ページID:29068更新日:2023年1月20日

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知事記者会見(平成22年2月10日水曜日)

 

本館2階特別会議室

11時30分から

発表事項

発表事項以外の質疑応答

 平成22年2月定例県議会提出予定案件について

知事

平成22年2月定例県議会提出予定案件につきまして発表させていただきます。
2月定例県議会は、2月17日に招集することにいたしまして、本日招集告示を行ったところであります。提出案件は、平成22年度当初予算、平成21年度2月補正予算を合わせまして、条例案19件、予算案25件、その他の議決案件15件、報告事項19件の予定であります。
 次に、平成22年度当初予算につきまして、ご説明申し上げます。一般会計の予算規模は、4,618億2,274万1千円でありまして、これを前年度当初予算と比較いたしますと、150億円余、3.4パーセントの増となります。
 なお、商工業振興資金特別会計への繰出金が、このうち261億円でありますので、これを除きますと、4,356億7,353万2千円でありまして、これを前年度の当初予算と比較しますと、17億円余、0.4パーセントの増であります。
 次に、本県の財政状況につきまして、ご説明させていただきます。
 まず、歳入面では、県税収入につきましては、法人二税の落ち込みが激しく、地方法人特別譲与税を加えた実質的な法人二税は、平成21年度に比べまして、54億円余、20.1パーセント減少し、218億円余となることなどから、実質県税総額は、94億円余、10.1パーセント減少して840億円余となりまして、当初予算としては平成16年度以来の800億円台となる見込みであります。
 一方で、地方交付税と臨時財政対策債を合わせました実質的な地方交付税は、1,746億円余となりまして、平成21年度と比べ231億円余、15.3パーセントの増加の見込みであります。
 このため、一般財源の収入総額としては、改善が見込まれるものの、歳出面で、介護保険関係経費や高齢者医療費などの社会保障関係費の増加に加えまして、過去に発行した県債の償還のための公債費など、義務的経費の増加が避けられない見込みであります。
 さらに、明年度は、県有施設の耐震化や防災新館の整備のほか、県立高校、新県立図書館の整備、宝石美術専門学校の移転など、県民の安全・安心の確保や教育の振興等の観点から、必要不可欠な大規模事業も実施しなければなりません。
 こうしたことから、明年度も引き続き厳しい財政運営を強いられ、65億円の基金を取り崩すことにより当初予算を編成したところであります。
 次に予算編成の基本的な考え方についてご説明いたします。
 平成22年度当初予算編成に当たりましては、厳しい財政状況を踏まえ、行政改革大綱を着実に実施し、歳入の確保と歳出の抑制を図るとともに、限られた財源の重点的かつ効率的な配分に努めたところであります。
 また、経済情勢は依然として厳しいことから、県内経済の動向を注視しつつ、景気や雇用に十分配慮し、機動的かつ効果的に施策の展開を図ることにいたしました。
 まず、経済・雇用対策につきましては、国の各種の交付金により積み立てた基金も最大限に活用しながら、景気や雇用に十分配慮した施策を展開できるよう予算編成を行ったところであります。
 次に、人件費につきましては、定員適正化計画に基づく職員数の削減とともに、全職員を対象とした給料の特例減額措置を継続するなどによりまして、その抑制を図ったところであります。人件費は、人事委員会勧告に基づく給与改定の影響等も合わせますと、3年前の平成19年度当初予算に比べまして85億円の減となっております。
 また、公共事業費につきましては、国の予算がマイナス18.3パーセントと大幅に削減されました。そうした中で、国庫補助金等の確保に最大限努めまして、対前年度当初比でマイナス15.0パーセントの事業費を確保し、573億円余としたところであります。
 さらに県単独公共事業費につきましては、地方財政計画に従いまして、対前年度比で、マイナス15.0パーセントの130億円余といたしました。
