ページID:59771更新日:2019年1月30日

ここから本文です。

平成26年度年度はじめ知事訓示要旨

平成26年4月3日(木曜日)午前10時から

防災新館4階

訓示内容

はじめに 

皆さん、おはようございます。

飯田龍太先生の句に、「雪の峰しづかに春ののぼりゆく」という名句がありますが、待ち遠しかった春を迎えております。

今年2月、本県は1メートルを超える記録的な大雪に襲われ、農業を中心に甚大な被害を受けました。まだ、その爪痕は残っていますが、被災した県民の皆様が一日でも早く元の生活を取り戻せるように、県庁一丸となって取り組んでいきたいと思います。

春は出会いと別れの季節であります。去る3月31日、109名の退職者をお送りいたしました。退職された皆様には、激動の時代にあって、長きにわたり山梨県の発展と県民福祉の向上のために、営々と御尽力をいただきました。心から感謝申し上げるとともに今後の御健勝と、県庁で培った経験を生かして地域社会において益々御活躍されますことをお祈りしたいと思います。

代わって、4月1日には、新たに98名の溌剌とした職員をお迎えいたしました。公務員に対する社会の目が厳しい中にあって、意欲をもって県職員になられた皆さんには、県民に奉仕するという自覚と責任感、そして自らの手で未来を切り開いていくという、高い気概と誇りを持ちながら、存分に力を発揮していただくことを期待いたします。

上司となる皆さんには、こうした若い県庁マンたちを、県民の良き奉仕者として立派な公務員になるよう育てていただくことが、重要な責務であることをまずもって、十分に認識していただきたいと思います。

今年の県庁職員の定期異動は、多くの部局長が留任するなど、小幅なものとなりました。

今年度は、第二期チャレンジ山梨行動計画の最終年度であり、行動計画の達成はもとより、当面する様々な課題を解決していかなければならない重要な年であります。

そのためには行政の継続性が必要でありますので、一つのポストに原則2年勤務してじっくり仕事をしてもらい、着実に成果を上げてもらいたいと思っております。

また、女性の登用も進めております。国の目標と同様に、27年度末までに本庁課長相当職以上の幹部の女性比率を5パーセント程度に引き上げていくこととしております。

女性の登用は時代の要請であり、女性職員の皆さんは、管理職にふさわしいキャリアアップに努めていただきたいと思います。

さて、いよいよ今月1日から消費税が増税されました。我が国にとっては、増税によるマイナス効果をより少なくし、経済の好循環を実現して、長年のデフレから脱却することができるかどうかが、一番の大きな課題であります。

本県においても、昨年秋口から景気は回復してきておりますが、その要因は、公共事業と増税前の駆け込み需要が中心であり、まだ産業全体に幅広く景気回復が及んでいるとは言えない状況であります。むしろ、ルネサスエレクトロニクス甲府工場の閉鎖など、雇用情勢は極めて厳しいものがあります。

政府においては、15ヶ月予算方式で、切れ目のない景気対策を行っておりますが、本県としても国の予算を最大限に活用するなかで、本県経済の活性化と離職者の再雇用など雇用対策に引き続き努力していきたいと思います。

平成26年度の主な課題 

 

次に、今年度の県政の課題についてであります。

今年は私の2期目の任期の最後の年になるわけであります。

このため、まずは「第二期チャレンジ山梨行動計画」の仕上げをしなければなりません。職員の皆さんには、目標達成に向けて、全力で取り組んでいただき、県民の皆様にきちんとした成果をお示しできるように、精一杯努力していただきたいと思います。

これに加えまして、積極的に取り組んでいただきたい重要な課題があります。

まず、最初の課題は、冒頭にも申し上げましたが、本県を襲った豪雪災害への対応であります。

このたびの記録的な大雪は、我々の想定を遙かに超えるものであり、改めて自然災害の恐ろしさを痛感させられました。

しかし、この豪雪災害による試練は、通常の防災訓練では決して得ることのできない貴重な経験を与えてくれました。私たちはこの災害を大切な教訓として汲み取り、今後の対策に最大限活かしていかなければなりません。

