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知事記者会見(平成20年11月14日)

詳細内容

平成20年11月14日知事記者会見の様子(JPG:22KB)知事記者会見
平成20年11月14日(金曜日)16時00分から
本館2階特別会議室

●発表事項
・「県立病院の経営形態について」

<発表事項>

●「県立病院の経営形態について」

(知事)県立病院の経営形態につきまして発表させていただきます。
まず経営形態の見直しの必要性についてでありますけれども、県立病院、中央病院と北病院とありますけれども、県民の健康と生命を守る最後の砦でありまして、県民の医療ニーズの多様化、高度化に対応した良質な医療を提供するということと、特に、救命救急医療とか周産期母子医療とか、難病治療、精神科救急などの通常の病院ではできない高度な政策医療を確実に実施をしていくということを県立病院は使命としているわけであります。
しかしながら、現在の経営形態、県庁組織内の一部局となっておりまして、専門用語では、「地方公営企業法の一部適用」というものでありますけれども、この現在の経営形態では、予算とか人事などに様々な制約がありまして、こういった使命を十分に達成していくうえで、支障が生じていると判断しております。
すなわち、具体的には第1点として、他の県庁内部部局と同じ予算編成手続きが必要となりますので、予算の執行に至るまでに長時間を要するということがあります。また、もう1点目として他の県庁の内部部局と同様に、定員削減計画の対象となりますので、良質な医療を提供するために必要なお医者さんとか、看護師さんの増員がなかなか困難であるということもあります。そういった問題がありまして、自主的、柔軟、迅速な業務運営を行って、県民の医療ニーズに的確に対応していくためには、改善をする必要があると判断をしております。
とりわけ、近年、医師不足が深刻化をしており、また医療改革の一環として診療報酬の引き下げが行われるなど、病院の経営環境は厳しさを増しておりまして、県立中央病院の累積欠損金も拡大をしている中で、経営の健全化を図りながら県立病院の使命を適切に達成していくためには、経営形態の見直しが必要であります。
そこで、これまでの検討経過でありますが、昨年度、病院経営の専門家などからなります県立病院経営形態検討委員会を設置いたしまして、検討いただいたわけであります。その結論といたしまして、「健全な病院経営を目指していくためには地方独立行政法人がふさわしい。特に、非公務員型の一般地方独立行政法人に移行することが望ましい」という報告をいただきました。
また、県議会におかれましては、「県立病院のあり方検討特別委員会」というものを設置されまして、11回にわたる慎重審議、検討が行われました結果、「現行の県立病院の組織、職員体制を見直す必要がある」とした上で、経営形態については、一般地方独立行政法人と地方公営企業法全部適用とで「いずれを可とするかの結論には至らなかった」とのご報告をいただきました。
さらに、この問題は県民の皆さんの安全安心の根幹にかかわる大変に重要な問題でありますので、様々な方法で県民の皆さんのご意見を聞いて参りましたし、また先日県内5カ所で開催したタウンミーティングも行いました。このタウンミーティングにおきましては、参加者から「政策医療は県立病院の使命としてしっかり担ってもらいたい」という強い意見があったと同時に、職員が公務員でなくなることへの不安の声も寄せられたところであります。
県といたしましては、これまでいただいた様々なご意見を十分に参考にするとともに、諸般の状況を総合的に勘案いたしました結果、県立病院の経営形態につきましては、中央病院及び北病院を一体として、公務員型の特定地方独立行政法人とすることが、最も適当であると判断をいたしました。
その理由についてでございますけれども、まず、地方独立行政法人を適当とする理由について申し上げたいと思います。選択肢としては地方独立行政法人にするという考え方と地方公営企業法の全部適用にするという考え方と2つあるわけでありますが、この地方公営企業法の全部適用というやり方では、専任の管理者が置かれるため、経営の自立性は高まるということはあります。しかし、なお県庁組織の一部でありますから、予算、人事面等での制約があり、自主的かつ迅速な業務運営を行うには不十分であります。これに対しまして、地方独立行政法人は、県とは別の法人格を有することになりまして、経営責任が明確になるとともに、県からの無用な関与が少なくなり、より自主的で柔軟な業務運営が可能となります。
なお、地方独立行政法人は、県とは別の法人になりますので、政策医療が確保できなくなるのではないかという懸念が寄せられる場合がありますけれども、このことにつきましては、まず1点目として、県が示す中期目標というものがあり、そしてこの中期目標に基づき、地方独立行政法人が策定する中期計画と、年度計画というものがありまして、これら中期目標や計画に政策医療の確保の方策が具体的に示され、しかも県議会のチェックも受けることになっているということがあります。
それから2点目として、政策医療の確保に要する費用については、地方独立行政法人になりましても、法律上、県が責任をもって負担することになっております。そういったことから、地方独立行政法人になりましても、政策医療はしっかりと確保されることになります。
次に、地方独立行政法人のうち、公務員型の特定地方独立行政法人を適当とする理由といたしましては2点ございまして、1点目は、昨今、医療に対する社会的不安が広がっている中で、県立病院の職員が公務員である方が安心感が得られるという県民の声に配慮する必要があるということがあります。
それから2点目として、ややテクニカルでありますけれども大変重要な問題でありますが、心神喪失等により犯罪行為を犯した者(重大な他害行為を犯した者)に対しまして、必要な医療(及び観察等)を提供する法律として、心神喪失者等医療観察法という法律がございます。この法律に基づいて、指定入院医療機関というものを各県設置をすることになっておりますけれども、本県にはこれがなく、県立北病院を指定入院医療機関とするように、かねてより厚生労働省から強い要請を受けてきたところでありまして、早急な対応が必要とされておりますけれども、現行法上、特定地方独立行政法人でなければこの指定を受けられないと、一般地方独立行政法人ではこの指定が受けられないということがございます。以上の2点から特定地方独立行政法人とすることが適当と判断したものであります。
なお、特定地方独立行政法人とするためには、総務省の認可が必要となりますけれども、先日、総務省から県立中央病院と県立北病院を一体として、特定地方独立行政法人とすることの了解が得られたところであります。
今後は、平成22年4月に新しい経営形態に移行できるように、必要な準備を進めて参りたいと思っております。
以上です。

