○山梨県景観条例
平成二年十月二十日
山梨県条例第二十四号
山梨県景観条例をここに公布する。
山梨県景観条例
目次
第一章 総則(第一条―第六条)
第二章 景観形成基本方針等(第七条・第八条)
第三章 景観形成地域(第九条―第十四条)
第四章 大規模行為に関する景観形成(第十五条―第十八条)
第五章 公共事業の実施等に関する景観形成(第十九条)
第六章 景観形成住民協定(第二十条)
第七章 雑則(第二十一条・第二十二条)
第八章 罰則(第二十三条・第二十四条)
附則
第一章 総則
(目的)
第一条 この条例は、本県におけるかけがえのない自然や貴重な歴史的文化的資産をめぐる景観を後世に継承するとともに、県民にとって魅力ある景観を創造することが、快適な環境を形成するうえにおいて極めて重要であることにかんがみ、景観形成に関し必要な事項を定めることにより、優れた景観の保全及び創造を図り、もって個性豊かで潤いのある県土の実現に資することを目的とする。
(定義)
第二条 この条例において「景観形成」とは、優れた景観を保全し、又は創造することをいう。
2 この条例において「建築物等」とは、建築基準法(昭和二十五年法律第二百一号)第二条第一号に規定する建築物及び規則で定める工作物をいう。
(県の責務)
第三条 県は、県土の景観形成に関する基本的かつ総合的な施策を策定し、及びこれを実施するものとする。
(市町村の責務)
第四条 市町村は、県の施策とあいまって、地域の特性に応じた景観形成に関する施策を策定し、及びこれを実施するものとする。
(県民の責務)
第五条 県民は、景観形成に自ら努めるとともに、県及び市町村が実施する景観形成に関する施策に協力するものとする。
(事業者の責務)
第六条 事業者は、その事業活動の実施に当たり、景観形成のために必要な措置を講ずるとともに、県及び市町村が実施する景観形成に関する施策に協力するものとする。
第二章 景観形成基本方針等
(景観形成基本方針)
第七条 知事は、県土の景観形成に関する基本方針(以下「景観形成基本方針」という。)を策定しなければならない。
2 景観形成基本方針には、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 景観形成に関する基本構想
二 景観形成地域に関する基本的な事項
三 大規模行為に係る景観形成に関する基本的な事項
四 景観形成のための事業に関する基本的な事項
五 景観形成に係る知識の普及及び思想の高揚に関する基本的な事項
六 景観形成に係る県民の自主的な活動の助長に関する基本的な事項
七 その他景観形成に関する基本的な事項
3 知事は、景観形成基本方針を策定しようとするときは、山梨県景観審議会の意見を聴かなければならない。
4 知事は、景観形成基本方針を策定したときは、これを公表しなければならない。
5 前二項の規定は、景観形成基本方針の変更について準用する。
(財政上の措置)
第八条 県は、景観形成基本方針に基づく施策の実施のために必要な財政上の措置を講ずるように努めるものとする。
第三章 景観形成地域
(景観形成地域の指定)
第九条 知事は、次の各号のいずれかに該当する地域のうち、県土の景観形成上重要な地域を景観形成地域として指定することができる。
一 山、高原、湖等の豊かな自然を有する地域
二 神社、寺院、遺跡その他の歴史的文化的資産を有する地域
三 主要な道路に沿つた地域
四 都市施設が集積している地域又はその集積が見込まれる地域
五 その他知事が県土の景観形成上必要と認める地域
3 知事は、景観形成地域を指定しようとするときは、関係市町村長及び山梨県景観審議会の意見を聴かなければならない。
4 知事は、景観形成地域を指定しようとするときは、規則で定めるところにより、その旨を公告し、その案を当該公告の日から二週間公衆の縦覧に供しなければならない。
6 知事は、前項の規定により縦覧に供された案について異議がある旨の意見書の提出があったとき、又は当該景観形成地域の指定に関し広く意見を聴く必要があると認めたときは、公聴会を開催するものとする。
7 知事は、景観形成地域を指定する場合には、その旨及びその区域を告示しなければならない。
