ページID:39923更新日:2023年1月20日

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知事臨時記者会見(平成23年11月24日木曜日) 

本館2階特別会議室

11時00分から

発表事項

配付資料「「峡東地域の指名停止事業者の会社経営に関する調査結果」及び「峡東地域の経済・雇用情勢に関する調査結果」 報告」(PDF:143KB)

配付資料「指名停止事業者の会社経営に関する調査結果報告書(県土整備部)」(PDF:358KB)

配付資料「峡東地域の経済・雇用情勢に関する調査結果(産業労働部)」(PDF:223KB)

 指名停止措置の短縮を求める請願の対応について 

知事

峡東地域の建設業者に対する指名停止措置につきまして県の方針が固まりましたので、臨時の記者会見をお願いしたところであります。お手元にいろいろな資料があると思いますけれども、調査資料等につきましては私の記者会見の後、県土整備部そして産業労働部からさらに詳細な説明を皆さんに対してさせていただきたいと思います。

指名停止措置の短縮を求める請願の対応について、県では、公正取引委員会から独占禁止法違反として排除措置命令を受けた峡東地域の建設業者36社に対しまして、(平成23年)4月27日に指名停止等措置要領にのっとって、34社を12ヶ月の指名停止に、2社を15ヶ月の指名停止としたところであります。

指名停止を行うに当たっては、これは4月27日の私の記者会見で申し上げたことでありますが、「今後、今回の指名停止措置による峡東地域における経済や雇用への影響について注視し、大きな影響が生じた場合には、さらに必要な措置を講じていく」こととしておりまして、経済や雇用に関して毎月調査を行い、注意深く観察して参りました。

こうした中、9月定例県議会において、指名停止期間の半減を求める請願が採択されたことを受けまして、県ではこの請願の内容を確認するために、10月に金融機関や峡東地域の商工会からの聞き取り調査、指名停止対象業者に対するアンケート調査を行ったところであります。

この結果、地域経済や雇用情勢はかなり厳しい状況であるということ、対象業者が厳しい状況の中で経営努力をしていることが確認できましたけれども、これらについて、さらに客観的に検証する必要があることから、11月に外部の中小企業診断士の指導を受けた経営診断や、金融機関からの聞き取りなどを実施したところであります。この11月調査では、対象業者に対しまして、経営状況を客観的に判断するために、資金繰りや手持ち資金、金融機関等からの融資状況などについてのヒアリングを行いまして、業者から提示された数値等について、通帳、残高証明、決算書などで確認を行ったところであります。その上で、調査内容を整理し、外部の中小企業診断士に対象業者の経営状況の検証をお願いしました。この結果、すでに廃業等を行った2社、回答のなかった1社を除いた33社のうち11社については、極めて厳しい経営状況にあり、指名停止措置が継続し、現状で推移した場合、年末から年度末にかけて廃業や倒産の危険性が非常に高いとの判断でありました。この点につきましては、後でコメントいたします。

各金融機関からの聞き取り調査では、個々の対象業者ごとの見解を得ることはできなかったものの、あくまでも一般論と前置きした上で、工事受注との見合いで融資が実行される建設業の特性から、このまま工事が受注できない状況が続くこととなれば、年内は人員削減や給与カットなどで持ちこたえることができても、年明けになると相当数の業者において、手持ち工事が少なくなり、非常に厳しい経営状況に陥るとの見解が示されております。このことは、中小企業診断士の診断結果を裏付けるものとなっております。

さらに、各金融機関等からの聞き取りでは、数十から百社の下請・孫請業者、あるいは資材納入業者などは既に大きな影響を受けているが、元請企業の廃業や倒産によって、さらに悪影響が及ぶことになるのではないかとの指摘もありました。

今後、廃業や倒産が多数発生すると、指名停止以降11月までの解雇等による離職者は既に178人でありますが、これに加えて、新たに多くの離職者が発生し、地域の経済や雇用に大きな影響が生じることとなります。

以上のことから、今回の調査によって、指名停止措置が対象業者の相当数に対して、廃業や倒産の高い危険性をもたらしているということ。また、対象業者の廃業や倒産が現実のものとなった場合、対象業者の雇用が失われるばかりでなく、これらの数を上回る下請・孫請業者への深刻な影響が見込まれ、こうした影響が峡東地域の経済・雇用全体に波及することが確認されたものであります。

