のお客様が菊島農場を訪問してくれた際にはその場で体験してもらうこともあるそうです。 

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「スイートコーンって、何もせずとも元々美味しい。でも、こちらが余計なことをせず、野菜の力をうまく引き出してあげることで、さらに“感動する味”になる。それを食べた人の笑顔が、また次のエネルギーになるんです。」

“つくる”だけでなく、“届ける”ところまで手間を惜しまない。そんな農園の姿勢が、信頼のつながりを少しずつ、着実に広げていくのでしょう。

 

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