8 景観形成地域の指定は、前項の規定による告示によってその効力を生ずる。
(景観形成基本計画)
第十条 知事は、景観形成地域における景観形成に関する基本計画(以下「景観形成基本計画」という。)を定めなければならない。
2 景観形成基本計画には、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 当該景観形成地域における景観形成のための基本的な方針に関する事項
二 当該景観形成地域における景観形成のための基準の策定の指針に関する事項
三 当該景観形成地域における景観形成のための事業に関する基本的な事項
四 その他当該景観形成地域における景観形成に関し必要な事項
(景観形成基準)
第十一条 知事は、景観形成基本計画に基づき、景観形成地域における景観形成のための基準(以下「景観形成基準」という。)を定めなければならない。
2 景観形成基準には、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 建築物等の位置、規模、形態、色彩、意匠及び材料並びに敷地の緑化に関する事項
二 木竹の伐採及び伐採跡地の緑化に関する事項
三 屋外における物品の集積又は貯蔵の方法及びしゃへいに関する事項
四 鉱物の掘採又は土石の類の採取に係る土地の区域のしゃへい及び当該掘採跡地又は採取跡地の形状及び緑化に関する事項
五 土地の形質の変更(水面の埋立て又は干拓を含む。以下同じ。)後における土地の形状及び緑化並びに当該変更に伴い生ずる擁壁の外観に関する事項
六 その他景観形成に関し必要な事項
3 景観形成地域内において次条第一項各号に掲げる行為をしようとする者は、当該行為が景観形成基準に適合するように努めなければならない。
(行為の届出)
第十二条 景観形成地域内において次に掲げる行為をしようとする者は、その旨を知事に届け出なければならない。
一 建築物等の新築、改築、増築又は移転
二 建築物等の模様替え又は色彩の変更で、その外観を変更することとなるもの
三 木竹の伐採
四 屋外における物品の集積又は貯蔵
五 鉱物の掘採又は土石の類の採取
六 土地の形質の変更
2 前項の規定による届出は、当該行為に着手する日の三十日前までに、次に掲げる事項を記載した届出書を知事に提出して行わなければならない。
一 氏名又は名称及び住所並びに法人にあっては、その代表者の氏名
二 行為の種類
三 行為の場所
四 行為の施行方法
五 その他規則で定める事項
(適用除外)
第十三条 次に掲げる行為については、前条第一項の規定は、適用しない。
一 非常災害のために必要な応急措置として行う行為
二 景観形成基本計画に基づく景観形成のための事業の執行として行う行為
三 通常の管理行為、軽易な行為その他の行為で規則で定めるもの
四 国、地方公共団体その他規則で定める公共的団体が行う行為
五 文化財保護法(昭和二十五年法律第二百十四号)第四十三条第一項又は第百二十五条第一項の許可を受けて行う行為及び同法第八十一条第一項の規定により届け出て行う行為並びに同法第百四十三条第一項(同条第二項において準用する場合を含む。)の規定による市町村の条例に基づく許可を受けて行う行為
六 森林法(昭和二十六年法律第二百四十九号)第十条の八第一項の規定により届出書を提出して行う立木の伐採(同項ただし書の規定の適用がある場合を含む。)、同法第三十四条第一項(同法第四十四条において準用する場合を含む。)の許可を受けて行う立木の伐採(同項ただし書の規定の適用がある場合を含む。)、同法第三十四条第二項(同法第四十四条において準用する場合を含む。)の許可を受けて行う行為(同項ただし書の規定の適用がある場合を含む。)及び同法第三十四条の二第一項(同法第四十四条において準用する場合を含む。)の規定により届出書を提出して行う立木の伐採
七 自然公園法(昭和三十二年法律第百六十一号)第十条第三項又は第十六条第三項の認可を受けた公園事業の執行として行う行為、同法第二十条第三項又は第二十一条第三項の許可を受けて行う行為及び同法第三十三条第一項の規定により届け出て行う行為