 しかしながら、現下の厳しい経済状況を踏まえまして、切れ目ない経済対策を実施するために、明年度当初予算と合わせて今議会に提出する本年度2月補正予算には、国の第2次補正予算で創設された「地域活性化・きめ細かな臨時交付金」33億円に県単独で10億円を上乗せし、合計43億円の県単独公共事業費を計上したところであります。
 これによりまして、県単独公共事業費は、明年度当初予算及び本年度2月補正予算を合計いたしますと、対前年度当初比で20億円余、12.7パーセントの増となります。公共事業費及び県単独公共事業費の合計額におきましても、対前年度当初比で9.7パーセントの減にとどめたところであります。
 明年度におきましても、まずは事業の前倒し発注に努めるとともに、国の経済対策や県内経済の動向を注視しながら、年度途中においても、景気回復に最大限配慮し、必要に応じて補正予算への公共事業等の追加計上を検討して参りたいと考えております。
 なお、県債につきましては、実質的な交付税である臨時財政対策債を除き、県がコントロールできる県債等残高を平成22年度末までに、380億円程度削減すると、これが行政改革大綱に定めた本県の削減目標でありますが、この削減目標380億円を、現時点では140億円程度上回るペースで削減できると、したがって520億円になりますが、140億円程度上回るペースで削減できる見込みであります。
 明年度も、経済・雇用対策を重点的に実施するとともに、県民の安全・安心の確保や教育の振興、リニア中央新幹線等、本県の将来の発展につながる基盤整備の促進などにも取り組み、「チャレンジ山梨行動計画」に基づいて「暮らしやすさ日本一」の山梨づくりに向けた施策を着実に実施することにし、必要な予算を積極的に計上したところであります。
 まず、経済・雇用対策についてであります。
 雇用対策につきましては、ふるさと雇用再生事業に18億円程度、緊急雇用創出事業に35億円を計上し、両事業合わせて2,500人程度の雇用創出を図って参ります。また、離転職者の再就職のための無料職業訓練の大幅な定員増を行うなど、雇用機会の創出と就業支援を一層充実して参ります。
 次に、中小企業支援につきましては、商工業振興資金の十分な融資枠を確保すると合わせまして、中小企業が抱える諸課題に対し、商工団体等が連携、協働して、きめ細かな支援を行う。そのような体制を構築することで、専門家チームの派遣等を通じた支援を実施して参ります。また、ワインやジュエリーや繊維産業の活性化を図るために、地場産業への積極的支援を行って参ります。こうした、中小企業者に対する各種施策を展開して参ることとしております。
 また、地域経済対策県単独公共事業といたしましては、地域経済の活性化を図るため、橋梁・舗装の補修、森林の路網整備、護岸の改修等を実施して参ります。
 さらに、地域経済対策公共施設修繕事業といたしまして、地域経済の活性化を図るため、公共施設の修繕を集中的に実施して参ります。
 また、やまなし建設産業活性化支援事業といたしまして、新分野進出に対する補助制度の拡充、建設業専門のコンサルタントの集中的な派遣、合併等支援のためのセミナーの実施など、建設産業の経営力の強化、新分野進出等の取り組みを支援して参ります。
 次に、平成22年度の主な施策についてであります。
 まず、産業経済の活性化についてでありますが、やまなしブランドの確立と産業集積の促進につきましては、産業振興ビジョンの策定に向けた検討委員会の設置、果物やワインなどの販路拡大に向けた戦略的なトップセールスの実施、技術系人材の確保・育成に向けた県立職業能力開発施設の再編整備、燃料電池研究開発への支援及び関連産業集積方策等の検討、産業集積促進助成金制度による企業誘致の推進など、本県経済を支える産業施策を積極的に推進して参ります。
 また、農業の振興につきましては、都市部の人材の誘致を図る農業協力隊推進事業、これは昨年から始めておりますが、この隊員の拡充、果樹農業等の新規就農者に対するマンツーマンでの技術指導や生活支援等を行う就農定着支援里親制度の創設、新規就農者の機械導入や農地確保への支援、醸造用ぶどうの安定供給・生産拡大の推進など、「やまなし農業ルネサンス大綱」に掲げる施策を推進して参ります。
 さらに、観光振興につきましては、富士北麓広域周遊観光駐車場の整備に向けた取り組み、甲府駅南口ロータリーのナイトジュエリー事業の支援、県東部JR8駅を活用したトレッキングなどの観光振興策、森林公園「金川の森」の再整備や北岳山荘の大規模改修、今後の観光施策推進の在り方を検討するための「おもてなしの心」などに関する県民意識調査の実施など、観光の振興に向けた施策を積極的に展開して参ります。
