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令和4年度グローバル・アドバイザリー・ボード

 令和4年度 第1回グローバル・アドバイザリー・ボード

開催概要

  • 日時: 令和4年5月19日(木曜日)午前9時30分~午前10時
  • 場所: オンライン会議(Zoom)※県側出席者は、山梨県庁本館2階特別会議室
  • 議事:
    (1) 本県の状況
    (2) 感染症に関する最新動向
    (3) その他
  • 出席者:
        <グローバル・アドバイザリー・ボード構成員>(※50音順)
    ・釜萢 敏 委員(日本医師会常任理事)
    ・辻 守哉 委員(コロンビア大学医学部教授)
    ・二木 芳人 委員(昭和大学医学部客員教授)
        <山梨県>
    ・長崎 幸太郎 知事
    ・藤井 充   感染症対策センター総長
    ・井上 修   感染症対策センター医師
    ・小島 良一  感染症対策統轄官                                                                         ・井上 弘之  感染症対策統轄官補 
    ・植村 武彦  感染症対策企画監
    ・若月 衞   新型コロナウイルス対策監

会議議事録

議事(1) (2)に関して
  • 釜萢委員
        山梨県は、全国の中でも、対策を非常にしっかり実施し、これまで大変よい実績を上げすばらしいと、いつも拝見している。オミクロンになってから、今日の資料にもあるように、人から人への感染の期間が非常に早くなり、また潜伏期間が短くなったことから、山梨県が誇る検査体制や保健所機能などが、一見よく機能していないように見える面があるかもしれないが、しかしこの体制は非常に重要。決して手をゆるめることなく、検査体制及び保健所機能について引き続きしっかりやっていただくことが極めて重要。病床使用を指標にした状況の把握については、知事の方針は大変素晴らしい。新たなところでは2点。1点目は、小児の原因不明の急性肝炎について。発生機序は不明だが、現状での推測の中で最も可能性が高いと感じているのは、コロナの感染があるところで、あるいは感染を経験した小児がアデノウイルスに感染することによって、通常のアデノウイルスで見られないような重症化が起こっている可能性が高いのではないか。これは今後の検証が必要。2点目は、4回目のワクチン接種について。3回目と4回目ワクチンは、基本的に同じものを使うが、現在までに得られている知見では、3回目接種に関してのデータは各年代にわたって非常に有効で、抗体の上がりが良い。一方、理由は不明だが、4回目接種に関してのデータは、それに比べると非常に劣る。そのことをもって、国は4回目の接種は、「重症化を下げる」ことを目標に接種対象者を選定。その結果、医療従事者、介護従事者、エッセンシャルワーカーが対象外になったことに対して、非常に心配・懸念の声が出ている。しかしながら、ワクチンのデータを考えると、国の方針にも一定の意義がある。医療従事者等の接種については、「重症化リスクがあると医師が判断した場合に接種が可能になる」という枠組みがあるので、それをなるべく利用して、接種対象を広げることが良いのではないか。昨日も国、全国の担当医師会と協議をしたが、国としては、医療介護従事者に一律に対象を広げることは、現在考えていないと表明。問題は、今申し上げたような「医師が必要と判断し、対象に加えた接種」が行政に認められ、適正な接種と見なされないといけない。そういう仕組みになっていると思うが、私からもお願いを申し上げる。
  • 辻委員
    アメリカから見ていると、山梨県は感染者を最小限に保っている日本でもトップクラスの県であり、本当に感心している。オミクロンは感染者が多い割に重症化が少ないのは、やはりワクチンの効果があるため。資料をみると日本でも、3回目、4回目の接種にとりかかっているが、ワクチンを3回、4回と接種を続けることは重要である。今までRNAワクチンが主流だったが、RNAワクチンの欠点は、接種後防御免疫が強く出るが、長くて3ヶ月程度しか持たないこと。すなわち持続性があまりない。それに比べて、これからおそらく認可され、推奨されるノババックス社のタンパクワクチンは臨床結果のデータをよく見ると、6ヶ月から9ヶ月ほど防御効果が持続している。