八 都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第五十八条の二第一項の規定により届け出て行う行為
九 山梨県文化財保護条例(昭和三十一年山梨県条例第二十九号)第十四条第一項又は第三十五条第一項の許可を受けて行う行為及び同条例第二十八条第一項の規定により届け出て行う行為
十 山梨県立自然公園条例(昭和三十二年山梨県条例第七十四号)第十条第三項の認可を受けた公園事業の執行として行う行為、同条例第二十条第四項の許可を受けて行う行為及び同条例第二十二条第一項の規定により届け出て行う行為
十一 山梨県風致地区条例(昭和四十五年山梨県条例第二十六号)第二条第一項の許可を受けて行う行為
十二 山梨県自然環境保全条例(昭和四十六年山梨県条例第三十八号)第十三条第三項の許可を受けて行う行為及び同条例第十四条の二第一項、第十五条第一項又は第十六条第一項の規定により届け出て行う行為
十三 山梨県ゴルフ場等造成事業の適正化に関する条例(昭和四十八年山梨県条例第四十号)第九条第一項の確認を受けて行う工事の施行に係る行為
十四 法令等に基づく事業のうち、景観形成のために必要な措置が講じられるもので規則で定めるものの執行として行う行為
十五 景観形成地域が指定され、又はその区域が拡張された際着手している行為
(平一二条例四四・平一四条例五四・平一七条例六八・平二三条例一四・一部改正)
(指導等)
第十四条 知事は、第十二条第一項の規定による届出があった場合において、景観形成のために必要があると認めるときは、その届出をした者に対し、景観形成基準に基づき、規則で定めるところにより、必要な措置を講ずるように指導又は助言を行うことができる。
2 知事は、景観形成地域内の建築物等が、当該景観形成地域の景観形成を図るうえにおいて著しく支障があると認めるときは、当該建築物等の所有者又は管理者に対し、景観形成基準に基づき、規則で定めるところにより、必要な措置を講ずるように指導又は助言を行うことができる。
第四章 大規模行為に関する景観形成
(大規模行為景観形成基準)
第十五条 知事は、次に掲げる行為(以下「大規模行為」という。)に関する景観形成のための基準(以下「大規模行為景観形成基準」という。)を定めなければならない。
一 建築物等で、その高さ又は面積が規則で定める規模を超えるもの(以下「大規模建築物等」という。)の新築、改築、増築又は移転(改築又は増築後において、その高さ又は面積が規則で定める規模を超えるものとなる場合における改築又は増築を含む。)
二 大規模建築物等の模様替え又は色彩の変更で、その外観を変更することとなるもの
三 屋外における物品の集積又は貯蔵で、その高さ又はその用に供される土地の面積が規則で定める規模を超えるもの
2 大規模行為景観形成基準には、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 大規模建築物等の位置、形態、色彩、意匠及び材料並びに敷地の緑化に関する事項
二 屋外における物品の集積又は貯蔵の方法及びしゃへいに関する事項
三 その他景観形成に関し必要な事項
3 大規模行為をしようとする者は、当該大規模行為が大規模行為景観形成基準に適合するように努めなければならない。
(大規模行為の届出)
第十六条 大規模行為をしようとする者は、その旨を知事に届け出なければならない。
(指導等)
第十七条 知事は、前条第一項の規定による届出があった場合において、景観形成のために必要があると認めるときは、その届出をした者に対し、大規模行為景観形成基準に基づき、規則で定めるところにより、必要な措置を講ずるように指導又は助言を行うことができる。
(適用除外)
第十八条 次に掲げる区域については、この章の規定は、適用しない。
一 景観形成地域
二 景観法(平成十六年法律第百十号)第八条第二項第一号に規定する景観計画区域
三 市町村の条例に基づき景観形成のために必要な措置が講じられる区域で規則で定めるもの
(平二一条例二五・一部改正)
第五章 公共事業の実施等に関する景観形成
第十九条 知事は、公共事業の実施、公共施設の建設等(以下「公共事業の実施等」という。)に関する景観形成のための指針(以下「公共事業等景観形成指針」という。)を定めなければならない。
