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定点情報(2025年第28週:7月7日~7月13日)/ その他情報(公表までに把握した情報)
(7月17日 山梨大学医学部附属病院 鈴木哲也 医師)
【要約】
・新型コロナウイルス感染症:散発的な流行が生じていると見込まれます。本格的な流行状況ではないと思われますが、今月末から来月にかけて新規感染者が増えても不思議ではありません。
・百日咳、伝染性紅斑:依然として多くの新規感染者が報告されています。
・蚊やダニに刺されることで感染・発症する病気は少なくありません。山や森の中でのアクティビティのときには素肌の露出を避け、虫除け剤も活用して虫に刺されないようにしましょう。
〇リスクアセスメント
【新型コロナウイルス感染症】
この週の報告数は定点医療機関あたり3.20 (報告総数112人)、基幹定点医療機関の入院患者数の合計は9人でした。いずれも前週(第27週)とほぼ同程度の人数です。前週と比べて10-14歳の新規感染者が増加し、15-19歳は前週より減少したものの、依然としてこの年代は多い状況です。また、40-50代の新規感染者も目立ちます。小学校や中学・高校の児童や生徒と、その保護者などを中心とした流行が散発的に生じていると見込まれます。
県全体での新規感染者の報告数自体はまだ少なく、本格的に流行している状況ではないと思います。しかし、以前から本格的な流行の前には今回のような特定の集団内での小規模な流行が見られていたことや、毎年8月中旬頃には新規感染者数のピークを迎えていることを考えると、今月末から来月にかけて、徐々に(あるいは急激に)新規感染者が増えても不思議ではありません。
【伝染性紅斑】
引き続き新規感染者が多い状況が続いています。先週までに警報の出ていた中北、富士・東部保健所管内、甲府市では今週も多くの新規感染者数が報告されており、警報が維持されています。
【百日咳】
引き続き報告数が増加しています。山梨県内の今週分の新規届出件数は15件(うち1人は1歳未満の乳児)でした。年間で合計189件に達しています。
〇対応
新型コロナウイルス感染症はこれから新規感染者が増える可能性があります。体調が悪いときや発熱・咳などの症状がある場合は外出を控えたり、咳エチケットをいつも以上に心がけたりしてください。また、周囲の流行状況に気を配り、手洗いなどの基本的な感染対策を続けるようにしましょう。
百日咳は激しい咳が長期間続く呼吸器感染症です。特に生まれたばかりの新生児や乳児が感染すると重症化し、命に関わることがあります。百日咳を含む混合ワクチンは生後2か月から接種できるため、対象の月齢に達した乳児は遅れずにワクチン接種をお願いします(定期接種)。また、生まれたばかりの新生児や乳児の感染を防ぐために、妊娠中に妊婦が百日咳を含むワクチンを接種する方法もあります(任意接種)。
伝染性紅斑は幼児~小学生に多い感染症で、妊婦が感染するとお腹の中の赤ちゃんにも影響が出ることがあります。特徴的な症状が見られないことも多く、明確に診断されるより前の時期のほうが感染力が強いため、日ごろから手洗いなどの基本的な感染対策を続けることが大切です。
また、これからキャンプや海外旅行などに出かける機会が増えてくると思います。蚊やダニに刺されることで感染・発症する病気は少なくありません。そのような感染症を防ぐために、山や森の中などでのアクティビティのときには素肌の露出をできるだけ避け、虫除け剤も活用して虫に刺されないようにしましょう。
*関連ページ
百日咳 ⇒ 山梨県感染症ポータルサイト / 厚生労働省 / 国立健康危機管理研究機構
伝染性紅斑 ⇒ 山梨県感染症ポータルサイト / 厚生労働省 / 国立健康危機管理研究機構
マダニや蚊による感染症・対策 ⇒ 山梨県感染症ポータルサイト / 厚生労働省(ダニ・蚊) / 国立健康危機管理研究機構
海外渡航者向け情報 ⇒ 厚生労働省検疫所
◆今週の感染症発生状況はこちら をご覧ください !