指名停止措置は指名停止等措置要領にのっとって、あらかじめ定められた期間、今回は12ヶ月と15ヶ月ということでありますが、「情状酌量すべき特別の事由」がある場合のみ、指名停止期間の短縮が認められるものであります。これは指名停止等措置要領第3の5にそう書かれております。

今回の場合、1点目として9月定例議会において、指名停止措置が地域の経済や雇用へ深刻な影響を及ぼしていることから、その期間の半減を求める請願が採択されたところであり、この議会の議決を重く受けとめる必要があること。

2点目として指名停止措置は談合の再発防止を目的とする制度であるが、今回の調査によって、もはや談合の再発防止の効果を超えて、峡東地域の経済や雇用に回復困難な打撃を与えるおそれがあることが確認されたこと。

3点目といたしまして山間部の多い峡東地域では、これから迎える冬期の国道137号・411号等の除雪や路面の凍結防止作業が必要となるが、こうした維持管理や災害発生時の緊急対応などの担い手となる地域の建設業者が減少、または、能力低下し、安全で安心な住民生活の確保に大きな影響が出ることから指名停止期間を短縮することはやむを得ないと判断しました。この辺はまた後でコメントいたします。

具体的には、対象業者が、年明けから県工事の受注が再開できるような状況にすることが必要であると判断し、県工事の公告から受注までの期間として、約2ヶ月を要することを考慮の上、これも後で説明いたしますが、既に廃業した1社を除く35社のうち、指名停止を12ヶ月とした33社については、平成23年11月27日をもって、指名停止を15ヶ月とした2社については、平成24年1月20日をもって、それぞれ要領第3の5に基づき、指名停止措置を解除することとしました。

なお、今回の措置は個々の対象業者を救済することを目的とするものではなく、峡東地域の経済や雇用全体への回復困難な打撃を避けるために講じるものであります。

多くの県民からは、今回の談合事案に対する厳しい意見や、指名停止を短縮すべきでないという意見が寄せられております。指名停止措置を受けた峡東地域の建設業者は、こうした厳しい意見を真摯に受け止め、また、県内の全ての建設業者もこのことを自らの問題としてとらえ、二度とこのようなことが起きないように、法令の遵守、企業倫理の高揚、地域社会への貢献、体質改善などに取り組んで、社会的な責任を果たしていくことを強く求めるものであります。

以上でありますが、いくつか補足させていただきます。お手元に(「峡東地位の指名停止事業者の会社経営に関する調査結果」及び「峡東地域の経済・雇用情勢に関する調査結果」報告という)資料があると思います。これのまず1ページをご覧いただきたいと思いますが、これは県土整備部が行っている調査であります。下の方に「4調査内容及び方法」と書いてありまして、「(1)11月調査」と書いてあります。今回11月に行った調査ではどういうことを行ったかということでありますが、中小企業診断士による経営状況の検証を行ったわけであります。その前提として対象の業者から財務データの提供を受けまして、これを基に事業者別にヒアリングを行って、その財務データの根拠を確認し、精度・信頼性を確保したということであります。調査項目は11月1日現在の従業員数、手持ち工事の状況、課徴金の支払い状況、手持ち資金及び金融機関等からの融資状況、4月から12月までの資金繰りの状況、そういったことをまずヒアリングで調査し把握したということであります。

