○山梨県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例

令和二年三月三十日

山梨県条例第四号

山梨県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例をここに公布する。

山梨県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例

(目的)

第一条 この条例は、自転車の安全で適正な利用に関し、基本理念を定め、県及び自転車利用者の責務並びに県民、事業者及び交通安全団体の役割を明らかにするとともに、県の施策の基本となる事項その他必要な事項を定めることにより、自転車の安全で適正な利用に関する施策を総合的に推進し、もって歩行者、自転車及び自動車等が共に安全に通行し、県民が安全で安心して暮らすことができる地域社会の実現に寄与することを目的とする。

(定義)

第二条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 自転車 道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)第二条第一項第十一号の二に規定する自転車をいう。

 自転車利用者 道路、公園、広場その他の不特定又は多数の者の用に供される場所において自転車を利用する者をいう。

 交通安全団体 交通安全に関する普及啓発活動を行う法人その他の団体をいう。

 自動車等 道路交通法第二条第一項第九号に規定する自動車及び同項第十号に規定する原動機付自転車をいう。

 保護者 親権を行う者、未成年後見人その他の者で、未成年者を現に監護するものをいう。

 自転車貸付事業者 自転車を有償又は無償で、継続的に又は反復して貸し付ける事業(第十七条第一項において「自転車貸付事業」という。)を行う者をいう。

 自転車小売業者 自転車の小売を業とする者をいう。

 自転車損害賠償責任保険等 自転車の運行によって人の生命又は身体が害された場合における損害を填補することができる保険又は共済をいう。

(基本理念)

第三条 自転車の安全で適正な利用は、県、自転車利用者、県民、事業者、交通安全団体及び市町村が連携して、自転車に関する交通事故の防止を図ることを旨として促進されなければならない。

2 自転車の安全で適正な利用は、歩行者、自転車利用者及び自動車等の運転者が、それぞれが有している特性についての理解の下に、道路の交通に関する法令を遵守するとともに、相互に尊重することを旨として促進されなければならない。

3 自転車の安全で適正な利用は、自転車の利用が、県民及び事業者にとって高い利便性を有し、県民生活及び事業活動に極めて重要な役割を果たすとともに、地域の活性化、観光の振興、環境への負荷の低減及び健康の増進に資するものであるという認識の下に行われなければならない。

(県の責務)

第四条 県は、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、自転車の安全で適正な利用の促進に関する総合的な施策を策定し、及び実施するものとする。

2 県は、自転車利用者、県民、事業者、交通安全団体及び市町村が実施する自転車の安全で適正な利用の促進に関する取組を支援するため、情報の提供、助言その他の必要な措置を講ずるものとする。

(自転車利用者の責務)

第五条 自転車利用者は、基本理念にのっとり、車両(道路交通法第二条第一項第八号に規定する車両をいう。第十条第四項において同じ。)の運転者としての責任の自覚の下に、自転車の利用に当たっては、道路の交通に関する法令を遵守するほか、自転車に関する交通事故防止についての知識を習得し、自転車の安全で適正な利用のために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。

(県民の役割)

第六条 県民は、基本理念にのっとり、自転車の安全で適正な利用に関する理解を深め、家庭、職場、学校、地域等における自転車の安全で適正な利用のための取組を自主的かつ積極的に行うよう努めるものとする。

2 県民は、国、県及び市町村が実施する自転車の安全で適正な利用を促進するための施策に協力するよう努めるものとする。

(事業者の役割)

第七条 事業者は、基本理念にのっとり、自転車の安全で適正な利用に関する理解を深め、自ら自転車の安全で適正な利用のための取組を実施するよう努めるものとする。

2 事業者は、自転車を利用して通勤し、又はその事業活動において自転車を利用する従業員に対し、自転車の安全で適正な利用に関する教育及び啓発を行うよう努めるものとする。

3 事業者は、国、県及び市町村が実施する自転車の安全で適正な利用を促進するための施策に協力するよう努めるものとする。

(交通安全団体の役割)

第八条 交通安全団体は、基本理念にのっとり、道路の交通に関する法令の遵守についての啓発その他の自転車の安全で適正な利用を促進するための取組を自主的かつ積極的に推進するよう努めるものとする。

2 交通安全団体は、国、県及び市町村が実施する自転車の安全で適正な利用を促進するための施策に協力するよう努めるものとする。

(自転車交通安全教育等)

第九条 県は、県民及び事業者が自転車の安全で適正な利用に関する関心と理解を深めることができるよう、交通安全に関する教育を行うものとする。

2 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する幼稚園、小学校、中学校、高等学校、特別支援学校及び大学、同法第百二十四条に規定する専修学校並びに同法第百三十四条第一項に規定する各種学校、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成十八年法律第七十七号)第二条第七項に規定する幼保連携型認定こども園並びに児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第三十九条第一項に規定する保育所(以下この項及び第十四条第六項において「学校等」という。)を設置し、又は管理する者(学校の校長等を含む。第十五条第二項において「学校等の設置者等」という。)は、当該学校等に在籍する幼児、児童、生徒又は学生に対し、自転車の安全で適正な利用に関する教育を実施するよう努めるものとする。