 その他、産業経済の活性化の事業として、甲府駅南口周辺地域の広場や街路など修景計画の策定も行って参ります。
 次に、安全・安心な県民生活の確保についてでございます。
 まず、保健医療の充実につきましては、ドクターヘリの導入の可能性についての検討、地域医療再生計画に沿った医療体制の充実に向けた取り組み、特定地方独立行政法人に移行する県立病院におけるがん治療等の政策医療・高度専門医療の充実など、地域の医療サービス体制の確保に向けた取り組みを推進して参ります。
 さらに、子育て支援あるいは地域福祉の推進につきましては、保育サービス等の充実やひとり親家庭への支援、介護施設や障害者支援施設など社会福祉施設の安全確保及び基盤整備の促進、心に問題を抱えた子どもへの医療体制の充実など、少子高齢化等に対応した施策を推進して参ります。
 次に環境対策についてであります。
 まず、地球温暖化対策につきましては、県有施設への太陽光発電設備の率先導入、既存住宅に融資を受けて太陽光発電設備を設置する個人に対する助成件数を拡大、市町村や民間事業者などが行う太陽光発電設備等の設置に対する助成制度の創設、企業局と東京電力が共同で実施する太陽光発電所の整備促進、小水力発電所の整備促進、木質バイオマス利活用の促進を図るためのペレットストーブや木質ボイラーなどの普及への取り組み、間伐など森林整備の一層の促進といった、地球温暖化対策実行計画に基づく取り組みを着実に推進して参ります。
 また、恩賜林につきましては、平成23年3月に御下賜100周年を迎えることになりますので、記念事業の実施に向けた気運の醸成を図っていく所存であります。
 次に、教育・文化の振興についてでございます。
 まず、教育の振興につきましては、公立高校の授業料無償化及び私立高校生等に対する就学支援金の創設並びに授業料の免除を行う私立高校への助成に係る要件の緩和、私立学校に対する運営費補助金の増額、いじめ・不登校対策の充実など、児童、生徒への支援を大幅に拡充して参ります。
 また、文化の振興につきましては、平成25年の国民文化祭の開催に向けて、実施計画大綱を策定するとともに、芸術文化活動の一層の活性化など気運の醸成を図って参ります。
 次に、交通ネットワークについてでございます。
 リニア中央新幹線につきましては、リニア開通後のまちづくりに係る課題とか対策等についての調査・研究を進める。また、リニア活用推進懇話会の開催など、建設促進に向けて機動的に対応して参ります。
 また、道路の整備につきましては、中部横断自動車道の整備促進など、県外とのネットワークの確立と交通の円滑化を推進して参ります。
 最後に、この来年度当初予算と一緒に出します、平成21年度2月補正予算につきましてご説明させていただきます。
 まず、国の第2次補正予算が、過日成立いたしました。そこで、「地域活性化・きめ細かな臨時交付金」が創設されました。これの本県配分額(のうち)33億円に県独自で10億円を上乗せいたしまして、合計43億円の県単独公共事業として2月補正予算に計上し、切れ目のない経済対策を実施して参ります。
 次に、基金の取り崩し等につきましては、平成20年度決算による実質収支、繰越金でありますが、21億円余や事業費の確定に伴う減額などによりまして、一般財源が増加したことなどから、基金の取崩額をできる限り縮減いたしました結果、当初予算では140億円基金の取り崩しを予定しておりましたが、これが57億円回避できました。しかし、平成10年度以降で最大となる83億円の取り崩しを余儀なくされたところであります。
 このため2月補正予算では、県債管理基金73億円、公共施設整備等事業基金10億円をそれぞれ取り崩すことといたしました。
また、財政調整基金につきましては、2月補正予算においては、中部横断自動道の新直轄区間に係る交付税の特例措置額10億円について、後年度の負担額の増加に対応するため、積み立てを行うことといたしました。
 さらに、国の各種交付金を基金に積み立て、翌年度以降の事業に充当することといたしました。
 以上が、2月定例県議会への主な提出予定案件でありますが、詳細につきましては、財政課長から説明させます。

