ページID:87250更新日:2018年9月19日

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平成30年9月定例県議会知事説明要旨

平成30年9月定例県議会の開会に当たり、提出致しました案件のうち、主なるものにつきまして、その概要を御説明申し上げますとともに、私の所信の一端を申し述べ、議員各位並びに県民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。

全国で大規模な災害が頻発し、大きな脅威をもたらしております。7月には西日本豪雨、今月4日には台風21号、そして6日には北海道胆振東部地震により、大きな被害が発生致しました。亡くなられた方々に対して、心から御冥福をお祈り申し上げますとともに、御遺族の皆様にお悔やみを申し上げます。また、被災された方々に対しまして、衷心よりお見舞いを申し上げますとともに、一日も早く日常生活を取り戻すことができますよう、心よりお祈り申し上げます。本県としても、被害を受けた自治体や被災された方々に対しまして、引き続き、最大限の支援を行って参ります。

さて、本年に入り、本県ゆかりのスポーツ選手が、国内外で大いに躍動しています。2月の平昌冬季オリンピックにおいて、スピードスケートの菊池彩花選手が、女子チームパシュートで日本初、そして冬季オリンピックとしては県勢初の金メダル獲得という快挙を成し遂げてから、山梨県勢のめざましい活躍が始まりました。先月、ジャカルタで開催されたアジア大会では、競泳男子の江原騎士選手や、競泳女子の鈴木聡美選手をはじめとした本県ゆかりの選手など、総勢22名の選手が15種目でメダルを獲得し、まさにメダルラッシュと呼ぶにふさわしい、素晴らしい成績を残されました。また、10月6日から始まるアジアパラ競技大会には、走り高跳びの鈴木徹選手が日本代表として出場されることとなっており、大いに活躍を期待しております。更に、高校生など、若い力も着実に育ってきております。先月まで三重県で開催されておりました全国高校総体では、山梨学院高校がサッカー男子で43年ぶりの優勝を果たしたほか、日川高校、吉田高校や日本航空高校で、ウエイトリフティング男子や空手の個人・団体で優勝者を次々と輩出しております。こうした本県ゆかりの選手の活躍は、県民にとっての誇りであり、東京オリンピック・パラリンピック大会まで残り2年を切った中、大会出場が期待される選手の皆様が更に力をつけ、世界の強豪を相手に大いに活躍されることを期待しており、県としても、こうしたスポーツ選手の育成に、より一層尽力して参ります。

次に、当面する県政の課題についてであります。

先ず、県の障害者雇用についてであります。先般、国の中央省庁において、厚生労働省が示している指針に反して障害者手帳等を持たない対象外の職員を障害者に含めていたとの報道を受け、本県では、改めて職員の障害者手帳等の所持状況について確認作業を行ったところであります。その結果、知事部局等及び教育委員会において、障害者として算入した職員161人のうち45人については、手帳等の確認を取ることができず、算定方法が不適切であったことに加え、障害者雇用率が障害者雇用促進法で義務付けられた法定雇用率を下回ることが明らかとなりました。障害者雇用につきましては、県が先導役となり積極的に推進すべき立場であるにもかかわらず、不適切な処理をしたことについて、障害のある方々をはじめ、県民の皆様に心から深くお詫びを申し上げます。今後は、厚生労働省の指針に基づき適切に対応する中で、明年度には法定雇用率を達成できるよう、障害のある皆様に対する雇用の具体的な拡充方策に早急に取り組むとともに、働きやすい職場環境づくりを積極的に進めるなどの取り組みを通じて、全ての県民の皆様がともに支え合い、誰もが生きがいをもって暮らすことができる共生社会の実現に向け、最大限努力して参る考えであります。

