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ページID:28281更新日:2017年5月8日

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遺跡トピックスN0.218金の尾(かねのお)遺跡〔甲斐市〕

甲斐市の遺跡

0218金の尾遺跡-土偶-
0228金の尾遺跡-紡錘車-
0273金の尾遺跡-4号住居-
0398金の尾遺跡-県内最古のガラス玉-
0245唐松遺跡-炉のない家-
0363唐松遺跡-炉と土偶-
0253竜王2号墳-馬具にみる古代の技術-

金の尾遺跡

金の尾遺跡の弥生時代の土偶高さ11.90cm

金の尾遺跡(かねのおいせき)は昭和54年から55年にかけて、中央自動車道建設に伴い発掘調査されました。

本県では現在土偶が2603点報告さてれいます。そのなかから、弥生時代の土偶について紹介します。弥生時代の土偶といえば、中空の「容器形土偶」が注目されていますが、粘土の塊の中実である金の尾遺跡の土偶はあまり注意を引かなかったといえます。

報告書:『金の尾遺跡・無名塚(きつね塚)』1987

山梨県埋蔵文化財センター調査報告第25集

全国的に類例を探すと、福島県にありました。これは頭部ががま口状になっており、全体のプロポーションも金の尾遺跡のものによく似ています。金の遺跡の土偶の頭部が推定できます。

福島県毛萱遺跡

福島県毛萱遺跡の土偶高さ11.50cm

中空の容器形土偶は笛吹市岡遺跡で夫婦像と思われる2個体と別個体の破片、韮崎市坂井遺跡で大甕の中から1個体発見されています。いずれも中空で、蔵骨器という考えもあります。岡遺跡の小さい方の個体と坂井遺跡例は頭頂部ががま口状の特徴ある形をしています。

坂井遺跡

坂井遺跡の容器形土偶高さ25.5cm

岡遺跡

岡遺跡の容器形土偶高さ23.0cm

金の尾遺跡の土偶は脚部と思われる部分が膨らんで、容器形土偶とよく似ており、腹部の沈線文も岡遺跡例に似ています。そうすると、福島県毛萱遺跡の類例とともに頭部の形も容器形土偶に似ていると推定されます。そこで、がま口状の頭頂部に注目すると、韮崎市三宮地遺跡の土偶が思いだされます。この遺跡は縄文時代晩期に位置付けらていますが、頭頂部はがま口状をしています。

三宮地遺跡

三宮地遺跡の土偶高さ8.45cm

縄文時代から弥生時代への移行期はわれわれが思っている以上に変化の激しい時期だったと思われます。そうした変化が土偶にも見られます。

なお、今回はセンターが取り組んでいる遺物のデータベースの暫定版の「土偶」をもとに作成しました。

参考文献

志村滝蔵1965『坂井』

野沢昌康1985「甲斐・岡遺跡出土の容器形土偶」『山梨考古』14

大竹憲治1990「弥生時代」『天栄村史』

韮崎市教育委員会1998『三宮地遺跡』

設楽博己1999「土偶形容器と黥面付土器の製作技術に関する覚書」『国立歴史民俗博物館研究紀要』77

 

 

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