ページID:69817更新日:2015年12月3日

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平成27年12月定例県議会知事説明要旨

平成27年12月定例県議会の開会に当たり、提出致しました案件のうち、主なるものにつきまして、その概要を御説明申し上げますとともに、私の所信の一端を申し述べ、議員各位並びに県民の皆様の御理解と御協力をお願い申し上げたいと存じます。

先般、本県出身で北里大学特別栄誉教授である大村智先生のノーベル生理学・医学賞受賞が決定されました。

本県出身者のノーベル賞受賞は、初の快挙であり、県民にとって大きな喜びと誇りであります。

この度の栄誉は、永年にわたって精進された天然物有機化学における研究成果により、人類社会の発展に大きく貢献した大村先生の功績が顕彰されたものであり、国内外の多くの人々に勇気と希望を、本県の未来を担う子どもたちには大きな夢を与えるものであります。

また、大村先生は、山梨県総合理工学研究機構の初代総長を務められるとともに、代表世話人となって設立され本年で20周年を迎えた山梨科学アカデミーの取り組みを通じて、子どもたちに科学の楽しさを知ってもらう活動を献身的に行われるなど、本県の科学技術の振興や普及啓発に多大な御貢献をいただいているところであります。

県では、本県の文化の発展、向上に対する大村先生のめざましい功績を称えるため、本県の表彰制度で最高位となる「特別文化功績者」を新たに設け、過日、表彰を行ったところであります。

更に、今回のノーベル賞受賞は、これまでに比類の無い快挙であり、このような卓絶した功績が認められる方は、永く県民の敬愛の対象として顕彰していくべきものと考えております。

このため、今定例県議会において、山梨県名誉県民条例を提出することとし、御議決いただいた後には、改めて県議会の同意を得た上で、大村先生に対して、名誉県民の称号をお贈りして、顕彰して参りたいと考えております。

次に、ダイナミックやまなし総合計画の策定についてであります。

新たな県政運営の基本方針となるダイナミックやまなし総合計画につきましては、県議会をはじめ、総合計画審議会、やまなし未来会議、パブリックコメントなどを通じて、幅広く御意見を伺いながら検討を重ねて参りましたが、今定例県議会で、具体的な数値目標を加えた最終的な計画案について、御審議をお願いしております。

総合計画の計画期間である本年度からの5年間は、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて拡大する様々な需要を積極的に取り込み、2027年のリニア中央新幹線の開業により格段に高まる本県の有利性を最大限に生かした、新たな地域社会を創造していくための土台づくりの第一段階であります。

地域経済の活性化と安定的な雇用の創出を図るとともに、県民生活を支える様々なサービスの提供体制や快適な生活環境をバランス良く整備・充実させるなど、全ての県民の皆様が明るく希望に満ち安心して暮らせる「輝き あんしん プラチナ社会」の実現に向けて全力で取り組んで参る所存であります。

また、2060年を見据えた本県が目指すべき将来の方向と人口の将来展望を示した人口ビジョンの実現に向けて、今後5年間の目標や具体的な施策などを示す「山梨県まち・ひと・しごと創生総合戦略」については、過日、地域に根ざした雇用の創生や明日の山梨を担う人材の創生など5つの項目を基本目標とする素案を公表致したところであります。

今後は、県議会をはじめ、現在実施しているパブリックコメントで寄せられる県民の皆様からの御意見を踏まえ、更に検討を進めて参りたいと考えております。

また、現在、県では、このほかにも、総合計画を踏まえ、各分野において取り組むべき具体的な施策や事業の詳細な内容を明らかにする部門計画の策定を進めており、社会資本整備重点計画など5計画については、過日、素案を公表し、パブリックコメントを実施しているところであり、年内には策定して参る所存であります。

今後は、これらの計画を実行に移すために必要な施策事業を、現在、編成作業を進めている平成28年度当初予算に最大限反映するとともに、施策事業を着実かつスピーディーに推進するため、庁内の組織体制の見直しを進めて参ります。

大村先生は、常に「人の役に立つこと」を基準に考え、生きてこられた方であります。

また、御自身の原点は、自然豊かで人情味あふれる山梨にあるとも、よくお話しされております。

私も心新たに「自分を育んでくれた山梨の役に立つ」という気概を持ち、「輝き あんしん プラチナ社会」の実現に向けて県民の皆様と一丸となって取り組んで参る所存であります。