そして2ページへ行っていただきまして「5調査結果の概要」というところでありますが、「(1)11月調査」というところであります。そうやってヒアリングで得たデータにつきまして、中小企業診断士に経営状況の検証をお願いしたわけであります。企業の破綻というのは、この①に書いてありますようにまず売り上げの不振とか費用の増加がある。そういたしますと経常収支がマイナスになって参ります。これは当然のことであります。売り上げなどの経常収入に対して賃金とかあるいは資材費とかそういう経常支出が多くて収入では支出を賄えないという状態が起こる。そうすると経常収支が赤字ということになるわけであります。経常収支が赤字になりますと手持ち資金がどんどん減って参ります。結果的に手持ち資金がゼロになる。それが資金枯渇、資金ショートというわけであります。資金がショートしますとこれはもう手としては金融機関から借り入れをするしかないわけであります。金融機関に行って相談するわけでありますけれども、金融機関はもちろん総合的に判断をするわけでありますが、やはり一番見るのはその企業がすでにどれがけ借り入れがあるかと、自分の体力以上の借り入れをしているかどうかということを見るわけであります。そしてその結果としてこれはもう無理だということになれば、資金調達が不能という状況になって破綻に陥るということであります。そういう破綻に至る流れのいくつかのポイントとなる指標があります。経常収支マイナスは経常収支比率というもので見ると、資金の枯渇は当座資産のマイナスがいつ起こるか、何年何月頃当座資産がマイナスになるかというとこで見ていく、資金調達能力、金融機関が貸してくれるかどうかということは直近の借入金回転期間、つまり月の売り上げに対して、現在の借金が何ヶ月分あるのかということであります。これは企業の体力に応じて借金がどの程度あるのか、返済できるかどうかが分かるわけであります。直近の借入金回転期間というデータで分析するわけであります。そうして経営状況の総合判定は手持ち資金の推移、これは当座資産の状況ということでありますが、借入金回転期間、10月末借入金規模この2つの指標で判定をしてランク分けを行ったということであります。

②に33社の経営状況の総合判定がございますが、ご覧のように「経営は健全で安全性が高い」これをAランクとします。これが2社あります。「経営の安全性において問題がない」B、これが4社あります。「当面危険はないが、財務体力は強くない」C+、これが12社あります。「資金不足は生じるが、何とか維持できる範囲」であるC-、これが4社あります。「危機的な状況」これがDのランクですが7社、「極めて危機的状況」E、これが4社ということであります。

そして、③の「調査結果のまとめ」といたしまして、Eにランク付けされた「極めて危機的状況」の4社は年末、又は年明け早々にかけ、廃業や倒産の危険性が非常に高い業者である。危機的状況の7社は、年明けから年度末にかけ、廃業や倒産の危険性が非常に高い業者である。したがってこの7社に4社追加した11社が年末から年度末にかけて廃業や倒産の危険性が非常に高いと判断したわけであります。この詳細については、また後ほど説明させてもらいます。

次に金融機関等のヒアリングの結果というものが、この資料の7ページにございます。7ページの一番下に「県内の金融機関からの聞き取りでは、」と書いてあります。同じことが書いてあるわけであります。個々の対象業者について、それぞれメインバンクがあるわけでありますが、そのメインバンクがどういう判断をしているかというところを聞きたかったわけでありますけれども、これについては企業としての守秘義務があるので、それは勘弁してもらいたいということでありまして、あくまでも一般論であるという前置きをした上で、工事受注との見合いで融資が実行される建設業の特性から、このまま工事が受注できないという状況が続くとすれば、年内は人員削減や給与カットなどで持ちこたえることができても、年明けになると相当数の業者において、手持ち工事が少なくなり、非常に厳しい経営状況に陥るとの見解が示された。

さらに金融機関が問題にしておりますのが、数十から百社の下請・孫請業者、あるいは資材納入業者などは、すでに大きな影響を受けているが、元請企業の廃業や倒産によってさらに悪影響が及ぶことになるのではないかという指摘もあったということであります。

この点につきましては、その3つ、ちょうどこの今の7ページの真ん中辺りのところに地元の3つの商工会に聞き取りを行った調査であります。ここに商工会長あるいは商工会の方々に聞き取りした結果が載っております。建設業においては元請、下請、孫請と縦系列で仕事を受けている実情から元請企業が仕事を取れなかった場合、その系列下の下請、孫請企業には仕事が廻っていかず、元請業者の手持ち工事が終了しつつある中で、このままの状況が継続するならば、下請や孫請の小規模事業者の経営破綻やこれら事業者のもとで従事している者、とりわけ転職等が困難な中高年齢者の失業など、地域の経済や雇用にとって深刻な問題が発生するとしているとのことであります。

ハローワークからの聞き取りもその下で行っておりますのが書いてあります。今後、このままの状態が続いた場合、一気に経営が悪化し、倒産などにより大量の失業者が発生することが懸念され、現在の雇用情勢の中では、資格や技術を有していない者の再就職や転職は非常に厳しいとの見解であったということであります。

