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知事記者会見(平成20年8月26日)

詳細内容

平成20年8月26日知事記者会見の様子(JPG:25KB)知事記者会見
平成20年8月26日(火曜日)11時30分から
本館2階特別会議室

●発表事項

・「高度情報エリア整備方針の策定と新県立図書館整備計画の公表について」

●その他の質疑応答

・「県内の経済情勢について」
・「富士山の世界文化遺産登録について」
・「児童・生徒の不登校率全国ワースト1について」
・「中部横断自動車道の開通によるマイナス影響について」


<質疑応答>

●「高度情報エリア整備方針の策定と新県立図書館整備計画の公表について」

(知事)お手元に資料があると思いますけれども、本日、甲府駅北口県有地に整備をいたします、一つは高度情報エリアの整備方針を策定したということと、あわせて新しい県立図書館の整備計画案を公表することにいたしましたので、これを報告させていただきます。
はじめに、高度情報エリアの整備方針でありますけれど、5月から学識経験者などで構成する懇話会を設置いたしまして、その意見を聞いて、検討してまいりました。概要がお手元にございますけれど、民間事業者が定期借地権を活用して、先端的な情報通信企業だとか公共公益施設を配した高度情報化拠点を整備するということであります。
これとあわせて、県自らが建設する新県立図書館がございます。
この二つをあわせて北口県有地を地域活性化と産業振興の拠点となるように活用していくというものであります。
高度情報化拠点の整備にあたりましては、民間の経営ノウハウや技術能力を最大限活用していくために、公募型のプロポーザル方式を採用することにしております。
今後、事業者の選定の作業に取りかかりまして、来年には、整備事業者を決定することにしております。

次に、新県立図書館整備計画案でありますけれど、本年1月に新県立図書館整備検討委員会から報告書をいただきました。これに基づきまして、教育委員会で作業を進めてまいりました。
概要がお手元の資料にありますけれど、要は全ての県民に親しまれ、県民とともに成長発展していく図書館、「山梨県民図書館の構築」ということを目指しまして、これを実現するためのサービスの内容や運営計画などが記述されています。
また、新しい図書館の施設につきましては、延床面積を約1万平方メートルといたしまして、収蔵能力も110万冊とするなど、多様な要望に応じられるような規模としております。
この整備計画に関しましては、県民の皆様のご意見を反映するために、本日から来月の15日まで、パブリックコメントを実施することとしております。
県民の皆様の貴重なご意見をお待ちしております。

<質疑応答>

(記者)かつて知事は、山本前知事が掲げた新学習拠点を白紙撤回した際に、新たな図書館を建設する際に日本一の図書館をつくりたいということをおっしゃっていたわけですが、今回示された整備計画の中で、そのような図書館というものが示せたのかどうかということと、もう一点は山本前知事が掲げていた新学習拠点では図書館と生涯学習拠点を一体化して北口に整備するという内容でしたが、今回の計画、また整備方針を見ると、図書館も生涯学習拠点も北口で、その建物の規模も山本時代とほぼ同じで、概要についてもそれほど変わりが無い気がしますが、そういった点で白紙撤回を掲げた意味と、どのような点が山本前知事時代の計画と違うのか、その点についてお願いします。