 以上でございます。   

質疑応答

記者

当初予算を策定するにあたって、各部局から上がってきた要求額に対して、知事が査定されたと思うのですけれども、まず予算の要求額がどれくらいあって、その計上を増減どれくらいしたのかということと、知事がどこに着眼されて事業を査定されたのか、可能でしたら具体的事例を一緒にあわせて教えてください。

知事

要求は、要求の枠というものがありまして、各部はそれ一杯要求しているわけです。数字については後で財政課長から説明させます。要求の内容については記者発表しておりますから、皆様ご承知だと思います。
 それから査定をしたわけですけれども、基本的な考え方としては、「チャレンジ山梨行動計画」の最終年でありますから、ここに県としての重点施策というのが書かれているわけでありますので、これをできるだけ達成するということを、最大の眼目にして査定を行ったということでございます。
 具体的な査定の金額等については、ひとつひとつについて記憶はしておりませんけれども、何にしても「チャレンジ山梨行動計画」というものが基本としてある。しかもつい昨年それをリファインして、新しくいたしましたから、それにこの4年間にやるべきことは、はっきりと書かれています。それをできるだけ達成していくために、必要な額を計上したということであります。
数字は後ほど担当課長から説明させます。

記者

知事の任期の中で、当初予算では最後の予算編成になったわけですけれども、過去の予算編成と比べて、今回の特徴であるとか、知事ご本人の予算に対する評価とか、または違いなど、そういった特徴、感想をいただければと思うのですが。

知事

特徴、感想ということでありますが、4年間にいろいろなことをやって、「チャレンジ山梨行動計画」に基づく事業、その後新規に必要となった事業も含めて「チャレンジ山梨行動計画」を改訂して、昨年度やるべきことを決めたわけです。したがって非常に盛り沢山の施策を進めていかなければならないということであります。
 そういうことで新規施策も含めて、皆さんがご覧になっても、いろいろな施策が盛り沢山に盛り込まれているだろうと、お受けとめになると思います。
 あわせて例えばドクターヘリの検討のように、将来に向けてやっていかなくてはならない事業の芽出しと言いましょうか、検討を開始するというようなものもいくつかございます。
 そんなことで結果として、県民の皆さんにご納得いただける予算編成ができたのではないか、一方において、当面の景気対策に最重点の力を入れていくと同時に、将来の様々な本県の発展や、県民生活を長期的に見て必要な重要施策についても、調査費的なものも含めて実証する方向で、必要なものは全て盛り込んだと考えております。

記者

民主党政権発足後初めての予算編成となったのですが、これまでとの違いなどお気づきになる点がございましたら教えてください。

知事

あまり違いがないといいますか、たしかに政権交代がありまして、事業仕分け等も行われたわけでありますけれども、結果として、本県の今進めようとしている施策には、さほど影響なく前向きに進めていける状態だと思っております。
 これはもちろん県選出の国会議員の先生方の尽力、それから政権与党である民主党の県連の尽力ということもありまして、県として「チャレンジ山梨行動計画」に載せて進めようとしていることについては、支障なく実施できると考えております。

記者

2月補正予算なのですけれども、その中で「地域活性化・きめ細かな臨時交付金」を使って公共事業をなさるということなのですけれども、景気対策、雇用対策などに充てても良かったと思うのですが、何故公共事業をやるのか。
 それから当初予算で、建設業に対して新規分野の進出を促すわけですけれども、それとのメッセージの整合性が取れないのではないかと思うのですが。