本県の指名停止等措置要領では、「情状酌量すべき特別の事由」がある場合のみ指名停止期間の短縮が認められているところであります。この指名停止等措置要領の第3の5というのがございまして、読んでみますと「5県土整備部長は、指名停止の権限は県土整備部長に移譲しております。県土整備部長は、指名停止の期間中の業者について情状酌量すべき特別な事由、または極めて悪質な事由が明らかになった時は別表各号、前各号及び第4に定める期間の範囲内で指名停止の期間を変更することができるものとする」と書いてあります。つまり「情状酌量すべき特別な事由」のある時には期間を短縮し、「極めて悪質な事由」が明らかになった時は期間を延ばすということができると書いてあります。

今回の場合には、議会の議決を重く受けとめなければならないとか、極めて大きな経済への影響があるとか、峡東地域の特殊性は山間部が多くて国道137号というのは御坂(へ行く道路)、それから411号というのは柳沢峠を超えて丹波山へ行って青梅に行く道路です。これらについては、除雪とか路面の凍結防止作業が必要になる。年間この峡東地域では11月から3月の間に年間5回から10回ぐらい、5日から10日くらい平均的に除雪が必要となるとされております。この業者が減少、つまり倒産によって少なくなる、あるいは能力が低下というのは、例えば苦しくなって機械を売ってしまったとか、あるいは機械を操作するには、特別な免許を持った人間が必要となるのですが、解雇してしまったとかになると能力が低下するわけであります。そういうことになると、この除雪等がスムースに行われなくなるという問題があるということであります。なおこの36の指名停止対象業者のうち、28社がこの区間を分けて毎年この除雪の契約を結んでいるところであります。

それから県工事の公告から受注までの期間として、約2ヶ月を要することを考慮の上と言っております。つまり、今この指名停止を解除しても直ちに工事が受注できるわけではなくて、お金が入ってくるには2ヶ月弱かかるということであります。特にこの今の時期は年末年始の休みがあるものですから、例えば公告日というのはあらかじめ決まっているのですけれども、11月29日に公告が行われた工事については、最終的に契約が1月30日に行われることになる。だいたい2ヶ月、あるいは2ヶ月弱の期間があって、いろいろな作業があって、そして初めて契約が行われるわけであります。公告が行われて、そして入札の説明が行われて、業者の方が参加申請を出して、その参加資格を審査して、そして入札が行われて開札する。総合評価方式の場合には、そこで総合評価が行われるということがあって、その結果としてだいたい1ヶ月プラス1週間とか2週間かかるわけですが、今の時期は年末年始の休みがあるのでやはり2ヶ月、あるいは2ヶ月弱ぐらいになるということであります。

そういうことも考えて、この今の時期に指名停止を短縮することとしたということでありまして、指名停止12ヶ月の33社については、11月27日ですから7ヶ月で指名停止を終えるということであります。15ヶ月とした2社につきましては、比例按分いたしまして、15ヶ月かける12分の7で(平成)24年の1月20日をもって指名停止措置を解除するということにしたということであります。

以上で私の説明を終らせていただきます。

<質疑応答>

記者

指名停止を一度かけて、それを途中で短縮するということが、全国的に見て例があるのかということと、あと業者が倒産するということが強いということが大きい理由かと思いますが、この業者の倒産と、業者に関連のない例えばガソリンスタンドとか、商品を売っている企業と地域経済にどういう影響があったのかということは、客観的なデータで立証できているのかという点を教えていただけますでしょうか。

知事

まず、指名停止が行われて、その指名停止の期間を短縮した例があるかということでありますが、今申し上げましたように指名停止等措置要領という要領を各県でみな決めているわけです。山梨県と同じようなことが書いてあるわけであります。先ほど申しました指名停止等措置要領の第3の5という短縮規定ですが、これも各県みんなあります。それに基づいて短縮した事例というのは、最近の例では茨城県が平成23年8月8日、59社に対しまして、本来はこの指名停止等措置要領で12ヶ月の指名停止をしなければならないところを、原則6ヶ月、業者によってはいろいろ加重要因があって9ヶ月とか12ヶ月もありますが、原則6ヶ月と指名停止期間を短縮しております。