(知事)おっしゃるように、新しい県立図書館は、日本一の図書館にしたいということを申し上げてきました。施設・設備の面では、財政が厳しい折でありますから、そんなに巨額のお金をかけるわけにはいかないわけですけれど、ノウハウとか、サービス面とか、そういう面については日本一といわれるようなものを目指したいということを申し上げてきたところです。
具体的な運営とか、そういうことについては、これから検討していくことでありますけれど、例えば新しい図書館の特色としまして、一つは、これはどこの図書館にもあることかもしれませんが、最近は地域学ということが言われ、山梨学ということで山梨の歴史・文化、あるいは山梨らしさということが重要になっておりますので、そういうふうなものに関する図書資料を収集し、山梨について学ぶ人の利用に供する、そういう地域学、山梨学の殿堂にしたいと考えているわけです。
同時に、本県ならではの素材でありますワインとかジュエリーとかそういうものを取り上げて、そういうものに関する資料については全国的なセンターになるような、資料を収集し、国内外に情報を発信したいと考えております。
更に、「子ども読書支援センター」というものを設けまして、これはどこの図書館にも子どもの読書コーナーというものはあるわけでありますけれど、それだけにとどまらず、子どもの活字離れ、あるいは読書離れというものをこれから防止していくために、子ども達への読書を支援するサービス機能、例えば各市町村の図書館の司書さん達に子ども達にどう本に親しんでもらうためにアプローチをしたらいいのかとか、あるいはそういう人たちへの研修をしたりとか、その他色々な相談に乗る機能とか、そういうことをやる「子ども読書支援センター」というものを、これは他にはあまり例がありませんけれど、設立したいと考えております。
いずれにしても、運用の面では、できるだけ県民の皆様にも運営についても関わっていただいて、県民参加型の図書館ということにしていきたいと考えております。
具体的な運営についてはこれから検討していくことでありますけれど、最初に申し上げましたように、その内容とサービス、運営については日本一といわれるような図書館としていきたいと考えております。

次に、前知事時代の新しい学習拠点と内容的にあまり変わらないように思われるけれどその違いはどうかという話であります。
前の新しい学習拠点構想につきましては、私が申し上げたことは、例えば500人収容のホールがあるというようなものについては、他の既存施設と競合するのではないか、あるいは商業施設的なものも設置するということで、それもまた競合するのではないかというような、やや不要と思われるような機能が入っているということがありますし、また、PFIでやることになっておりますけれど、PFIの場合には、図書館というような一般県民が利用する施設について、30年という長い期間にわたって特定の民間事業者に運営を任せるということになりますので、それについては不安があるということから、白紙にして再検討することとしたものです。
内容については、あまり変わらないじゃないかというご意見もあろうかと思いますけれど、図書館は、これはつくるということは最初の公約で言っております。図書館検討委員会で検討して、山梨らしい図書館の構想ができたものと思っています。
また、生涯学習センターについても、ご案内のようにこの県庁施設を耐震化していく中で、現在ある生涯学習センターの建物は撤去せざるを得ない。そういう中で、どこかに持って行くということになると、やはり図書館の近くにあることが望ましいということが一つあります。同時に、生涯学習センターとあわせて、大学コンソーシアムというものを大学関係者が強く希望をしておりますので、生涯学習センターと大学コンソーシアムというものは非常に似かよっておりますから、これをあわせて設置をしようとしております。
さらに、民間の活力を活用しながら、情報発信拠点ということで、情報通信産業の誘致をする受け皿としての部分の施設も整備をして、全体として本県の情報の拠点として整備をしていくということにしておりまして、個々の内容については似かよったものもありますけれど、物の考え方としては、かなり変わったものではないかと思っております。

(記者)北口の開発を含む中心市街地の活性化については、知事が今年の2月に県と甲府市の幹部が定期的に懇談の場を持つということを発表して、実際に1回は開いておりますが、その後の進展具合と、それから今回のこういう整備案にはその議論が反映されているかどうか、この点をお聞かせください。

(知事)県と甲府市の幹部による協議会というものを設置いたしまして、今までに2回開催をしております。これは北口の問題だけでなく、甲府の中心市街地の活性化全般について、いろいろな意見交換をしているということであります。
今回の整備案には反映されているかということですが、この高度情報エリア整備方針の策定にあたっては、学識経験者による懇話会を設置をしておりまして、その懇話会の中に甲府市の副市長が入っておりますので、甲府市の意見も反映されたものになっております。

(記者)今後も甲府市との協議は続けていくおつもりですか。

(知事)そういうつもりです。

(記者)確認も含めてなのですが、整備事業者の選定というのは、その整備事業者を選定する時点で、実際高度情報化拠点の中核となる、中央の大手の情報関連企業のどこを持ってくるのか、整備事業者が自分のプランの中に含めるのか、もしくはそれとは全然別に県が独自に誘致するのか、その確認と、もう1点、もし県が独自に誘致されるとして、今いろいろな企業に声をかけて交渉されていると思うのですが、その後のその交渉の進展状況がもしありましたら教えてください。