3 保護者は、その監護する未成年者に対し、自転車の安全で適正な利用に関する必要な教育を行うよう努めるものとする。

4 高齢者と同居する親族は、当該高齢者に対し、乗車用ヘルメットをかぶるよう勧奨する等高齢者の自転車の安全で適正な利用に関する必要な助言をするよう努めるものとする。

(交通事故の防止のための措置等)

第十条 自転車利用者、その事業活動において自転車を利用する事業者及び自転車貸付事業者は、その利用し、又は貸付けの用に供する自転車の側面に反射器材を備える等の交通事故の防止のための措置を講ずるよう努めるものとする。

2 自転車利用者は、幼児(道路交通法第十四条第三項に規定する幼児をいう。次項において同じ。)を自転車に取り付けられた幼児用座席に乗車させるときは、幼児用座席に備えられたベルトを着用させるよう努めるものとする。

3 保護者は、幼児又は児童(道路交通法第十四条第三項に規定する児童をいう。)が自転車を利用するときは、当該幼児又は児童に同法第六十三条の十一第三項の規定により乗車用ヘルメットをかぶらせるとともに、肘当て、膝当て、手袋その他の交通事故による被害の軽減に資する器具の着用をさせる等の安全上の措置を講ずるよう努めるものとする。

4 県民は、自動車等を運転する場合には、自転車が車両であることを認識し、歩行者、自転車及び自動車等がそれぞれ道路を共に安全に通行することができるように配慮するよう努めるものとする。

(令五条例五・一部改正)

(点検整備及び防犯対策)

第十一条 自転車利用者、その事業活動において自転車を利用する事業者及び自転車貸付事業者は、その利用し、又は貸付けの用に供する自転車について、必要な点検及び整備を行うよう努めるものとする。

2 保護者は、その監護する未成年者が利用する自転車について、必要な点検及び整備を行うよう努めるものとする。

3 自転車利用者は、その利用する自転車について、盗難の防止のための施錠その他の防犯対策に努めるものとする。

(安全で適正な利用に関する情報提供)

第十二条 県は、国、市町村及び交通安全団体その他関係団体と連携し、自転車の安全で適正な利用を促進するために必要な広報及び啓発を行うものとする。

2 自転車小売業者は自転車を購入しようとする者に対し、自転車貸付事業者は自転車を借り受けようとする者に対し、それぞれ、自転車の適正な通行の方法その他の自転車の安全で適正な利用のために必要な情報の提供を行うよう努めるものとする。

(自転車損害賠償責任保険等への加入)

第十三条 自転車利用者(未成年者を除く。)は、その利用する自転車の当該利用に係る自転車損害賠償責任保険等に加入しなければならない。ただし、当該自転車利用者以外の者により、当該自転車損害賠償責任保険等への加入の措置が講じられているときは、この限りでない。

2 保護者は、その監護する未成年者が自転車を利用するときは、当該利用に係る自転車損害賠償責任保険等に加入しなければならない。ただし、当該保護者以外の者により、当該自転車損害賠償責任保険等への加入の措置が講じられているときは、この限りでない。

3 その事業活動において自転車を利用する事業者は、当該利用に係る自転車損害賠償責任保険等に加入しなければならない。

4 自転車貸付事業者は、その貸付けの用に供する自転車の利用に係る自転車損害賠償責任保険等に加入しなければならない。

(自転車損害賠償責任保険等への加入の確認等)

第十四条 自転車小売業者は、自転車を購入しようとする者に対し、当該自転車の利用に係る自転車損害賠償責任保険等に加入していることの確認を行わなければならない。

2 自転車小売業者は、前項の規定による確認により、自転車を購入しようとする者が、当該自転車の利用に係る自転車損害賠償責任保険等に加入していることを確認できないときは、当該者に対し、自転車損害賠償責任保険等への加入に関する情報の提供を行わなければならない。

3 自転車貸付事業者は、自転車を借り受けようとする者に対し、当該自転車の利用に係る自転車損害賠償責任保険等の内容に関する情報の提供を行わなければならない。

4 事業者は、その従業者のうちに、通勤のため自転車を利用することを常例とする者(次項において「自転車通勤者」という。)があるときは、当該者に対し、当該利用に係る自転車損害賠償責任保険等に加入していることの確認を行うよう努めるものとする。

5 事業者は、前項の規定による確認により、自転車通勤者が、同項の自転車損害賠償責任保険等に加入していることを確認できないときは、当該者に対し、自転車損害賠償責任保険等への加入に関する情報の提供を行うよう努めるものとする。