それから、奈良県及び奈良市が平成21年9月1日、184社に対しまして、これは24ヶ月、規程に基づいて24ヶ月の指名停止を行っていたわけでありますが、これを12ヶ月、半分に短縮しております。

いずれの県、市の場合にも、やはりこの倒産や廃業が続出して地域の経済とか、あるいは災害時の県民の安全確保とかに支障が生ずるといった理由によって、そういうことを行っているということであります。倒産することによって、関連業者、地域のいろいろな、ガソリンスタンドとかそういう関連業者にどういう影響が生ずるのか。これは、数量的には出てくるものではないわけです。もちろん、ガソリンスタンド業者があり、あるいは取り引きしている業者があり、あるいは資材業者、資材を納入している業者があり、建設業の関連の業者、取り引きしている業者、それぞれについて、具体的に例えば、その取引業者が倒産したら、その業者にどういう影響があるのか、倒産してしまうのか、あるいはあまり影響がないのか、そういうことを数量的に推計するということは困難でありましてそれはありません。しかしながら、今年の10月に産業労働部がそういった調査を行っております。

(産業政策課長に対して)少し説明してください。

産業政策課長

10月11日から14日。まず、アンケート(調査)をしまして、その結果を受けましてヒアリングを行いました。(峡東地域の経済・雇用情勢に関する調査結果山梨県産業労働部)4ページの辺からアンケート調査の結果をまとめてございます。4ページの下のところでございますけども、100社抽出してのアンケートということで、58社が悪化している。その58社のうちの45社が指名停止の影響を受けて悪化しているという形でお答えをいただいております。このアンケートを踏まえまして、5ページにありますヒアリング等をしました。10月11日から14日については、各業界関係をやりましたけども、もう1回このアンケートの結果で影響を受けているという業者を21社抽出しまして、訪問しまして細部を聞き取りました。細部を聞き取ったところの中身がここに記載してございます。もっと個別の話も聞きまして、資材業者は7割減とか細かい話もありましたが、企業が特定されたりしますので、そういった話は細かくは書いてございませんけれども、そこにまとめたものがこの企業の聞き取り状況です。特に資材関係では大きな影響が出ているということを確認しております。

記者

追加ですが、これは指名停止によって影響が出ているというお答え、例えば円高とか震災とかの影響もあって、それで何が原因で経済に影響が出ているかというのは、非常に難しいと思うのですが。

知事

それはおっしゃるとおりです。

記者

その悪化していると言った方が、その結果というのは、あくまで指名停止を前提に悪化しているというお答えでよろしいでしょうか。

産業政策課長

産業労働部の(調査結果)2ページのところに内容が書いてございます。2のところが指名停止の影響があった45社の状況でございます。指名停止の業者と直接取り引きがあり大きな影響が出ている、これが7社ございました。直接取り引きがあって、少なからず影響が出ているところが15社。悪化したというのが58社で、このうち45社が指名停止の影響ありと答えております。その度合いを4段階で書いてございます。大きな影響があり7社、それから少なからず影響があり15社。ということでございましたので、上の方の①②については、再度訪問してヒアリングしました。特に1番のところは、非常に大きな影響が出ているということが確認できております。それをヒアリングの評価結果の方へまとめてございます。

記者

知事は、2007年に指名停止措置の罰則の厳格化をされていまして、そういうところを見ても今回の判断というのは、政治判断の非常に重いことと思うのですが、1点まず確認したいのは、先ほどの県土整備部長が期間を変更できるとおっしゃられたのですが、そうすると判断の主体は県土整備部長なのでしょうか。それとも知事なのでしょうか。

知事

これは役所の仕事にはよくあることで、知事の権限を各部長に委譲するのです。任せているわけです。専門的な項目等については、それぞれの部長を信頼して任せているということです。指名停止についてもやはり、かなり専門的な事項でありますので県土整備部長に判断を任せているということでありますが、これはもちろん、県土整備部長の名前で指名停止はするとしても当然私に相談があり、私の判断があった上でやっていることでありますし、責任は私にあるということであります。
2007年に確かに厳罰化、厳格化を行ったわけでありますが、これはご承知のようにその前の年でしたか、全国知事会でこの指名停止措置についてプロジェクトチームを作って、これをもっと強化しようではないかという議論があって、知事会の中で今の山梨県のまったくこのままが決まりました。例えば、1年から2年にするとか、それをそのまま2007年に本県の指名停止等措置要領を改正して直しているわけです。

