更新日:2020年1月23日

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花粉症の治療

症状が出る前に

花粉症は、一般的に症状が悪化すると薬の効果が得られにくくなるので、症状が軽いうちから症状を抑える薬を使い始める「初期療法」が重要となります。抗アレルギー薬の使用を花粉飛散予測日の1~2週間程度前か、花粉症の症状が少しでもあらわれた時点で開始します。早めに治療を行うことで花粉の飛散量が多くなった時期でも症状をコントロールしやすくなり、重症化を抑えることができます。
花粉が飛び始める時期は地域やその年によって異なるため、花粉飛散情報に注意し、強い症状が出る前から対策を始めることが大切です。

症状が出てしまったら

花粉症は、残念ながら一度発症してしまうと自然に治ることは稀です。症状に応じて内服薬や点鼻薬などを用いる対症療法が基本となります。
薬物療法では、眠気の少ない(非鎮静性)抗ヒスタミン薬とアレルギー炎症を抑える鼻噴霧ステロイド薬が効果的です。手術では鼻づまりを改善する手術、鼻汁を減らす手術などがあり、希望される方は耳鼻咽喉科を受診されることをおすすめします。
抗ヒスタミン薬の一部では、眠気や口の渇きといった副作用が知られています。全身性の副作用が少ない点鼻薬でも、市販の点鼻薬では使い続けると逆に鼻づまりがひどくなるものもあります。薬によって起こり得る副作用は異なりますので、気になることは医師や薬剤師に相談するようにしてください。

舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)とは

スギ花粉症を根本的に治すことが期待される治療法として舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)があります。
舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)は、アレルギーの原因となっているスギ花粉の抗原成分を抽出した治療用エキスを少量から投与し、徐々に増量していくことにより、アレルギー反応が過剰に起こることを改善させ、アレルギー症状の起こりにくい体質、状態へと変えていく治療です。
本来、体の免疫が反応しないはずの花粉に対して、花粉を異物として過剰に免疫が反応してしまうのが、花粉症(花粉アレルギー)ですが、この療法は、免疫が反応しない程度の少量のアレルギー物質を体に投与し続け、その結果、アレルギー物質の量を増やしていってもアレルギー反応を起こさなくなることを利用した治療法です。
アレルゲン免疫療法の中でも、舌下免疫療法は、舌の下にごく少量のアレルギー物質を数分間ためてから飲み込む方法で、自宅で投与でき安全性が高いことが特徴です。日本では、スギ花粉症の舌下免疫療法薬が2014年10月から登録医療機関で処方可能になりました。皮膚に注射する皮下免疫療法に比べると、毎日やらなくてはいけないという手間はありますが、全身性の副作用が生じにくいという利点もあります。スギ花粉症の場合は、スギ花粉シーズンが終わってからの6月から11月が治療開始となります。詳しくは専門医療機関にご相談ください。

監修:山梨大学医学部附属病院・アレルギーセンター