<質疑応答>

(記者)独法(特定独立行政法人)化されることによって、具体的に県民へのメリットとして、医療の質の向上についてはどのように取り組んでいかれるおつもりでしょうか。

(知事)特定地方独立行政法人になることによって、先ほどご説明いたしましたとおり、理事長という1人の管理者が置かれて、その人の経営責任のもとに、予算の弾力的な執行を行うことが出来ますし、また人事の面でも、定員削減計画から外れて、資金的なゆとりがあれば、例えばお医者さんとか看護師さんを増員をすることも可能になります。そうすることによって、医療体制が充実をし、そして県民のニーズに合った、より質の高い医療が提供できるようになると考えております。

(記者)2つ伺いたいのですが、当初検討委員会での報告の中でも、特定の独法は総務省が念頭に置いていないと言うことで、県議会の中でも選択肢として想定されていなかったと思うのですが、これについて、この選択肢を検討するということに至った時期と理由を伺いたいというのが1つと、もう1つは移行に伴って定数削減計画から外れるのですが、医師を増やすにはコストもかかるわけで、その辺の兼ね合いの中で具体的にどれくらいまでにこれくらい増やしたいということがもしあれば伺いたいと思います。

(知事)おっしゃるように、総務省としては、一般型の独立行政法人というものを想定しているわけです。しかし総務省も、先ほど申し上げました心神喪失者等医療観察法の指定入院(医療)機関というものは、特定独立行政法人でないと出来ないわけですから、その場合には、特定独立法人もやむを得ないという留保はかねてからあったわけです。
具体的にそう考えるようになった時期というのは、それはそれほど遠いことではなくて、せいぜい1ヶ月とか半月とか、そのくらい前のことでありますけれども、やはり県民感情、いろいろなご意見を聞く中で、非常に医療というものが揺らいでいて、社会的な不安がある。そういう中で、県立病院というのは県民の皆さんにとっては、安全安心の最後のよりどころであり、これが非公務員になることについては、説明すれば分かってくれる訳ですけれども、やはり県民感情として、例えば民間病院になってしまうのではないかとか、そんなことはないのですけれども、やはり不安が残るということがありまして、そういう県民の皆さんの思い、感情というのは大事にしなければならないということで、これはやはり、2つの理由で特定独法で行くしかないと、半月あるいは少し前に判断をして、総務省によくよく説明をしたところです。
総務省の方も、これが大きな県で県立病院がたくさんあるときには、たとえば指定入院(医療)機関というのは別に切り離して、これは特定独法にして、それ以外は全部一般独法にするということもあり得るのですが、山梨県の場合は2つしかないわけですから、中央病院は一般独法、北病院は特定独法とし別々の理事長にするというのは少しおかしいですから、やはり山梨県としては1つの独法にせざるを得ないということを申し上げ、こちらの方で特定独法でないと出来ないということであれば、全体を特定独法で行きたいということを説明をして了解をいただいたということであります。
具体的に医師とか看護師を増やす費用はどうするかとか、あるいはいつ頃どうするかというスケジュールは決まっているわけではありません。それはこれから独法に移行するための基本目標とか基本計画を作る、そういう作業がありますから、そういう中で、あるいは独法になってから経営状況を見ながら理事長さんの判断で充実をしていくということになると思います。

(記者)いままでの議論の中でも独立行政法人にした場合には、理事長さんのリーダーシップというか経営感覚というか、そういうものがすごく重要になるという話が出ていましたけれども、これから早急に実現していく段階に入っていくのでしょうが、その辺についての今後の取り組みについてお願いします。

(知事)今の段階で理事長を誰にするというのは、まったく念頭にもないわけですけれども、おっしゃるように理事長というのは、きちんとした能力を持たれた方でなければならないと思います。そういう意味で、これから独法が実現するまで一定の時間がありますけれども、理事長の人選についても、十分慎重に、良い人を選ぶように努力をしたいと思っています。

(記者)12月議会の前にできれば方針を示したいと、かねがねおっしゃって今日表明したわけですが、具体的に12月議会に関連する法案、予算案としてどのようなものを提出されるお考えかお聞かせ下さい。