したがって、山梨県だけが厳格化したわけではありません。47都道府県全部行っていないけれども、おそらく30数県は都道府県の公共調達改革に関する指針にのっとって、30数県が本県と同じように直しているということであります。厳格化したにもかかわらず、短縮するのはどういうことかということですけれども、それは説明しているように、やはりそれは確かに1年なら1年と指名停止したわけですから、それを貫くべきではないかという意見はあると思います。それが行政の筋だということをおっしゃる意見はあると思います。
一方において地域の経済や雇用、これは県がその地域の経済や雇用に責任を持っている立場です。その地域の経済や雇用にこの著しいマイナスの影響が生じてくる場合には、その責任を持つ県としてそれを見過ごす、放置するということはできないということです。そういう総合判断の中で、この11月26日をもって解除することが適当と判断したということであります。
特に、私が気になるのは業者の中でも比較的小さい業者、中小零細業者、これに影響が大きく及んでいくわけです。とりわけ、下請、孫請の業者というのはみんな零細業者です。これに非常に大きな影響が及んでいく。大きい業者はある程度、体力というものがあります。しかし、小さい業者というのは体力がないから影響が非常に大きく響いてくる。それから、当然失業というものが離職、解雇というものが出てきますけれども、若い従業員はいろいろな再就職の機会があるわけでありますけれども、わりと建設業の場合には高齢の方も多く、そういう人は今のこの厳しい状況の下ではなかなかこの再就職というが困難であるということでありまして、そういう弱い立場にある企業とかあるいは事業主にこの大きい影響が及んでくるというところが、私としては判断した1つの材料になっているということであります。 

記者

少し疑問に思ったので質問したいのですが、11月調査で少なくとも年末または年明け早々にかけて、廃業や倒産の危険性が非常に高い業者が11社とあるのですけれども、そうするとほかの22社は少なくともそうではないという考え方でしょうか。その22社に対してもやはり同じように短縮する必要があるのかということが疑問なのですが、どうなのでしょうか。

知事

それは公平性の問題で、1つ1つの業者についてみて、あなたは短縮する、あなたは短縮しないということは、それはやはり扱いとしては不公平になるのではないか。やはり扱う以上は同じ事情で指名停止措置を受けたわけでありますから、解除するというのは個々の業者を救うという観点よりも地域経済への影響というものが大きいということを判断して解除するわけですから、これは同じように扱うということが当然のことであります。確かにその11社以外の、残りの22社は生き残っていくと、これも1つの分析ですから100パーセントそうなるかどうか分かりませんけれども、生き残っていくかも知れません。しかし、当然のことながら強烈なリストラをしますから、下請、孫請業者は苦しくなると言うこともあります。だからやはり、地域経済への影響とか雇用への影響というものは同じように出てくるわけです。ということも考慮して、これはやはり同じように扱うしかないということであります。

記者

続けて伺いますけれども、そうするとその可能性の問題でいうと、通例この11月の調査で極めて危険というところも、同じようにあくまで可能性の問題ともとられるし、結果的には目的は経済の救済とはいえ、結果的には個別の企業を救うことにはなるわけです。個人が救えないから結果的にその受け皿の企業を救わざるを得ないという状況だと思うのですけれども、それでもまたその可能性で言うと生き残った会社は、また今後談合しないとは言い切れないわけで、その時にまた将来的にまた同じようなことが繰り返されて、またそして短縮することになりかねないかもしれないということにもなるのですけれども、経済が懸念されると言うのは十分わかるのですけれども、1回短縮するとまた同じようなことにならないとか、ここはやっぱり厳粛に貫き通すべきなのではないとかという意見もないとも言えないと思うのですけども。

知事

まず、ご理解いただきたいのは、これは超法規的な措置で行っているわけではありません。本来制度として行ってはいけないことを超法規的に行っているわけではない。指名停止等措置要領の第3の5という短縮規定があるわけです。それにのっとって合法的に行っているわけです。すでに行っている都道府県も今申し上げたとおりあるわけです。