知事

「地域活性化・きめ細かな臨時交付金」というのは、もちろん県の選択の幅はありますけれども、大体こういうものに使えというものは決まっておりまして、そういう中で例えば橋梁の補修だとか、まさにきめ細かな身近な生活関連の公共施設の整備に使ってくれということです。したがってそういう国の基本的な考え方に則って、予算計上していったということです。
 ご承知のように本県の場合には、建設関連の雇用者というのが全体の約1割という状況でありますから、建設関連は県内の産業そして県民生活に大きなシェアを占めているわけです。景気対策としても、そういった社会資本整備というのは、即効的な効果もあるということです。そういうことで国の「地域活性化・きめ細かな臨時交付金」というものの制度の趣旨に則って、予算計上していったということです。
 建設関連産業というものが、本県の経済に占めるシェアの大きさというものがひとつあります。それが大幅に削減されつつあるのですけれども、しかし当面の景気対策としては、維持できるものは維持していかなくてはいけない。もうひとつは景気対策の即効性ということを考えた時には、やはり公共事業は即効性があるという、このふたつから今回補正予算に計上したわけでありますが、同時にそうはいっても、公共事業は国の「コンクリートから人へ」という基本方針があって、来年度18パーセント減になる。したがって県も15パーセント減をやらざるを得ません。とりあえず景気対策として、そういう措置はとるにしても、長い目で見れば公共事業は減っていくということになっていく。
 そうすると建設産業は今1割を占めていますけれども、それに伴う失業とか倒産とかが発生してくる可能性は大きいわけですから、できるだけ建設関連の業界の皆さんには、建設業以外の分野に新しく進出していくとか、あるいは新しい商品開発をしてみたり、そういう事業転換というものを促進していっていただきたいと考えるわけです。
 そういう意味で今回こういった事業転換施策というものを重視して、予算に盛り込んだということであります。やはりいってみれば県民の1割が建設でごはんを食べているわけでありますから、我々としては公共事業が減っていくのはやむを得ないとしても、円滑にそれぞれの企業経営者が、他の事業に転換したり、新しい分野に進出したりしながら、自分の企業を将来にわたって継続していく。そのための支援は県として、行っていかなくてはならない。そう思って施策を講じたということです。

記者

今の質問に関連するのですけれども、知事は再三、建設業従事者が多いというお話をされますけれども、2004年と少し古いデータなのですが、総務省の調査で、山梨県の建設業従事者の割合は全国で26位と決して高くはないと思うのですが、一方一桁の順位である鳥取県などでは、かなり早い段階から公共事業からの脱却という取り組みを進めていると思うのですが、山梨に関して公共事業依存型の産業構造から抜け出す取り組みが遅れていると指摘される方もいらっしゃるのですが、その点についてどうお考えですか。

知事

数字として、建設業の雇用者にプラスして建設関連事業者という、例えば資材事業者だとか、測量、設計関係とか、そういうものは建設業には入らないけれども建設関連です。そういうものを含めていけば、1割まではいかないまでも、1割近いものになると私は見ているわけですが、おっしゃるようにこれから公共事業は減っていく。住宅にしても人口が減るわけですから、住宅投資も減っていきます。民間の設備投資も海外展開をしていくでしょうから減っていく。そうするとやはり建設業全体の事業が減っていかざるを得ませんから、早く構造転換をしていくことは、おっしゃるように必要なわけで、たしかに建設業の構造改善対策というものを始めたのが平成19年度(平成18年度からセミナー事業等を開始、平成20度に建設業対策室設置)だったと思います。少し遅かったというのはあると思います。しかし、今年度はかなり梃子入れ(てこいれ)をして、促進するということで、たしかにもっと(早く)やるべきだったというご指摘はあると思いますけれども、今年度からさらに拡充して取り組むことにしたわけです。

記者

支援が要求額に対して予算計上額が非常に多かったと思うのですけれども、部局から上がってきた数字以上のものを盛り込んだということですけれどもどういった判断でしょうか。

財政課長

予算要求額に対する最終的な査定額は約2倍になっています。新分野進出につきまして、補助額の限度額を2倍にしています。
 年末の段階のもの以降、公共事業の姿等が年度末に見えてきまして、厳しいという中で、知事のお話にもありましたとおり、長い目で見て支援が必要だということで、査定の中で金額が変わっていったということです。