次に、環太平洋パートナーシップ協定、いわゆるTPP協定への対応についてであります。

先般、米国のアトランタで行われた閣僚会合において、TPP協定が大筋合意致しました。

TPP協定は、今後、批准に向けた国会での審議がなされるとともに、各国で国内手続きが進められますが、協定が発効されると、我が国の産業経済や、国民生活全般にプラスの面、マイナスの面を含め大きな影響を及ぼすことが想定されます。

特に、農産物は、果物や野菜の関税の大半が撤廃されるとともに、牛肉、豚肉の関税の段階的な引き下げが盛り込まれるなど、県内農業への影響も懸念されます。

県におきましては、今後想定される影響を検証し、TPPのマイナス面を極力抑えていくとともに、プラス効果を最大限引き出していけるよう、全庁一丸となって取り組んでいくため、「TPP協定対策本部」を立ち上げたところであります。

現在、過日発表された政策大綱の内容を鋭意、調査、分析しているところでありますが、今後も国の動向を注視しながら、国に対して、それぞれの地域の経済状況や産業の特性に応じた適切な対応を講じるよう強く要請していくとともに、県と致しましては必要に応じて、独自の対策も講じて参りたいと考えております。

次に、当面する県政の課題について申し上げます。

先ず、経済対策についてであります。

過日、公表された本年7月から9月期の実質GDP成長率は、年率マイナス0.8パーセントと、2期連続のマイナス成長となっており、我が国の厳しい経済情勢が明らかとなったところであります。

本県経済においても、アベノミクスの効果が十分に及んでおらず、回復基調に減退傾向が見られることから、先般、県議会からも、国に対し経済対策の策定を強く働きかけるよう御要望をいただきました。

これを踏まえ、私自ら、政府・与党に対して本県の厳しい経済情勢を説明し、経済対策の早期の実施について働きかけを行ってきたところであります。

更に、過日開催された関東地方知事会においても、私から経済対策の実施について要望することを提案し、各知事の賛同を得られたことから、近隣都県と連携し、国に対して要望を行ったところであります。

私としては、先ずは県単独での対策を先行的に実施する必要があると判断致し、かねてより地域の皆様からの要望が多い、児童生徒の通学路の補修など、安全・安心に直結するとともに、経済対策としても即効性のある県単独公共事業を実施することとし、12月補正予算に所要の経費を計上致したところであります。

次に、富士山の保全対策についてであります。

ユネスコへ明年2月1日までに提出する保全状況報告書につきましては、過日、富士山世界文化遺産協議会において、その内容が承認され、現在、英訳作業を行っているところであります。

平成25年6月の世界遺産登録から今日まで、国や静岡県をはじめ、地元関係者などと数多くの協議を重ねて作成したものであり、イコモスや世界遺産委員会からも評価されるものと期待しているところであります。

もとより、保全状況報告書は、提出することが目的でなく、承認された取り組み方針に沿って着実に施策を進めていくことが大切でありますので、今後とも、国や静岡県、地元関係者などと連携を図りながら、富士山の保全に向けて万全を期して参る所存であります。

また、富士山の保全に係る景観配慮の手続きについては、富士山保全促進山梨県議会議員連盟の皆様からいただいた意見書を踏まえ、これまで条例化に向けて検討を進めてきたところであります。

検討の結果、今定例県議会に提出致しました「山梨県世界遺産富士山の保全に係る景観配慮の手続に関する条例」では、世界遺産の構成資産又は緩衝地帯内で、一定規模を超える開発事業などを行おうとする事業者の景観配慮を促すため、景観評価等の手続きや、義務違反に対して勧告・公表を行うことなどを定めることとしております。

次に、企業活動を支える新たな施策についてであります。

第一は、「やまなしパワー」の創設であります。

本県が、企業にとって魅力ある立地拠点となるためには、安価で安定的なエネルギー供給を確保し、安定した企業活動を支える地域づくりを推進することが必要であります。

このため、過日、東京電力株式会社と基本協定を締結し、明年度から県内企業などに安価な電力を供給していく「やまなしパワー」という事業を創設することと致しました。

具体的には、企業局と東京電力の共同事業として、企業局が発電した電力を東京電力に売電し、東京電力が、「やまなしパワー」のブランド名により、通常の電力量料金よりも3パーセントから6パーセント減額した価格で、県内企業などに供給していくものであります。

