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更新日:2025年10月23日

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アグリコネクトふえふき株式会社

日本一の果樹王国を支えるJAふえふきの地域力が示す
新規就農者のための成功への道筋

アグリコネクトふえふきの皆さん

日本一の桃・ぶどうの産地として知られる山梨県笛吹市。こうした産地でも生産者の高齢化や担い手不足が深刻な課題となっています。この現状に立ち向かうべく2023年に設立されたのが、JAふえふき(以下JA)出資の農業法人「アグリコネクトふえふき株式会社」です。約1.6ヘクタールの農地で桃・ぶどうを栽培すると同時に、就農希望者を育成する県の認定研修機関として、次世代の担い手育成にも力を注いでいます。
栽培できなくなった農地を借り受け、産地を守り、新たな挑戦者を迎え入れる。そんな最前線で奮闘する「アグリコネクトふえふき」担当の柿嶋美任さんと、JAの職員としてアグリコネクトふえふき株式会社を支え業務を担当している雨宮一幸さん、JAの指導部部長である高野隆範さんにお話を伺いました。

日本一の桃とぶどうの産地笛吹市の現状の課題

JAふえふきの指導部部長である高野隆範さん

高野さん:笛吹市は桃・ぶどうの作付面積が日本一を誇る「果樹王国」です。しかし、ブランドを支えてきた生産者の高齢化が進み、農地を手放すケースが増えています。
シャインマスカットのように単価が高く、若い世代にも魅力的な品目が出てきたことで若手生産者は増えましたが、地域全体で見ると担い手はまだまだ不足しています。産地としてのブランド力や生産量を維持していくためには、新規就農者を地域ぐるみで受け入れ、育てていく仕組みが不可欠なのです。
大切なブランドを守り、未来へ繋いでいくことが、私たち地域全体の大きな課題となっているのです。

 

新規就農者にとっての「アグリコネクトふえふき」の強みや魅力

柿嶋さん:「アグリコネクトふえふき」の大きな強みは、JAだけでなく、県や市と連携した強固なサポート体制です。県、笛吹市、JA、そして私たちの4者で定期的に会議を開き、就農希望者や農地などの情報共有を行っています。
どこかに就農相談があれば、全員で情報を共有し、最適なサポートにつなげます。多方面から見守る体制が、就農希望者にとって大きな安心につながっています。

「アグリコネクトふえふき」担当の柿嶋美任さん

高野さん:新規就農者にとって最大の壁となる販路確保について、「アグリコネクトふえふき」ではJA出荷が基本です。作ったものはJAが責任を持って販売するので、生産者は栽培に集中できます。生産から販売、経営、生活の全てをパッケージでJAがサポートする体制が、当法人の最大の強みです。

 

雨宮さん:この法人は、JAの若手営農指導員を育成する場という側面も持っています。JAの指導員自らが生産現場に立ち、汗を流し、栽培管理の難しさや喜びを肌で感じることで、農家の皆さんの気持ちに寄り添った、より実践的で説得力のある指導がでるようになります。そんな質の高い指導員を育成することが、この法人においての私のミッションです。ですから、私自身もここで日々、研修生の皆さんと本気で向き合っています。ただ一方的に教えるのではなく、一緒に悩み、考え、共に成長できる環境がここにはあります。理論と実践の両方を、同じ目線で学べること。これが「アグリコネクトふえふき」ならではの指導体制であり、他にはない大きな魅力だと思います。

JAふえふき職員として「アグリコネクトふえふき」の業務を担当している雨宮一幸さん

 

柿嶋さん:高齢等で農業を続けられなくなった農家さんから農地を借り受けたり、JAの営農支援センターや市の農業塾から寄せられる情報を元に、条件の良い農地を確保しています。研修を終えて独立する際には、私たちが管理している農地を“のれん分け”するような形で引き継いでもらい、独立した直後から出荷可能な状態でスタートできる体制を整えています。
新規就農者が何もない状態から農地を探す困難を解消し、農業経営のスムーズなスタートを可能にしています。

こんな方に来てほしい、こんな方が向いている

柿嶋さん:まずは、やる気があって農業を楽しめる人ですね。そして、地域や販売先など、人との繋がりが非常に重要なので、コミュニケーション能力が高い方は特に向いていると思います。

雨宮さん:とにかく長く続けてくれる人に来ていただけたら嬉しいです。ただ作業をこなすだけでなく、毎年気候も条件も違う中で「今年はこうだったから来年はこうしよう」と常に研究し、考えられる人が伸びていくと感じます。

高野さん:仲間づくりができる人が向いているかな。一人でやるのではなく、地域の部会などの組織に入って情報交換をしたり、協力したりすることで、経営発展につながりやすいです。地域に溶け込み、一緒に農業を盛り上げてくれる方を待っています。

「農業への情熱と、人との関わりを大切にする姿勢があれば大丈夫」と先輩たちは口を揃える

設立3年目「アグリコネクトふえふき」の今後の展望

柿嶋さん:一番の目標は、「ACふえふきアグリゼミ」と名付けた研修制度を本格始動させ、研修1期生を地域の担い手として送り出すことです。今後は積極的に研修生の受け入れにより力を入れていきたいです。
そして、地域の課題解決という大きな目的のもと、一人ひとりの就農希望者と真摯に向き合い、着実に未来への種を蒔いていきたいと思っています。

「体制は整いつつあるので今後は研修生の受け入れにも注力していくつもり」と担当の柿嶋さん

 

研修生に聞く。研修で感じたこと、そして目標

山下さん:前職は建設機械の整備士で、農業とは全く異なる世界から飛び込んできました。きっかけは、ビジネスモデルとしての農業に魅力を感じたからです。他の商売だと、作ったものをどう売るか、売れるか売れないかという不確定要素が大きい。でも、こちらでは、作ればJAが責任を持って買い取ってくれるというシステムがすごいと思いました。これなら挑戦できるかもしれない、と。

また実際に研修を始めて、農業ってこんなに科学的で近代的なんだと驚きました。肥料一つとっても、なぜこの時期にこの成分が必要なのか、全てに理由がある。やればやるほど奥が深くて、今はその面白さに「沼って」いますね(笑)。

「AIも活用するけど、人が介入しないとできない部分もあり、また正解がないのが農業の奥深さ」と話す山下さん

今後の目標は、まずはこの研修をやり遂げて、いずれは独立すること。ぶどうをメインにやりたいと考えていますが、ここでの学びを活かして、自分なりの農業を見つけていきたいです。

柿嶋さんらから指導を受ける研修生の山下さん。若き就農者の目は輝いて

挑戦やキャリア形成を後押しする山梨県や国のサポート体制

JAふえふき

山梨県の峡東地域に属する笛吹市の「JAふえふき」。笛吹市は内陸性の寒暖の差が大きい気象条件を活かし、モモ、ブドウ、スモモを中心とした「くだもの王国」です。

JAふえふき(外部サイトへリンク)

笛吹市「農業塾」

市民を対象に、摘果や袋掛けなど、農繁期の人手を補うための技術講習会を実施。農業に関するお困りごとは何でも相談可能。農業への第一歩として参加する人も多いです。

笛吹市農業塾(外部サイトへリンク)