記者

想像以上に公共事業の削減の見通しが厳しそうだという中で、さらに支援をする必要があるといったことですか。

知事

そういう判断は当然あります。来年度国が公共事業18パーセント削減ということになると、それがそのまま補正予算なしに実施されると、非常に大きな影響が生じてくるだろうと思います。というのは、当初予算ベースで18パーセント減ですけれども、(平成)21年度は公共事業を景気対策でかなり積み増していますから、(平成)21年度の補正後の予算と、来年度の18パーセント減とで比較すると、さらに落ち込みは大きくなるわけです。
 したがってそのまま実施されれば、これは建設関連の雇用には非常に大きな影響が出ると思います。ただしかし、私が考えておりますのは、すでに政府としても第2次補正予算を組んで、ここで5,000億円の「地域活性化・きめ細かな臨時交付金」というものをつけて、これでいわゆる生活関連の社会資本整備は進めようとしているし、さらにおそらく新年度に入っても、景気動向を見ながら、このあいだ鳩山総理がおいでになってそんな話もありましたけれども、機動的に景気対策を打っていくと思います。その時は公共事業も追加される補正予算が組まれることになると思いますから、18パーセント減ということにはならないと思いますが、かなり厳しい状況になることは間違いありません。
 そういう状況も踏まえて、できるだけ早く建設関連の業界の皆さんには新しい事業への転換を促進してもらいたいという思いは持っております。現実にそういう動きはかなりあって、成功しつつあるところもありますから、そういう事例も見ながら促進を図ったということであります。
 いわゆる産業政策をやっている経済産業省などでは、産業構造転換施策についてはかなり手厚い措置がありますけれども、建設業についてはそういうものがあまりないものですから、この際早く事業転換をして新しい分野への進出をしてもらいたいという思いを強く持っております。

記者

一般会計の総額では、2年連続(増)になると思うのですが、山梨県にとって財政再建が非常に大きな課題になっている中で、あえて積極化というか財政拡大策をとったのはどういったお考えがおありでしょうか。

知事

ひとつには景気動向があって、積極予算を組まなくてはならない面があるということはあります。国も当然地方財政計画等で、景気対策を重視するという一定の指針を示しているということももちろんあります。
 しかし一方において、財政再建は進めていかなくてはならないわけで、本県の財政再建の一番大きな目標として、県民の皆さんが心配しているのは県債残高、県の借金の残高が大きいということがありますけれども、これについては着実に削減していくということで、先ほど申し上げましたように、4年間の行政改革大綱で380億円借金残高を減らすと考えておりますけれども、それをさらに140億円上回る計画をこの(平成)22年度当初予算では持っているということです。
 今申し上げた借金残高というのは、いうまでもなく実質上の地方交付税である臨時財政対策債を除いた、県がコントロールできる通常の県債残高で申し上げているわけです。それを削減していく計画は着実に、予定以上に早く進んでいるということです。

記者

そうすると財政再建は進める中で、景気動向を見据えて雇用であるとか、環境、クリーンエネルギーの予算を積んだという考え方でよろしいでしょうか。

知事

そういうことです。

記者

今回の予算で基金を65億円取り崩されたと思うのですが、県の出している予算(山梨県財政の中期見通し)で、平成26年度には、今ある(基金残高)362億円が184億円まで減ってしまうのですが、要は貯金が減ってしまうということで、県民が不安になるのではないかと思うのですが、それに関して知事はどのように思われますか。