(知事)2つのルートがありまして、ひとつはコンペによって整備事業者を決めていくのですけれども、決めるにあたっては、整備事業者の方において誘致してくる情報通信関連産業でこういうものを入れますと提案してきてもらうという意味で、提案をする整備事業者も具体的にこの施設に入る情報通信事業者を集めてこなくてはならない、ということがひとつあります。同時に県の方としても情報通信産業を積極的に誘致したいと考えておりまして、この北口に限らず、山梨県への情報通信産業の誘致にために、東京をはじめとする各地のそういった企業にアプローチをしているところであります。従ってそういう中で県が誘致をしてくる中で、北口にそういう施設があるならそこに入りたいという企業もいるかも知れません。そういうときには、民間の提案をしようとする整備事業者に、こういう情報がありますよということは、公平にお伝えをする。それを参考にしながら、よりよい提案を出してきてもらう。ということになると思います。
それから県独自の情報通信企業の誘致の進展の状況ということでありますが、かなりの件数の企業に対して誘致活動をしていますけれども、今の段階でまだ具体的にこういうものが決まりましたと申し上げられるものはありません。

(記者)図書館の建設に関してなのですが、今後予算上の手当としては、たとえば今年度、来年度どういった方針を持っておられますか。

(知事)図書館につきましては、この9月県議会において設計の経費を計上し、決定をしてもらいまして、設計にかかるということにしております。そして設計が終わった時点で、建設の予算化をするわけでありますが、22年度ぐらいに建設にかかり、24年度ぐらいに実際上供用を開始させるというような、場合によっては変わるかも知れませんが、今のところスケジュールとしてはそんなスケジュールを考えております。

(記者)総額の事業費はいくらくらいに想定されていますか。

(知事)事業費は具体的に今の段階では、いくらということはあまり想定しておりません。延べ床面積が1万平方メートルということでありますから、単価がどれくらいになるかということであります。他の県の例というのもいろいろあります。図書館というのは比較的特殊な建築物であり、かつ情報処理システムが高度なものが必要となって参りますので、通常の事務所ビル的なものよりは高くなっているようです。しかしその後、建築全体が競争が激化するなかで、建築単価が安くなっているということがある。最近は鋼材単価とかが上がっていますけれども、そういうこともあるものですから、今の段階でだいたい総事業費がいくらくらいになるかということは、申し上げかねるという状況です。

(記者)入札等に関して、例えば総合評価方式とありますが、県内のゼネコン土建業者などを、入札の際優遇する考えはありますか。

(知事)ある程度はそういうことも考慮に入れなければならないと思っております。まだ具体的に入札業者を、どういう条件にするかということは、これから実施設計をしていく段階ですから、入札ということになると1年以上先の話になるわけでありますので、今の段階でどういう条件の事業者を入札の対象事業者にするということまで決めているわけではありませんけれども、しかし一般論として、非常に公共事業、建設事業が減っている中でもありますし、かつ山梨の地元の建設事業者の技術を高めるという観点もありますから、地元事業者には配慮をしなければならないとは思っておりますが、今の段階では具体的に決めておりません。

(記者)情報化拠点の方なのですが、事業者選定のスケジュールが今回明記されたのですが、実際の稼働というのは、希望的な部分も含めてどのようになりますか。

(知事)来年に民間事業者を、公平、公正、透明なかたちで、コンペ方式で選定をすることにしているわけであります。そうすると来年の後半あるいは再来年から設計あるいは工事ということになってくるのですが、いつ頃完成するかということまでは、応募をした民間事業者の方針もありますから、今の段階ではいつということまでは決めておりません。

(記者)今の質問に関連してなのですが、この高度情報エリア整備方針では図書館と拠点との連携をうたっているわけですが、図書館側が平成24年秋の開館を目指すということであれば、同様に拠点においても平成24年の秋までの開館を目指したいというお考えでよろしいでしょうか。

(知事)(平成24年)までの開館ということになるかどうか、そこのところはそんなに大きくどっちが早くどっちが遅くということはないと思っておりますけれど、そこにいってある程度のずれが生じるのしょうがないことで、また、どっちが早くどっちが遅くということも今の段階で決めているわけではありません。
図書館の開館時期というのは一つの目安にはなると思いますが、ぴたり同じ時期になるかどうか、そこまでは決めておりません。