次に、防災対策の推進についてであります。

先ず、豪雨災害対策についてであります。今月4日、台風21号が上陸し、本県に観測史上最大級の暴風と、記録的短時間大雨情報が発表される激しい雨をもたらし、ハウスやぶどう棚の倒壊などの農業被害が発生しました。本県においては、幸いにも目立った人的被害はなかったものの、ここ数年、台風などの影響による豪雨災害が全国で頻発し、その被害の深刻さの度合いも増してきております。特に、西日本を中心とした7月の豪雨では、広島県や岡山県、愛媛県を中心とした、西日本の広い地域で、多くの尊い人命が失われ、建物やライフラインに大きな被害が発生しました。県では、災害発生後直ちに、警察広域緊急援助隊を広島県に派遣し、その後も被災県や国などからの要請に基づき、臨床心理士の資格を持つ教諭や、土木系の技術職員、更に保健師のチームを派遣しており、今後も、被災地からの要請に基づき、積極的に各般の支援を行って参ります。こうした災害は、近年多発する豪雨災害への対策を一層強化していく必要性を再認識させるものとなりました。そこで、本県においても、豪雨対策における重点課題を直ちに抽出したところであり、河川や砂防施設などのハード対策に加え、ソフト対策として、住民に提供する防災情報の内容やその発信手段の充実についても、速やかに着手しているところであります。具体的には、避難判断の目安となる水位を設定する河川について、10河川程度を追加指定するとともに、県内全域の中小河川において、高齢者施設などの要配慮者利用施設が所在する箇所などを中心に、簡易型水位計200基を可能な限り前倒しして設置を進めております。また、市町村長とのホットラインの開設や、ハザードマップの認知度向上など、防災情報の効果的な提供に特に力を入れ、災害発生時の逃げ遅れゼロを実現して参ります。

次に、富士山火山防災対策についてであります。富士山の噴火に伴う土砂災害を防ぐため、これまで、国に対し山梨県側の砂防事業の国直轄化を粘り強く要望して参りました。この結果、国において、平成30年度予算で山梨県側の直轄砂防事業が予算化され、6月には本格的に事業が開始されており、ハード対策が大きく前進致しました。また、住民の広域避難等のソフト対策を充実するため、今月3日、富士山における大規模噴火の発生を想定し、国、地元の8市町村及び防災関係機関などから約270名の参加を得て、富士吉田合同庁舎に現地災害対策本部を設置するなど、これまで以上に大規模かつ、より実践的な総合図上訓練を実施致しました。本年度は、更に、総合図上訓練と連動させた地元市町村との実動の避難訓練を11月に実施することとしており、富士山火山防災対策を更に充実させて参ります。

次に、東京オリンピック・パラリンピックへの対応についてであります。東京オリンピック大会の自転車競技ロードレースについては、去る8月9日に、大会組織委員会から、道志村及び山中湖村を通過するコースが公表され、これにより、史上初となるオリンピックの本県開催が正式に決定したところであります。オリンピックの本県開催は、私にとりましても、この上ない大きな喜びであると同時に、本大会まで2年を切り、来夏には本番と同様の状況下で行われるテストイベントが迫っていることから、大会の成功に向け、身の引き締まる思いであります。今後、大会の開催に向けた準備を一段と加速させることとし、大会組織委員会や道志村、山中湖村などと緊密に連携し、県ロードレースアドバイザーに委嘱した今中大介氏の助言も得ながら、万全の体制を構築して参ります。ロードレースコースの環境整備については、テストイベントや、2020年の本大会に向け、道路の補修などに必要な経費を9月補正予算に計上し、着実に整備を進めて参ります。また、聖火リレーについては、大会直前の2020年6月27日及び28日の2日間、県内で実施されることが、去る7月、決定したところであり、県では、その後、直ちに検討委員会を設置し、現在、県内のルート案などの検討を進めているところであります。更に、県民総参加によって大会を盛り上げていくため、先日、県や市町村などの行政に加え、スポーツ、消防、医療、教育、経済など幅広い分野からなる官民一体の組織として、東京オリンピック・パラリンピック山梨県実行委員会を立ち上げたところであります。この実行委員会において、自転車競技ロードレースの円滑な運営に向けた準備のほか、フラッグツアーなどを開催することにより、県全体の機運醸成やおもてなしの向上などを図って参ります。これらの取り組みを通して、東京オリンピック・パラリンピック大会の開催に向けた準備を官民一体で着実に進めていくとともに、本県の魅力を世界に発信して参ります。

次に、人口減少対策についてであります。私の知事就任以来、人口減少対策を県政の最重要課題と位置付け、様々な施策を積極的かつ計画的に展開してきたところであります。県内就職に係る協定を締結した首都圏の大学の増加などにより、本県出身学生のUターン就職率が上昇傾向にあるとともに、本県への移住希望についても常に全国トップレベルの御評価をいただくなど、一定の成果は現れつつありますが、人口減少という大きな流れに抗うためには、息長く、継続した取り組みが不可欠であると考えております。また、この課題に官民一体で対応するため、去る7月に、県内の団体・企業・市町村など多様な主体をつなぐ「人口対策アクティブネットワーキングやまなし」を構築し、現在、59団体の参加をいただいております。こうした中、県議会におかれましては、昨年4月の人口減少対策政策委員会の設置以来、県外調査や有識者からの意見聴取などを交え、移住・定住促進など人口減少対策に係る検討を重ねられ、7月には県に対し政策提言をいただいたところであります。この御提言を踏まえ、先ずは情報発信の強化に速やかに着手することとし、本県の移住・定住情報や外国人留学生向けの県内就職情報の効果的な発信に要する経費を9月補正予算に計上しており、人口減少対策の一層の充実、強化に取り組んで参ります。

