ページID:38778更新日:2023年1月20日

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知事記者会見(平成23年8月30日火曜日) 

本館2階特別会議室

11時30分から

発表事項

発表事項以外の質疑応答

 韮崎射撃場の土壌調査結果について 

知事

これにつきましては既に担当課の方から内容についてご説明したところだと思いますけれども、再度概要についてお手元に説明の資料がございますが、それに即して説明させていただきます。

経緯でありますけれども、韮崎射撃場は、昭和41年の開業以来、平成21年7月の休業まで43年間にわたって使用されて参りました。長年にわたる使用によりまして、鉛弾等が河川敷内に残存しておりまして、周辺住民の皆様から環境への影響についての不安が指摘されてきたところでありますので、本年3月から、鉛弾による土壌汚染の状況の調査を行ったところであります。

調査範囲は、銃砲で撃ったときに着弾する範囲はもちろんでありますけれども、その周辺の河川敷の外である射場及び河川敷内の射撃場として占用許可を受けている全ての区域、着弾範囲を含む周辺の地域について占用許可を受けておりますので、その全ての区域の合計15.5ヘクタールを対象としております。ただし、流水部分は、土壌汚染対策法上、土壌とは認められず、対象区域にならないため、調査対象から除いております。

調査方法でありますが、流水部分を除きまして調査範囲を10メートルメッシュごとに区分いたしまして、1,192ヶ所になるわけでありますが、その箇所において表層から50センチメートル下がったところの土壌を採取し、同時に40ヶ所については、深さ10メートルまでボーリングいたしまして、1メートル毎に計400ヶ所の土壌を採取したところであります。なお、表層土壌1,192ヶ所のうち、一部については、5ヶ所を混合して1検体として測定しておりますので、検体数は減りまして923となります。

土壌汚染対策法では、健康被害のリスク(可能性)といたしまして、鉛が地下水に溶け出して、その地下水を摂取することによる人体へのリスクが1つと、それから鉛を含む土壌を直接摂取する、例えば風で巻き上がったりして直接胃の中に入るリスクの2つを考えておりまして、そのような2つの摂取経路ごとに土壌汚染があるかどうかの基準として「溶出量基準」、これは水に溶ける基準と「含有量基準」を設定しております。この基準を上回る箇所があれば、それは土壌汚染があるわけであります。

基準値としては、溶出量基準は「検液1リッター当たり0.01mg以下」、要するに100万分の1以下ですから0.01ppm以下、含有量基準が「土壌1kg当たり150mg以下」となっております。

表層土壌の調査結果では、923検体のうち、溶出量、含有量とも基準を超過したものが345検体、溶出量のみ超過したものが156検体、含有量のみ超過したものが35検体、3つ合わせまして536検体、全体の約58パーセントが基準をオーバーしていることが判明いたしました。なお、最大の溶出量を示した地点では、その溶出量は2.0mgでありまして基準の200倍、また最大の含有量を示した地点においては、その含有量は25,000mgで基準の166倍となっております。

次に、ボーリング調査につきましては、調査箇所40のうち30ヶ所で基準が超過しております。溶出量超過の最も深い地点は地下10メートル、含有量は地下9メートルとなっております。なお、深度別には、当然のことでありますが表層土壌のところが最も高くなっているところであります。

鉛の分布(箇所)状況でありますが、これの説明の際に地図を示してありますが、それを見ていただければ一目瞭然でありますけれども、基準を超える溶出量、含有量が出た箇所については、概ね、射撃場の着弾範囲に留まっていることが確認できるところであります。40年間、鉛を出してきたわけでありますけれども、40年という長い期間の割には、あまり移動していないとのことであります。

そこで、健康への影響でありますけれども、ここで注意しなければなりませんのは溶出量、溶け出している量でありますから、現にそれだけの濃度の鉛がその場所の地下水に溶け出していると見がちでありますけれども、そのようなことではありません。ここにありますように土壌汚染調査における溶出量の検出方法は、土壌と水を混合して6時間振るった上で、その水質を測定するものであり、現実に溶出量と同じ濃度の鉛が、そこの地下水に溶け出しているわけではないわけであります。

