vol.23(平成22年1月1日発行)
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特定地方独立行政法人である「山梨県立病院機構」の初代理事長に就任される小俣政男特別顧問を県立中央病院に訪ね、お話を伺いました。  私は上野原市四方津の出身です。長年故郷を離れていましたが、心の中には常に山梨がありました。今回のお話をいただいた時も、今までの米国・千葉大・東大の経験を活かし、課された任務を遂行しようと心に決めて参りました。小俣政男先生 に インタビュー 特定地方独立行政法人って何? Q1:理事長就任をお受けになられたのは、どのような理由からですか?  病院は、すべてが患者さんのためにある施設です。基本的には、病気やけがで苦しんでいる患者さんをより良く治し、質の高い生活を送ってもらう。この一点に尽きると考えています。 こちらへ来て以来、医師や看護師、コメディカルや事務方のスタッフ一人ひとりと面談をしています。面談といっても、堅苦しいものではなく、短い方で1時間、長い方とは2時間、いろいろなお話をします。相手の方をより良く理解したい、と同時に私のこともわかってもらいたい。現在まで200人以上の方とお話しました。まだ十分とは言えませんが、病院の内部が立体的に見えてきましたし、今後取り組むべき具体的な施策についても固まりつつあります。Q2:準備期の今、心がけていることは何ですか? Q3:県立病院をどのような姿にしていきたいとお考えですか? Q4:最後に県民の皆さんにメッセージをお願いします。  現時点で言えることは2つあります。ひとつは、医療の在り方です。最先端の知識や高い医療技術を維持し、質の高い医療を提供する努力を怠らない。しかし、忘れてはならないことがあります。それは、本来医師と患者さんは手を携え、病気という大きな敵と戦う同志なのです。このような信頼関係を構築してこそ、はじめて最良の医療が行えると考えています。幸い、県立病院はそのような気持ちを持たれた医師と患者さんが大半であり、ことに患者さんからの期待の大なるものを感じています。だからこそ、我々医療スタッフは、さらに医療の質を高め、患者さんの期待に応える大きな責任があります。患者さんに対し、常に「心のこもった知識と技術でやさしく治す」ということを、今までどおり行っていきたいと思います。 もうひとつは、教育です。私は、大学人として医療・教育・研究の三分野に携わってきました。今、振り返ったとき、一番影響力が大きく、また後々まで残るのは教育だと思います。県立病院には、40名ほどの研修医や専修医がいます。彼らがつどう様子を見るにつけ、頼もしさと同時に、教育者としての責任の重さを感じています。若き医師のつどう“医局”は、トレーニングを積むには最高の環境です。始まったばかりの研修医制度を、研修医にとっていかにより良き制度にしていくかということは医学界全体の大きな課題であり、県立病院はそこに取り組む責任と規模を有しています。そこに私の経験を活かしながら、教育センターとしての機能を確立していきたいと考えています。 今回の法人化は、例えるなら年末の大掃除のようなもので、経営面での問題に加え、今まで行ってきた医療行為や医療の質についても、改めて検証し、見直す良い機会だと考えています。皆さんが県立病院に来られた時に、迅速な対応ができて、しかも、レベルの高い診断と治療が受けられるよう、確実に前進していきたいと考えています。小俣 政男先生 Masao Omata主 な 履 歴 昭和45年3月 千葉大学医学部卒業昭和48年7月 米国 エール大学病理学教室昭和51年7月 米国 南カリフォルニア大学肝臓研究所昭和54年8月 千葉大学第一内科助手昭和57年7月 米国 フォックス チェイス癌研究所昭和59年5月 千葉大学第一内科講師平成4年4月 東京大学第二内科教授平成9年4月 東京大学消化器内科教授この間、東大病院副院長(平成10~12年)光学医療診療部長(平成10~16年)、治験管理センター長(平成11~13年)、臨床試験部長(平成13年~)平成21年3月 東京大学退官(名誉教授) 現 在山梨県特別顧問県立中央病院で外来診察(火、金) 専 門 専門は消化器のがん、肝臓病(C型、B型肝炎)09ふれあい

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