ページID:123500更新日:2025年11月17日

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KSB0007

国指定 有形文化財(考古資料)

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  • 深鉢形土器 1箇  附 深鉢形土器 1箇 深鉢形土器把手 4点

 山梨県安堂寺遺跡土坑出土

(ふかばちがたどき 1こ つけたりふかばちがたどき 1こ、ふかばちがたどきとって 4点 やまなしけんあんどうじいせきどこうしゅつど)

  令和7年9月26日指定

 所在地 甲府市下曽根町923

 所有者又は管理者 山梨県立考古博物館

 

 山梨県甲州市塩山に所在する、安道寺遺跡第十七号住居跡内の土坑から出土した、縄文時代中期後半の深鉢形土器である。

  昭和五十一年(一九七六)の調査で出土した、きわめて大形の深鉢形土器で、器形は底部に向かって窄まる砲弾形で、底部は平底を呈する。渦巻文、円形文、蛇行文などが複雑に施文される四単位の大形の把手が最たる特徴で、胴部には隆帯や半隆線などでU字文、渦巻文、四単位の袋状突起などが施され、これらの加飾に富んだ文様が器面を埋めている。この特徴は、中部高地を中心に分布する縄文時代中期後半の曽利(そり)式土器に特有で、把手装飾などの諸特徴から「水煙文土器(すいえんもんどき)」と呼称され、曽利式の初期段階に位置付けられている。大きさに対し、九割が残る遺存状態は特筆される。

 また、土坑からは、他の深鉢形土器一箇と別個体の把手四点が併せて折り重なるように出土しており、埋納された状態で発見されている。埋納順序は、まず附の深鉢形土器を坑底に横たえ、把手四点のうち一点をその内部に入れる。その後、横たえた深鉢形土器の底部側上面に把手三点を配置する。その上部に、本指定の深鉢形土器の把手から胴上半部片を並べ、さらに上部に胴下半部片を敷いている。このように、埋納の状態や順序をつぶさに認識できる出土事例は非常に稀少である。

 本品は、姿形の卓越性、複雑な文様の装飾性により、中部高地における縄文時代の造形技術の極致をよく示している。なおかつ、埋納という象徴的な出土状況は、縄文土器の儀礼的利用の実態をよく表しており、学術的価値は高い。

 

 

 

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