(記者)図書館に戻りますが、日本一の図書館とうたって建設を進めていくうえで、お話を聞いた限りで山梨に関するワインだったり、ジュエリーだったり、富士山だったり山梨に関する蔵書を日本一ということでは、ちょっと日本一と言うには、それは当たり前のことなので何か足りないかなと思いますが、他に蔵書が日本一であったり、資料にかけたお金が日本一だったり、何か他の図書館に負けない日本一を目指す部分というのがもしあればあればお教えください。

(知事)もちろん、山梨に関わるというか、今おっしゃったようなことについて、山梨の図書館に行けば富士山のことだとか、ジュエリーだとか、ワインだとか、そういうものについてはありとあらゆる情報がそろっているというかたちにしなければならないのはおっしゃるとおり。そういう意味での日本一は日本一でありますけれど、しかし、それだけでは物足りないということはおっしゃるとおりでありまして、かといって非常に財政の厳しい折でありますから、蔵書量が日本一ということにまではならないと思いますし、この運営についてのノウハウ、例えば運営の情報システムみたいなこともありましょうし、ボランティアのいろいろな意味での参加ということもお願いしなければいけないでしょうし、そういう運営、サービスの面で日本一と言えるような質の高いものにしていきたいと思っているわけですが、運営とかそういうことについてはこれからの話なものですから、今のこの段階では具体的には申し上げられないわけです。
県民図書館というかたちで、県民が参加する図書館というかたちにしていきたいと思っておりますから、そういう方向で検討していきたいと思っております。

(記者)関連して、今回の高度情報エリアが中心街の活性化という部分に、知事がここ(高度情報エリア)をどういうふうに活用していきたい、あるいはここを整備することによって期待することというか、その辺はどのようにお考えなのか改めてお聞かせいただきたいのですが。

(知事)駅の北口という非常に立地条件の良い、また、人が交流しやすい場所でもありますから、甲府の中心街にできるだけ多くの人が集まる、そういう機能も併せ持たせたいと思っております。具体的にどういうものを考えるかですけれど、生涯学習センターというものはそういうものなわけですけれど、しかし、図書館を北口に置くということ自体が、これは最近、各県で新しい図書館をいくつかつくっておりますけれど、図書館というものに対してはかなりの集客力があるわけです。
例えば、有名なのは青森市のつくったすぐ駅前のアウガという再開発ビルの図書館があって、それが駅前の集客に大きな効果を発揮しているということがあるし、また、最近できた福井県の図書館だとか奈良県の図書館も、相当な、何十万人という集客力を持っているわけなんです。したがって、北口のあそこに図書館があるということが、かなり甲府の中心に人を呼び込む手がかりになると思っておりますけれど、さらにあわせて、より多くの人が訪れるような工夫をしていかなければならないと思っております。


<その他の質疑応答>

●「県内の経済情勢について」

(記者)昨日、県内の大手パチンコ業者が事業を停止したというニュースが飛び込んできたのですが、改めて県内の経済情勢について知事はどういった景況感をお持ちになるのか表明して頂きたいのですが。

(知事)率直に言って非常に厳しい状況にありまして、私も就任以来山梨を活性化すると、元気にするという思い一筋で努力をしてきたわけでありますけれども、しかしその後、昨年の秋以来、平成14年から続いていたこの長期の好況が一転不況状況になってきておりまして、山梨の経済状況も一段と厳しい状況にあるということは残念なことであります。
いろいろな業界の皆さんからお話しを聞いておりますけれども、あまり良いという業界がないような状況でありまして、ジュエリーもそうでありますし、繊維もそうであります。ワインは少し元気になってきているように思いますけれども、観光もまあまあ比較的良いようでありますが、建設業はもちろん非常に厳しい状況にありますし、それから東京エレクトロンをはじめとするいわゆるIT産業も半導体の不況の中で、平成14年のIT不況と言われたとき以来の厳しい状況だと聞いております。そういうことで一部の業界を除いては非常に厳しい状況にあると思っております。
そんなことから国の方でも景気対策を検討しているわけでありますけれども、県としてもそういった国の状況をみながら、県としての緊急の景気対策というようなものも検討しなければならないかなと思っているところです。