知事

中期見通し上は、そういうことになるわけです。しかし中期見通しというものは、将来予測なのです。将来予測ですから、一定の条件を置きながら予測していくわけです。例えば、税収入は、将来経済がどうなっていくか分からないものであり、しかたがないものですから、来年度も、再来年度も、再来来年度も、来年度と同じ数字で推移するだろうと、それから地方交付税、国から来るお金も、来年度と同じ状態で、今後5年間推移するだろうと、そういう一定の予測を置いて、計算しているわけです。というのは来年度以降の税収とか地方交付税がどれだけくるかということは、今の段階では分からないわけですから、そういう一定の前提を置いた上で、中期財政見通しというものは作っているわけです。したがって、必ずそのとおりになるということではなく、そういう仮定どおりに物事が進めばそうなるということであり、当然、毎年毎年税収も変わってくれば、地方交付税も変わってきますから、そのとおりにはなってきません。しかし少なくとも一定の条件を置けば、そうなる可能性があるから、できるだけ財政が悪くならないように、今努力をしていく。そのために指針として、こういうものを作っているということです。したがって、184億円というのは、一定の前提を基に、そういう数字がでているということであり、今それが実現してしまうということではありません。また、それが実現しないように、基金がなるべく減らないように、これから財政運営に努力していくということだと思います。

記者

これまで、地方への財源移譲というものが、三位一体改革で進んできまして、地方へ財源が移譲されてきたわけですが、今回の政権交代後、実質交付税額が増えたということについての、知事の評価は如何でしょうか。

知事

今回、久しぶりに地方交付税が1兆1千億円増額されたということがあります。同時に現内閣は、その交付税の増額だけではなく、社会資本整備総合交付金というような非常に使い勝手のよい交付金制度を創設されるとか、地域主権の確立ということを「1丁目1番地」の施策として、非常に前向きに取り組んでいただいているということであり、その点は地方(公共)団体としても高く評価しているところです。今後とも引き続き地方重視という姿勢で政権を運営していただきたいと思っております。

記者

これまでの三位一体改革において、地方交付税が減らされてきたという経緯について、知事はどのように振り返りますか。

知事

三位一体改革は地方交付税が大幅に削減され、確か国全体で5兆円、ひとつは、おっしゃるように税源移譲があり、税源として3兆円移譲された。それはそれで良いわけですが、プラスして同時に交付税も大幅に減らされた。だから仕事が増えて、補助金などが無くされて、税源として移譲された。それ自体であれば、プラス・マイナスゼロですから良いのですが、それとあわせて地方交付税がかなり大幅に削減されています。確か5兆円くらい削減されたと思いますが、それが非常に地方公共団体には、財政に響いているということがありましたから、これは都道府県も市町村も、是非、地方交付税の復元ということを大きな要求項目として、政府にお願いしてきたということです。そういう方向に段々なりつつあるということは評価して良いと思っております。

記者

昨年の当初予算の発表の時に、確か予算の見直しで400近い事業の廃止・縮減があったと思うのですが、今年度、主要事業の査定の要求額と計上額をみると、あまり削られたりゼロになっていたりするものが少ないのですが、決して削るのが全てよいわけではないですが、今年の予算の見直しということへの知事の評価を教えてください。

知事

毎年度、政策評価(行政評価)というものをやっておりまして、ご承知のように全体(事業)の8割くらい(正しくは事業全体の3分の1を抽出)は自主評価ということで、各部で自分がやっている事業について自主的に点検している。(自主評価している事業のうち)2割程度(30~50件)については、アドバイザー的な外部の方が入って点検するということを、ずっと毎年進めているわけです。そういう中で、やめるものはやめて、スクラップ・アンド・ビルド的に新しい施策をやっていくということを、常に続けているわけです。
 今回も、21年度に行った政策評価(行政評価)の結果を踏まえて、予算編成が行われておりますから、具体の例は後でいくつも出せると思いますが、ある部において、従来、こういう事業をやってきたけれども、これはやめて、我が部としては、こういう新しいものをやりたいというものは、いくつもあるはずです。その具体例は、後で必要あればお示しできると思います。

記者

評価としては、今年もきちんと削減できたということですか。

知事

そういう点での削減はできたと思います。

記者

通常の県債が大きく減らすことができた、計画以上に進んでいるという面を強調されますが、これができるのは(臨時)財政対策債とか、ああいった国の交付税措置があっての話だと思うのです。ですからそういった面があってこその県債残高の削減なのかどうか、改めて確認したいという点と、今、ご説明があったように、歳出削減への取り組み、切り込みが、こちらから見ると不十分に見えるのですが、県債残高を減らすべく、ある意味踏み込んだ歳出削減、そのあたりで1例、お示しいただけますか。