このたびの雪害対応において、良かった点も失敗した点も、すべて検証して、失敗した点は率直に反省して、地域防災計画や災害対応マニュアルの是正につなげ、次の災害にしっかりと対応できるようにしていかなければなりません。

また、災害復旧につきましては、国がかつて例のない程、極めて手厚い助成措置を講じてくれました。これを活用して事業を進めるに当たっては、単に元に戻すというだけではなく、これを機として更に良くしていく「復興」という考え方で臨まなければなりません。数多くのハウスが倒壊した果樹農業についても、以前よりも生産を拡大し、質の向上を図り、本県の果樹農業を更に発展させていくというこのような視点で取り組んでもらいたいと思います。

次の課題は、山梨発展の基盤づくりであります。今年度は、4つのアクションで山梨発展の芽を大きく育てていきたいと思います。

1つ目は、富士山の保全対策であります。

世界遺産となった富士山については、ユネスコが2年後に保全状況報告書というものを出すように言っています。これは、ユネスコが富士山を保全できるかどうかということに相当の危惧や懸念を持っている証拠であります。

従いまして、富士山の保全については、ユネスコ及びイコモスが評価するようなしっかりとした対策を講ずることとし、今年中に保全状況報告書に載せる施策のすべてについて実施するかもしくは実施の方針を決めることとしたいと考えております。

また、富士山が世界遺産になったことによって、本県は世界の宝である富士山を擁する富士の国になったわけです。だから、それにふさわしい県になるようにしなければなりません。具体的には、富士の麓にふさわしい美しい県土づくりを進めるとともに、県民が郷土への誇りを持ちながら、おもてなしの気持ちで人々を迎えることができる心を育てていかなければならないと思っています。そういう富士の国づくりを進めていきたいと思います。

2つ目は、リニア中央新幹線であります。いよいよ今年はリニアが着工する節目の年であります。環境アセスメントが終わると、

国の工事実施計画の認可が行われ、そうするといよいよ事業着手となり、13年後の2027年の完成を目指すわけです。しかし、目標達成の鍵は本県が握っていると言ってもいいのではないかと思っています。それというのも、本県は地上区間が圧倒的に長く、これから20キロメートルの用地取得をしていかなければなりません。JR東海や地元の市町村と十分に連携を取りながら、地域住民や関係権利者の皆さんに丁寧に対応し、スケジュールが遅れることのないよう、用地の確保を進めていかなければなりません。

また、リニア駅周辺整備計画やアクセス道路整備計画については、今年度中に作成したいと考えております。このため、リニア交通局だけではなく、各部局で協力して、リニアの具体的な着工のための実施体制をしっかり構築していきたいと思います。

3つ目は、高規格道路の整備であります。

このたびの豪雪災害により、本県の脆弱性が改めて浮き彫りとなりました。本県には、物流ルートが中央道一本しかなく、これが4日間止まれば、たちまち物資の不足をきたしてしまうという弱さを露呈したのです。従いまして、県内と県外を結ぶ高速道路を整備することは、本県にとって死命を制する極めて重要な課題であります。

中部横断自動車道の南部区間については4年後、東富士五湖道路の新東名への延伸は7年後の完成が目標でありますが、災害時における脆弱性を克服するという観点からも、これはなんとしても確実に実現させなければならないと思っております。

また、中部横断自動車道の北部区間のルート決定及び中央道小仏トンネル付近の渋滞解消の方針決定についても、今年度中に実現するように強く国に働きかけていきたいと思います。

4つ目は、東京オリンピック・パラリンピックへの対応であります。今年は2020年のオリンピックに向けて、日本中が動き出す年であります。本県は東京に近いこともあり、オリンピックの効果を目一杯享受できるように努力していかなければなりません。

まず何と言っても大事なことは、外国人観光客がこれを機に大きく増えていくわけでありますから、その受入体制の整備であります。外国人観光客については、政府は2020年において現在の倍増という目標を立てておりますが、本県は富士山の世界遺産効果もあり、その数は3倍くらいになる可能性もあるのではないかと思っています。このため、外国人観光客が快適に観光できるような条件を整えていくための計画を今年中に作成するとともに、その実施に取り組んでいきたいと思います。