(記者)今後、予算編成作業を検討されていくと思うのですが、前年度については法人関係税等の県税収入が過去最高水準であったと思うのですが、来年度の県税収入は、例えば今年度並みなのか07年度並なのか、あるいはそれを下回るのか、どういった見立てを現在知事はお持ちでしょうか。

(知事)今年度は県税収入が比較的好調に推移をしているというのは、これは税源移譲の影響が依然としてあるということが1つと、それからもう1つはやはり企業の業績と税収入というのは一定のタイムラグがありますから、昨年度の段階では、例えば今年の3月期決算企業なんかも後半は悪かったのですが、年度を均せばかなりよかったという企業も多いわけでありますので、その税収というのがそれが今の税収に響いてきておりますから、今年は比較的税収は高水準で推移をしてきていると思っておりますが、当然の事ながら今企業の業績が非常に落ち込んでおりますから、来年度の税収は厳しいものがあると思っております。まだ具体的にそれを推計するという段階ではないのですが、今年よりも落ち込んでいく可能性は高いと思っております。

●「富士山の世界文化遺産登録について」

(記者)先日東京で学術委員会が開かれまして、その中で北富士演習場について、現在バッファーゾーン、緩衝地帯に含まれていないのですが、バッファーゾーンに含めたらどうだろうかという意見が出て文化庁と防衛省が協議することになっているのですが、知事ご自身、演習場をバッファーゾーンに含めることについてどのようにお考えなのか、また仮にバッファーゾーンに含めた場合に演習場は今のままでよいのか、縮小・除外を今以上に進めていく必要があるとお考えなのかその2点をお願いします。

(知事)私の考えとしては、北富士演習場は防衛のための施設であり、バッファーゾーンということになりますと、そこに例えば文化財保護法とか自然公園法などの規制がかかるわけでありますけれども、防衛上の施設でありますのでそういうふうなものには馴染まないものではないかなと感じておりまして、同時にまた、そういう文化財保護法とか自然公園法の規制をかけなくても、北富士演習場は国が管理をし、演習場として使っているわけでありますから、そこに富士山の景観を害するようなおかしなものが建ったりというようなことはないと、国が管理をしているわけでありますから。そういうことがあって、実体上、景観とかは保全をされているということもあります。したがってバッファーゾーンとすることはどうかなと思っておりまして、そのことは文化庁に伝えてあります。
しかしこれは国が判断することでありまして、そうは言っても文化庁として世界遺産化を進めるためにはバッファーゾーンとする必要があると判断をして、防衛省と協議をして両者が合意をすれば、それはそれで良いわけでありまして、県としてはそういう意見は申し上げてありますけれども、後は国に委ねているということであります。
仮にバッファーゾーンとなったときに今のままで良いのか、さらに返還のテンポを早める必要があるのかというのは、これはちょっとそういうふうになったうえでなければわからないわけでありますけれども、しかし仮にそうなったからといって返還のテンポを早めるというようなことは、もちろん返還の促進をしていかなければいけないわけですが、それはまた別途の観点でやるべきことであって、富士山世界遺産のバッファーゾーンになったから返還のテンポを早めるということにはならないのではないかと、別途の観点から返還を求めていくことは必要なことだと思っております。

●「児童・生徒の不登校率全国ワースト1について」

(記者)教育に関してですが、ちょっと前なのですが、全国の文科省の調査で昨年度の不登校率が山梨県が全国で最悪という事態になりましたけれども、教育委員会マターとは思いますが知事の率直なご意見と、知事も力を入れておりました今年度からの中1ギャップ対策ということで35人学級編成も入れましたけれども、今後知事は不登校対策というかそういうことをお考えかどうか教えてください。