そこで韮崎射撃場の環境対策につきましては、これまでも鉛弾が到達する公共用水域、表流水でありますが、この水質監視を続けてきたところでありますけれども、昨年度からは周辺住民の不安に十分配慮し、河川敷内に2カ所の観測用の井戸を設置し、年4回、地下水の水質測定も行っております。これまでの測定結果では、環境基準の範囲内の値となっており、表流水、地下水とも、安全性が確認されております。

次に、基準を超える土壌汚染が確認された場合には、土壌汚染対策法では一定の範囲内、溶出量の超過地点から半径80メートルの範囲内で、飲用の井戸があるかどうか確認する必要がございますので、その調査を行いまして、その結果、2軒において飲用の井戸が確認されましたので、水質検査を行いましたが、異常はなかったとのことであります。また、釜無川を水源としている下流域4市の水道用井戸28ヶ所につきましても、各水道事業者の水質検査の結果、常時行っておりますけれども、鉛は全て基準以下で異常がないことが確認されております。

次に、含有量につきましては、人が直接河川敷の土壌に触れて、口などから摂取する可能性がある場合を想定しているわけでありますが、現在、河川敷地が河川占用等により立入禁止となっておりまして、直接摂取のリスクは遮断されております。

以上のことから、住民の健康に直ちに影響を及ぼすものではないと判断しております。

今後の対策についてでありますけれども、今後、土壌汚染対策法にのっとりまして、人の健康被害を防止するための対策を講じていくことといたしまして、1つは、今後も河川敷に人が立ち入ることができない土地として管理していくために、外周に設置している看板とかロープ等を更新して、立ち入りの禁止をより強化していくことにしております。もう1つとして、地下水に鉛による汚染が生じていないことを定期的に確認していくために、観測用井戸の箇所数を大幅に増やし、現在は2ヶ所でありますが、これを9ヶ所に増やしまして地下水のモニタリングをより強化していくことにしております。

これらの対策は、現行の土壌汚染対策法に定める必要とされる措置でございますから、直ちに実施する必要がありますので、9月補正予算を待たずに、既定予算の中から流用を行いまして、流用額は2千700万円余でありますが、地下水の水質モニタリングと河川敷の立ち入り禁止対策を速やかに実施していきたいと考えております。

また、汚染土壌の除去につきましては、土壌汚染対策法等、様々な規制があるために、今後、環境省など関係機関と十分協議した上で対応を検討していきたいと考えております。

以上であります。

<質疑応答>

記者

この結果についての率直な感想と、対応については協議しながらとのことですが、そのような状況についての見解をお話ししてください。

知事

40年間にわたって射撃場として河川敷を活用してきたわけでありますから、射撃弾は鉛玉でありますから、相当量の鉛が河川敷に存在していることは当然想定されるところであります。そのような結果が予想どおり今回出たわけであります。

したがって、今お話しいたしましたように土壌汚染防止法上、義務的に行わなければならない措置は、河川のモニタリングと立ち入りの禁止措置でありますから、これは直ちに予算措置を講じて行っていくわけであります。後は、その汚染土壌の除去が当然課題になるわけでありますけれども、かなり広い範囲に拡散しておりますから、一粒残らず100パーセント鉛を取ることは不可能なことでありますけれども、やはり濃度が濃いところについては、除去する方向で検討していかなければならないと思っております。

ただその際に、困ったことにはということではありませんが、土壌汚染対策法は方法についていろいろな規制がありまして、基本的にはあまり地下水をいじることによって地下水の汚染が広がることを心配している法律でありますので、方法についてのいろいろな規制があるのです。例えば、表面から50センチメートル未満は土壌を取ってもいいと。しかし同時に地下水の帯水面から1メートルより上でないと取ってはいけないことになっております。そうしますと河川敷の中ですから、かなり地下水面が高いので、1メートル上となれば全く取れないことにならないとは限らない。そのようなことが法律とか規則に書いてあるものですから、環境省と法律の解釈の仕方とか、その他方法について十分協議するしかないわけですから、現在、環境省との協議を始めているところでありまして、そのような協議を経て対策を検討していきたいと思っております。