(知事)予算としては、やはり準備経費ということになります。

福祉保健部長建物とか土地とかの資産評価する経費、あとコンサルタントの経費、登記簿に表題登記するなど準備経費等々をお願いすることになります。

(記者)先程、県職員組合との話の中で、将来的に医療観察法が改正になる見込みで、一般独法でも指定機関になりうる見通しがあるそうなのですけれど、そういう時期になっても、やはり公務員型を望む県民の考えを重視していく考えは変わらないのでしょうか。

(知事)それは変わりません。おっしゃるように、場合によっては医療観察法が改正されて、一般の独立行政法人でもそういう指定入院機関はいいと、OKだというような改正が行われるかもしれませんけれど、これは先々判らないのですけれど、しかし、その場合にも、今の段階でもう総務省と協議に入っているわけですから、これからすぐに入っていくわけですから、そういうふうに法律が改正されたからといって、その時点でまた判断をひっくり返すということは、我々はもちろんしませんし、総務省もそういうことは無いだろうと思います。

(記者)今回の経営形態の見直しの発端になったのが経営の再建ということだと思いますが、今回特定独法に移行するにあたって、知事としてどの程度経営が改善されると期待しているのか、また、どの程度を目標におくのか。具体的に経常収支上の黒字を目指すとか、それについて伺いたいと思います。

(知事)経営改善の目標というものは、これからの、あと1年数ヶ月の間、基本目標あるいは基本計画というものを作っていく中で議論をしながら目標を決めていく。
黒字が望ましいわけですけれど、どの程度の黒字を目指すのかということもその中で議論していくわけでありまして、今の段階で私が十分な検討も経ないままに具体的にこれだけのものを目標にしますとか、このくらいの黒字にしますと申し上げるのは無責任だと思いますので、それはちょっとご勘弁いただきたいと思います。
いずれにしても、経営の改善はしていかなければいけません。もちろん県としては、県立病院が独立行政法人になっても、政策医療をしっかり果たしてもらうために、それに必要な費用というものは、これは法律上もそうなっておりますし、県としても必要な費用はしっかりと独立行政法人に運営交付金というかたちで交付するつもりであります。
しかし、同時に独立行政法人も、常にせずもがなの無駄というようなものは無くして能率的な運営をしていただく。そうしないと、結局最後は赤字になったときに、それを処理するのは県民の税金で、県民の皆さんの負担で処理しなければならないわけですから、やはり能率的な経営をやっていただくということは当然必要なことであり、またそういう能率的な経営をやることによって経営に余裕ができれば、より多くのお医者さんを雇うことができ、看護婦さんを雇うことができ、その医療の質も上がり、医療の質も上がればまた経営も改善してくるというプラスの循環が起こってくるわけでありまして、いずれにしても経営の改善ということは大事なことだと思っております。

(記者)今の時点では具体的な数字はあげられないかと思うのですが、基本的な方針としては経常収支上の黒字化を目指していくということでよろしいでしょうか。

(知事)(福祉保健部長に対して)それは今、議論はどうなっていますか。

(福祉保健部長)当然、経常収支でトントン、収支均衡を目指すのが基本でございます。それはしっかりやっていくと。

(知事)そういうことですね。

(記者)今、全国で特定型を採っているのが岡山と大阪の2つで、一般を採るかたちが主流となっていると思いますが、そこであえて特定を採る不安というものはないでしょうか。

(知事)不安ということはないのですけれど、長い間さまざまな議論をし、さまざまな人々の意見を聞いてきて、同時に医療観察法の指定入院機関の問題も含めれば、特定独法で行くしか、この道しかないと判断したわけですから、別に不安はありません。
特定独法、いわゆる公務員型の独法も地方の場合は大阪府、岡山県、2つだけでありますけれど、全国約140ある国立病院は、これは公務員型の独立行政法人でありますから、前例としてはたくさんあるわけであります。決して無人の荒野を行くというわけではないということです。

(記者)医療観察法上の指定機関についてなのですが、具体的にはいつ頃にどういうかたちで指定を受けるとか、指定のために必要な作業というのは出てくるのでしょうか。

(知事)厚生労働大臣の指定を受けるわけです。指定を受けて、同時に一定の施設の整備をしなければいけないわけです。それは全額、国の補助になるわけです。

(福祉保健部長に対して)その辺のスケジュールはどうですか。

(福祉保健部長)今の予定ですと、今年度中に設計を出して、来年に建物を整備して、できるだけはやく、22年度の早くに仕上げて、そこで指定を受け、入院を受け入れる予定になっています。ちょっと終わりのほうが明確には言えないのですけれど、できるだけ22年度の早い時期に仕上げて、入院を受け入れたいと考えています。

(知事)確かに施設が整備されないと指定は受けられないでしょうね。ですから指定は先になるでしょうね。その前に国の補助があって、きちっと必要な設備を整備するということです。

(以上)

リリース日:2008年11月14日

知事政策局広聴広報課

甲府市丸の内1-6-1本館2F
TEL:055(223)1336
FAX:055(223)1525

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