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ページID:108829更新日:2024年7月1日
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令和6年6月定例県議会の代表質問における山中湖畔県有地の賃貸借契約についての質問に対する知事の答弁を掲載します。
令和6年7月1日
山中湖畔県有地の賃貸借契約について、昨年8月に東京高等裁判所でなされた裁判の判決により、同地を巡る契約は有効であることが確定したが、富士急行株式会社と賃料の見直しを求め協議を行っていると承知している。裁判の仕組みと併せて、何故契約内容について再度協議を求めるのか、その根拠について伺う。
また、富士急行が新たに別荘敷地を第三者に利用させるため転貸借を行うことに対し、約90万円を支払わない限り県は承諾しない旨通知したと報道されたが、報道が事実であれば、転貸借を希望する第三者にまで影響が及ぶことがないよう、丁寧な説明が必要と考える。
同社と県との間の山中湖畔県有地を含めた6件の契約を巡る問題について、解決に向けた県の所見を伺う。
まず、賃料を見直す根拠についてであります。
東京高裁は、口頭弁論が終結した令和5年4月17日時点において賃借権が有効である旨確認しただけです。
すなわち、判決においては賃料の算定方法や金額が適正か否かについては判示しておらず、これまで行ってきた造成前の素地価格を基礎にした賃料算定を未来永劫継続しなければならないとは判決文のどこにも記載されておりません。
したがって、現時点において、将来に向けた賃料の改定を求めることは、判決内容に照らし何ら問題はありません。
むしろ判決の理由においては、新規賃料と現行賃料との乖離の程度を重視すれば、平成29年に締結した現契約の賃料評価としては相当ではない可能性に言及しました。
更に加えて、造成による不動産自体の価値の増加分は最終的に土地所有者である県に帰属すべきものとされたところです。
これにより、現況を基礎として今後賃料を算定することの正当性が裏付けられたものと考えています。
判決後に取得した不動産鑑定評価額と現行賃料とに乖離がある以上、地主としてその見直しを求めることは当然です。
逆に、見直しを行わないことは、県民全体の財産である県有地を適切に管理する責務を有する知事として決して許されるものではないと考えます。
報道により、無理難題を要求しているという印象を持たれた方がおられるとすれば、それは大いなる誤解であり、県が判決内容を否定しているとの捉え方は全くの誤りです。
また、一区画当たり90万円の承諾料を支払わない限り転貸、俗に言う又貸しを認めない旨通知したとの報道があることも承知しておりますが、県からこのような通知をした事実はありません。従ってこの報道は存在しない事実を捏造する許しがたき誤報・フェイクニュースであり、誠に遺憾であります。
そもそも本件契約書では、相手方が第三者に転貸することは原則として禁止されており、個別に県の承諾を受けた場合に限り例外的に可能とされております。
つまり、転貸を承諾するか否かは県の判断に完全に委ねられております。従って承諾につき条件を付すか否かもまた県の判断によるところであり、いわんや転貸を承諾する義務などはそもそもありません。
転貸などを承諾する際に一定の金銭の支払いを条件とすることは広く一般的な取引慣行となっており、それは承諾料、名義変更料などといわれております。
現に、ウェブサイトを見る限り、賃借人たる富士急行自身が転借人から名義変更手数料・建築承諾書発行手数料などの金銭を徴収しています。
一例として、471坪の土地について、名義変更手数料を140万1,210円、建築承諾書発行手数料を7万7千円と掲載しています。
他方で、これまで県は、転貸などを承諾する立場にありながら、確たる根拠もなく長年にわたり承諾料などの支払いを求めてきませんでした。
この点、これまでの取り扱いは、県民利益を不当に害するものであり、改めるべきが本来の務めであります。
県としては、県民利益の最大化の観点から、将来に向けて契約内容を抜本的に見直すことが必要と考えています。
ただし、転借希望者への影響については、当面の措置として、賃借人たる富士急行が承諾料の支払い義務を認め、その金額について県と富士急行が協議することを双方で確認できれば、協議が継続する限り承諾する旨提案しています。
県としては、このように転借希望者への影響を最小限に留める提案をし、早期に承諾料の額の協議を進めたいと考えておりますが、未だ富士急行の理解は得られていません。
以上が承諾料を巡る一連の事実であります。
次に、交渉の早期解決についてであります。
県としても、6件の賃貸借契約を巡る諸問題を早期に解決することが望ましいというのは議員と軌を一にするところであります。
一方、公有財産である県有地について交渉を行う以上、その賃料は地方自治法に定める適正な対価であることが必要です。
それには、単にせり売りのように賃料の額だけを交渉するのではなく、その算定方法の法令などへの適合性も子細に検討した上で交渉を行うことが重要です。
現在、借地借家法及び不動産鑑定評価基準などに照らしていずれの主張が適切なのか、いわば法的な対話を行っているところです。
当然のことながら、この対話において、県としては、これら6件の賃借人たる富士急行からの法的合理性を有する主張や利用実態に合わない契約内容の見直しの申し入れは、転貸承諾料を含めて受け入れていく用意があります。
当該6件の契約についてお互いの主張が出揃うまでにある程度時間を要することは避けがたいところですが、引き続き合意に向けて交渉を進めて参ります。
令和6年7月1日発行の山梨県広報誌「ふれあい」vol.81に県有地および県有林に関する記事を掲載しました。
令和6年7月1日
「住民訴訟|県が勝訴 判決の内容を説明いたします」「新ルールで県有林を有効活用」(PDF:1,110KB)
山梨県広報誌「ふれあい」臨時号(令和5年11月22日発行)に県有地特集を掲載しました。
令和5年11月22日
ふれあい臨時号(令和5年11月22日発行)(PDF:15,492KB)
令和5年8月7日
東京高等裁判所における山中湖畔県有地に関する訴訟の判決に対して、知事のコメントを掲載しました。
令和5年5月25日
東京高等裁判所における山中湖畔県有地に関する住民訴訟の判決に対して、知事のコメントを掲載しました。
令和5年2月17日
山中湖畔県有地訴訟に関し、東京高等裁判所へ控訴理由書を提出しました。
令和4年12月21日
山中湖畔県有地訴訟に関する臨時県議会の招集について、記者会見を行いました。
令和4年12月20日
甲府地方裁判所における山中湖畔県有地に関する訴訟の判決に対して、知事のコメントを掲載しました。
令和4年3月15日
甲府地方裁判所における山中湖畔県有地に関する住民訴訟の判決に対して、知事のコメントを掲載しました。
令和3年7月9日に、甲府地裁に対し、富士急行株式会社へ損害賠償等を求める反訴状を提出しました。