○山梨県中小企業・小規模企業振興条例

平成二十八年三月十一日

山梨県条例第三号

山梨県中小企業・小規模企業振興条例をここに公布する。

山梨県中小企業・小規模企業振興条例

目次

前文

第一章 総則(第一条―第八条)

第二章 基本的施策(第九条―第十六条)

第三章 施策を推進するための措置(第十七条・第十八条)

附則

美しく豊かな本県の自然環境は、甲州ぶどうを育み、我が国のワイン産業の礎となった。

明治時代、県内で豊富に産出された水晶は、水晶宝飾産業の発達をもたらし、養蚕は織物産業の源となり、これらをはじめとした地場産品の流通販売は、商業の繁栄に寄与した。

また、宝飾加工に端を発する優れた精密加工技術は、各種デバイスなどの研磨や切削加工に生かされ、本県機械電子産業発達の基礎となり、ワイン産業や水晶宝飾産業は、観光資源としても存在感を放つなど、様々な産業が本県経済の発展を織り成してきた。

そして、このように、素材を育み、技を磨き、商いのこころを受け継ぎ、地域における雇用の創出などを通じて、県内経済の発展や県民生活の向上に大きく貢献してきたのは、中小企業・小規模企業である。

県内企業の大多数を占める中小企業・小規模企業は、二度の石油危機、日米貿易摩擦、バブル経済の崩壊、世界金融危機など数々の難局を乗り越えてきたが、少子高齢化の進行とそれに伴う人口減少、国内外の企業との競争の激化などにより、取り巻く環境は一層厳しさを増しており、個性と活力ある地域社会を形成し、次世代へ引き継いでゆくためには、中小企業・小規模企業の活性化が不可欠である。

そのためには、意欲ある中小企業・小規模企業が、自らの努力と創意工夫を基本としながら、持てる力を十分に発揮し、新しい価値の創出や生産性の向上などにより、社会経済状況の変化に即応できるよう、県や市町村、商工団体、金融機関など地域全体で、個々の企業の特性に応じた支援を行っていく必要があり、本県の発展にとって極めて重要なことである。

そこで、本県経済の持続的発展と活性化を図るため、中小企業・小規模企業の振興を重要課題と再認識し、中小企業・小規模企業の一層の成長発展・持続的発展を目指すことを決意し、ここに、この条例を制定する。

第一章 総則

(目的)

第一条 この条例は、小規模企業をはじめとする中小企業の振興について、その基本理念及び中小企業の振興に関する施策の基本となる事項を定めるとともに、県の責務等を明らかにすることにより、中小企業の振興に関する施策を総合的かつ計画的に推進し、もって本県の経済の健全な発展及び県民生活の向上に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによるものとする。

 中小企業者 中小企業基本法(昭和三十八年法律第百五十四号)第二条第一項に規定する中小企業者であって、県内に事務所又は事業所(以下この条において「事務所等」という。)を有するものをいう。

 小規模企業者 中小企業基本法第二条第五項に規定する小規模企業者であって、県内に事務所等を有するものをいう。

 中小企業関係団体 中小企業団体中央会、商工会連合会、商工会、商工会議所その他の中小企業に関する団体であって県内に所在するものをいう。

 金融機関 銀行、信用金庫、信用協同組合その他の金融機関であって、県内に事務所を有するものをいう。

 大企業者 中小企業者以外の事業者であって、県内に事務所等を有するものをいう。

 教育機関等 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する学校及び公共職業能力開発施設であって、県内に所在するものをいう。

 経営の革新 新商品の開発又は生産、新役務の開発又は提供、商品の新たな生産又は販売の方式の導入、役務の新たな提供の方式の導入、新たな経営管理方法の導入その他の新たな事業活動を行うことにより、その経営の相当程度の向上を図ることをいう。

(基本理念)

第三条 中小企業の振興は、経済的社会的環境の変化に即応した経営の改善及び向上のための中小企業者の自主的な取組が促進されることを旨として行われなければならない。

2 中小企業の振興は、中小企業が地域経済の活性化、雇用の創出及び地域社会の持続的な発展に寄与している重要な存在であるという認識の下に行われなければならない。

3 中小企業の振興は、県、国、市町村、中小企業関係団体、金融機関、教育機関等その他の関係機関が、中小企業者とともに相互に連携を図りながら行われなければならない。

(県の責務)

第四条 県は、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、中小企業の振興に関する施策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。

(中小企業者の努力)

