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令和3年度グローバル・アドバイザリー・ボード

 令和3年度 第1回グローバル・アドバイザリー・ボード

 開催概要

  • 日時: 令和3年4月7日(水曜日)午前9時20分~午前9時50分
  • 場所: オンライン会議(Zoom)※県側出席者は、山梨県庁本館2階特別会議室
  • 議事:
    (1) 山梨県CDCについて
    (2) 県内の新型コロナウイルス感染症の発生状況等について
    (3) その他意見交換
  • 出席者:
        <グローバル・アドバイザリー・ボード構成員>(※50音順)
    ・釜萢 敏 委員(日本医師会常任理事)
    ・辻 守哉 委員(コロンビア大学医学部教授)
    ・二木 芳人 委員(昭和大学医学部客員教授)
        <山梨県>
    ・長崎 幸太郎 知事
    ・藤井 充 感染症対策センター総長
    ・小島 良一 感染症対策統轄官
    ・大久保 雅直 感染症対策統轄官補
    ・井上 修 感染症対策センター医師
    ・佐野 満 感染症対策推進監
  • 会議資料
    第1回グローバル・アドバイザリー・ボード資料(PDF:1,925KB)

 会議議事録

PDFファイルはこちらをご覧ください

第1回グローバル・アドバイザリー・ボード議事録(PDF:339KB)