併せまして、事前合宿を誘致するために、ターゲットを絞り、スポーツ施設の整備についても計画を立てて、着実に進めていきたいと思います。

その他にも、重要な課題があります。

まず、新産業の創出と雇用の確保に関して、県内中小製造業を下請体質から脱皮させ、医療機器、燃料電池、航空機、クリーンエネルギーなどの分野で成長産業の育成を進めて参ります。

また、農業については、特に農地集積に力を入れる必要があります。

TPP交渉がまとまれば、農業の構造改革を待ったなしで進めていかなければなりません。政府は、農地中間管理機構を各都道府県に一つずつつくり、県がマッチング役として、遊休農地を借り上げて、その農地を意欲ある担い手に貸し付けていくという仕組みをつくりましたが、私も農地の流動化や大規模化を進めていく上では、こういう施策しかないと思っています。

特に本県の場合、遊休農地、いわゆる耕作放棄地が多く、農地全体に占める割合が長崎県に次いで多いということからも、遊休農地を意欲ある担い手に渡して有効活用していくという仕組みは、山梨県のこれからの農業にとって極めて大事なことであります。

そうすることによって、長年停滞傾向にあった本県農業を生産性の高い成長産業に仕立て上げていくことが重要であり、今年がその第一歩になると思っています。

また、林業については、国産材の需要が高まっている中で、国際的な優良管理森林の認証であるFSCを取得している恩賜林を持つ有利性を生かして、県産材の販路拡大を図るとともに、間伐材等のバイオマスとしての活用を図っていく必要があります。

それから、地場産業であります。

ワインもジュエリーも繊維も、売上高は長期低落傾向にありますが、近い将来、そのいずれにおいても、売上高を反転し、上昇させるようにしていきたいと思っています。

中でも、ワインについては、「山梨」という名前がWTO(世界貿易機関)の取り決めに基づく地理的表示として世界的に認められたということもあり、生産量の大幅増を目指して、関係者合意の下に取り組んでいきたいものであります。

そのためには、農政部にも圃場の整備を進めてもらい、ワイナリーの皆さんにも本気で取り組んでいただきたいと思っています。甲州ワインを始めとする本県のワインには、それだけのニーズも生まれてきています。このまま縮小傾向が続けば、本県はワインの産地とは言えなくなってしまう恐れもあります。そんなことから、ワインは長期的に生産量倍増を目指すべきだと思います。

次に、観光についてであります。

2月の度重なる大雪は、本県の観光産業に大きな影響を及ぼしました。今年度は、5月から6月にかけて、天井板撤去工事のために御坂トンネルを通行止めにするということもありますので、今から本県を訪れる観光客数を回復させていかなければなりません。既に取り組みを始めておりますが、観光客を呼び戻すためのプロモーション活動を更に強めていきたいと思います。

また、今週の月曜日から、NHKの朝の連続テレビ小説「花子とアン」が始まりました。この放映を機に、全国の皆さんに山梨の良さを改めて知っていただき、たくさんの観光客が訪れてくれることを期待したいと思います。

次に、人口定住への対応であります。

地域社会の活力が失われないように、人口減少をなるべく少なくする努力はこれからも続けていかなければなりません。

自然減に対しては、昨年1年間検討してきた少子化対策、とりわけ出産直後の母親のケア、男性の育児参加など子育て支援施策を実行に移していかなければなりません。

また、社会減に対しては、二地域居住によるやまなし暮らしの推進やU・Iターンの強化に取り組んでいきたいと思います。

それから、甲府市中心部の活性化ということがあります。

県庁内の公園化、甲府駅南口駅前広場の再整備、平和通りの再整備については、既定の計画どおり平成28年度の完成を目指して取り組んで参りたいと考えております。

また、甲府城及びその周辺地域の整備の在り方についても検討を進めていく必要があります。

エネルギーの地産地消についても、太陽光、水力をはじめとするクリーンエネルギーの導入促進はもちろんのこと、省エネ技術、蓄電技術も組み込んでエネルギーを賢く使うスマートコミュニティづくり、水素と燃料電池の自動車だけでなく社会の幅広い分野への活用などを進めていかなければなりません。