*保健所毎や疾患毎(インフルエンザ・コロナ・RSウイルス・感染性胃腸炎など)に今週の状況がご覧になれます。
2025年7月17日作成
インフルエンザ及び新型コロナウイルス感染症について県内35箇所(2025年14週までは41箇所)の定点医療機関から
報告された患者数及び1医療機関あたりの患者数を集計しました【赤色警報 黄色注意報】。
対象期間:2025年第28週〔2025年7月7日(月曜日)~2025年7月13日(日曜日)〕
◆下記数値は、「初回公表時点での数値」を掲載しています。また、医療機関から報告がなかった場合は定点当たり数値の算出対象から除いています。
インフルエンザ | |||||||
週 | 山梨県 | 中北 | 峡東 | 峡南 | 富士・東部 | 甲府市 | |
28週 | 報告数 | 3 | - | 1 | - | - | 2 |
定当 | 0.09 | - | 0.17 | - | - | 0.29 | |
27週 | 報告数 | 3 | - | 3 | - | - | - |
定当 | 0.09 | - | 0.50 | - | - | - | |
26週 | 報告数 | 2 | 2 | - | - | - | - |
定当 | 0.06 | 0.17 | - | - | - | - | |
25週 | 報告数 | 8 | 4 | - | - | - | 4 |
定当 | 0.23 | 0.33 | - | - | - | 0.57 | |
24週 | 報告数 | 13 | 9 | 2 | - | 1 | 1 |
定当 | 0.37 | 0.75 | 0.33 | - | 0.14 | 0.14 |
新型コロナウイルス感染症* | |||||||
週 | 山梨県 | 中北 | 峡東 | 峡南 | 富士・東部 | 甲府市 | |
28週 | 報告数 | 112 | 52 | 23 | 4 | 10 | 23 |
定当 | 3.20 | 4.33 | 3.83 | 1.33 | 1.43 | 3.29 | |
27週 | 報告数 | 114 | 36 | 27 | 8 | 28 | 15 |
定当 | 3.26 | 3.00 | 4.50 | 2.67 | 4.00 | 2.14 | |
26週 | 報告数 | 42 | 20 | 12 | 2 | 4 | 4 |
定当 | 1.20 | 1.67 | 2.00 | 0.67 | 0.57 | 0.57 | |
25週 | 報告数 | 44 | 14 | 10 | 6 | 4 | 10 |
定当 | 1.26 | 1.17 | 1.67 | 2.00 | 0.57 | 1.43 | |
24週 | 報告数 | 21 | 5 | 2 | 2 | 4 | 8 |
定当 | 0.60 | 0.42 | 0.33 | 0.67 | 0.57 | 1.14 |
※15週報告から、定点医療機関数が変更(減少)しています。推移を確認する場合は「定当」(定点あたり患者数)をご参考ください。
*本県独自基準 以下の数値を目安にYCDC医師と協議の上決定(注意報目安:定点あたり10以上、警報目安:定点あたり15以上)
◆発生動向に関する各種資料 (定点把握対象疾患・全数把握対象疾患の発生状況や病原体検出状況などがご覧になれます)
◆集団感染事例及び学級閉鎖等措置状況(PDF:33KB) ※過去の分はこちら
(施設から報告のあった事例を保健所及び施設種類ごとにご覧になれます。県保健所管内のみの情報です)
*2024年第36週以降の状況
新型コロナ措置状況(PDF:64KB)
インフルエンザ措置状況(PDF:64KB)
感染性胃腸炎措置状況(PDF:64KB)
*甲府市の状況は こちら
新型コロナウイルス感染症とは、新型コロナウイルスによって起きる感染症です。主に鼻やのど、気管、肺などの臓器(呼吸器)に感染し、インフルエンザや風邪に似た症状を引き起こします。
*新型コロナウイルス感染症の法律上の位置づけは、令和5年5月8日から「5類感染症」に移行しました。
新型コロナウイルス感染症に関する詳細情報は以下のページをご覧ください。
下水中のウイルスを検査・監視する下水サーベイランス(下水疫学調査)は、受診行動や検査数等の影響を受けることなく、無症状感染者を含めた感染状況を反映する客観的指標としての活用が期待されています。
本県では感染状況のトレンドを把握し、感染対策に活用するため、令和5年7月から下水サーベイランス事業を実施しています。
詳しい情報は こちら
★海外における感染症予防について
海外には日本で発生していない感染症がたくさんあります。
海外に渡航される方は、渡航先の状況や滞在中の計画に応じた適切な感染予防を心がけてください。
〇厚生労働省や国立感染症研究所などが公表する最新・話題のレポート
〇YCDCレポート
警報 |
伝染性紅斑(中北保健所、富士・東部保健所、甲府市保健所管内) |
注意報 |
なし |