6 学校等(学校教育法第一条に規定する小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校に限る。)を設置し、又は管理する者(学校の校長等を含む。次項において「学校等の設置者等」という。)は、通学のため自転車を利用することを常例とする児童又は生徒があるときは、これらの者及びこれらの者の保護者に対し、当該利用に係る自転車損害賠償責任保険等に加入していることの確認を行うよう努めるものとする。

7 学校等の設置者等は、前項の規定による確認により、前項の児童又は生徒が、同項の自転車損害賠償責任保険等に加入していることを確認できないときは、これらの者及びこれらの者の保護者に対し、自転車損害賠償責任保険等への加入に関する情報の提供を行うよう努めるものとする。

(自転車損害賠償責任保険等に関する情報提供等)

第十五条 県は、交通安全団体、市町村、自転車損害賠償責任保険等を引き受ける保険者その他関係団体と連携し、自転車損害賠償責任保険等への加入を促進するため、自転車損害賠償責任保険等に関する情報の提供その他の必要な措置を講ずるものとする。

2 学校等の設置者等は、自転車を利用する幼児、児童、生徒及び学生並びにその保護者に対し、自転車損害賠償責任保険等に関する情報の提供を行うよう努めるものとする。

(自転車小売業者の登録)

第十六条 自転車小売業者は、自ら営む自転車の販売業が次項各号に掲げる基準のいずれにも適合しているものとして知事の登録を受けることができる。

2 知事は、前項の登録を申請した自転車小売業者が、次に掲げる基準のいずれにも適合していると認めるときは、同項の登録を行うものとする。

 第十四条第一項及び第二項の規定に違反していないこと。

 自転車を購入しようとする者に対し、第十二条第二項の自転車の安全で適正な利用のために必要な情報の提供を行っていること。

 前各号に掲げるもののほか、規則で定める基準に適合するものであること。

3 知事は、前項の規定により登録を行ったときは、当該登録を申請した自転車小売業者に対し、登録証を交付するものとする。

4 第一項の登録は、三年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。

5 第二項及び第三項の規定は、前項の登録の更新について準用する。

(自転車貸付事業者の登録)

第十七条 自転車貸付事業者は、自ら行う自転車貸付事業が次項各号に掲げる基準のいずれにも適合しているものとして知事の登録を受けることができる。

2 知事は、前項の登録を申請した自転車貸付事業者が、次に掲げる基準のいずれにも適合していると認めるときは、同項の登録を行うものとする。

 第十三条第四項及び第十四条第三項の規定に違反していないこと。

 自転車を借り受けようとする者に対し、第十二条第二項の自転車の安全で適正な利用のために必要な情報の提供を行っていること。

 前各号に掲げるもののほか、規則で定める基準に適合するものであること。

3 前条第三項から第五項までの規定は、第一項の規定により知事の登録を受けた自転車貸付事業者について準用する。

(登録の取消し等)

第十八条 知事は、第十六条第一項の規定により知事の登録を受けた自転車小売業者が、同条第二項各号に掲げる基準のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、その登録を取り消すものとする。

2 知事は、前条第一項の規定により知事の登録を受けた自転車貸付事業者が、同条第二項各号に掲げる基準のいずれかに適合しなくなったと認めるときは、その登録を取り消すものとする。

3 知事は、第一項の規定により登録を取り消したときは第十六条第三項(同条第五項において準用する場合を含む。)の規定により登録証を交付した自転車小売業者に対し、前項の規定により登録を取り消したときは前条第三項の規定により準用する第十六条第三項(前条第三項の規定により準用する第十六条第五項において準用する場合を含む。)の規定により登録証を交付した自転車貸付事業者に対し、それぞれこれらの登録証を返還させるものとする。

(交通環境の整備)

第十九条 県は、国、市町村及び交通安全団体その他関係団体と連携し、自転車の安全で適正な利用を促進するため、歩行者、自転車及び自動車等が共に安全に通行することができるよう、交通環境の整備を図るものとする。

(財政上の措置)

第二十条 県は、自転車の安全で適正な利用を促進するために必要な財政上の措置を講ずるよう努めるものとする。

(施行期日)

1 この条例は、令和二年四月一日から施行する。ただし、第十三条第十四条及び第十六条から第十八条までの規定は、同年十月一日から施行する。

(検討)

2 知事は、この条例の施行後五年を超えない範囲内において、この条例の施行の状況等を勘案し、必要があると認めるときは、自転車の利用における安全及び適正の一層の確保を図る等の観点から自転車損害賠償責任保険等への加入、その確認等に係る義務の履行の確保の在り方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

(令和五年条例第五号)

この条例は、道路交通法の一部を改正する法律(令和四年法律第三十二号)の施行の日(令和五年四月一日)から施行する。

山梨県自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例

令和2年3月30日 条例第4号

(令和5年4月1日施行)

体系情報
第1編 規/第8章の4 安全・安心なまちづくり
沿革情報
令和2年3月30日 条例第4号
令和5年3月24日 条例第5号