記者

仮に土壌の除去を行う場合、千葉県とか神奈川県の射撃場では、20億円以上の県費を必要としているのですけれども、仮に土壌の除去を行った場合、そういった県費を閉鎖した射撃場に使うことについて県民の理解を得られるとお考えでしょうか。

知事

今の段階ではまだ具体的に除去するのかどうか、除去するとしてどういう方法で、どの範囲で除去していくのか、またその費用はどのくらいかかるのか、また除去したことによってどの程度鉛が取れるのか、そういうことはこれからの検討によって決められるものでございますから、今の段階で県民の理解が得られるかどうかについては、まだ私としてはどのくらい額がかかるかも分かりませんし、何とも申し上げられないところであります。いずれにしても十分な検討をした上で県民の理解を得ながら実施していかなければならない。その際におっしゃったようにかかった、もちろん安全をみれば、これはいくらでも金はかかる、極端言いますと、上流にダムをつくって河川をまわして、そこを全部取るなどということもあり得ないこともないかもしれませんけれども、それは何百億というお金がかかるわけで、そのようなことは県民としても望むところではないと思います。費用を含めて県民の皆さんの理解が得られるような対策を検討していきたいと思っております。

記者

甲州市の方の射撃場の移転については、この結果が影響を及ぼすとか、そういったことを知事はどのようにお考えでしょうか。

知事

新射撃場を設置するかどうかの問題はまた別問題でありまして、これはこれで検討していかなければならないことでありまして、現在検討中であり、近々議会にもお話していかなければならない。この9月の議会では、その方向性を出していかなければならないと思っております。それは新射撃場の問題、こちらは旧射撃場の土壌汚染の問題ですから、これは切り離して別問題だと考えていいと思います。

記者

鉛弾の除去というものに対して、相当の期間の検討、協議等も含めてどの程度のスケジュールで環境省との協議も経ながら、対応に乗り出せるとお考えになっているのかということと、その除去がない場合は、立ち入りもできない中で使用できない状況のまま、15.5ヘクタールを管理していかなければならないことになるわけですけれども、それについての見解の2点を伺いたいのですけれども。

知事

環境省との協議は既に始めておりますけれども、あまり河川の中の土壌汚染というは、全国的に例がないようでありまして、環境省としても内部で様々な意見があるようでありまして、いつ頃までに結論が出るというのは今の段階で申し上げられる段階ではないのですれども、できるだけ早いうちに方向を出したいと思っております。それから取らないということになれば、立ち入り禁止というもので、そこを管理していくということになるわけです。

記者

使用不可の状況のまま管理していかなければならないということに対しては、どう思われるかということですが。全く使用できない土地を県の管理の中で、モニタリング調査しながら、対応が可能になるまで監視というか、管理していかなければならないわけですが、その代り全く使用できない土地になってしまっているということについての見解をお願いします。

知事

基本的には河川敷ですから、普段何かに使っているわけではないわけです。だからそこのところを人々が立ち入って来ないように立ち入り禁止の措置を講じながら管理していくということになります。河川敷の外の射場、そこも土壌汚染があるわけでありますが、ここについてはどうしていくのか、おっしゃるようにそのままでは他に用途転用することはできないわけでありますから、使用するとなると汚染除去の措置を取らないといけないということになります。その辺についても費用と効果の検討した上で対策を講じなければならないと思います。

記者

分かっていればですが、実際に汚染されている土壌というのは、何立方メートルぐらいあるものかということと、もし全部運び出すとしたらどのくらいの費用がかかると試算されているのかということと、この土壌自体は昨年の8月に民間の個人がお金をかけて汚染されていると指摘していて、その時は立ち入り禁止などの必要措置は取っているとおっしゃっていたと思うのですけれども、今になってこういう高濃度のものが出てきたことについて、そういった方々にどういうご説明をするのかお願いします。