(知事)正直言って本県の不登校生徒の比率が、中学1年生ですけれども大変に多いというのには驚きましたし、これは放置できない問題だと思っております。特にここ2、3年のところで急速に不登校比率が上がってきていると言うことについては、それは何が原因なのか教育委員会において徹底的に究明をして対策をとってもらいたいと要請をしているところであります。
しかし対応としては、今年度から中学1年生を対象として少人数学級を導入したと。やはり中1ギャップというものが非常に子供の成長過程で大きな節目となり、そういうものがだんだん強くなってきているという状況でありますので、それに対応して中学1年生については、よりきめ細かい指導をしていく必要があるということで、不登校対策のためにも少人数学級制度を導入したということであります。
原因もよくわからないのですけれども、やはり中1ギャップと言われる小学校から中学校に入ったところの落差というか、その環境の変化というのが非常に大きいというところがあって、それがますます近年大きくなってきているということが一番の原因ではないかというふうに教育委員会は言っておりました。まあそうなのだろうと思います。小学校の場合には、山梨県の場合かなり学校規模が小さいですし、過疎地域でかなり統合されてきたとはいえ、学校規模が小さく、それから学級の規模も小さい。言ってみれば小人数の中で和気藹々と成長してきて、中学校に入ってより大きな学級編成の中に投げ込まれると、そこのところに対応できなくなる子供さんが多いということなのだろうと思うのですが、そういう意味で中1を対象とした少人数学級できめ細かい指導をしていくということと、それからこの6月の県議会で予算化をしましたけれども学校応援団と言いまして、地域のOBの先生方とかOBの警察官とかいろいろなノウハウを持った地域の人々が、学校を自分たちの地域の宝物として、いろんなかたちで先生方をバックアップして支援をしていくと、そういう制度も6月にできましたので、これを全県の中学校に及ぼしていくということをこれからやっていきたいと思っております。


●「中部横断自動車道の開通によるマイナス影響について」

(記者)中部横断自動車道について、先日、(沿線)活性化協議会の2回目が開かれて、ストロー現象で、本来、地域の発展に資するという目的で造る道路が、逆に例えば峡南地域の過疎を進行させる結果になるのではないかとか、あと、観光客が増えると言っても、逆に便利になって日帰りの観光客が増えるのではないかという、そういう調査が出ているということがあったのですが、その辺についての対策というか知事ご自身の考えをお伺いしたいと思います。

(知事)確かに道路が整備されますとプラス・マイナスの両方の効果がありまして、マイナスの効果としてはおっしゃるようにストロー現象というものが起こるわけであります。便利になるだけに、それ(地域)を通り越してしまうということになるわけですが、そこをマイナスにするのかプラスにするのかというところは、まさに地域の主体的な努力があるかどうかというところにかかってくるわけでありまして、(中部横断自動車道の完成までに)まだ10年間という時間があるわけでありますから、そういうストロー現象みたいなマイナス現象をできるだけ少なくして、中部横断道のプラス効果を高めていくために、この10年間、地域が主体的な努力を県と一緒にやらなければならない。そのために協議会をつくっているわけです。
具体的にどういうことをやるのかということは、これは協議会で検討しているわけでありますけれど、例えば、ここのところ観光も山梨県の場合にはかなり去年の風林火山、今年のディスティネーションキャンペーンなどで増加しておりますが、峡南だけは減っている状態です。だからこの峡南地域の観光も大きな問題でありまして、観光の素材は身延山、あるいは下部温泉、その他あるわけですけれど、もう一回、観光の素材を発掘し直すとか、そういう努力が必要ではないかと思います。
言うまでもなく今の観光というのは、かつてのような集団観光と違って、非常に個性的な楽しみというものを求めるようになっておりますから、地域の人から見るとごく当たり前の、何の変哲もないようなことでも、観光客にとって見ると非常に魅力があるというものが大変あるわけであって、そういう個性的な地域の魅力みたいなものを発掘してPRしたところが大きく観光客を増やすというようなことがあるわけです。
そのようなことも含めて、地域の魅力を発掘し、PRする努力ということとか、あるいは工場誘致なども、これは中部横断道ができれば南に静岡市という100万都市があるわけであって、それのヒンターランド(後背地)になるわけですから、企業の立地条件としても非常によくなるわけでして、そういうことも大いにやっていかなければならないと思いますし、そのようなことをこの協議会で検討してくれていると思っております。

(以上)

リリース日:2008年8月27日

添付ファイル

知事政策局広聴広報課

甲府市丸の内1-6-1本館2F
TEL:055(223)1336
FAX:055(223)1525

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