vol.23(平成22年1月1日発行)
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 今、それぞれの蔵元では、丹精込めて造り上げた日本酒を一人でも多くの人に支持してもらえるようさまざまな取り組みを続けている。現在、最も力を入れているのが醸造米の安定的な確保。NPO法人「チーム南アルプス」では、市内の遊休農地や耕作放棄地を積極的に利用し、醸造米作りを始めている。収穫された米は優先的に県内の蔵元に買い取ってもらい、新しい地酒の原料となる。 山梨県酒造組合では、毎年、県内で醸造された日本酒を対象に、推奨審査会を開催している。山梨県酒造組合の4つの統一銘柄、「甲斐の地酒」「新甲斐の地酒」「山梨県農産物認証清酒」「甲斐の花」の各部門で行われる審査会場には、それぞれの蔵元が切磋琢磨を繰り返し造り上げた自慢の日本酒が立ち並ぶ。 酒は一年に一度しか仕込めない。収穫され蔵に運び込まれた醸造米は精米され、最も厳しい冬場の完成を目指して、杜氏たちの体を使った仕込みが十一月頃から始まる。 冬の真っ只中の今、寒仕込みの新酒が酒蔵で熟成の時を迎え、早春の蔵出しに向けて、芳醇な香りを醸し始めている。Yamanashi Brandやまなしブランド かいてらす(山梨県地場産業センター)に並ぶ山梨の日本酒コーナー。山梨県酒造組合 会長 小宮山光彦さん の仕込み この道40年を超えるキャリアの蔵人・藤原健一さんは、岩手県花巻の代表的な南部杜氏、もう20年来山梨に来ている。原米の出来も、冬の寒さ、酵母の具合なども、条件は毎年同じではない。どれも長い経験がものを言う。zx原米の精米作業。吟醸、大吟醸となるにつれ、より芯に近い良質部だけが使われる。cv洗米して蒸された米に酵母をつけられ“もと”が造られる。bn熟成用タンクは度々かくはんされ、厳しく温度管理される。貯蔵用タンクが並ぶ古い本場の蔵。柱には酒の神・三輪明神が飾られている。蔵人 藤原 健一さん 234156手間ひまかけて作られた醸造米。山梨県酒造組合甲府市国母4-15-5 TEL(055)224-4368■お問い合せ先  今、注目され、話題となっているのは、「甲斐の花」と銘打った純米酒。山梨県酒造組合(小宮山光彦会長)が中心となり、県工業技術センターと山梨大学は、産学官共同研究開発で新しい地酒造りに取り組んだ。 まずは、山梨県下の野に咲く花や木々、果樹王国やまなしの果実などから、328種の野生酵母菌を採取し、さまざまな試験を行った。この中から、日本酒醸造用酵母として厳選されたのが、県の花でもある富士桜の花酵母である。長い歴史を持つ県下の蔵元は、優れた特性を持つこの山梨オリジナル酵母「富士桜」を元に、県内産の「あさひの夢」など地元で手間ひまかけて作られた醸造米と山梨の名水を使い、新しい地酒「甲斐の花」を造り上げた。淡麗辛口をベースに花のような独特の香りを持つ「甲斐の花」は、魚や肉料理との相性が良く、すっきりとした飲み心地に仕上がっている。19ふれあい

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