「やまなしパワー」の供給で、企業活動を支援することにより、県内への立地や既存企業の事業拡大を促進し、新たな雇用創出などの効果が期待できるものであります。

更に、企業局の増収を図ることにより、利益の一部を子育て支援事業などの原資として活用し、産業振興のみならず、幅広く県民福祉の向上に役立てて参りたいと考えております。

第二は、地域再生計画の活用であります。

県では、本年8月に施行された改正地域再生法に基づき、市町村と連携しながら、県内全域を対象区域とした地域再生計画の策定作業を進めて参ったところ、先日、本計画について国の認定を受けることができました。

この計画により、今後は、本社機能の移転や事業拡張のための整備計画を作成し、県の認定を受けた事業者は、国税や地方税の優遇措置など、様々な支援が受けられることとなりました。

このため、本制度の活用も積極的にPRしながら、県外からの企業誘致や県内企業の事業拡張の促進に強力に取り組んで参ります。

次に、インバウンド観光の推進についてであります。

先日、成長著しいインドネシアにおいてトップセールスを実施して参りました。

今回のトップセールスでは、これまで築いてきた現地の事業パートナーとの連携を更に進化させるとともに、「日本インドネシア文化経済観光交流団」の交流行事を活用した本県のPRや認知度の向上を図って参りました。

具体的には、政府・経済団体等の要人を招いて開催された日本国大使館主催のレセプションにおけるプロモーションや、日本政府観光局主催のシンポジウムでのプレゼンテーションにおいて、本県の県産品や観光の魅力を強力にPRしたほか、現地の大手酒類輸入業者とは、日本で初めてインドネシア市場向けに国産ワインを輸出することに関して、販売協力の了解を取り付けることができました。

また、インドネシア日本友好協会主催の交流の夕べにおいては、インドネシア各界の要人との新たなネットワークの構築を図って参りました。

更に、ジョグジャカルタ特別州と本県との友好交流促進に向けた基本合意書の締結、ガルーダ・インドネシア航空との相互協力協定の締結を行いましたので、これらを基に、今後更なる誘客促進に繋げて参ります。

私は、トップセールスを通して、桃やブドウ、ワイン、ジュエリー、ミネラルウォーターなど本県の誇る日本一を現地の方々にアピールすることに努めたところでありますが、現地の方のみならず、日本から来た方々も、そうした山梨の魅力を初めて知り、驚かれておりました。

改めて、本県の有するポテンシャルの高さを実感するとともに、未だその認知度が低いこと、積極的な情報発信の必要性を痛感したところであります。

次に、地域限定特例通訳案内士の育成についてであります。

本年9月に施行された改正構造改革特別区域法に基づき、国に対して申請していた地域限定特例通訳案内士の育成に係る本県の特別区域計画が先日、認定されました。

外国人観光客が急増する中、県内では外国語通訳や観光案内を行う通訳案内士が不足している状況にあります。

このため、県では、本特区計画により、本県ならではの観光資源やおもてなしなど、山梨の魅力をPRできる本県独自の通訳案内士を育成するとともに、通訳案内士、特例通訳案内士、通訳ボランティアからなるネットワークを構築し、インバウンド観光の更なる推進に向けて取り組んで参りたいと考えております。

次に、太陽光発電施設の適正導入ガイドラインの策定についてであります。

事業用太陽光発電施設は、平成24年7月に再生可能エネルギーの固定価格買取制度が開始されたことなどを背景に、本県において急速に増加しており、山間部、傾斜地等の災害発生リスクの高い地域や、自然公園などへの立地が進み、防災や景観、環境への影響が顕在化しております。

このため、立地を避けるべきエリアを明示するとともに、防災、景観、環境等の観点から遵守すべき事項、市町村や住民との合意形成の手順などを明記し、設置事業者に適正導入を促す「太陽光発電施設の適正導入ガイドライン」を県議会の皆様からの御意見を踏まえながら、過日、策定致したところであります。