次に、県立育精福祉センター児童寮への指定管理者制度の導入についてであります。育精福祉センターは、昭和29年に開設されて以来、本県の知的障害者支援における中核的な役割を担って参りました。このうち、成人寮については、平成25年に指定管理者制度を導入した一方、児童寮については、県直営による運営を続けて参りましたが、本年5月、育精福祉センター家族会から、児童寮についても指定管理者制度を速やかに導入し、成人寮との一体的な管理・運営を求める要望がありました。これを受け、県では、児童寮が抱える課題や役割を一つ一つ整理する中で、今後の児童寮の運営について検討して参りました。特に、児童福祉法の改正により、平成33年4月以降、18歳以上の入所者は全て障害者施設やグループホームなどへ移行しなければならないため、障害者支援のノウハウを持つ事業者による複合的なサービス提供が必要となっております。また、既に指定管理者制度を導入している成人寮では、民間のノウハウを活用した柔軟で迅速な施設運営やサービス提供に対して、家族会からも高い評価をいただいております。こうしたことから、県と致しましては、児童寮についても、平成32年4月から公募による指定管理者制度を導入することとし、その後、成人寮との一体的な管理・運営のための体制整備を進め、成人寮の現在の指定管理期間終了後の34年4月から一体的な管理・運営を行うことにより、育精福祉センターが、今まで以上に、知的障害のある方やその御家族への支援の中核としての使命を十分に果たせるよう、体制の整備を進めて参ります。

次に、不登校児童生徒への対応についてであります。小中学校における一年間に30日以上欠席した不登校の児童生徒は、本県においては800人を超えており、本県・全国ともに増加傾向にある中、児童生徒一人ひとりの思いや願いに沿った、きめ細かな支援の充実が必要であります。こうした状況に対応するためには、小中学校を運営する市町村の不登校対策を県が積極的に支援するなど、県と市町村が一体となった対策が不可欠であることから、本年3月に開催された総合教育会議において、県の不登校対策における役割を整理すべきとの方針を示したところであります。そこで、本県の体制を一層充実するため、県が運営する適応指導教室の今後の在り方や、市町村や福祉等の関係機関との連携強化など、様々な課題への対応について幅広く検討する委員会を設置することとし、県を中核とした不登校対策の在り方について、早急に協議を進めて参ります。

次に、安全登山対策についてであります。明年8月に本県で開催される「山の日」記念全国大会を控え、山岳観光の振興に向けて絶好の機会を迎える一方で、本年の夏山シーズンにおいても山岳遭難が相次いで発生しており、登山者に対する安全対策は極めて重要な課題であります。県では昨年、登山者の意識の高揚を図ることを柱とした「山梨県登山の安全の確保に関する条例」を制定したところであり、8月には、この条例に基づき、富士山、南アルプス、八ヶ岳の一部区域を安全登山推進区域として指定致しました。本年の10月20日から、この区域に登山する際は、登山届の提出を努力義務とし、更に明年度の厳冬期には、この区域の一部で提出を義務化する予定であることから、現在、関係団体と連携した各登山口における指導・勧告体制の構築に向けて、協議を進めております。一方、標高が高く、危険度の高い山だけではなく、近年は難易度の低い山においても道迷いなどによる遭難事故も目立ってきており、登山ファンの裾野の広がりとともに、こうした山における安全確保も、重要な課題であります。そこで、今後、登山の安全に対する啓発活動も、警察や市町村に加え、民間の力も活用し、幅広い主体との連携のもと、情報発信の強化等の取り組みを進めて参ります。