メカニズムとしてはワクチンを促進・増強するアジュバントが優れており、そのアジュバントとタンパクの相乗効果で強い防御免疫が6ヶ月以上続くと考えられる。このようなタンパクワクチンの接種を進めていけば、かなりの人が長い間新型コロナの感染から守られることになる。接種対象を広げるという釜萢先生のお話プラス、どのワクチンを使うのかということを考えた方がいい。パックスロビットというファイザーの薬がアメリカでは多くの人に投与されている。重症化したときに一日に朝晩2回で5日間経口投与するが、投与が終わるとかなりの頻度でリバウンドというか再感染がおきる。そのため、薬剤の使用時に関しては、経口投与後もしばらくして症状を起こす再感染が出る可能性に注意していただきたい。
  • 二木委員
        山梨県の取り組みは他県からも模範にされるようなものがたくさんある。グリーンゾーン認証システムも早期から取り組み、対策としてそれが正しいと理解。他県が少しずつそれに習ってきている。それ以外にも検査体制やゲノム解析など早くから実施し、感染状況の把握が的確にできていることに敬意を表したい。今回のお話を伺って、自宅療養の方に対して、非常にしっかりしたシステムを構築している点が素晴らしい。ワクチンについても全国レベルをはるかに上回る非常に高い接種率であり、また11日から既にノババックスワクチンの予約を始めているニュースを聞いた。そのあたりの取り組みも非常に素早くやっている。先ほど辻先生からお話もあったがどのように使っていくかを検討しなくてはいけない。RNAワクチンの弱点として短期間で効果が弱くなることから、新しいワクチンの検証をしながら使っていく必要がある。変異株については、いわゆるBA2、XEはそれほど心配していない。最近海外、南アフリカで出ているBA4、BA5は非常に感染力が強く、南アフリカでは再度感染者の増加傾向が見られ、これはBA4、BA5が原因のようである。今後世界に広がっていく可能性もあろうかと思うので、しっかりゲノムチェックを継続していただきたい。6月からは水際の規制緩和が進められる。100ヶ国ほど検査なしで入国できるようになる。海外から新しい変異株が持ち込まれる可能性があるので、今のゲノム監視体制をより確実に構築、維持していただきたい。
議事(3)に関して
  • 二木委員
        治療薬について辻先生に教えていただきたい。さきほどファイザーのパックスロビットのお話をされたが、日本ではメルクのラゲブリオが使われている。アメリカでのこの二つの薬の評価はいかがか。
  • 辻先生
    アメリカでは、ほとんどがファイザーの治療薬である。メルクは何か問題がなかったか。
  • 二木委員
        安全性の問題と有効率が30%ということ。ファイザーの治療薬は90%。日本では併用禁止薬が多いため、一般の先生方はパックスロビットを使わないという話を聞く。
  • 辻先生
        我々の研究所のウイルス学者らの実験によると試験管内の感染細胞に薬を投与した後にそれを洗って除去するとたちまち数時間程度でウイルスがまた増殖を開始することが分かってきている。すなわち薬の効果は短期間である。こちらでは投与期間が5日間ときまっているが、日本ではどうか。
  • 二木先生
    5日間である。
  • 辻先生
    その2日、3日後にまたウイルスが出現するようだ。日本の法律は不明だが、アメリカでは再感染に対してはもう一度1クール5日間投与する。お話したいことは5日間の治療を終えて回復したと思っても、油断せずにしばらく自宅療養に専念するなり免疫を上げてウイルスに打ち勝つという対策をし、また外出時にはウイルスをまき散らす可能性があるのでマスクを着用するなどの注意喚起をしてほしい。
  • 二木先生
    リバウンドの話は参考になる。
  • 藤井総長
        先生方、本県の対策への評価、並びに、最新のワクチンや治療薬のことについて、様々な情報提供をしていただき感謝。本県は感染者対策を一生懸命やってきた結果、今のような状況になっている。そして、先生方のご指摘の中で、やはりワクチン接種が大切ということを改めて認識。基本的な感染症対策とワクチン接種を車の両輪のように繋ぎながら感染を抑えていく。それがwithコロナとして社会生活、経済生活の安定化に繋がっていくことを改めて認識。今後、個別にも、お問い合わせをさせていただくことも多々あろうかと思うが、今後ともよろしくお願いしたい。