今後は、県、市町村が、ガイドラインによる統一した考え方で事業者を指導し、適正導入を促すことにより、災害発生リスクの低減を図るとともに、景観や自然環境との調和、地域住民などとの合意形成が図られるよう努めて参ります。

次に、本県独自の被災者生活再建支援制度の創設についてであります。

自然災害で住宅が全壊するなどの被害を受けた世帯に対しては、被災者生活再建支援法による支援制度がありますが、被災世帯数が法律の要件を満たさない場合、支援金を受け取ることができません。

このため、法による支援がなされない被災世帯に対しても、生活の速やかな再建と安定が図られるよう、法による支援金と同額を支給する本県独自の支援制度を、今般、市町村と共同して創設することと致しました。

今後、自然災害が発生した場合には、この制度を活用し、市町村と連携して被災者の方々への支援を迅速かつ的確に行って参りたいと考えております。

次に、県民参加型市場公募地方債「富士の国やまなし県民債」についてであります。

県民の皆様の県政に対する参画意識の醸成を図ることなどを目的として創設した「富士の国やまなし県民債」につきましては、本年度は十億円を発行し、富士山世界遺産センターの建設事業に活用することとして、昨日から購入の予約受付を開始したところ、既に山梨中央銀行では完売するなど、県民の皆様から多大な御協力をいただいているところであります。

この場をお借りして感謝申し上げますとともに、明年度以降につきましても、県民の皆様の御理解と御協力をいただく中で、「富士の国やまなし県民債」を発行して参りたいと考えております。

次に、提出案件の内容につきまして御説明申し上げます。

今回提出致しました案件は、条例案8件、予算案2件、その他の案件14件となっております。

条例案のうち、主なるものにつきまして申し上げます。

既に申し上げました、山梨県名誉県民条例の制定、山梨県世界遺産富士山の保全に係る景観配慮の手続に関する条例の制定のほか、山梨県障害者幸住条例の改正条例を提出致しております。

山梨県障害者幸住条例は、障害者の自立と社会参加を促進し、障害者が生きがいを持ち、幸せに暮らすことができる社会の構築を目的として、平成5年に制定致しました。
制定から20年余りが経過し、この間、障害者基本法の改正など、県の障害者施策を巡る諸情勢が大きく変化していることから、関係団体、学識経験者などで構成する検討委員会において、障害者の方々の御意見も伺いながら、抜本的な見直しを検討してきたところであります。

この検討を踏まえて、今回提出致しました改正案では、障害者と障害者でない者が相互に人格と個性を尊重し合いながら共に暮らすことができる共生社会の構築を推進するため、取り組むべき施策の方向性や、障害を理由とする差別の解消に向けた体制の整備などを規定しております。

次に、予算案のうち主なるものにつきまして申し上げます。

地盤沈下により傾きの生じた県営住宅熊井戸団地について、居住環境の早期改善を図るため、改修工法の検討や実施設計に要する経費を計上致しております。

また、東南アジア地域のショッピングセンターなどで、県産農産物や加工品、ワインなどの地場産品を展示販売するとともに、観光情報などを発信する常設拠点を明年度中に開設することとしており、現地において、店舗の立地状況調査や条件交渉を行うための経費を計上致しております。

また、効率的かつ質の高い医療提供体制と地域の包括的な介護支援・サービスの提供体制を構築するため、医療機関が行う機器整備への助成に要する経費を計上致しております。

このほか、障害者幸住条例の改正に伴う啓発事業や、既に申し上げました県単独公共事業の実施に要する経費を計上致しております。

以上の内容をもって編成しました結果、一般会計の補正額は、17億円余、既定予算と合わせますと4,645億円余となります。

この財源と致しましては、県債8億円余、繰越金3億円余、国庫支出金3億円余などとなっております。

その他の案件につきましては、いずれも、その末尾に提案理由を付記しておりますので、それによりまして御了承をお願い致します。

なにとぞ、よろしく御審議の上、御議決あらんことをお願い申し上げます。

 

 

平成27年12月3日

 

山梨県知事 後藤 斎

このページに関するお問い合わせ先

山梨県総務部財政課 
住所:〒400-8501 甲府市丸の内1-6-1
電話番号:055(223)1381   ファクス番号:055(223)1385

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