議事(1) 山梨県CDCについて
  • 釜萢委員
        今回のような事態においては、トップの方のリーダーシップがいかに大事かということをあらためて強く感じている。
        山梨県CDCの機能の中で、継続事業の専門人材の養成・確保というところは非常に大事。感染が拡大しないことが求められているが、今後、医療機関あるいは高齢者施設での感染が懸念されており、そこから更に広がっていくということも有り得るので、高齢者施設で一人感染者が出た時にすぐに支援に入れるような体制をとっておくこと。
        特に介護施設等では、職員の感染者がでると、すぐにスタッフが足りなくなるという事態が起こり得るので、県全体で支援できる体制をさらに用意しておくことがとても大事ではないかと感じている。
  • 二木委員
        山梨県は、非常に積極的な感染対策の取り組みをしており、いつも敬意を払っている。特に飲食店ではグリーン・ゾーン認証という、県側が責任を持って飲食店の感染対策を認証するシステムがあり、実際にそれで感染・発症を非常に低く抑えられていると感じている。
        今回、山梨県CDCの構想について拝見し、大変よくできていると思っているが、この中で大事なことは、やはり人材の育成。私ども昭和大学は山梨県と色々と連携があるので、大学としてお手伝いできることがあれば、積極的に支援をさせていただく。
    もう一点大事なことは、広域の連携。東京都が連携の中心になるかと思うが、そのあたりと密接に連携をとりながら、システムを構築していくことが、重要ではないかなと思う。
    もう一点は、医療提供体制。東京都などは大変苦労されているようだが、山梨県がどういう取り組みをしているか、しっかりと情報が理解できていないが、県内で感染爆発が起きた時の対策として医療提供体制さえしっかりしておけば耐えられると思うので、このあたりを検討していただければと思う。
  • 藤井総長
    ご指摘のあった人材育成は、山梨県CDCでも大きな事業の柱である。ただ、県内の現状をみると、なかなか感染症の専門家が少ないという状況がある。そういう中で、育成確保をしながら、今の有事の対応をしていくというのはなかなか難しいところなので、人材の育成確保という点において先生方から色々な知恵をいただきながらやっていけたらと思う。
議事(2) 県内の新型コロナウイルス感染症の発生状況等について
  • 釜萢委員
    まずは医療提供体制について、確保病床には、即応と要請に応じて準備の両方があるが、この辺りを医療機関と行政との間でしっかりと認識のすり合わせをしてほしい。
        要請して空けてもらう病床は、直ちに空けてもらえるのかは難しいところ。これまでの経験からすると、感染者が拡大すると急激に病床の逼迫が起こる可能性があるので、そのあたりの確認をお願いしたい。
        検査件数については、実績が最大460件/日、PCR検査の最大可能件数が現状で700件/日ということだが、PCR検査件数をもう少し増やすことを検討すべき。無制限にやる必要はないが、変異株の対応は、スクリーニングをPCRでやるので、PCRの検査能力をもう少し高めておく方がよい。
        発生状況の感染経路不明の割合は、ステージの指標にもなっているが、現状では不明割合はあまり役に立つ指標ではないという印象を持っている。
    ワクチンに関して、最初の段階で配布量が極めて少なく、特に住民接種では、当初は予約が殺到すると思うので、情報をしっかりと出してほしい。6月末までには高齢者のワクチン供給ができ、お盆くらいまでには全国的に接種が進めばというタイムテーブルを考えている。接種後の記録などは、国の方針が時事刻々と出ているので、その情報共有もお願いしたい。ファイザー社製のワクチンの移送について、薬剤卸業者あるいは運送業者などはマイナス20℃前後で運ぶ必要があるが、ワクチンの量的な確保が比較的可能となってくれば、医療機関にマイナス20℃の冷凍庫を設置しておけば、ワクチンを保管しておける日数が増えるので、柔軟な対応に繋がるのではと感じている。
  • 二木委員
        今、釜萢先生からポイントはほとんどお話いただいたが、やはり病床の運用が非常に重要。重症コロナ患者をどこで診るのかということ、回復後、退院後の病院をどこにするのかといことをそれぞれの医療機関と明確に役割分担をしておくなど、患者数が増えたときの体制を再確認しておいた方がよい。
    また、現在国が推奨しているモニタリング検査や、高齢者施設での戦略的検査をできるだけ密度高く行うためには、もう少し検査ができた方がよいと思う。
    また、抗原定性検査は、精度が十分ではないと考えているので、特定の状況を考えれば、これを基本とすることは好ましくないと思う。
    また、変異株の検査については、今のところ数が少ないので、できるだけ積極的にやること。変異株が首都圏辺りから流入してくると急激な拡大につながりかねないので、そのあたりはしっかりとやること。山梨県の場合は、県立中央病院あたりで変異株の検査をしていると聞いている。首都圏では、E484K変異だけを持つ変異株が多いと言われているが、私はおそらく英国株も多いのではないかと思っているので、両者の首都圏からの流入をしっかりと監視することが今の段階でのポイントになる。限定された地域に流入してくると大きな影響があるので是非監視体制を強めていただきたい。
    ワクチンに関しては、今までは医療機関でやっていたので、それほど細やかな問題はなかったが、今後一般の摂取にとなると現場で思いがけないことが起こりうる。特に副反応。アナフィラキシーのような症状を訴える方がかなり多いと聞いている。そういう方々に対する対策、現場での対応も検討しておくことが重要。
  • 藤井総長
    どうもありがとうございました。
        先ほど説明があったように、山梨県も感染者が増えつつあり、特に東京に隣接している地域で増えているというデータが出ている。
    ワクチン接種、医療体制は大変重要だと思うが、やはり元から絶たなければならないということを考えると、感染拡大を今後、増やさないようにするため、東京や全国の状況から考えて、山梨県として何をやっていったらいいのか、その辺りについて何かコメントがあれば、いただきたい。
  • 釜萢委員
        今後の感染のことを考えると、やはり不要不急の人の移動をより強力に抑えるという施策が必要になってくると思う。
        前回3月22日に解除を出した緊急事態宣言の時には、飲食店にターゲットを絞っていたが、あまりそこのところを強力に進めるということはなかった。
        今後は、いかに多くの皆様に協力を得て、不要不急の外出を控え、県境を跨ぐ移動を防ぐかということが極めて大事になってくると思うので、知事からメッセージを出していただくのはどうか。
  • 二木委員
        基本的には今まで県としてしっかりとやっているので大きな変換は必要ないと思うが、せっかくグリーン・ゾーン認証というものをやっているので、今後より感染力の強い新しいウイルスが入ってきたときのために、最初に一度認証しただけではなくて、あらためて各々の店に確認の作業をすること。
        基本的な感染対策を徹底する、マスクをする、不要不急の外出はなるべく控える、そこに尽きるのではないかと思うが、特に若い方は首都圏に出かけるケースもあるかと思うので、そういう方々に届くメッセージをなにか工夫をしていただければと思う。
議題(3) その他意見交換
  • 辻委員
        山梨モデルが日本において最高水準で新型コロナ感染を抑えてきた実績に感心している。
        米国では新型コロナが発生して以来多い時ではPCR検査を一日に人口千人に対し5人の割合で行ってきた。日本にも種々の事情があると思うが、PCR検査をしっかりやることが重要だと思う。PCR検査は一回の検査だけでは擬陽性・偽陰性などの問題があるので定期的に行うことをお勧めする。そのためにもなるべく組織的にPCR検査をする体制を確立することが必要だと思う。さらに変異種の検査に関しては、国立感染症研究所などもオーバーキャパシティーに近い状態なので、あまり頼らずに変異種を検知するようなメカニズムを山梨県で確立することも大切だと思う。すなわち山梨県独自に変異種の出現をすぐに検出できるようなPCR検査体制をとれるとかなり役に立つと思う。
        米国の大学や企業の研究所では新しいPCR検査の開発などを日々積極的に推し進めているので、安価で役に立つ方法が見つかればその情報を共有していきたい。PCR検査はある程度の情報と知識があれば誰でも行うことができるので、人材の観点からPCR検査体制を確立することはそれほど困難ではないと思う。
        重ねて強調するが、やはりPCR検査はキーだと思う。一斉にPCR検査ができるような体制を一旦確立さえ出来れば、新型コロナにとどまらずこれからどのような未知のウイルス感染症が猛威を振るい始めたとしても先手を打って迎え撃つことができるはずである。したがってそういう体制を山梨県で作ることは将来的にも必要不可欠だと思う。
  • 長崎知事
        先生、どうもありがとうございました。
        今、三先生方ともにやはりPCR検査能力の拡充についてご指摘をいただいたので、藤井総長をはじめ、関係者と相談して、早速対応に取り掛かりたいと思う。
    また、変異株の検出体制につきましても、できる限りの事を考えていきたいと思うので、ぜひご指導いただければ幸いです。