知事

たしかに、それは国の方のいろいろな、財源対策債ももちろんあります。それから地方交付税もありますし、特に21年度第1次補正予算では、いろいろな基金制度ができました。こういうものは地方財政に影響を及ぼさないようにしながら、経済対策を進めようという趣旨です。そういうようなものは、もちろんいろいろありますから、そういうものは使いながら、県債残高の削減を進めていることは、言うまでもないわけであります。しかし、残高の削減は簡単ではなく、当然、公共事業の縮減をしなければ進まないということは、もちろんありますから、過去3年間、19年度以降、一般公共事業を4パーセント、地方単独公共事業を8パーセントという削減を、ずっと本県独自にやって参りましたし、来年度は先ほどお話ししましたように、国の方針がそういう方針ですから、本県の場合も公共事業は15パーセント削減ということになっているわけです。そういう努力をして、県債残高の削減を進めてきているということであります。
 減らした象徴的なもの、ひとつは公共事業、一般公共事業は4パーセント、地方単独公共事業8パーセントということを3年間続けてきた。来年はさらに大きくということ。それから、先ほども少し数字が出て説明しましたけれども、人件費について、定員削減をずっと続けてきましたから、この定員削減も削減計画を上回るペースで進んでおりますので、定員削減の効果と、それからご承知のように、一般職員も含めた給料の特例カットとか、そういうものも入れて、19年度に対して人件費が85億円くらい大きく減っているということもあります。
 (財政課長に対して)あと、何かありますか。

財政課長

大きなところは、知事がおっしゃったところです。

知事

あと、もし必要なら具体的なことをご説明します。

記者

人件費などでも、例えば包括外部監査などでは、若干県の近隣の方と比べて県職員の退職金が高いのではないかとかいう部分で、知事の政治判断を求められた経緯もあるのですが、基本給まで煮詰めて踏み込んで、ある意味で将来の財政を再建するのであれば、そういったことを政治判断して変革の俎上に挙げても良いのではという思いもあるのですが、そのあたり知事はどうお考えですか。

知事

たしかに給与の問題は常に今の水準が良いのか悪いのかという判断は頭にあってしているつもりです。ただやみくもに削減をすれば良いというものでもない、全国的な各都道府県の状況だとか、国の状況を見ながら最大限のことをやっていくということだと思います。
 一般の職員も含めた特例減額措置を講じたことによって、ラスパイレス指数では98.1と、国の水準よりも低い水準になっているということもありますし、これからも人件費につきましては常に念頭に置いて削減の努力はしていかなくてはならないということです。 

発表事項以外の質疑応答

 リニア影響基礎調査について

記者

今朝、リニアの推進会議で発表があったかと思うのですけれども、他県の企業に対する山梨県への興味ということで、「関心がない」というのが7割を超えている状況だった思うのですが、それに対する知事の評価を一言いただければと思います。

知事

県外企業の山梨への関心というのは23パーセント、首都圏が40パーセント、中京圏が12パーセントということですから、その数字が高いか低いかです。私どもはこの数字を見て県外の企業の関心が非常に高いと思っています。リニアが開通すれば、山梨で事業展開することを考える企業が多くなるのではないかという期待感を持って、この数字を見ているわけです。まだできていない段階での話ですから、やはり一般的には山梨への関心と聞かれても、当面具体的に企業立地とか考えていなければ、通常はまだ関心はありませんと答えると思います。しかしリニアが計画されていることで、県外の企業で山梨に関心を持っている企業が23パーセントあるというのは高いと思っております。
 首都圏は40パーセントということですが、中京圏が12パーセントというのは、現時点では交通アクセスが良くありませんので、こういうことになると思うのですけれども、その点は考え方が違うかも知れませんが、全体として私はかなりの関心を持っていると評価しております。 
 

(以上)

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