だから要はおっしゃるように、極端に言うと今回対象になった業者が将来またやるという可能性は、正直言って、今回の措置で対象業者は非常に苦しんでいる。経常収支比率を見ても急速に落ちて苦しんでおりますから、もう二度とこんなことは嫌だと判断すると思いますけれども、しかし、あなたのおっしゃるように絶対にないかというと、それは分からないわけですけれども。しかし、その時にはその時点で今回と同じように判断していくしかないということだと思います。なお言うまでもなく、この措置要領に基づいて今回の指名停止の措置があった事案の3年前までの間に、談合をやったとか、あるいはいろいろな建設業法違反みたいなことをやったとか、そういうものには加重、1年なら1年のところが1年何ヶ月と、今回は2社が1年3ヶ月になりました。

それともう1つは、悪性の高いものについては、1年のところが1年にプラスアルファということになりますから、そういう措置はもちろんやることになるわけです。いずれにしても、次に何かあったときにはやはり同じように状況で判断していくしかないということであります。

記者

11月調査で1社回答がなかったとあったのですけれど、これは何故回答がなかったのでしょうか。

技術管理課長

面談にはお見えになりましたが、会社の内容については回答したくないという単純な話でした。

記者

2点あるのですけれども、まず1点目は、4月の段階で指名停止を出すときに、すでに横内知事は地域経済に影響があるかもしれないと、それにはしっかりと対応していくというお話をされていましたが、予想されていたことだとは思うのですけれども、当初と今実際にデータを見て予想どおりだった、あるいはそれ以上だったという感想と、厳罰化したものを短縮するということに今回なりましたが、そうすると今後この指名停止期間自体を見直すのか、どのような対処をとっていくのか伺いしたいと思います。

知事

これは当然のことながら、指名停止をすれば、県の公共工事を受注している業者は自分の仕事の半分とか、かなりの部分は県の工事で端的に言えば会社が動いているわけですから、それがなくなれば厳しくなることは当然のことであります。それは予想はしていたことでありますけれども。これだけ大きな影響が生じてくるところまでは予想しておりませんでした。いろいろな県の工事がなくても、市町村の工事がある、あるいは民間の工事など取りながら、生き延びていくのではないかと思っておりましたけれども、予想以上に影響が大きいと、特に雇用への影響、下請への影響、その辺がかなり深刻なものになるということが分かったということであります。

期間の短縮というのは、指名停止等措置要領については先に言いましたように知事会の方針に基づいて行っていることでありますので、今、短縮するということは、制度そのもの、措置要領の期間を短くするということは考えておりません。

記者

知事会の指針に基づいて、それは山梨県にそぐっていないというような理由から今回短縮になったと思うのですけれども、いわゆる談合に対して山梨県としてどういう風な姿勢で臨むのかというのが、今後の指針に基づいて出して、また短縮して同じようなことを繰り返すのか、あるいは山梨県的なものをつくられるのか、お考えはないですか。

知事

山梨県的なものというのが、どういうことをおっしゃっているのかよく分かりませんが、少なくとも今、措置要領で決めている期間を1年ないし2年となっているのですが、それを改正するということは考えておりません。

記者

今回も知事が判断しているように、要するにその談合という防止措置を加えて経済への影響が出てしまったという判断だと思うのですけれども、その中で談合が繰り返される懸念もあるので、県として何か談合した業者に対する調査とか防止策を今後どのように考えているのかお伺いしたいのですけれども。

知事

具体的な防止策というのは、これは要するに法律違反ですから、それはもうやっていけないのは当然であって、それが明らかになった時には今回のような指名停止措置をとっていくということです。これ以上の防止策っていうのは、なかなか今もいろいろやっているのですけれども、プラスアルファで今、とりあえず何か考えているということはありませんが、現在その談合の防止策でとっていることについて説明します。