次に、少子高齢化に伴って県民ニーズの高い医療、福祉についてであります。

医師の診療科間や地域間における偏在や重度心身障害者医療費助成の自動還付方式への移行、子育て支援施策の充実など、さまざまな課題があることに加えて、今年度、国は社会保障制度改革を進めることとしており、その一環として医療と介護の連携による在宅医療介護のための地域包括ケアシステムの構築などを進めていかなければなりません。

教育問題では、少人数学級がいよいよ小中学校全部に完成するということであり、これをテコとして、学力向上対策など、教育施策を展開していってもらいたいと思います。

また、明野産業廃棄物処分場、林業公社、住宅供給公社など終結を図ることとした事業については、県民負担を極力縮減しながら、着実に処理をしていく必要があります。

さまざまな課題を申し上げましたが、これらについては、年度当初に行う「チャレンジミッション’14」において、部局長と十分に論議を尽くし、重点的かつ戦略的にその解決に取り組んでいきたいと思います。

職員に向けて 

最後に職員の皆さんにお願いしたいことが3点あります。

1点目は、いつも申し上げていることですが、仕事に対する姿勢として、チャレンジ精神を持って、前向きに取り組んでいただきたいということであります。中部横断道開通は4年後、オリンピックは6年後、リニアは13年後といっても、瞬く間であり、その間にやらなければならないことは山積しており、時間との競争でもあります。このため、常にスピード感を持って、真正面から取り組んでいく心構えが大切であります。

2点目は、仕事を進めるにあたり、グローバルな視点を持っていただきたいということであります。アンテナを高くして、東京さらには世界から情報を集めて、物事を考えていく意識が大事であります。県庁や山梨県の中だけで物事を考えていては、時代の潮流を知ることはできません。山梨県は盆地という閉鎖的な地形であるために、県民の意識も閉鎖的になりがちですが、それだけに県庁職員は常に広い視野を持つ努力をしていただきたいと思います。

情報はインターネットでも得ることができますが、ネットでは決して実態はわかりません。やはり、直接現場に行って、物を見て、人に会わなければ、本当のことはわかりません。ぜひとも、大いに現場に行き、自分の目で見て、話を聞いて、それを施策に反映していただきたいと思います。

3点目は、いつも申し上げていることですが、服務規律の確保であります。

服務規律の確保と適正な業務の執行につきましては、これまでも様々な機会を捉えて申し上げてきましたが、昨年度も不祥事がなくなることはありませんでした。

県民の皆様は、県職員に対して、一般の会社員とは異なる厳しい目で見ています。皆さんには、常に公務員としての自覚を忘れることなく、勤務中のみならず勤務時間外においても、社会的に批判を浴びるような行動は厳に慎むことを十分に心していただきたいと思います。

結び 

以上、今年度の県政の課題について、申し上げて参りました。

いろいろと大きな課題が山積しており、非常に忙しい年になると思いますが、引き続き全力投球で先頭に立って、山梨を元気にしていきたいと思っています。

職員の皆さんには、私と思いを同じくしていただき、果敢に課題解決に向けてチャレンジする気持ちで、ますますご活躍いただくことを心から期待し、新年度の訓示といたします。

 

以上

このページに関するお問い合わせ先

山梨県総務部人事課 
住所:〒400-8501 甲府市丸の内1-6-1
電話番号:055(223)1371   ファクス番号:055(223)1379

山梨県知事政策局広聴広報グループ 
住所:〒400-8501 甲府市丸の内1-6-1
電話番号:055(223)1336   ファクス番号:055(223)1525

同じカテゴリから探す

より良いウェブサイトにするためにみなさまのご意見をお聞かせください

このページの情報は役に立ちましたか?

このページの情報は見つけやすかったですか?

このページを見た人はこんなページも見ています

県の取り組み

pagetop