2 県は、公共事業の実施等に当たっては、公共事業等景観形成指針を遵守するものとする。
3 知事は、国、県以外の地方公共団体その他規則で定める公共的団体に対し、公共事業の実施等に当たっては公共事業等景観形成指針に配慮するように要請するものとする。
第六章 景観形成住民協定
第二十条 知事は、土地の所有者及び建築物等の所有を目的とする地上権又は賃借権を有する者が当該土地について一定の区域を定め、その区域における景観形成に関し、次に掲げる事項を定めた協定を締結した場合において、当該協定が規則で定める要件に該当し、かつ、県土の景観形成に資するものであると認めるときは、当該協定を景観形成住民協定として認定するものとする。
一 協定の目的となる土地の区域に関する事項
二 建築物等の位置、形態、色彩、意匠及び材料並びに敷地の緑化に関する事項
三 協定の有効期間に関する事項
四 協定の変更及び廃止に関する事項
2 市町村長は、当該市町村の区域における景観形成に関する協定が規則で定める要件に該当し、かつ、県土の景観形成に資するものであると認めるときは、当該協定を前項の景観形成住民協定として認定するように知事に推薦することができる。
3 知事は、第一項の規定により認定した景観形成住民協定の内容を公表するものとする。
(平一二条例四四・一部改正)
第七章 雑則
(山梨県景観審議会)
第二十一条 県土の景観形成に関する重要事項を調査審議するため、知事の附属機関として山梨県景観審議会(以下「審議会」という。)を設置する。
2 審議会は、この条例及び山梨県屋外広告物条例(平成三年山梨県条例第三十五号)の規定によりその権限に属させられた事項を調査審議するものとする。
3 審議会は、委員十五人以内で組織する。
4 委員は、景観形成に関し学識経験のある者のうちから知事が委嘱し、又は任命する。
5 委員の任期は、二年とし、再任を妨げない。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 審議会に会長を置き、委員の互選によりこれを定める。
7 会長は、会務を総理し、審議会を代表する。
8 会長に事故があるときは、あらかじめその指名する委員が、その職務を代理する。
9 審議会の会議は、会長が招集し、会長が議長となる。
10 会議は、委員の二分の一以上が出席しなければ開くことができない。
11 会議の議事は、出席した委員の過半数で決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。
(平二四条例三五・一部改正)
第八章 罰則
(平四条例二三・一部改正)
附則
(平成三年規則第一号で平成三年四月一日から施行)
(附属機関の委員等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)
3 附属機関の委員等の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和四十年山梨県条例第七号)の一部を次のように改正する。
〔次のよう〕略
附則(平成四年条例第二三号)
(施行期日)
1 この条例は、平成四年五月一日から施行する。
(経過措置)
2 この条例の施行前にした行為に対する罰則の適用については、なお従前の例による。
附則(平成一二年条例第四四号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成十二年四月一日から施行する。
附則(平成一四年条例第五四号)
この条例は、自然公園法の一部を改正する法律(平成十四年法律第二十九号)の施行の日から施行する。
(施行の日=平成一五年四月一日)
附則(平成一七年条例第六八号)
この条例は、平成十七年四月一日から施行する。
附則(平成二一年条例第二五号)
この条例は、公布の日から施行する。
附則(平成二三年条例第一四号)抄
(施行期日)
1 この条例は、平成二十三年七月一日から施行する。
附則(平成二四年条例第三五号)抄
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。