次に、「やまなしパワー」の拡充についてであります。本事業は、本県のエネルギー供給力の充実の一環として、安価な電力の供給による県内企業の活性化を図るため、企業局と東京電力の共同事業により平成28年4月に開始して以来、400社を超える多くの企業に御利用いただいておりますが、本年度末には3年間の事業期間の満了を迎えます。これまでの取り組みにより、企業等に対し県内への立地や事業拡大を促進するとともに、雇用の創出に寄与したこと、また、多くの企業から本事業の継続を要望する声が多数寄せられていることから、東京電力と協議を行い、明年度から3年間、「やまなしパワーPlus」とし、事業内容を拡充することと致しました。「やまなしパワーPlus」では、電気料金の割引率や対象企業の拡大を行うとともに、環境価値を提供するメニューを新たに創設するなど、内容の充実を図り、従来にも増して企業活動を積極的に支援することで、県内への立地や既存企業の事業拡大を力強く促進して参ります。また、事業の実施に伴う利益については、引き続き、子育て支援などに活用することに加え、新たに教育分野にも充当するなど、幅広く県民福祉の向上に役立てて参ります。

次に、トップセールスについてであります。県産品の販路拡大と外国人観光客の誘客を図るため、7月にはインドネシアにおいて、8月にはベトナム・フィリピンにおいてトップセールスを実施して参りました。インドネシアにおいては、現地の大手財閥企業のCTコープ社と、観光交流の促進、県産農産物等のインドネシアへの輸出拡大を図るための相互協力に関する合意書を締結するとともに、関連の旅行会社による旅行商品の造成及び同社の農産物等の取り扱いについて意見交換を行いました。また、今回は県産果実のトップセールスを初めて実施し、インドネシア最大手の果実輸入事業者や現地小売事業者との意見交換を通じて新たな関係を構築するとともに、高級スーパーマーケットにおいて現地のマスメディアや消費者を対象としたももやぶどうの試食会を開催し、山梨ブランドの品質の高さを大いにアピールするとともに、誘客に向けた本県観光の魅力もPRして参りました。ベトナムにおいては、現地流通事業者や消費者に対して県産酒のPRを行ったほか、ホーチミン市等との意見交換を通じて、観光客の誘致や人的交流に向けて関係強化を図って参りました。初めての訪問となるフィリピンにおいては、現地の旅行会社と意見交換を行うとともに、パンパンガ州や、県内事業者が連携事業を展開しているパンパンガ国立農業大学を訪問し、新たな関係の構築を図って参りました。今後も、今回訪問した国の方々との関係を一層強化し、観光、農業、産業など、様々な分野で将来的に大きな実を結ぶよう、継続的なフォローアップに努めて参ります。

次に、提出案件の内容につきまして御説明申し上げます。今回提出致しました案件は、条例案5件、予算案3件、その他の案件6件となっております。

条例案のうち、主なるものにつきまして申し上げます。山梨県附属機関の設置に関する条例の一部を改正する条例についてであります。がん登録等の推進に関する法律に基づき、がん情報等の利用等に関する事項の調査審議を行うための審議会を設置するものであります。

次に、予算案のうち主なるものにつきまして申し上げます。子どもの心のケアに係る総合拠点の開設を見据え、支援体制のネットワークの構築に要する経費を計上致しております。また、病床の機能分化・連携や在宅医療の推進、後発医薬品の使用の推進に要する経費を計上致しております。このほか、既に申し上げました、東京オリンピック大会自転車競技ロードレースのコース整備、県外からの移住・定住や外国人留学生の県内就職を促進するための情報発信機能の強化、不登校に対するより効果的な施策や取り組みについての検討などに要する経費を計上致しております。

以上の内容をもって編成しました結果、一般会計の補正額は、11億円余、既定予算と合わせますと4,651億円余となります。この財源と致しましては、地方交付税5億円余、国庫支出金3億円余、県債1億円余などとなっております。

その他の案件につきましては、いずれも、その末尾に提案理由を付記しておりますので、それによりまして御了承をお願い致します。

さて、本県は、これまで申し上げた当面する喫緊の課題への対応に加え、明年は、本県の将来を左右する大きなイベントを控えております。5月には山梨県人会連合会の創立70周年記念大会、6月には食育推進全国大会、8月には「山の日」記念全国大会が本県で開催されることに加え、夏から秋にかけて、東京オリンピック自転車競技ロードレースのテストイベントやラグビーワールドカップがそれぞれ開催予定であります。これらの好機を余すことなく山梨の活力に変え、国内外に「山梨ここにあり」と力強く発信するためには、全ての山梨県民の力を結集し、取り組むことが不可欠であります。私自身、その連携の核として、全身全霊を傾け、努力して参る所存でありますので、議員各位をはじめ、県民の皆様の一層の御理解と御協力を賜りたいと存じます。なにとぞ、よろしく御審議の上、御議決あらんことをお願い申し上げます。

平成30年9月19日

山梨県知

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