技術管理課長

4月に公正取引委員会の方から総合評価(に係る談合)の事例が示されたと思います。このような談合が疑われるということ。そういう疑いをもたせるってことにつきまして、総合評価落札方式においては技術提案を私どもが評価するわけですけれども、それを業者の技術者を呼んでヒアリングして、きちんとその人が現場をわかって、ものを書いているかどうかというのをこの下半期試行的に始めました。それから同じものがある業者が作って、同じものを配って、それを提出しているというようなことがありましたので、これは前から行っていることですけれども、例えば5社から出てきたその提案書の内容をよく見て、類似性があるものについてはこれを審査して、そして談合のマニュアルがありまして、例えば、報道機関の方から談合の通報があった場合はこういう処理をしていくというマニュアルがあります、それと同じようにそういう疑わしいものがあったらばその委員会を開いてそこで審査する。今のところそれはございませんが、そういうような手続きを始めております。

知事

今のところございませんとは、どういうことですか。

技術管理課長

同じような作文があって、それはA社が書いたものをB社が一緒に使っているとか、そういう、入札過程で施工の工夫を提案してもらうのですが、それが同じものが出ているではないかという事を公正取引委員会からも指摘がありました。そういうことがあるかどうかというところを今までも見ておりましたが、今度はもう少し詳しく見て、そういうものがあれば、それを談合の通報と同じような扱いにして、委員会を作ってその中で審査していくというやり方を行っているのですが、今年はそういう案件は今のところはないです。

知事

言っていることは、総合評価落札方式の場合は価格だけではなくて、いろいろな事業の施工の方法などを業者に書かせるわけです。書かせたものを出させて、それを審査委員会で審査して決めていくわけです。談合があると書いてある文書が全く同じものが出てくるわけです。そうしますと談合があったと分かるわけです。そのようなことは、談合が推定されるから、委員会を開いてそこで審査することを言っているわけです。

記者

それは今後の県としての姿勢だと思うのですけれども、公正取引委員会から指摘される前に談合を事前に何とか防止しなければいけないと思うのです。そこの過程でより厳しくしていくことはどうでしょうか。

知事

おっしゃるようにすでに談合を防止するためのいろいろな入札監視委員会などの制度がありますけれども、その運用を厳しくしていかなければいけない。現在ある制度についても、この際見直して、技術管理課長が今いくつか見直しと言いましたけれども、そのような見直しは当然行っていかなければいけないと思っています。

記者

県土整備部の技術管理課長にお伺いします。先ほど、詳しく見てとは、どのように詳しく見るのでしょうか。

技術管理課長

いつも詳しく見ていますが、技術提案がそこの現場にそぐっているのかどうなのか、横並びにしてA社が言っていることとB社が言っていることが全く同じであれば、これは非常に怪しいですから、そのような視点でまんべんなく詳しく見ることです。今までも見ていますがその点は同じです。

記者

そこは注意力の問題ですか。

技術管理課長

見れば分かります。

記者

知事のコメントの中で、県民からの厳しい意見が来ているとのことですが、これはどのくらいどのような内容が来ているのかと、それから先ほどの確認なのですが、知事のお考えとしては、峡東地域の経済がよくないのは指名停止だけの影響とは言えないとの考えでよろしいでしょうか。

知事

後半の方については、これは峡東地域だけではなく山梨県全体が円高とかによって中小企業には厳しい状況があります。峡東地域についても同じような影響があることは確かなことであります。しかし、プラスアルファして指名停止措置がなされているためにプラスアルファしてマイナスの影響が生じている。現に後で説明すると思いますけれども、いわゆる企業の業況調査(DI調査)を見ても全県平均よりも峡東地域のDIが悪いとかは数字としてありますので、指名停止の影響は生じていると判断しているところです。それから私個人はいろいろな人と接触したり、付き合いの中で(指名停止を)解除すべきではないと最後まで行うべきだと言ってくる人は何人もおります。

(技術管理課長に対して)後はどうですか。

技術管理課長

前回の10月26日の記者会見の前後の新聞報道等を県民の方がご覧になって10数件のご意見をいただいております。今回のことについても電話で10件程度いただいております。

知事

後の詳しいことは、技術管理課長と産業政策課長に聞いていただきたいと思います。

 

(以上)

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山梨県知事政策局広聴広報グループ 
住所:〒400-8501 甲府市丸の内1-6-1
電話番号:055(223)1336   ファクス番号:055(223)1525

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