知事

何立方メートルあるのかというのは推計ができないのですが、40数年間利用してきて最近では年間5,000人ぐらい入場者がある。一人どのくらい弾を撃っているかわかりませんが、過去の利用状況というのは、もう古いところは分からないので、どのくらいあるのか推計できない状況です。それを全て除去するとなるといくらかということですけれども、この調査した地域が15.5ヘクタールでありますからかなり広い地域に分散しているわけで、その中に鉛の粒がたくさんあるわけで、そういうものを1粒1粒全部取るということになるとこれは大変なことであろうと思うわけでありますが、金額的にいくらになるか今の段階ではまだ推計しておりません。それからおっしゃるように、確かに個人の方が調査してやはり高濃度の土壌汚染があると発表されましたが、今回我々の調査では同じような結果が出たということであります。その時点では、立ち入り禁止の措置をしっかりやるのと、それから地下水汚染が問題ですから、汚染がないかどうかモニタリングをしっかりやると言って現にやってきたわけでありますけれども、今回我々の調査でもそういう結果が出たものですから、立ち入り禁止の措置、さらにはモニタリングを強化していかなければならないと思っているところであります。

記者

先ほどの新射撃場の知事の発言の確認をしたいのですが、別問題とおっしゃいましたけれども、今回土壌汚染の調査結果が明らかになったのですが、その調査結果というのは、新しい射撃場を造るかどうかを検討する過程においても影響ないという受け止め方でよろしいのでしょうか。

知事

私も少し誤解を招く表現だったかもしれませんが、事柄としては当然別のことです。旧射撃場の土壌汚染の問題、新しい射撃場を造るかどうかということは別問題であります。しかし、おっしゃるようにそれは同じ射撃場ではないかと。旧射撃場が使えなくなったから新しいものを造るということではないかと。したがって、県民感情としては当然一連のものだという判断はあると思います。それはもちろん、こちらの判断に一定の影響を及ぼすということは当然あるだろうと思いますが、議論としてはこれは別のものとして議論していかなければならないと思っておりますが、しかし、判断するときにはやはり一定の影響はあるということはおっしゃるとおりだと思います。

発表事項以外の質疑応答

 放射性物質の検査について

記者

放射性物質の調査について伺いたいのですが、先日、群馬県でワカサギから基準値を超える放射性セシウムが検出されて、そのワカサギ漁の自粛を県が求めているという情報があるのですが、山梨でもワカサギ漁というのは有名なのですが、ワカサギを含めて魚類の検査をする考えがあるのかどうかということと、これから秋になりますといろいろな味覚が出てきますけれども、流通にのらない、例えばきのこなどに関する調査をする考えがあるかどうか、その2点を伺いたいのですが。

知事

おっしゃるように群馬県でワカサギに許容値以上の放射性物質が検出されたということであります。こういうもののルールと言いますか、やり方として、そういうものが出たときには、農林水産省の指示がある場合も、ない場合もありますが、隣接県については当該物質について検査するということになると思いますから、当然群馬県の隣接県ではワカサギの検査をやっているだろうと思います。本県の場合には、ご案内のように大気・水とか環境放射能、あるいは既に行っております農産物等でまったく異常が出てきていないということがありますので、ワカサギについても大丈夫ではなかろうかと思っておりますけれども、しかしこれは他県の状況とか、あるいは本県の内水面漁業組合とかと相談しながら、対応を検討していきたいと思っております。

きのこについても同様でありまして、今言ったように環境放射能の濃度などからして大丈夫だろうと思っております。現在、食品は米を今度はやろうということで始めているわけでありますが、きのこについてどうするか、この辺も今度は森林組合などになるわけですけれども、そういうところの意見も聞きながら必要に応じて対応していきたいと思っております。

 韮崎射撃場の土壌調査結果について(追加質問)

記者

先ほどの射撃場の話ですが、甲州市の方の検討されている新しい射撃場の件ですが、一部方向性を断念された、断念する方向で検討されているというような指摘もあるわけですけれども、そういった方向性をお決めになったのかどうかということを、コメントできる範疇でかまわないのですがお聞きしたいのですが。

知事

 現在検討中でして、近々、県としての考え方を出して、(県議会の)全員協議会にご説明し、そして県としての方向を決めて、9月議会でそのことをお示ししたいと思っている段階でして、こう決めたということはまだ今の段階ではないということでお許しをいただきたいと思います。

 

(以上)

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山梨県知事政策局広聴広報グループ 
住所:〒400-8501 甲府市丸の内1-6-1
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