第五条 中小企業者は、基本理念にのっとり、経済的社会的環境の変化に即応してその事業の成長発展を図るため、自主的に経営の改善及び向上に努めるものとする。

2 中小企業者は、基本理念にのっとり、経営の革新に取り組むよう努めるものとする。

3 中小企業者は、基本理念にのっとり、後継者の育成等により円滑な事業の承継を図るよう努めるものとする。

4 中小企業者は、基本理念にのっとり、地域における雇用の機会の創出及び人材の育成に努めるとともに、その事業活動を通じて地域の振興に資するよう努めるものとする。

(中小企業関係団体の役割等)

第六条 中小企業関係団体は、基本理念にのっとり、その事業活動を通じて中小企業者の経営の改善及び向上並びに経営の革新を支援するとともに、県が実施する中小企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

2 金融機関は、資金の供給、経営相談等の事業活動を行うに当たっては、基本理念にのっとり、中小企業者の経営の改善及び向上並びに経営の革新を支援するとともに、県が実施する中小企業の振興に関する施策に協力するよう努めるものとする。

3 大企業者は、基本理念にのっとり、地域経済における中小企業の役割についての理解を深めるとともに、中小企業者との連携及び協力に努めるものとする。

4 県は、教育機関等と連携を図りながら、児童、生徒等に対する中小企業の役割についての理解を深めるための教育、勤労及び職業に関する意識の啓発その他の基本理念を踏まえた教育又は啓発を促進するものとする。

(県民の理解と協力)

第七条 県民は、基本理念にのっとり、中小企業が地域経済の活性化、雇用の創出及び地域社会の持続的な発展に寄与していることの重要性について理解を深めるとともに、県産品の利用等を通じて、中小企業の発展に協力するよう努めるものとする。

(市町村に対する協力)

第八条 県は、市町村が中小企業の振興に関する施策を策定し、及び実施しようとするときは、情報の提供、助言その他の必要な協力を行うものとする。

第二章 基本的施策

(新商品又は新役務の開発の促進)

第九条 県は、中小企業者の新商品又は新役務の開発を促進するため、研究開発に対する支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

(新たな市場の開拓の促進)

第十条 県は、中小企業の新たな市場の開拓を促進するため、商談の機会の提供及び国内外における事業の展開への支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

(新たな事業分野の開拓の促進)

第十一条 県は、中小企業の新たな事業分野の開拓を促進するため、中小企業者の連携及び中小企業者が共同して行う研究開発に対する支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

(事業承継の円滑化)

第十二条 県は、中小企業者の事業の承継の円滑化を図るため、事業の承継に関する情報の提供及び相談その他の必要な施策を講ずるものとする。

(創業の促進)

第十三条 県は、中小企業の創業を促進するため、創業に関する情報の提供及び相談その他の必要な施策を講ずるものとする。

(人材の育成及び確保)

第十四条 県は、中小企業の事業活動に必要な人材の育成及び確保を図るため、職業訓練の実施、雇用環境の整備に対する支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

(地場産業等の振興)

第十五条 県は、地場産業を担う中小企業を振興するため、新商品の開発及び技能の承継に対する支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

2 県は、地域資源(自然的経済的社会的条件からみて一体である地域の特産物として認識されている農林水産物又は鉱工業品及び鉱工業品の生産に係る技術並びに文化財、自然の風景地、温泉その他の地域の観光資源として認識されているものをいう。)を活用した産業を担う中小企業を振興するため、新たな事業の創出に対する支援その他の必要な施策を講ずるものとする。

(小規模企業の持続的な発展)

第十六条 県は、経営資源の確保が特に困難であることが多い小規模企業者の事業の持続的な発展を図るため、人材の育成、融資その他の必要な施策を講ずるものとする。

第三章 施策を推進するための措置

(中小企業・小規模企業振興計画の策定)

第十七条 知事は、中小企業の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、中小企業・小規模企業振興計画(次項及び第三項において「振興計画」という。)を策定するものとする。

2 知事は、振興計画を定めようとするときは、あらかじめ、中小企業者及び中小企業関係団体その他の関係機関の意見を聴くものとする。

3 前項の規定は、振興計画の変更について準用する。

(財政上の措置)

第十八条 県は、中小企業の振興に関する施策を推進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

附 則

(施行期日)

1 この条例は、公布の日から施行する。

(山梨県地場産業振興条例の廃止)

2 山梨県地場産業振興条例(平成五年山梨県条例第十七号)は、廃止する。

(附属機関の委員等の報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)

3 附属機関の委員等の報酬及び費用弁償に関する条例(昭和四十年山梨県条例第七号)の一部を次のように改正する。

〔次のよう〕略

山梨県中小企業・小規模企業振興条例

平成28年3月11日 条例第3号

(平成28年3月11日施行)